遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

トランプの返り咲きで米国の偉大さに終わりが来るとは限らない

2024-01-17 01:23:56 | 米国 全般
 トランプは米国の有権者たちに「自分が諸君のために報復する」と呼びかけている。おまけに、この訴えは成果を上げている。
 2024年の大統領選挙を控えた世論調査で、トランプは全体的に現職のジョー・バイデンをリードしている。共和党の予備選挙だけではなく、本選挙でもだと、ギデオン・ラックマン氏。

 【2024年米大統領選挙】 トランプ氏初戦で記録的勝利(AP通信) - Yahoo!ニュース

 
トランプの返り咲きで米国の偉大さに終わりが来るとは限らない 私がまだ米国という国を信用している理由:ギデオン・ラックマン | JBpress (ジェイビープレス) 2024.1.16(火) Financial Times (英フィナンシャル・タイムズ紙 2024年1月9日付)

 「私は米国を信用している」

 ドナルド・トランプが台頭し、凋落し、そして再び台頭してきたこれまでの間、この台詞がずっと筆者の頭にこびりついている。

 遅まきながら気づいたのだが、
少し元気になるこの言葉は映画「ゴッドファーザー」の最初の台詞だ。

 
実際には米国を信用できなくなってしまい、仕返しを依頼しにマフィアのドン・コルレオーネを訪ねたアメリゴ・ボナセーラの言葉である。

報復誓うトランプはまさにマフィアのドン

 
トランプは米国の有権者たちに「自分が諸君のために報復する」と呼びかけている。システムから「ひどい扱いを受け、裏切られた」人々全員に訴えかけている。

 
実にドン・コルレオーネ的だ。おまけに、この訴えは成果を上げている

 
2024年の大統領選挙を控えた世論調査で、トランプは全体的に現職のジョー・バイデンをリードしている

 選挙の勝者を当てるギャンブルを主催する
「ブックメーカー」たちも、トランプを本命視している共和党の予備選挙だけではなく、本選挙でもだ

 
前回の大統領選挙を覆そうとした疑いで裁判に臨んでいる人物を有権者が大統領に選びそうに見える時に、筆者はなぜ米国のことを信じ続けられるのか

「米国を信用する」という言い方は、2つの異なる意味を取りうる。

 
1つ目は、米国が賛成・支持するモノやコトは信用できるという意味

 
2つ目は、米国は最終的にはうまくやると思えるという意味だ。この2つは関連こそしているものの、同じではない

 
筆者は、米国はこの世界を善くする勢力の一つだと思っている。そのせいで、かなり前から、不愉快な口論をする羽目になっている。

 米国と最も親密な同盟国を自負する英国にいる時でさえそうだ。

 ベトナム戦争であれ、ロナルド・レーガンの軍拡であれ、イラク戦争であれ、銃を用いた暴力の問題であれ、
米国を熱心に批判する人々たちは攻撃の標的に事欠かない

 
筆者は普通、次のように応じている

 
歴史上のあらゆる強国と同様に、米国はとんでもないことをいくつもやってきた。

 だが、前世紀に世界中を巻き込んだ3つの大きな対立――第1次世界大戦、第2次世界大戦、東西冷戦――で米国は常に勝者の側にいた


 
実際、この3つの争いの勝敗を決めた要因は米国自身だったし、そのおかげで民主主義の世界が専制主義の国や正真正銘の独裁国家を圧倒した

自由世界のリーダーたる米国

 従って、
筆者の「米国を信用する」は2つ目の意味――米国は最終的にはうまくやるという意味――による面が大きい

 
過去80年間、米国は本当に「自由世界のリーダー」だった

 民主主義が実践されている例であると同時に、
欧州とアジアにある自由主義諸国との同盟関係を通じて仲間の民主主義国の守る存在でもあった

 
もし民主主義が米国で崩れ始めれば、世界中の自由民主主義国が問題を抱える

 
世界で最も強くて富んでいる国が同じ民主主義国の仲間であるのは、心強いことだ

 もしトランプが再び大統領に就任したら、この安心感は消えてしまうかもしれない。

 この指摘に、
多くのトランプ支持者は次のように反応するだろう。

 もし
我々の推す人物が選挙に勝てば、それは専制主義への突入ではなく、民主主義が実践されている実例になるだろう、と。

 
だが、選挙に勝てば過去の記録が消し去られるとは限らない

 
トランプがどんな人物であるかは周知の通りだ。民主的手続きのなかでも最も基本的な手続きである「自由選挙」を全く尊重しないことは、すでに実証済みだ。

 また「報復」という公約には、バイデンからマーク・ミリー前統合参謀本部議長に至る自分の政敵を裁判にかけるという脅しも繰り返し盛り込まれる。

 そのような裁判は、独立した立場の検察官が証拠を慎重に検討したうえで起訴するという、トランプ自身が直面しているタイプの裁判にはならない。

 
国のリーダーの命令で開かれる、政治的な見せしめ裁判になるだろう。独裁国家に典型的に見られる裁判のやり方だ。

数々のメロドラマを乗り越えてきた過去

 
では、筆者はなぜそんな状況下でも米国を信用し続けることができるのか第1に、そうなる予兆はまだ見られないからだ

 11月の選挙までにはまだ何カ月もある。

 
第2に米国が偉大で世界のリーダーである時代には、1963年のジョン・F・ケネディ暗殺からジョージ・W・ブッシュ政権での「対テロ戦争」に至るまで、大混乱とメロドラマがつきものだからだ

 米国は最終的には立ち直り、根底にある活力と持ち前のシステムが蘇るのが常だった。

 だから最新のメロドラマ――「アメリカ:シーズン9」と呼ぶ人もいる――でこのシリーズが悲劇的な完結を迎えるということはないように思われる。

 
米国が巻き起こすメロドラマは、トランプのメロドラマでさえ、病んでいる兆候にもなり得るが、バイタリティのしるしと見ることも可能だ

 
米国には反抗的で反エスタブリッシュメントの傾向があり、そのおかげで既存の物事を揺さぶって自己再生を絶え間なく続けていける

 
トランプに票が入ることは、人々が根本的な変化を望んでいることの現れだ。

 たとえ
トランプが正解ではないとしても、彼が台頭してきたこと自体は、変化を求めているとか現状に甘んじたくないといった気持ちの現れなのだ。

米国民主主義は4年で破壊できるほど脆くない

 さらに言うなら、
トランプ人気が長続きしていることは、米国エリート階層が必要としている自己点検を遅まきながら促しているのかもしれない

 
米国の経済政策の中心に再び公平性を据えようとするバイデンの取り組みも、そうした修正の一例だ。

 いわゆる
「ウォーク(意識高い系)」的な考えへの反発が始まったことも一例だ。

 これはバイデンの側近の一人が筆者に語ってくれたことだが、
自分たちを見つめ直した時に「私たちは米国の左派を怖がっている人が大勢いることを理解した」そうだ。

 
トランプによる左派への「報復」は、米国を新たな、そして恐ろしい方向に追いやりかねない

 しかし、
米国民主主義を破壊するにはトランプの4年間の任期では足りないと考えられる程度には、筆者は米国を信用している

 
米国はハンガリーとは違う。

 
権力と富の源泉が多種多様に存在する、大きくて複雑な国だ。トランプとその取り巻きがそれらをすべて、わずか4年の間に服従させることはできないだろう。

 従って、筆者は今でも「米国を信用する」人間だと思ってもらっていい。筆者と、あのアメリゴ・ボナセーラについては。

                             (文中敬称略)
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ギデオン・ラックマンはイギリスのジャーナリストです。彼は2006年7月にフィナンシャルタイムズのチーフ外交コメンテーターになりました。2016年に、彼は政治ジャーナリズムのオーウェル賞を受賞しました。同年、欧州報道賞でコメンテーター賞を受賞。

 「私は米国を信用している」と、ギデオン・ラックマン氏。
 2024年の大統領選挙では、「ブックメーカー」たちも、トランプを本命視している。共和党の予備選挙だけではなく、本選挙でもだと。

 前回の大統領選挙を覆そうとした疑いで裁判に臨んでいる人物を有権者が大統領に選びそうに見える時に、筆者はなぜ米国のことを信じ続けられるのか。

 「米国を信用する」という言い方は、2つの異なる意味を取りうる。
 1つ目は、米国が賛成・支持するモノやコトは信用できるという意味。
 2つ目は、米国は最終的にはうまくやると思えるという意味だ。この2つは関連こそしているものの、同じではない。
 米国はこの世界を善くする勢力の一つだと思っていると、ギデオン・ラックマン氏。

 米国を熱心に批判する人々たちは攻撃の標的に事欠かない。
 筆者は普通、次のように応じている。

 歴史上のあらゆる強国と同様に、米国はとんでもないことをいくつもやってきた。

 だが、前世紀に世界中を巻き込んだ3つの大きな対立――第1次世界大戦、第2次世界大戦、東西冷戦――で米国は常に勝者の側にいた。

 実際、この3つの争いの勝敗を決めた要因は米国自身だったし、そのおかげで民主主義の世界が専制主義の国や正真正銘の独裁国家を圧倒したと、ギデオン・ラックマン氏。
 過去80年間、米国は本当に「自由世界のリーダー」だった。
 民主主義が実践されている例であると同時に、欧州とアジアにある自由主義諸国との同盟関係を通じて仲間の民主主義国の守る存在でもあった。
 もし民主主義が米国で崩れ始めれば、世界中の自由民主主義国が問題を抱える。
 世界で最も強くて富んでいる国が同じ民主主義国の仲間であるのは、心強いことだとも。

 トランプ氏の再任に批判的な声に対し、トランプ氏の支持者は、我々の推す人物が選挙に勝てば、それは専制主義への突入ではなく、民主主義が実践されている実例になるだろうと。

 だが、選挙に勝てば過去の記録が消し去られるとは限らない。
 トランプがどんな人物であるかは周知の通りだ。民主的手続きのなかでも最も基本的な手続きである「自由選挙」を全く尊重しないことは、すでに実証済みだ。

 トランプ氏の裁判は、国のリーダーの命令で開かれる、政治的な見せしめ裁判になるだろう。独裁国家に典型的に見られる裁判のやり方だと、ギデオン・ラックマン氏。

 筆者はなぜそんな状況下でも米国を信用し続けることができるのか。第1に、そうなる予兆はまだ見られないからだ。
 第2に、米国が偉大で世界のリーダーである時代には、1963年のジョン・F・ケネディ暗殺からジョージ・W・ブッシュ政権での「対テロ戦争」に至るまで、大混乱とメロドラマがつきものだからだと、ギデオン・ラックマン氏。

 米国には反抗的で反エスタブリッシュメントの傾向があり、そのおかげで既存の物事を揺さぶって自己再生を絶え間なく続けていける。
 トランプに票が入ることは、人々が根本的な変化を望んでいることの現れだ。
 たとえトランプが正解ではないとしても、彼が台頭してきたこと自体は、変化を求めているとか現状に甘んじたくないといった気持ちの現れなのだとも。

 トランプ人気が長続きしていることは、米国エリート階層が必要としている自己点検を遅まきながら促しているのかもしれない。
 米国の経済政策の中心に再び公平性を据えようとするバイデンの取り組みも、そうした修正の一例だ。
 いわゆる「ウォーク(意識高い系)」的な考えへの反発が始まったことも一例だと、ギデオン・ラックマン氏。

 バイデンの側近の一人は、自分たちを見つめ直した時に「私たちは米国の左派を怖がっている人が大勢いることを理解した」と、語ってくれたのだそうです。

 トランプによる左派への「報復」は、米国を新たな、そして恐ろしい方向に追いやりかねない。
 しかし、米国民主主義を破壊するにはトランプの4年間の任期では足りないと考えられる程度には、筆者は米国を信用している。
 米国はハンガリーとは違い、権力と富の源泉が多種多様に存在する、大きくて複雑な国だと、ギデオン・ラックマン氏。

 世界中で変化のきっかけが観られる2024年。勿論、日本でも課題山積ですね。
 「けんとうし」の岸田内閣で、落ちこぼれず世界に貢献できる国でありつづけられるのでしょうか。



 
  西洋アブラナとハチ


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