遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

都構想否定 それで終わりではない

2015-05-18 23:58:58 | my notice
 橋本氏が2008年1月に大阪府知事選に出馬し政界に足を踏み入れて、7年半にもなるのですね。地域政党を立ち上げ、国政に影響を及ぼす野党にまで成長させましたが、地方政治の在り方を主題とし、象徴として「大阪都構想」を掲げ、日本の政界に一大旋風を巻き起こしました。その主役は、大阪の有権者の方々でした。
 ただ、キレのいい単刀直入の論調は、支持者をひきつけると同時に、敵も造る両刃の剣で、「慰安婦」関連発言が遂に命取りとなり、以後支持率の凋落が始まりました。
 それでも、「大阪都構想」を住民投票の実施にまでこぎつけたことは、日本の地方政治の在り方の歴史に残る偉業でした。
 結果は、直前のメディアの予想に反して、約 1万票の僅差まで盛り返しての橋本氏の敗退。しかも、70歳以上の年代(読売テレビの出口調査では、50歳代の女性も)以外は賛成が上回り、都構想の勝敗ではなく、70歳以上と70歳未満との世代間勝負との声が聴かれる投票内容でした。

 大阪都構想は否決され、大阪市の現状維持が決まりました。
 主要各紙は社説で取り上げていますが、朝日も含めて毎日(1万票の僅差にも関わらず、大差で全否定されたかの非難に終始)以外は、大阪都構想は否定されたが、現状維持では駄目だとの論調は一致しています。

 
「大阪都」反対 住民投票で破綻した橋下戦略 : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 【主張】大阪都構想「反対」 改革論議は継続すべきだ - 産経ニュース
 (社説)大阪都否決―「橋下後」へ具体策を:朝日新聞デジタル
 社説:「大阪都構想」実現せず 橋下政治が否定された - 毎日新聞

 遊爺は、主要各紙の中では、日経の社説を支持します。
 

都構想否決でも迫られる大阪の改革 (5/18 日経 社説)

 
「大阪都構想」を巡る大阪市の住民投票で反対票が賛成票を上回った。市民は大阪市の分割を否定した。橋下徹大阪市長が都構想を打ち出したのは2010年。5年に及ぶ論争に終止符が打たれた。
 日本経済新聞社とテレビ大阪が4月下旬に実施した世論調査をみると、都構想に反対する理由として最も多かったのは「多くの費用がかかる」だった。市を5つの特別区に分割する場合、新たな庁舎建設やシステム改修費などで600億円程度かかる。
 
大阪市の分割で期待できる効果がみえにくい一方で、費用がかさむという点が市民が都構想を拒否した大きな理由だろう。120年を超す歴史がある大阪市がなくなる
という点も、心情的に影響したとみられる。
 ただ、都構想を支持しなかったからといって
大阪が今のままでいいと考えているわけではないだろう。橋下市長らが主張した府と市の二重行政の解消は長年の課題
だ。インフラなどの老朽化が進むなかで、府と市の戦略を擦り合わせることはますます重要になる。
 
大阪府と大阪市が対立する様はかねて「不幸せ(府市あわせ)」といわれてきた
。大阪の地盤沈下に歯止めをかけ、大阪全体の成長戦略を強力に推進するためにも府と市の協力が欠かせない。
 
市営地下鉄の民営化など橋下市長らが掲げる政策には検討に値するものが少なくない。こうした政策の是非は今回の投票結果とは別の話
だ。
 一般に大阪は東京に次ぐ大都市とみられている。しかし、人口ではすでに神奈川県に抜かれて大阪府は3位になっている。都道府県別の県内総生産をみても、2位の大阪府と3位の愛知県の差は徐々に縮まっている。
 これはひとえに
横浜市や名古屋市に比べて、大阪市の成長力が劣っている
ためだろう。日本経済を考えるうえでも大都市の競争力の強化は欠かせない。
 投票結果を受けて、記者会見した橋下市長は12月の市長任期が終わったあとは政界を引退する意向を表明した。これにより
維新の党の国政での影響力低下も避けられない
情勢だ。
 4月の統一地方選では各地で投票率が低下した。候補者不足も深刻だ。
住民に直接的に自治のあり方を問うた今回の試みは、地方政治の空洞化を補うひとつの取り組みとしても評価できる

 大阪府知事に就任し、職員に発した第一声は「みなさんは赤字会社の社員と同じ」でした。そこから、数々の話題を振りまきながら、大阪市長になってからも財政健全化の努力を積み重ねてこられました。財政健全化、地方自治の確立といった志は、道半ばのままでの政界引退となりますが、大阪の70歳以上の方々の投票による民主主義でその道は閉ざされたのですね。70歳未満の方々の、新たな大阪の発展へのチャレンヂの民意も葬られました。
 しかし、各紙が指摘するように、大阪は現状維持のままでよいのでしょうか。それは、大阪だけでなく、関西圏共通の課題ではないのですか?
 いいえ、人口減、少子高齢化が進む一方で、関東一極集中が止まらない日本全体で、共通する、変化に対応する地方行政の在り方へのチャレンヂは、行動しなくていいのでしょうか。

 比例復活当選の党首となりそうな人材枯渇の政党が、野党の一翼を担えるのでしょうか。
 民主党に続いて、維新も崩壊し、共産党が独り党勢を伸ばす。地方政治では、自分の議席の心配が優先で、自民党議員でさえも、政治理念が全く相反する共産党と手を組んでしまう。
 そんな、地方政治の国にしていいのでしょうか?
 関西人は、日本の魁となって挑戦してきたと、長く関西に住んでいた遊爺は自負していましたが、今の70歳以上(高額年金、高率医療保険割引の若年層にお世話になっている世代)の大阪市民の方々に、失望した今回の住民投票結果でした。





  この花の名前は、福寿草


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日本は国境を守れるか (プレイブックス・インテリジェンス)






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