遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

歴史上2国目の「安全保障協力に関する共同宣言」を豪と!

2007-03-18 15:54:04 | my notice
 オーストラリアのジョン・ハワード首相が来日し、3月13日に安倍首相と首相官邸で会談しました。会談終了後、両首脳は「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名し、両国の包括的な戦略的関係の一層の強化を図ることとしました。
 日本が安全保障分野でこうした協力関係を結ぶのは、米国に次いで2カ国目ということで、アジアの安全保障で日豪の連携をかねて願っていた私としては、画期的な出来事と大感激しています。

 アジア太平洋地域の保安官役を自任し、「イラク戦争の有志連合のうち政治的に無傷な唯一の首脳」と言われるハワード首相ですが、与党、保守連合の支持率が39%ということで、余談は許されない情勢のようです。
 
豪総選挙次第で変質も 日豪共同宣言 (3/14 産経朝刊)
 【シンガポール=藤本欣也】安全保障協力に関する日豪共同宣言は、両国が積極関与する形でアジア太平洋地域の安保体制を構築する第一歩となるものだ。ただ、今年後半に予定される豪州の総選挙で、中国との関係が深いラッド党首率いる野党、労働党が政権を奪取すれば、安保構想が変質する可能性もある。

 豪州は現在、イラクと周辺に軍部隊約1450人を派遣。英国が段階的撤退を発表した後も、ハワード首相は「われわれが今、撤兵すればテロリストの勝利になる」と駐留継続を表明し、イラク軍を訓練する指導要員約70人をさらに派遣する予定だ。

 ハワード政権はアジア太平洋地域の保安官役を自任し、アフガニスタン(約550人)や東ティモール(約800人)、ソロモン諸島(約140人)にも部隊を駐留させている。ただ、展開能力が限界を迎えているのが現状で、「豪日両国は訓練された部隊を有しており、それぞれ域内で有効な役割を果たすことができる」(ダウナー外相)と日本の協力に期待感を示していた。

 「イラク戦争の有志連合のうち政治的に無傷な唯一の首脳」(豪州紙)となったハワード首相だが、次期総選挙では苦戦が予想される。背景には「イラク駐留継続」に67%が反対する世論の動向がある。最新の調査によると、駐留政策見直しや反原発を掲げる労働党の支持率が61%なのに対し、与党、保守連合は39%にとどまる。

 労働党のラッド党首は外交官出身で、中国語に堪能な“知中派”。豪州経済の中国依存度も着実に高まっている。日豪の安保協力強化には、軍事力を増強する中国を牽制(けんせい)する狙いも込められているが、豪州で11年ぶりに政権が交代すれば、日豪の安保協力構想にも微妙な影響が及びかねない。

 "知中派"のラッド党首が率いる野党の労働党が、支持率61%で与党を上回っていて、国の経済の中国依存度も高まっているとのことです。豪中間の経済や資源協力の記事も見かけますね。
 豪首相:LNG基地式典に出席、FTAにも積極姿勢 2006/06/29(木) 13:18:00 [中国情報局]
 NIKKEI NET:中国ビジネス特集


 日米豪3カ国がともにテロ対策や大量破壊兵器拡散問題に取り組む姿勢を世界に示せた意義は大きいのですが、サマワへ派遣した自衛隊とそれを守って貰った豪軍にみられるように、安全保障に寄与できる日本の軍事力の展開は、米豪とは明らかに差があり、日豪相互にメリットを出し合えるかは、課題が山積しています。
 
日豪安保宣言 実効性に向け課題も (3/14 産経朝刊)

 豪軍は陸上自衛隊のイラク派遣時に現地の治安維持を担った。豪州のハワード首相は首脳会談に先立つ久間章生防衛相との会談でこうした経緯に触れた、「将来、日本が日本の憲法にのっとった形で日豪が頻繁に協力する機会があればうれしい」と述べた。

 ハワード氏が憲法に言及したことについて、陸上自衛隊関係者は「海外での武力行使を禁じた憲法に縛られ、治安維持などの国際平和協力活動に踏み出せない日本の実情を理解していることの表れ」と語る。ただ、豪州側は自衛隊との幅広い協力を期待しており、連携強化には武器使用基準の緩和や海外活動に関する一般法(恒久法)の制定などが課題となる。

 経済連携協定(EPA)の4月23日の交渉入りが確認され、経済面での交流が期待されますが、日本側の農業保護が足かせで、こちらでも親交の期待は薄い現状があります。
 NIKKEI NET:国際 ニュース/上限関税、コメなど高く・WTO農業交渉、豪など新提案

 安倍首相、ハワード首相共に「中国を包囲するものでも、中国を意識したものでもない」と強調していますが、覇権拡大を進める中国に対し、更にインドも含めた連携強化を進めるとの事で、是非実現できることを期待します。

 米国の傘は、好むと好まざるとに関わらず、日本や東アジアの安全保障には不可欠です。
 しかしながら、北朝鮮への態度、従軍慰安婦問題の政治資金提供者に阿る議員の姿勢など、民主党政権に向かい方針転換してしまった米国は、近年のような親交は望めません。クリントン政権の時に経験した頭越し外交(6カ国協議が既にそうなっている。)や、米国の利益のための日本など諸外国への負担の押しつけが増します。
 外交の基本軸が日米関係であることの他に、ヨーロッパやアジアの各国との交流の強化が不可欠となります。
 安倍首相の訪米が、就任後 7ヶ月まで延びたとの批判もありますが、レームダック政権と会談しても、建設的な結論は期待できない訳で、急務の欧州を先に訪問した選択は、理解できるものです。
 プッシュ政権で、北朝鮮の「テロ国家指定」を外すようなことが言われています。
 「拉致問題」で急台頭した安倍総理には、致命傷になりそうな米国の手のひら返しです。レームダック政権が、いいように中国(経済成長でもてあます資金を国家戦略に基づき、経済のみならず、軍事や情報コントロールに使用)に翻弄されています。
 中国の国防白書の大きな課題は、日米間の関係の突き崩しです。残念ながら、その方向に動いている現状が多すぎます。
 遊爺雑記帳 中国国防白書

 米国は、今後2年もの間次の大統領選びで、政策の空白が続くのです。世界に及ぼす影響は、計り知れません。
 日本の貢献度は掲げる安全保障にたいして足かせがある現状ですが、資源の購入など既に活発な可能な分野からでも強化推進し、もともと親交の土壌がある日豪両国の関係が、課題の解決に取り組み、更に深まることを期待しています。
 冒頭にも書きましたが、願ってもない歴史的偉業に、連日乾杯をしています。
 とりあえず、庶民の私は、ステーキはオージービーフを愛用しています。ラムやマトンも好きです。


 

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 たかられる大国・日本―中国とアメリカ、その驚くべき“寄生”の手口

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6 コメント

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日米豪の三角形に力 (杉並の純一郎)
2007-03-18 17:48:17
ご無沙汰しています。豪の熱にもかかわらず日本側での熱が今ひとつ表に出てこないことが気に成りますが、これは日本の安全保障にとっての大きな成果です。この日米豪の三角形が出来てこそ、インドにも、インドから先にも、そして日豪の間のインドネシア、フィリピンに加え台湾にまで民主・自由社会の擁護に役立つ第一歩だと思います。両国とも問題がないわけではないようですが、しっかりと育てるべきことと考えます。私も遅ればせながら乾杯に参加します。
返信する
NATO (sarah)
2007-03-18 21:48:15
TBいただき恐縮です
日本はNATOとの協力関係も強化しようとしてますよね
先を見越した動きは歓迎ですね
返信する
Re: 日米豪の三角形に力 (遊爺)
2007-03-18 23:22:45
杉並の純一郎さん、お久しぶりです。こちらこそご無沙汰しています。
貴サイトは、RSSリーダーで登録して、拝見させて頂いています。

豪州と親交を深めるべきとは、杉並の純一郎さんの持論でした。そのことが、インド、インドネシア、台湾などへ影響を及ぼしひいてはアジアの安全保証に繋がるとのご説でした。
全く同感です。

>私も遅ればせながら乾杯に参加します。

  それでは、かんぱぁ~い!
返信する
Re: NATO (遊爺)
2007-03-18 23:29:57
sarahさん、コメント、TB返信をありがとうございます。

>先を見越した動きは歓迎ですね

 日本の苦手としてきた処でしょう。NATOとの交流は、帝国復活台頭の著しいロシアに対する東西からの連携が必用となってきている今日、課題は多いのですが、是非進めて頂きたいものですね。
返信する
次期政権が心配 (やおよろず)
2007-03-28 23:39:25

 小沢一郎の極左路線によって、一部イデオローグ以外からの支持を減らし続ける民主党。
 とりあえず、日本の政権は、現状維持と考えます。

 かつては、「清濁併せ呑む保守の巨魁」として保守派・国内派から期待を集めていた小沢一郎のこと、極左路線に走って民主党を壊滅させることで、保守政治に大きく貢献しようとしているのでしょう(笑)

 さて、オーストアリアですが、親中野党の支持率が目に見えて上昇しています。
 ハワード陣営が政権を失えば、どうなることやらわかりません。
 できることは、早目にやっておくのが吉かと思われます。

 アメリカ・フランスの動向と合わせて、日本は正念場を迎えていると思います。


返信する
Unknown (a)
2007-04-02 14:12:00
とにかく慰安婦問題については、小林よしのり著「戦争論2」の「総括・従軍慰安婦」を読んでみてほしい。
あらゆる関連本の中で一番良い。
この問題の全容も把握できる。


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