日本とEUとのEPA交渉は7月に大枠合意を宣言した後も、投資を巡る企業と国の紛争解決手続きを巡って難航していたのだそうですが、秋に入り、EU側は、紛争解決手続きなどを含めた投資分野を交渉から切り離すことを水面下で日本に打診、日本側も、自動車メーカーや消費者にとって恩恵が大きい関税分野の早期発効を確実にするために、切り離しに応じ、日本とEUは、WTO閣僚会議を前に今回の妥結を宣言し、自由貿易の重要性を示したのだそうです。
TPPを離脱し、NAFTAの再交渉を進める米国は、WTOでも多国間貿易の重要性について記述することに難色を示しているのだそうです。
日本とEUは、WTO閣僚会議を前に今回の妥結を宣言し、世界のGDPの3割を締める自由貿易圏の誕生を示し、自由貿易の拡大実現を示したのですね。
CPTPPが、11ヵ国の場合世界のGDPの13%を占めますので、両方を合わせると、39%(日本のGDPを4%として)の欧州とアジア・太平洋地域に広がる自由貿易圏に日本は参画することになります。
関税が撤廃されるなどして安価な輸入品が入ることで、価格競争を強いられる業界・業者がありますが、消費者にはメリットが出ます。
少子高齢化で縮小する日本市場を、自由貿易圏を構築することで市場を拡大させるのが目的ですね。競争が厳しくなりますが、逆に、広がる市場のニーズを開拓することが出来るようになるのです。
なによりも、独善的にアメリカファーストで暴走しかねない米国を牽制し、トランプ大統領が、孤立化の危機意識を持っていただき、自由貿易陣営に復帰していただけることを願います。
# 冒頭の画像は、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長及びジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長と握手する安倍首相 (2017年7月)
この花の名前は、ノイバラ
↓よろしかったら、お願いします。
日欧EPA妥結 19年の発効目指す (12/9 読売朝刊一面)
政府は8日、今年7月に大枠合意していた欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉が妥結したと発表した。2019年の協定発効を目指す。発効すれば人口6億人、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。
安倍首相は8日、EUのユンカー欧州委員長と電話会談し、交渉妥結を確認した。安倍首相は会談後、首相公邸で記者団に対し、「自由で公正なルールに基づく経済圏を作り上げていく。21世紀の国際社会の経済秩序のモデルとなるものだ」と述べた。
ベルギーのブリュッセルで5~8日、事務方のトップによる首席交渉官会合が開かれ、協定内容の最終的な調整を行っていた。合意内容の精査を経て、年明けにも協定文を完成させ、来年夏にも協定に署名する。日本の国会や欧州議会での承認を経て、19年に発効させたい考えだ。
交渉は13年に始まり、EUが日本車にかけている10%の関税や、欧州産ワインやチーズなどに対する日本の関税などが焦点となった。日本の乗用車の関税は8年目に撤廃される。EUから日本が輸入する際のボトルワインへの関税は、発効すれば即時撤廃される。全貿易品目数でみると、日本はEUからの輸入にかける関税のうち約94%で、EU側は約99%で、それぞれ関税を撤廃することになる。
一方、投資先の国で企業が不当な扱いを受けた場合に、その国の政府を訴える紛争解決の手続きや、地域名を冠した特産品の名称を守る「地理的表示(GI)保護制度」については、7月以降も交渉が続いていた。特に、紛争解決手続きについては、日本とEUで主張の隔たりが大きく、EPAから切り離し、別の投資協定を結ぶ方向で協議を続ける。
政府は8日、今年7月に大枠合意していた欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉が妥結したと発表した。2019年の協定発効を目指す。発効すれば人口6億人、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。
安倍首相は8日、EUのユンカー欧州委員長と電話会談し、交渉妥結を確認した。安倍首相は会談後、首相公邸で記者団に対し、「自由で公正なルールに基づく経済圏を作り上げていく。21世紀の国際社会の経済秩序のモデルとなるものだ」と述べた。
ベルギーのブリュッセルで5~8日、事務方のトップによる首席交渉官会合が開かれ、協定内容の最終的な調整を行っていた。合意内容の精査を経て、年明けにも協定文を完成させ、来年夏にも協定に署名する。日本の国会や欧州議会での承認を経て、19年に発効させたい考えだ。
交渉は13年に始まり、EUが日本車にかけている10%の関税や、欧州産ワインやチーズなどに対する日本の関税などが焦点となった。日本の乗用車の関税は8年目に撤廃される。EUから日本が輸入する際のボトルワインへの関税は、発効すれば即時撤廃される。全貿易品目数でみると、日本はEUからの輸入にかける関税のうち約94%で、EU側は約99%で、それぞれ関税を撤廃することになる。
一方、投資先の国で企業が不当な扱いを受けた場合に、その国の政府を訴える紛争解決の手続きや、地域名を冠した特産品の名称を守る「地理的表示(GI)保護制度」については、7月以降も交渉が続いていた。特に、紛争解決手続きについては、日本とEUで主張の隔たりが大きく、EPAから切り離し、別の投資協定を結ぶ方向で協議を続ける。
日欧巨大貿易圏誕生へ EPA妥結 保護主義に対抗 結束狙う (12/9 読売朝刊)
日本と欧州連合(EU)による経済連携協定(EPA)は8日、4年余りの交渉を経て妥結した。日本とEUによる巨大な自由貿易圏が誕生する意義は大きい。世界で保護主義的な動きが広がる中、日本とEUは結束して自由貿易を推進する姿勢を示す狙いがあった。
10日にはアルゼンチンで世界貿易機関(WTO)の最高意思決定の場である閣僚会議が始まる。自国優先の姿勢を打ち出す米国は、閣僚宣言の事前調整で、多国間貿易の重要性について記述することに難色を示している。日本とEUは、WTO閣僚会議を前に今回の妥結を宣言し、自由貿易の重要性を示した。
EPA交渉は7月に大枠合意を宣言した後も、投資を巡る企業と国の紛争解決手続きを巡って難航した。日本は、既存の国際組織の活用を主張したが、EUは「大企業による提訴が相次ぎ、国内の制度変更を迫られかねない」として、手続きがより厳格な「投資裁判所」の新設を求めた。
事態が動いたのは今秋だ。EU側は、紛争解決手続きなどを含めた投資分野を交渉から切り離すことを水面下で日本に打診した。
EUでは、加盟28か国の関税を統一しており、関税の撤廃・削減に関する協定を結ぶ権限は、加盟国ではなくEUが持つ。協定に投資分野が含まれると、全28か国の国内議会の承認が必要になり、発効が遅れかねないためだ。日本側も、自動車メーカーや消費者にとって恩恵が大きい関税分野の早期発効を確実にするために、切り離しに応じた。
日本の自動車業界はEPAの妥結を歓迎している。自動車の輸出にかかる関税が段階的に引き下げられ、現地での販売価格を安くできるからだ。2016年にEUに輸出された自動車は61万台に上り、輸出台数全体の13%を占める。輸出でみると北米(41%)に次ぐ重要な市場だ。ただ、自動車メーカーは欧州での現地生産を進めており「直接的なメリットがどれぐらい出るかは不透明だ」(関係者)との声も漏れる。
一方、長い伝統を持つ欧州産のチーズやワインの輸入の増加が見込まれる。消費者には恩恵が及ぶが、国内の生産者にとっては脅威になりかねない。
北海道更別村で乳牛約130頭を飼育する出嶋辰三さん(59)は「安い海外産チーズがなだれ込んだら、国内の乳製品は淘汰されかねない」と不安をのぞかせた。
日本酒や日本茶、プランド和牛などの生産者にとっては、欧州への輸出を拡大するチャンスが広がる。政府は、畜産農家に対する支援策を拡充するほか、輸出支援策を強化していく方針だ。
日本と欧州連合(EU)による経済連携協定(EPA)は8日、4年余りの交渉を経て妥結した。日本とEUによる巨大な自由貿易圏が誕生する意義は大きい。世界で保護主義的な動きが広がる中、日本とEUは結束して自由貿易を推進する姿勢を示す狙いがあった。
10日にはアルゼンチンで世界貿易機関(WTO)の最高意思決定の場である閣僚会議が始まる。自国優先の姿勢を打ち出す米国は、閣僚宣言の事前調整で、多国間貿易の重要性について記述することに難色を示している。日本とEUは、WTO閣僚会議を前に今回の妥結を宣言し、自由貿易の重要性を示した。
EPA交渉は7月に大枠合意を宣言した後も、投資を巡る企業と国の紛争解決手続きを巡って難航した。日本は、既存の国際組織の活用を主張したが、EUは「大企業による提訴が相次ぎ、国内の制度変更を迫られかねない」として、手続きがより厳格な「投資裁判所」の新設を求めた。
事態が動いたのは今秋だ。EU側は、紛争解決手続きなどを含めた投資分野を交渉から切り離すことを水面下で日本に打診した。
EUでは、加盟28か国の関税を統一しており、関税の撤廃・削減に関する協定を結ぶ権限は、加盟国ではなくEUが持つ。協定に投資分野が含まれると、全28か国の国内議会の承認が必要になり、発効が遅れかねないためだ。日本側も、自動車メーカーや消費者にとって恩恵が大きい関税分野の早期発効を確実にするために、切り離しに応じた。
日本の自動車業界はEPAの妥結を歓迎している。自動車の輸出にかかる関税が段階的に引き下げられ、現地での販売価格を安くできるからだ。2016年にEUに輸出された自動車は61万台に上り、輸出台数全体の13%を占める。輸出でみると北米(41%)に次ぐ重要な市場だ。ただ、自動車メーカーは欧州での現地生産を進めており「直接的なメリットがどれぐらい出るかは不透明だ」(関係者)との声も漏れる。
一方、長い伝統を持つ欧州産のチーズやワインの輸入の増加が見込まれる。消費者には恩恵が及ぶが、国内の生産者にとっては脅威になりかねない。
北海道更別村で乳牛約130頭を飼育する出嶋辰三さん(59)は「安い海外産チーズがなだれ込んだら、国内の乳製品は淘汰されかねない」と不安をのぞかせた。
日本酒や日本茶、プランド和牛などの生産者にとっては、欧州への輸出を拡大するチャンスが広がる。政府は、畜産農家に対する支援策を拡充するほか、輸出支援策を強化していく方針だ。
TPPを離脱し、NAFTAの再交渉を進める米国は、WTOでも多国間貿易の重要性について記述することに難色を示しているのだそうです。
日本とEUは、WTO閣僚会議を前に今回の妥結を宣言し、世界のGDPの3割を締める自由貿易圏の誕生を示し、自由貿易の拡大実現を示したのですね。
CPTPPが、11ヵ国の場合世界のGDPの13%を占めますので、両方を合わせると、39%(日本のGDPを4%として)の欧州とアジア・太平洋地域に広がる自由貿易圏に日本は参画することになります。
関税が撤廃されるなどして安価な輸入品が入ることで、価格競争を強いられる業界・業者がありますが、消費者にはメリットが出ます。
少子高齢化で縮小する日本市場を、自由貿易圏を構築することで市場を拡大させるのが目的ですね。競争が厳しくなりますが、逆に、広がる市場のニーズを開拓することが出来るようになるのです。
なによりも、独善的にアメリカファーストで暴走しかねない米国を牽制し、トランプ大統領が、孤立化の危機意識を持っていただき、自由貿易陣営に復帰していただけることを願います。
# 冒頭の画像は、ドナルド・トゥスク欧州理事会議長及びジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長と握手する安倍首相 (2017年7月)
この花の名前は、ノイバラ
↓よろしかったら、お願いします。