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遊爺雑記帳

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中国建国70周年軍事パレード 評

2019-10-05 01:23:57 | 中国 全般
 中国は10月1日に建国70周年を迎え、北京の天安門広場で盛大な軍事パレードを実施しました。
 前任の江沢民氏や胡錦濤氏がそれぞれ10年間で1回しか軍事パレードを実施していないのとは対照的で、習近平は無類の軍事パレード好きで、この6年間で3回目の大規模な軍事パレードを今回実施したことになると、前・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏。
 盛大に行う目的は国内向けの国威発揚と、国外的には特に核戦力の3本柱(ICBM、潜水艦発射弾道ミサイル=SLBM、核搭載戦略爆撃機)の威力を知らしめることだと。
 
中国建国70周年軍事パレードが示す本音と虚構 人民解放軍の狙いと弱点が見えた! | JBpress(Japan Business Press) 2019.10.4(金) 渡部 悦和

 中国は10月1日に建国70周年を迎え、北京の天安門広場で軍事パレードが行われた。兵員約1万5000人、戦車などの車両約580台、航空機約160機が参加し、最大規模のパレードであった。

 米国との貿易摩擦や香港問題など国内外で難しい問題を抱えるなか、
一連の行事を盛大に行う目的は国内的には国威発揚だ。

 一方、
国外的には米国をはじめとする諸国に、習近平主席が指導してきた人民解放軍改革の成果、特に核戦力の3本柱(ICBM、潜水艦発射弾道ミサイル=SLBM、核搭載戦略爆撃機)の威力を知らしめることだ。

 この種のパレードで肝に銘じたいことは
「木を見て森を見ない状況に陥らない」ということだ。
 個々の兵器を詳細に分析することが「木を見ること」であり、そのこと自体は重要なことだ。しかし、もっと重要なことは「森を見ること」で、「パレード全体が意味することは何か」を考えることだ。

 本稿においては、この点に気を付けて軍事パレードを分析していきたい。なお、写真のほとんどは中国CCTVの中継放送から入手した。

■習近平主席の野望 切り札は人民解放軍
 
習近平主席の野望は、「中華民族の偉大なる復興」であり、2049年までに「社会主義現代化国家」を樹立し、「世界一流の軍隊」を建設することである。つまり、米国に追いつき追い越し、世界一の覇権国になることだ。

 習近平主席は、無類の軍事パレード好きで、この6年間で3回目の大規模な軍事パレードを今回実施したことになる。
 前任の江沢民氏や胡錦濤氏がそれぞれ10年間で1回しか軍事パレードを実施していないのとは対照的だ。
 そして、今回の軍事パレードでも明らかになったことは、習氏の野望を実現する切り札が人民解放軍であるという事実だ。

 習氏が
パレードでの訓示で「中国は世界の東方にそびえ立ち、いかなる勢力も我々の偉大な祖国の地位を揺るがすことはできず、いかなる勢力も中華民族の前進を阻むことはできない」と主張した時に、その最終的な根拠が軍事力であることが明白になった

 パレードの冒頭で国旗よりも先に共産党旗が登場したことが如実に示すように、国家よりも共産党が優先される中国において、共産党一党独裁が続く限り、共産党の軍隊である人民解放軍の増強が進むことを我々は覚悟すべきだ。

■中国は世界一のミサイル大国 多種多様なミサイルを保有
 
中国の戦力の中核は多種多様なミサイル戦力である。中国は過去数十年間、核および通常抑止力を強化するために軍事科学技術の窃取や開発に多くの資源を投入してきた。米国に対抗するためだ。
 中国は、
米国が核戦略見直しによって「戦術核兵器使用の敷居を下げた」と認識し、「将来の戦闘で核兵器を使用する可能性さえある」と警戒している。

 今回のパレードは、中国の核および通常抑止力を米国などの諸国に誇示する良い機会であった。今回登場したミサイルは、「DF-41」、「DF-17」、「DF-100」、「DF-5B」、「DF-31AG」、「DF-26」、「HQ-6A」、「HQ-9B」、「HQ-12A」、「HQ-16」、「HQ-22」、「YJ-12B」、「YJ-18」などだ。

●米国のINF条約の破棄は合理的
 
米国は、INF(中距離核戦力全廃)条約を破棄したが、その決定は妥当である*1。

*1=Andrew S. Ericson, “Military Parade Shows Beijing is a Missile Superpower”, The National Interest

 なぜならば、米国とロシアが、INF条約の規定により地上発射の500キロから5500キロまでの核弾頭および通常弾頭を搭載したミサイルの破棄を求められている間に、
INF条約の当事者ではない中国はINF条約に抵触する多種多様なミサイルを開発し装備化してきたからだ。
 
その結果、インド太平洋地域において、中国が中距離核戦力において圧倒的な優位に立っている。

 また、中距離のミサイルを中核とした中国の
接近阻止/領域拒否(A2/AD)戦略が非常に有効に機能し、米国の戦力特に海軍艦艇の西太平洋地域への接近を阻止している。

 米国がINF条約で禁止されてきたミサイルを開発・取得する可能性は高い。我が国は今後、米国の中距離ミサイルの配備候補地となることが容易に想像されるなど、今回の軍事パレードが日本に与える影響は大きいのだ。

<中略>

●極超音速弾道ミサイル「東風17(DF-17)」
 
今回登場した新兵器の中でも特に技術的に注目されたのがこの「東風17」だ。
 
マッハ5以上で飛翔し、途中で軌道を不規則に変えることができる極超音速滑空兵器であり、日米の既存のミサイル防衛網では対処が難しいと言われている。

 この技術を確保するために米国、中国、ロシアがしのぎを削っているが、正式に実戦配備した国はなかった。
 もしも
中国が東風17を実戦で使用できる兵器として完成していれば世界初の快挙となるが、実態はどうであろうか。
 東風17は、第2列島線に到達する射程(推定射距離1000キロ~2000キロ)を有するという説もあり、これが事実とすればグアムの米軍基地のみならず、日本の全体がその射程内に入る可能性がある。対抗を真剣に考えるべきだ。
<中略>

 最近では、サウジアラビアの石油精製施設が巡航ミサイルと無人機により破壊されて、世界中に大きな衝撃を与えた。
 
中国は、米国に次ぐ世界第2位の無人機大国であり、人民解放軍が多様な無人機を導入しているだけでなく中東などにも輸出している。攻撃型の無人機の分野では米国を抜き世界一の輸出国になっている。

 今回の軍事パレードにおいても多様な無人機が登場したが、
特に脚光を浴びたのは攻撃型の無人機の利剣(「CJ-11」、英語ではSharp Swordと呼ばれている)と無人偵察機「DR-8(WZ-8)」だ。

 これらの無人機と我が国は対峙しなければいけないが、
現状では対処能力は限定されている。中国製無人機への対処は喫緊の課題であり、レーザー兵器、高出力マイクロ波兵器などの開発が急がれる。

●ステルス無人攻撃機「利剣(GJ-11)」
 利剣は、米国の「X-47B」、英国の 「タラニス」 、フランスの 「ニューロン」 などに似ているが、これらから
技術を盗用した可能性がある。

 ちなみに、米国のX-47B(ペガサス)は、空母離発着のステルスの無人戦闘攻撃機(UCAV)として開発され、レーザーと高出力マイクロ波で敵のミサイルや通信施設を破壊できる。
 米海軍は、X-47Bの開発計画を中止し、現在は無人偵察機であるMQ-25と空中給油機である「RAQ-25」の開発が計画されている。

 
利剣は、中国初の国産空母 「001A型」 に無人偵察機として搭載されるという。空母などの大型艦艇に無人機を搭載することは世界中でトレンドになっていて、中国も例外ではない。

 一方で、利剣は、飛行中に他と航空機に燃料補給が可能な無人偵察機 「MQ-25」 ほど多用途ではなく、その主要任務は300キロから400キロ離れた目標にミサイルを正確に命中させることを補助するために、艦艇搭載ミサイルシステムの情報を収集することだという。
 また、敵の防空網が密集している地域の偵察や、外国の艦艇の追跡に利用できるという。
<中略>

■航空機
 今回登場した航空機は、「Y-20」、「KJ-2000」、「J-20」、「J-15」、「J-16」、「J-10B」、「H-6N」、「H-6U」などで、この分野でも多様さと質の向上が見られる。

<中略>

●第5世代ステルス戦闘機と自称する「J-20」
 
J-20は、今回のパレードでも注目を浴びた。J-20は2017年に空軍部隊に配置になり、ステルス戦闘機の量産は昨年末から始まったと報道されている。
 私はこの報道を信用していない。J-20が本当に量産体制に入るか否かは、今後人民解放軍が100機以上取得するか否かを見極めたい。

 J-20に関する最近の話題は、
J-20が中国の次世代空母に対応するように改造され空母艦載機になるという。
 人民解放軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会は現在、J-20を新しい空母に採用することを支持しているという。この根本原因は、
現在の空母艦載機である「J-15」が欠陥機であるからだ。

 一方、J-20の最大の問題は重量ではなく長さであり、艦載機を目指すならもっと短くする必要がある。
 そのため、技術者たちが新しい発射システム(電磁式カタパルト)に対応するJ-20の短縮バージョンの開発に取り組んでいるらしい。

 J-20のもう一つの問題は、エンジンであり、J-20専用に設計された「WS-15」エンジンは数百時間のテストを経ているが、信頼性の目標をクリアしていない。
 そのため、中国製の「WS-10」とロシア製のエンジンを仮のエンジンとして搭載しているという。

 
中国海軍は2030年までに少なくとも4個の空母戦闘群を編成する計画だ。中国が次世代の艦載戦闘機を開発するには少なくとも10年はかかるとみられ、欠陥機のJ-15を使い続けなければいけない運命にあるのが中国の空母だ。

■情報戦関係装備・部隊
 
人民解放軍は「情報戦環境下における局地戦に勝利する」を合言葉に訓練していて、情報戦を非常に重視している。
 普通の人には注目されないが、
情報戦、サイバー戦、電子戦、宇宙戦を担当する戦略支援部隊の指揮下部隊もパレードに参加していた。
 
戦略支援部隊は、習主席の人民解放軍改革の目玉であり、この点は注目されるべきだと思う。

■最後に
●中国の宣伝戦に惑わされてはいけない
 中国の
三戦は有名だが、軍事パレードにおいては宣伝戦に注意しなければいけない。

 本当にDF-17の滑空弾の能力やDF-26の対艦弾道ミサイルとしての能力が、実戦で本当に使用し得るレベルに達しているか否かは今後とも検証していかなければいけない。過度にこれらの兵器を恐れてしまう愚は避けなければいけない。

●軍事パレードは壮大な無駄使い
 結論的に言えば、
中国の軍事パレードは壮大な無駄使いだ。
 軍事パレードが壮大であればあるほど、私はうれしくなる。なぜなら、軍事パレードをいくら見栄え良く整然と実施したとしても、それはあくまでもパレードであり、実戦的訓練とは程遠いからだ。
 このパレードのために長い人で数年前から、短い人でも半年以上前からただパレードのために時間を費やしているはずだ。その間、実戦的訓練を行っていない。
 
軍事パレードを頻繁に行う軍隊は精強ではない実戦的訓練を重視する米軍が大規模な軍事パレードを実施しない理由がここにある。

●言行不一致の中国に適切に対処せよ
 習近平主席は、「我々は平和発展の道を堅持し、ウィン・ウィンの開放戦略を実施する。引き続き、世界各国の人民と共に人類運命共同体を打ち建てることを推進していく」「世界の平和を断固として守らなければならない」と演説した。
 中国の非常にアグレッシブな姿勢とこの演説の中身との乖離は余りにも大きい。

 
習近平体制化の中国の「言っていることと、やっていることの乖離」と軍事力の増強は今後とも変わりそうもない

 
我が国は、中国の軍事力の脅威に真剣に備え対処しなければいけない

 この種のパレードで肝に銘じたいことは「木を見て森を見ない状況に陥らない」ということ。「森を見ること」で、「パレード全体が意味することは何か」を考えることが重要だと。

 軍事パレードを頻繁に行う軍隊は精強ではない。実戦的訓練を重視する米軍が大規模な軍事パレードを実施しない理由がここにあるとも。
 結論的に言えば、中国の軍事パレードは壮大な無駄使いだと。軍事パレードをいくら見栄え良く整然と実施したとしても、それはあくまでもパレードであり、実戦的訓練とは程遠いとも。

 習近平主席の野望は、「中華民族の偉大なる復興」であり、2049年までに「社会主義現代化国家」を樹立し、「世界一流の軍隊」を建設することである。つまり、米国に追いつき追い越し、世界一の覇権国になること。
 パレードでの訓示で、「いかなる勢力も我々の偉大な祖国の地位を揺るがすことはできず、いかなる勢力も中華民族の前進を阻むことはできない」と主張した時に、その最終的な根拠が軍事力であることが明白になった」と渡部氏。
 
 今回登場した新兵器の中でも特に技術的に注目されたのが「東風17」。
 極超音速滑空兵器というのだそうで、マッハ5以上で飛翔し、途中で軌道を不規則に変えることができるので、日米の既存のミサイル防衛網では対処が難しいと言われているのだそうです。
 中国が「東風17」を実戦で使用できる兵器として完成していれば世界初の快挙となるが、実態どうかは未明とのこと。

 最近のトレンドで注目されるのは、無人ステルス攻撃機。中国は、米国に次ぐ世界第2位の無人機大国なのだそうです。
 でも、「利剣(GJ-11)」は、米、英、仏の無人機に似ていて、これらから技術を盗用した可能性があるのだそうです。
 第5世代ステルス戦闘機と自称する「J-20」は、中国の次世代空母に対応するように改造され空母艦載機になると注目されているのだそうです。
 現在の空母艦載機である「J-15」は欠陥機なのだとか。

 習近平主席は、「我々は平和発展の道を堅持し、ウィン・ウィンの開放戦略を実施する。引き続き、世界各国の人民と共に人類運命共同体を打ち建てることを推進していく」「世界の平和を断固として守らなければならない」と演説したが、「言っていることと、やっていることの乖離」と軍事力の増強は今後とも変わりそうもないと、渡部氏。
 我が国は、中国の軍事力の脅威に真剣に備え対処しなければいけないと提言しておられます。

 アメリカファーストのトランプ氏は、平成・令和の黒船。明治維新の黒船到来で、鎖国から目覚めた日本は、中国等他のアジア諸国が植民地化された中、逆に独立国として成長しました。
 戦後、安全保障を憲法前文に記されたとおり、他国民に依存、米国に「おんぶにだっこ」で依存してきた日本。
 自国は自国で護るという普通の国に脱皮せざるを得ない環境を造ってくれているのが、トランプ氏。

 ロシアの北方領土、韓国の竹島といった終戦時のどさくさで不法占拠された領土や、今現在尖閣の接続水域や領海・領空に侵入を繰り返し、侵略を狙っている中国。国連制裁にも関わらず核搭載ミサイル開発を止めず、日本列島を沈没させると豪語している北朝鮮といった近隣国家に囲まれている日本。

 それらへの、法の面でも、抑止力の面でも、普通の国の様に、自前で護れる施策が急がれているのです。
 先ず自前で護る。そして足らないところを同盟国や連携国とで協力して抑止力を構築する。
 そんな令和維新が求められていますね。



 # 冒頭の画像は、10月1日、北京で行われた中国建国70周年軍事パレード



 
  この花の名前は、ハマギク


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