遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

6中総会 習近平は別格の地位であることを示す「核心」に

2016-10-29 23:58:58 | 中国 全般
 来年の党大会でのチャイナセブンの椅子取り争いが激化するなかで開かれた、第18期中央委員会第6回総会(6中総会)。
 これまで、息のかかった地方指導者を通じて、歴代指導者中、別格の地位であることを示す「核心」の呼び声を周到に高めてきた習近平が、この総会で一気に権力強化に出て、「核心」に位置づけられることに成功しました。
 経済成長の低迷、米国とのG2体制呼びかけの未達、南シナ海の仲裁裁判所裁定での完全敗北と、失政つづきで、江沢民・上海閥、胡錦濤・共青団派からの逆襲に曝されていますが、挽回・抑え込みに成功したとの報道が大勢です。
 

6中総会 「習氏1強」加速 党「核心」別格の地位 総書記権限拡大も (10/29 読売朝刊)

 【北京=竹腰雅彦】中国の習近平総書記(国家主席)は中国共産党の重要会議で、歴代指導者中、別格の地位であることを示す「核心」に位置づけられ、政権1期目で強力な権威の確立に成功した。習氏の「1強体制」は今後更に加速
するとみられ、激しい駆け引きが続く来年の党大会での指導部人事や、政敵排除にも使われてきた「反腐敗」の行方にどのような影響を与えるか注目される。
 「習氏の核心の地位の明確化は党と国家の根本的利益に合致する。全党・軍・国民の共通の希望が反映された」
 習氏の腹心として知られる黄坤明・党中央宣伝部筆頭副部長は28日、第18期中央委員会第6回総会(6中総会)の成果に関する記者会見でこう強調した。「党建設、内外政策、国防などで重要かつ歴史的な成果を成し遂げる中で核心となった」と習氏をたたえた。
 「
核心とされたことで、もはや誰も習氏に挑戦できなくなった
」。党関係者はこう指摘した。6中総会が採択した声明は「党中央の集中統一指導」への服従を要求。習氏の強権的手法や権力集中に反発したり、模様眺めしたりしていた幹部も従わざるを得ないという。
 声明は「党は規律の制約や監督を受けない『特殊な党員』を許さない」と明示。引退後の党長老らを念頭に、「反腐敗」の処罰の例外としない方針を強調することで、習氏の政権運営に批判的とされる江沢民元国家主席派らをけん制する狙いがあるとみられる。
 
習氏は総書記就任以来、最高指導部の党政治局常務委員らが分担していた権力・権限を自身に集中。大国としての新たな課題に直面している中国には、集団指導体制よりトップダウン型の強力なリーダーシップが必要という判断
とされる。
 習氏は6中総会直前の21日、毛沢東が行軍の過程で党の指導権を確立した「長征」80年の記念式典で「長征は理想と信念の勝利」であり、自らも「新たな長征」を進むと強調。自らの路線を突き進む意欲を示した象徴的な意味がありそうだ。
 中国政治専門家は香港メディアに「核心の地位は、いかなる制約も受けないことを意味する」と解説。明確な規定のない総書記任期の延長や総書記の「終身制」、総書記の更なる権限拡大などにつながる可能性があるとの見方を示した。

「核心」使用の経緯は 権威付け 鄧小平氏が発案

Q 中国指導者に使われる「核心」の定義は。
A 党最高指導部を構成する指導層のうち、1人が別格の地位・存在であることを示す呼称。「習近平同志を核心とする党中央」などの他、公式文書や国営メディアの報道などでは「指導核心」「領袖核心」などの表現も使われる。
Q 使用の経緯は。
A 民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件後、上海市トップから党総書記に抜てきされた江沢民元総書記の権威付けのため、最高実力者だった鄧小平氏が与えたとされる。鄧氏は「いかなる集団指導体制でも一つの核心が必要」と指摘。革命第1世代は毛沢東、第2世代は鄧氏、第3世代は江氏と位置付けた。一方、鄧氏が江氏の後継に指名した胡錦濤・前総書記にも一時、「核心」が使われたが、最終的に「胡同志を総書記とする党中央」との表現にとどまった。胡氏が集団指導体制を重んじたためとの説明もあるが、引退後、院政を敷いた江氏の妨害で実現しなかったとの見方が強い。
Q 習氏の場合は。
A 習氏を「核心」と位置付ける動きは今年1月以降、地方指導者を中心に拡大したが、春以降下火になった。党内での抵抗が強いことをうかがわせたが、今回これを突破した形だ。


  「核心とされたことで、もはや誰も習氏に挑戦できなくなった」。6中総会が採択した声明は「党中央の集中統一指導」への服従を要求していて、習氏の強権的手法や権力集中に反発したり、模様眺めしたりしていた幹部も従わざるを得ないと、党関係者は言っているのだと。また、「党は規律の制約や監督を受けない『特殊な党員』を許さない」と明示。引退後の党長老らを念頭に、「反腐敗」の処罰の例外としない方針を強調することで、習氏の政権運営に批判的とされる江沢民元国家主席派らへのけん制もしているのですね。
 党政治局常務委員による集団指導体制から、毛沢東時代のトップダウン型独裁政治体制に戻そうというのですね。
 そして、常務委員の定年制の見直し(盟友で腐敗撲滅の名の下に政敵を貶めた立役者の王岐山を残す目的)、総書記任期の延長や総書記の「終身制」、総書記の更なる権限拡大などを狙っているのですね。

   
習氏と6中総会 独裁強化への懸念大きい (10/29 産経・主張)

<前略>
 これまで習氏は、息のかかった地方指導者を通じて「核心」の呼び声を周到に高めてきたが、この総会で一気に権力強化に出た

 来年後半には5年に1度の党大会を開く。これを経て決まる
政権2期目の指導部人事で、李克強首相ら対立派閥を抑えようとする明白な意図
がうかがえる。
 総会コミュニケは、これまで習氏が進めてきた党内の綱紀粛正について「聖域も例外もない」とし、継続を確認した。習氏の「反腐敗」は対立する要人の排除だった。
権力強化が新たな粛清を招く可能性
もある。

 
側近を留任させるため、指導部人事の定年ルールを棚上げするとの観測も一部にある。政情の推移を注意深く見守りたい。
<中略>

 
 足元に目を向ければ、中国経済は依然、公共投資と借金に支えられて「成長」を創出している状態だ。民間投資が集中する不動産では、バブルへの懸念が高まる。
 
経済成長の失速は、党大会を控えて政治的失点になりかねない。習氏としては無理にでも成長を支えたいところだが、政治主導の経済政策によるゆがみは誰の目にも明らかである。
 国内の不満を抑えるため、習政権はこれまでも国内マスコミ、インターネットの言論統制や、人権派弁護士らの摘発を繰り返してきた。「核心」の名の下で、強権支配をこれまで以上に強めることは見過ごせない。
 
強権を手にした習政権が、東・南シナ海で新たな挑発行動に出る可能性も念頭に置かねばなるまい
。国内が行き詰まると、外に敵を作ることを繰り返してきた中国政治史を思い出すべきだ。
 
強権を頼む権力のもろさは、中国の史書があまた伝える通りだ。対外的には横暴な姿勢を慎み、国内改革に本腰を入れる。それこそ責任ある大国への道だろう。

 このところ失政続きで、窮地に立たされていた習近平。
 
習近平 頻繁な軍視察の深い意味 - 遊爺雑記帳
 「北戴河会議」 共青団派が復権か - 遊爺雑記帳

 地道に地方政府指導者への「核心」支持を広めてきていた習近平。この総会で劣勢挽回の為、一気に権力強化に出たのですね。
 強権を手にした習近平。国内外でどのような強行手段を繰り出してくるのか、江沢民・上海閥、胡錦濤・共青団派の巻き返しはあるのか、注目されます。

 他方、6中総会が採択した声明について、石平氏は、むしろ習氏の今までのやり方への批判と今後の彼に対する牽制が多く書かれている」と指摘しておられます。
 

見せかけの「習氏1強」 6中総会声明で集団指導体制強調、権力集中に歯止め - ZAKZAK

<前略>
 悲願だった核心に昇格した習氏。だが、建国を主導した毛沢東、改革開放を進めたトウ小平、高度経済成長を実現した江沢民の各氏と比べ、「反腐敗キャンペーン」しか実績がなく、政治的権威には大きな差がある


 評論家の
石平氏は「コミュニケの冒頭と最後で、習氏を『核心』と位置づけ、権威が一段と高まるという見方が広がっているが、全文を読むと必ずしもそうではない。むしろ習氏の今までのやり方への批判と今後の彼に対する牽制(けんせい)が多く書かれている」と話す


 コミュニケで
注目すべきポイントは、「集団指導体制、党内民主、党中央の権威を守るという3つが強調され、習氏に歯止めをかける内容になっている」と石平氏。さらに習氏が絶対的な権力者にはならないとして、こう指摘した。「毛沢東に対して、集団指導体制を主張できる人はいないだろう。彼は毛沢東になれないし、共産党全体の意思としてさせないということだ」。やはり、そう簡単にはいかないということか。

 これまで「核心」とされた、毛沢東や鄧小平、江沢民に比べると、「反腐敗キャンペーン」しか実績がない習近平は、政治的権威には大きな差がある。
 「集団指導体制、党内民主、党中央の権威を守るという3つが強調され、習氏に歯止めをかける内容になっている」のだと。共産党全体の意志として、(絶対的な権力者)にはさせない」と。

 習近平に利権を奪われ、独り占めされたことへの反発勢力の長老。次期党常務委員の椅子を狙う共青団派等の有力候補の巻き返しはあるということでしょうか。国民生活の格差拡大、自由の抑圧、経済成長の低迷、外交の失政を抱える習近平。産経・主張が指摘する、「強権を頼む権力のもろさは、中国の史書があまた伝える通り」が正解でしょう。





  萩の新芽


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia







コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 10月28日(金)のつぶやき | トップ | 10月29日(土)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事