遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

対ソ敗戦国フィンランド 原発50%へ向け増設推進は脱露の国策

2011-11-13 00:23:03 | my notice
 TPP参加で揺れる日本を観て、早速ロシアは、北方領土などの千島列島開発を中朝にも呼びかけ、日本にも声をかけているが乗り遅れるなと揺さぶってきましたね。少しでもつけ込む隙が見えると、そこを揺さぶるのは外交の常でしょうが、周りの様子をうかがって、真似た突っ込みをしてくるのが得意な国ですが、日々虎視眈々と狙っている準備体制と空かさず動く機動力は学ばねばなりません。
 そんなロシアに先の大戦で敗れ領土を奪われた国でフィンランドがあり、エネルギーの脱露を国策としているのだそうで、その脱露推進のために、チェルノブイリ後にも、福島第一後にも世界で初の原発増設の口火を切って、原発エネルギー発電率50%を目指しているのだそうです。

 
ロシア大統領、北方領土での共同経済活動呼びかけ  :日本経済新聞
 
東日本大震災8カ月 原発推進 突き進むフィンランド 福島教訓に安全強化 世界初最終処分場も (11/12 産経)

 東日本大震災と福島第1原子力発電所事故から8カ月。ドイツやスイスが脱原発を決めるなど逆風が吹く欧州で、原発の道を突き進む国がある。人口540万人、北欧の小国フィンランドだ。2002年に旧ソ連・チェルノブイリ事故以来、西欧で初めて原発新設を決め、「原発回帰」の旗手
として注目を集めた。福島の衝撃がさめやらぬ先月には、新しい原発の建設地を発表、再び世界を驚かせた。原子力を追い求める森と湖の国から報告する。 (フィンランド南西部オルキルオト、中西部ピュハヨキ、木村正人)

<中略>

■回帰のシンボル 
 仏原子力大手アレバ社が手掛ける欧州加圧水型炉
(オルキルオト原発3号機)は世界最大級の出力160万キロワットを誇る。「過酷事故の発生確率は100万年に1回」「放射性物質の大量放出確率は1千万年に1回」-世界で一番安全な原発がうたい文句だ。
 フィンランド電力会社TVO社の女性エンジニア、カテ・サルパランタさんの案内で3号機内に足を踏み入れると、要塞のような外壁の厚さに目がとまった。
「燃料を満載した航空機が突っ込んできても、びくともしません
」とサルパランタさん。
 現在、稼働中のオルキルオト、ロビーサ両原発の原子炉計4基が同国の発電量の25%を担うが、この3号機が完成した暁には原子力発電の占有率を35%まで増やすことができる。
 オルキルオト3号機の建設計画は曲折をたどった。1993年に政府が原則決定したが、86年のチェルノブイリ事故の後遺症で議会は否決。2002年にようやく承認された。西欧で初めての原発新設の容認となり、原発回帰の流れを欧州に呼び戻した。

<中略>


■旧ソ連の呪縛
 
フィンランドのエネルギー政策は今も東西冷戦時代の呪縛から逃れられない
 第二次大戦でフィンランドはナチス・ドイツと手を結んでまで隣国・
ソ連の侵攻に抵抗したが、領土の一部を失った
。戦後は自由主義陣営に属しながら、ソ連の強い影響下に置かれた。
 STUK首席査察官だったユハニ・フバリネン氏はこんな逸話を打ち明ける。
 1970年代にロビーサ原発(フィンランド南部)の建設計画が持ち上がった際、西側の原子炉を買うことが内定していたが、ソ連の横やりでソ連製加圧水型炉2基を購入させられた。
 米原発大手ウェスチングハウスや独シーメンスが外側の格納容器など安全性を強化したため、ロビーサ原発はウェスチング(西進)をもじって、「イースチング(東進)ハウス」と揶揄(やゆ)された。
 ロビーサ、オルキルオト両原発から生じた使用済み核燃料は96年までロシアに運ばれた。ロシアが使用済み核燃料で核兵器を製造しているとの疑念を国際社会が払拭できないため、フィンランドは
2000年に国内に最終処分場をつくることを決定。20年に稼働が始まれば世界初の処分場
となる。
 地下約500メートル、約40キロの処分坑道は、デンマーク人監督によるドキュメンタリー映画「100000年後の安全」の舞台にもなった。
 同国は製紙や製鉄などエネルギー集約型産業が中心で、冬は暖房用の電力需要が急増。石油・天然ガスなど
エネルギーの54%を輸入、その大半をロシアに依存する。原発増設による自給率アップはロシア依存度を減らす国策
といえる。
 中西部ピュハヨキに「ガチョウの岩」という意味の自然の宝庫ハンヒキビ半島がある。先月5日に新興の電力会社フェノボイマが新しい原発の建設地に決定し、「
福島の事故後、世界で初めて発表された原発建設地
」(ロイター通信)と海外から視線が集まった。
 原発反対派の住民、ヘレナ・マイヤラさんは「町長は住民に原発誘致の是非を問おうともせず、賛成派が多数を占める議会で決定した」と指摘する。

■過疎化対策の誘致
 これに対し、マッティ・パハカラ町長は「福島の事故は悲しい出来事だったが、
事故を教訓にもっと原発の安全性を高められる
。100年後に振り返れば、原子力は蒸気機関と同じく安全ということになっている」と強調した。
 原発建設が始まれば、住民の収入も町の税収も倍に膨らむ。原発建設で町の高齢化と人口減少に歯止めをかけたいと同町長は考えている。原発誘致に名乗りを上げた自治体は国全体で40にのぼった。ピュハヨキ周辺の世論調査でも、原発誘致に賛成の住民は08年の51%から昨年10月には61%に増え、逆に反対は42%から31%に減少した。
 現在の政府は新たな計画は認めないが、すでに計画が原則決定されたフェノボイマ原発1号機とオルキルオト原発4号機の建設は進める方針だ。2つの炉の運転が開始されれば
原子力発電が発電量に占める割合は50%前後までアップ
する。
 STUKからフェノボイマの原発担当に転身したフバリネン氏は「人間に暖を与える火でやけどをすることも家が火事になることもあるが、火を使わないわけにはいかない。やけどをしないよう慎重に扱うことが大切なのだ」と語る。

 地域活性化で原発を誘致するのは、日本もフィンランドも似ていますが、誘致に立候補する自治体が40にも上り、賛成の住民も'08年の51%から昨年10月には61%に増えていて、反対が減少していると言うところは日本とは異なっているところです。(日本でも地元町村は新設や再稼働に賛成があっても、県(山口、福井)が反対しています。)
 安全対策でも、押し付けられたソ連製原発を、米・ウェスチングハウスや独・シーメンスに依頼し、格納容器など安全性を強化したり、最新のオルキルオト原発3号機では、割高だが安全性に優れているといわれる、アレバ社製を導入し航空機テロ対策もなされたものを導入するなど、政府や電力会社が全電源喪失対策が不要としていたなどの日本とは、取り組み姿勢が異なります。

 何度も言ってることですが、福島第一が重大事故を発生させ、女川や福島第二が地震や津波を凌いだ原因を突き詰めれば、重大事故の原因は明らかになり、再発防止の安全対策が見えてくるはずです。
 ベトナム他の日本原発導入継続国同様、フィンランドも事故を教訓にもっと安全性を高められるとの志向なのですね。

 脱露でエネルギー自給率を向上させる国策という明確なビジョンに向け、「環境的に最も住みやすい国ランキング(Living Green: Ranking the best coutries)」(米・リーダーズダイジェスト)で1位となったフィンランドが、安全性を堅実に施しながら実行しているのは、原発導入なのでした。
 オランダ、ドイツ等もロシアへの依存度低減を推進していますね。片やロシアの現行主力ガス田は資源枯渇してきていて、北極や極東での開発を余儀なくされています。

 衰退したソ連から、
BRICsとして経済伸長国の一角に入れたのは、いつに資源高騰のおかげで、時の大統領のプーチンが人気を得てきました。
 ところが、その人気をあてにした今回の大統領復活では、支持率の低下を招いているとのことで、メドベージェフ大統領は、G20を欠席して選挙運動に専念していました。支持率低下が進めば、北方領土での強硬姿勢と実効支配強化は、一段と強まってくることでしょう。
 
ロシア与党、支持率急落…2頭体制に反発強まる : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 菅政権の大失政で、これまでの日露で積み上げていた平和条約締結と北方領土返還の交渉を霧消させた歴史的変換を、どう対処するのか。菅や鳩の後始末は、まだまだ続きます。
 ロシアの不法占拠を世界にアピールし、自国開発でなく他国に開発させて横取りする露の開発話に、中朝の参加を牽制しつつ、資源の枯渇や、開発投資によるコスト上昇に反する市場価格低下が招く露の窮状が深まる時を、毅然とした対露交渉(大使召還もちらつかせる)で待つのが当面の対露外交姿勢だと考えますがいかがでしょう。




  この花の名前は、ハマギク (撮影場所=六甲高山植物園)

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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交




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