遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

北朝鮮の新たな飛翔体は ロシア製「イスカンデル」なのか、米軍のATACMSなのか

2019-08-17 23:58:58 | 北朝鮮 全般
 北朝鮮が連続発射した新たな飛翔体について、様々な論評がなされていますね。
 米朝首脳会談のつまづきはありましたが、トランブ大統領は今回の飛翔体については無視する姿勢を貫いていますし、金正恩も米韓合同演習について、米国より文在寅氏を強く非難しています。
 トランプ氏と金正恩は、両首脳の関係維持継続では一致しているとの見方が大勢。

 では何故この時期に新たな飛翔体を連続発射したのか。
 米韓合同軍事演習への金正恩の抗議で、飛翔体はロシア製「イスカンデル」の北朝鮮版「KN23ミサイル」との説が大勢。
 しかし、そうではなく、韓国陸軍も装備する米軍のATACMSに酷似しているとの説も!

 昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談でトランプ氏は体制保証を約束した。それにもかかわらず、北朝鮮との戦争シミュレーションである米韓合同軍事演習を行っていると、金正恩朝鮮労働党委員長からトランプ米大統領への「約束が違う」というメッセージだと、織田邦男元空将。
 
織田邦男元空将「発射前ミサイル撃破」訴え 北の新型ミサイル、日本に脅威   - 産経ニュース 2019.8.16

 飛翔(ひしょう)体の相次ぐ発射は、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長からトランプ米大統領への「約束が違う」というメッセージだ。昨年6月のシンガポールでの米朝首脳会談でトランプ氏は体制保証を約束した。それにもかかわらず、北朝鮮との戦争シミュレーションである米韓合同軍事演習を行っている。金氏からすれば、これは許せない

 そのメッセージを発信すると
同時に、ミサイル兵器の近代化実験も行っている。ある意味で筋が通っていて、合理的だ。

 北朝鮮の
新型ミサイルは、ロシア製の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」をモデルにしているといわれている。低空で標的に近づき、途中で軌道を変えることが特徴だが、この能力を北朝鮮が手にすれば日本のミサイル防衛(MD)は役に立たなくなる

 弾道ミサイルには、(1)発射直後のブースト段階(2)中間のミッドコース段階(3)着弾間際のターミナル段階-がある。日本のMDは弾道を計算した上で(2)か(3)の段階で迎撃するが、軌道が変われば通用しない。非常にやっかいだ。

 (1)の段階で撃ち落とせれば理想だが、米国をはじめ実用化に成功している国はない。
残された対応策は、発射前にミサイルをたたくこと、いわゆる敵基地攻撃能力を備えるしかない。相手の国土を攻撃するイメージが強いからか「専守防衛の逸脱」との批判がある。

 しかし、発射前のミサイル撃破はあくまでMDの一環だ。
北朝鮮の脅威増大を踏まえれば、日本はMDの幅を広げるべき時期に入っている。(談)

 今回のミサイル発射の焦点は、「性能がどうか」というものではなく、米国製の兵器が北朝鮮に流れている可能性があるということだとは、幹部学校戦略教官室副室長等として勤務歴がある軍事・情報戦略研究所長(軍事アナリスト)の西村金一氏。
 
驚愕、韓国が北朝鮮に弾道ミサイル供与か 中国やロシア製ではなく韓国陸軍も装備する米軍ATACMSに酷似(1/5) | JBpress(Japan Business Press) 2019.8.14(水)西村 金一

 北朝鮮は8月10日、新たな飛翔体を発射し、「もう一つの新しい兵器システム」を完成させたと公表した。

 
韓国軍合同参謀本部は、北朝鮮が10日に短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表。高度は約48キロ、飛翔距離は約400キロ、最大飛行速度はマッハ6.1以上で、ロシア製「イスカンデル」の北朝鮮版「KN23ミサイル」の可能性が高いと分析した。

 
今回のミサイル発射の焦点は「性能がどうか」というものではなく、米国製の兵器が北朝鮮に流れている可能性があるということだ

1.8月10日のミサイル発射情報は、米韓軍事同盟関係を揺るがす
 なぜなら、
朝鮮中央通信8月11日のミサイル発射の写真は、極めて衝撃的なものであった。
 
北朝鮮が公表した写真のミサイルと韓国軍が分析し推測した「KN23ミサイル」とは、全く異なっていた

 驚いたことに、
北朝鮮が掲載したミサイルは、韓国陸軍も装備する米軍のATACMS(Army Tactical Missile System)に極めて類似しているのだ。
 ATACMSのミサイル部分は、韓国の固定サイロに入っている「玄武2号A」としても採用されているものだ。
 ということは、
韓国か北朝鮮のどちらかが、嘘をついていることになる。

 もし、
北朝鮮の映像が正しければ、韓国は嘘をついており、米軍から韓国に供与された兵器が北朝鮮に流れている可能性が出てくる

 米韓軍事同盟関係を揺るがす大事件に発展する可能性が十分にある。一方、
北朝鮮が嘘の情報を流しているのであれば、米韓軍事同盟を離間させるための情報工作ということになる。

2.韓国の分析結果と北朝鮮公表は、どちらが正しいのか
 北朝鮮がこの日公開した写真が、どこからか持ってきた写真ではなく、本物の実射の映像であるならば、これまで、北朝鮮が公開したことのない戦術地対地ミサイルであり、これは、ATACMSに酷似している。

 このミサイルは韓国の玄武2A型にも似ている。
 最近、韓国軍合同参謀本部の発表には、「誤り」があったり、あるいは「文在寅政権の北朝鮮を刺激しないためのうそ」があったりもした。

 北朝鮮中央通信の情報写真には、時にはトリックがあったのも事実である。今回の場合、北朝鮮と韓国のどちらの主張が正しいのであろうか。

 韓国の弾道飛翔のデータ、特に弾道の飛翔距離と高度からは、韓国の分析が正しいと評価できる。
 韓国が公表している飛距離が400キロであれば、ATACMSの能力をはるかに超えている。
 だが、もし、本当に北朝鮮が米国製のATACMSを発射したとされるならば、この兵器は、韓国から流出したという可能性を疑われることになる。そのため、韓国としては、北朝鮮の情報を否定したいという心理が働くであろう。

 北朝鮮の立場で見てみれば、最近は、北朝鮮のミサイル発射の映像には、トリックが少ない。今、嘘情報を発信して、米韓同盟を引き裂くことが必要なのかどうかを考えると、嘘がばれた場合の北朝鮮の痛手の方が大きいと考える。

 とはいえ、
韓国か北朝鮮のどちらかに、「うそ」か「誤り」が確実にある

3.北朝鮮の主張が正しいのであれば、韓国に大きな問題が潜んでいる
 北朝鮮がATACMSに酷似のミサイルを発射したこととする。するとなぜ、
韓国にある兵器が北朝鮮にあるのか
 
北朝鮮に米国製のミサイルそのもの、あるいは設計図が北朝鮮に流れた可能性があるということだ。

 北朝鮮のミサイルは、これまでロシアや中国の兵器や部品を使用していた。だが、
今回のミサイルは、ロシアや中国には、類似したものも含め一切ないものだ。
 北朝鮮のこれまでの技術力から見て、北朝鮮が独自で開発したとは考えにくい。では、このミサイルが
どこから北朝鮮に渡ったのであろうか

 
考えられるのは、①闇の兵器商人(死の商人とも呼ばれる)②韓国からの密輸の2つだ。

 北朝鮮が5月から7月にかけて発射した、
「KN23ミサイル」が、韓国装備の玄武ⅡBに類似していることと考え合わせると、韓国から技術が漏れているか、渡されているかの可能性があると見るべきだろう。

 歴史上、旧ソ連(ロシア)や中国から北朝鮮に対して、兵器が供与されてきたのは事実である。今まで北朝鮮が開発してきたミサイルは、ロシアや中国兵器のコピーだ。
 だが、
今回のものは、西側の兵器、米国製と類似している。北朝鮮の歴史始まって以来、初めてのことだ。

 どのように渡ったのかは、今のところ断定できない。今後の調査に期待したいところだが、今、一番の容疑者は韓国だ。
 もし韓国とすれば、米国の技術や兵器転用品が北朝鮮に渡っているということだ。今後も渡る可能性がある。

4.韓国の主張が正しいのであれば、北朝鮮の狙いは何か
 もし、
北朝鮮が偽情報を発信しているとすれば、北朝鮮が、ATACMSを発射したように見せかけるということは、どういうことなのか。なぜ、そうする必要があるのかを考えてみたい。

 理由その1:
 米国製のATACMSが、北朝鮮に流れているのであれば、韓国は、米国の信用を完全になくしてしまう。
北朝鮮としては、米韓の同盟関係に楔を打つ、そして、在韓米軍を撤退させるために、偽の情報を流しているという可能性だ。

 理由その2:
 北朝鮮は、韓国への最新鋭のステルス戦闘機「F-35」の導入を非難している。導入させたくないがために、今回のATACMSの射撃で、
「F-35を韓国に渡すと、その技術は北朝鮮に漏れるぞ」と主張したのかもしれない。

 
しかし、北朝鮮が、米朝関係を改善したいと考えている最中に、このような嘘をつく可能性は低いと考えるのが妥当であろう。

5.韓国から北朝鮮に重要な兵器が流れている可能性に備えよ
 今回の北朝鮮によるミサイル発射は、単に、短距離弾道ミサイルを発射したことではない。米国製のミサイルが北朝鮮に流れている可能性があることを考えなければならない。

 それが
真実であれば、米韓の軍事関係には、大きな楔が打たれたことになる。そして、在韓米軍の撤退の可能性も出てくる。

 この情報は極めて重要な要素を含んでいる。
どちらが正しいのか、米韓日の情報機関が総力を挙げて解明する必要がある

 
もう一つ、韓国から北朝鮮へ最新の軍事兵器やその技術が漏れることを憂慮しなければならない。
 米国のドナルド・トランプ大統領は、「短距離ミサイルであれば問題ない」と今回のミサイル発射についても静観する見通しだが、ATACMSに酷似のミサイル発射の写真を見れば、「問題ない」とは言ってはいられない。韓国への説明を求めるべきだろう。

 
ロシアや中国は、米空軍のステルス戦闘機の技術を入手したがっている。もし、韓国からF-35ステルス戦闘機の技術が漏れることになれば、ATACMSどころではない

 韓国から絶対に技術情報が漏れていないと確信できるまでは、韓国に兵器技術、F-35などの最新兵器を渡してはならない。

 
どちらにしても、F-35を供与するのは、文在寅政権が代わってからすべきであろう。
 日韓のGSOMIAについて、廃棄されることなくそのまま継続していても、重要な情報交換は控えるべきである。

 北朝鮮が公表した写真のミサイルと韓国軍が分析し推測した「KN23ミサイル」とは、全く異なっていたのだそうです。
 朝鮮中央通信8月11日のミサイル発射の写真は、韓国陸軍も装備する米軍のATACMS(Army Tactical Missile System)に極めて類似しているのだと。
 韓国軍合同参謀本部は、ロシア製「イスカンデル」の北朝鮮版「KN23ミサイル」の可能性が高いと分析発表しています。
 韓国か北朝鮮のどちらかが、嘘をついていることになるのです。
 
 北朝鮮の主張が正しいのであれば、韓国にある兵器がなぜ北朝鮮にあるのか。北朝鮮に米国製のミサイルそのもの、あるいは設計図が北朝鮮に流れた可能性があるということだと。
 だとすると、どこから北朝鮮に渡ったのか。
 考えられるのは、闇の兵器商人か、韓国からの密輸の2つ。韓国から技術が漏れているか、渡されているかの可能性があると見るべきだだと西村氏。

 北朝鮮が偽情報を発信しているとすれば、なぜ、そうする必要があるのか。
 米韓の同盟関係に楔を打ち、在韓米軍を撤退させるために、偽の情報を流しているという可能性がひとつ。
 ふたつ目の理由は、韓国への最新鋭のステルス戦闘機「F-35」の導入を阻止するために、「F-35を韓国に渡すと、その技術は北朝鮮に漏れるぞ」と主張したのかもしれないと。

 米国製のミサイルが北朝鮮に流れているのが事実だとすれば、米韓の軍事関係には、大きな楔が打たれたことになります。
 真偽は今後の調査を待たねばなりませんが、韓国から北朝鮮へ最新の軍事兵器やその技術が漏れることを憂慮しなければならないとの警鐘となっていることは確かです。
 どちらにしても、F-35を供与するのは、文在寅政権が代わってからすべきであろうと西村氏。
 だとすれば、F-35の導入延期を狙った北朝鮮の目的は一定の成果を得たことにはなりますが。

 いずれにしても、北朝鮮が新型ミサイルの実験に成功したことは事実。
 トランプ大統領が黙認している現実を考えると、日本の対応の検討・実施が急務です。
 織田元空将のご指摘通り、対応策は、発射前にミサイルをたたくこと、いわゆる敵基地攻撃能力を備えるしかなく、MDの幅を広げるべきだとなりますね。



 # 冒頭の画像は、南北朝鮮の発表画像の比較 左:北朝鮮が8月10日発射したとするミサイル 右:米軍のATACMS




  この花の名前は、ショウジョウバカマ


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