日米欧を中心とする自由民主主義陣営は先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)により、権威主義体制に対する外交的な反転攻勢を始めたと、慶応大教授の細谷雄一氏。(聞き手は産経新聞・宮下日出男氏)
と同時に、グローバルサウスを含む招待国8カ国と連帯を示したことで、G7が国際社会の多数派の声を代表する形を世界に発信できたと、細谷教授。
そこには、ゼレンスキー大統領の、訪日参加が大きく寄与。
中国とロシア、さらにグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国が台頭し、民主主義陣営は国際政治でマイノリティーに陥ると懸念されている。この潮流を押し戻せるのか。ロシア軍に対するウクライナの軍事的反転攻勢とインドの動向がカギを握ると、細谷教授。
サミットでは中露対応でG7の結束を確認するだけでなく、他の国々との連携を固めることが焦点だった。グローバルサウスを含む招待国 8カ国と連帯を示したことで、G7が国際社会の多数派の声を代表する形を世界に発信できたと。
主役は、フランス政府専用機で来日したウクライナのゼレンスキー大統領。
インドのモディ首相、インドネシアのジョコ大統領の個別会談がハイライトだった。両国は今年と昨年のG20の議長国で、グローバルサウスの代表格。
その様子は、G7がグローバルサウスとウクライナ問題で連帯しているとのメッセージになった。ブラジルは一線を引いたが、サミットの意義が減じることはないと、細谷教授。
サミットが成果を出せたのは、「G7、中露か」の選択を求めず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を唱えた日本の包摂的な構想が、参加国の共感を呼んだためだろう。
経済安全保障に関し、経済関係を断つ「デカップリング」でなく、「デリスキング」(リスク低減)を謳(うた)ったのは、中国との経済関係を重視するアフリカや東南アジア諸国などとの連携を目指すなら、的確な判断だとも。
民主主義陣営の巻き返しの行方を左右するのは、まずウクライナによる露軍への反攻となる。
G7首脳は声明でウクライナ支援に関し「必要とされる限り」提供する強い決意を示した。これでG7とウクライナは一体化した。
G7の反転攻勢の行方を巡る 2つ目の鍵はインド。同国は今年、G20だけでなく、中露主導の「上海協力機構」(SCO)の議長国も務め、7月にその首脳会議を開催する予定。
モディ氏はゼレンスキー氏に、紛争解決のため「できることを全てする」と述べたが、日米不在のSCOで議長としてどのような合意文書をまとめるのか。
中立で全方位外交を展開するインド。対中けん制のため、ロシアから戦闘機を輸入するなど、対露制裁網には不参加の姿勢であることは諸兄がご承知のとおりです。
招待国に韓国の伊大統領も入り、会合の席でゼレンスキー大統領の隣の席に着いたのは、岸田氏の配慮?
もっとも、ニュースなどで流される映像の範囲では、ゼレンスキー大統領とモディ首相は会話していましたが、ゼレンスキー大統領と伊大統領とが会話しているシーンはみられませんでした。
韓国ではG7サミットが大きく報じられた。自国の大統領が米欧首脳と肩を並べる姿は多くの若者が見たかった光景だろうと、細谷教授。
グローバルサウスのリーダー格のインド等の参加で、G7との連携を強めたG7広島サミット。
G7と、成長著しい各国との連携が、今回を機により深まると、結論が出にくいG20とは異なる国際連携機能の復活が見込め、望ましいことですね。
# 冒頭の画像は、ゼレンスキー大統領とモディ首相 & 伊大統領
この花の名前は、カンパニュラ アルペンブルー ホシギキョウ
↓よろしかったら、お願いします。
と同時に、グローバルサウスを含む招待国8カ国と連帯を示したことで、G7が国際社会の多数派の声を代表する形を世界に発信できたと、細谷教授。
そこには、ゼレンスキー大統領の、訪日参加が大きく寄与。
【世界を解く-細谷雄一】G7、中露への反転攻勢が始まった - 産経ニュース 2023/5/30 聞き手 産経新聞 宮下日出男
日米欧を中心とする自由民主主義陣営は先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)により、権威主義体制に対する外交的な反転攻勢を始めた。中国とロシア、さらにグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国が台頭し、民主主義陣営は国際政治でマイノリティーに陥ると懸念されている。この潮流を押し戻せるのか。ロシア軍に対するウクライナの軍事的反転攻勢とインドの動向がカギを握る。
サミットは中露対応でG7の結束を確認するだけでなく、他の国々との連携を固めることが焦点だった。グローバルサウスを含む招待国8カ国と連帯を示したことで、G7が国際社会の多数派の声を代表する形を世界に発信できた。
ウクライナのゼレンスキー大統領とインドのモディ首相、インドネシアのジョコ大統領の個別会談がハイライトだった。両国は今年と昨年の20カ国・地域(G20)の議長国で、グローバルサウスの代表格。その様子は、G7がグローバルサウスとウクライナ問題で連帯しているとのメッセージになった。ブラジルは一線を引いたが、サミットの意義が減じることはない。
サミットが成果を出せたのは、「G7か、中露か」の選択を求めず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を唱えた日本の包摂的な構想が、参加国の共感を呼んだためだろう。経済安全保障に関し、経済関係を断つ「デカップリング」でなく、「デリスキング」(リスク低減)を謳(うた)ったのは、中国との経済関係を重視するアフリカや東南アジア諸国などとの連携を目指すなら、的確な判断だ。
民主主義陣営の巻き返しの行方を左右するのは、まずウクライナによる露軍への反攻となる。
G7首脳は声明でウクライナ支援に関し「必要とされる限り」提供する強い決意を示した。これでG7とウクライナは一体化した。ウクライナの反攻が失敗すれば、反攻を支えるG7の挫折となり、G7の反転攻勢の勢いも失速する。
ウクライナの反攻で重要な防空態勢の強化と継戦能力の向上のため、欧米はF16戦闘機を巡る支援や弾薬の確保に動いた。だが、軍事専門家の見解では、われわれが考えるほど成功は約束されていない。ロシアは占領地で強固な防衛線を築いた。ナポレオンやヒトラーが過去失敗したように、ロシアは外部からの侵略に対して(防御に有利な)戦略的縦深性を持つため、勝利は容易でない。
G7の反転攻勢の行方を巡る2つ目の鍵はインド。同国は今年、G20だけでなく、中露主導の「上海協力機構」(SCO)の議長国も務め、7月にその首脳会議を開催する予定だ。
モディ氏はゼレンスキー氏に、紛争解決のため「できることを全てする」と述べたが、日米不在のSCOで議長としてどのような合意文書をまとめるのか。枠組みによって行動を変え、G7での言動と矛盾するなら、モディ氏への信頼は損なわれる。G7が国際社会で多数派形成を目指す動きにも影響する。インド外交の真価が問われる。
G7サミットには韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が参加し、従来の親北・親中政策から対米・対日関係強化への転換を改めて印象付けた。これも民主主義陣営の反転攻勢の流れと無縁ではない。
G7サミット中、私は韓国を訪問したが、政策転換には反中感情の高まりが強く働いていると感じた。反発の原因は、キムチという韓国の重要な食文化の起源が中国にあるとし、古代・高句麗を中国史の一部とする中国の主張でもあった。ウクライナ独自の国家や伝統を否定し、自国の一部とするロシアの論理と通底する。中露の帝国的言動が周辺国の自尊心を傷つける。
特に反中感情が強いのが若者だ。20~30代対象の世論調査では中国に「好感を持てない」との回答が9割を占めた。いわゆる徴用工訴訟の解決策は政権交代で反故(ほご)にされる懸念もあるが、一方で若者の対日関係改善への希望は強い。尹氏は中長期的にその動きは止まらないと確信し、外交のかじを切ったのだろう。
1980年代末の民主化以降、親中・親北と親米の間で揺れた韓国で、尹氏は民主主義陣営の一員だと明確に発信した最初の大統領だ。分断の世界で「自分たちは何者か」と新しい国家像を示そうとしている。
韓国ではG7サミットが大きく報じられた。自国の大統領が米欧首脳と肩を並べる姿は多くの若者が見たかった光景だろう。韓国も加わる「G8」を望む声もある。実現の可否は別として、その願望自体は提携の輪を広げようとする日本が否定すべきことではない。(聞き手 宮下日出男)
◇
ほそや・ゆういち 国際政治学者。慶応大教授。安倍晋三政権で「安全保障と防衛力に関する懇談会」委員、国家安全保障局顧問などを歴任した。慶応大大学院修了。博士(法学)。1971年生まれ。
日米欧を中心とする自由民主主義陣営は先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)により、権威主義体制に対する外交的な反転攻勢を始めた。中国とロシア、さらにグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国が台頭し、民主主義陣営は国際政治でマイノリティーに陥ると懸念されている。この潮流を押し戻せるのか。ロシア軍に対するウクライナの軍事的反転攻勢とインドの動向がカギを握る。
サミットは中露対応でG7の結束を確認するだけでなく、他の国々との連携を固めることが焦点だった。グローバルサウスを含む招待国8カ国と連帯を示したことで、G7が国際社会の多数派の声を代表する形を世界に発信できた。
ウクライナのゼレンスキー大統領とインドのモディ首相、インドネシアのジョコ大統領の個別会談がハイライトだった。両国は今年と昨年の20カ国・地域(G20)の議長国で、グローバルサウスの代表格。その様子は、G7がグローバルサウスとウクライナ問題で連帯しているとのメッセージになった。ブラジルは一線を引いたが、サミットの意義が減じることはない。
サミットが成果を出せたのは、「G7か、中露か」の選択を求めず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を唱えた日本の包摂的な構想が、参加国の共感を呼んだためだろう。経済安全保障に関し、経済関係を断つ「デカップリング」でなく、「デリスキング」(リスク低減)を謳(うた)ったのは、中国との経済関係を重視するアフリカや東南アジア諸国などとの連携を目指すなら、的確な判断だ。
民主主義陣営の巻き返しの行方を左右するのは、まずウクライナによる露軍への反攻となる。
G7首脳は声明でウクライナ支援に関し「必要とされる限り」提供する強い決意を示した。これでG7とウクライナは一体化した。ウクライナの反攻が失敗すれば、反攻を支えるG7の挫折となり、G7の反転攻勢の勢いも失速する。
ウクライナの反攻で重要な防空態勢の強化と継戦能力の向上のため、欧米はF16戦闘機を巡る支援や弾薬の確保に動いた。だが、軍事専門家の見解では、われわれが考えるほど成功は約束されていない。ロシアは占領地で強固な防衛線を築いた。ナポレオンやヒトラーが過去失敗したように、ロシアは外部からの侵略に対して(防御に有利な)戦略的縦深性を持つため、勝利は容易でない。
G7の反転攻勢の行方を巡る2つ目の鍵はインド。同国は今年、G20だけでなく、中露主導の「上海協力機構」(SCO)の議長国も務め、7月にその首脳会議を開催する予定だ。
モディ氏はゼレンスキー氏に、紛争解決のため「できることを全てする」と述べたが、日米不在のSCOで議長としてどのような合意文書をまとめるのか。枠組みによって行動を変え、G7での言動と矛盾するなら、モディ氏への信頼は損なわれる。G7が国際社会で多数派形成を目指す動きにも影響する。インド外交の真価が問われる。
G7サミットには韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が参加し、従来の親北・親中政策から対米・対日関係強化への転換を改めて印象付けた。これも民主主義陣営の反転攻勢の流れと無縁ではない。
G7サミット中、私は韓国を訪問したが、政策転換には反中感情の高まりが強く働いていると感じた。反発の原因は、キムチという韓国の重要な食文化の起源が中国にあるとし、古代・高句麗を中国史の一部とする中国の主張でもあった。ウクライナ独自の国家や伝統を否定し、自国の一部とするロシアの論理と通底する。中露の帝国的言動が周辺国の自尊心を傷つける。
特に反中感情が強いのが若者だ。20~30代対象の世論調査では中国に「好感を持てない」との回答が9割を占めた。いわゆる徴用工訴訟の解決策は政権交代で反故(ほご)にされる懸念もあるが、一方で若者の対日関係改善への希望は強い。尹氏は中長期的にその動きは止まらないと確信し、外交のかじを切ったのだろう。
1980年代末の民主化以降、親中・親北と親米の間で揺れた韓国で、尹氏は民主主義陣営の一員だと明確に発信した最初の大統領だ。分断の世界で「自分たちは何者か」と新しい国家像を示そうとしている。
韓国ではG7サミットが大きく報じられた。自国の大統領が米欧首脳と肩を並べる姿は多くの若者が見たかった光景だろう。韓国も加わる「G8」を望む声もある。実現の可否は別として、その願望自体は提携の輪を広げようとする日本が否定すべきことではない。(聞き手 宮下日出男)
◇
ほそや・ゆういち 国際政治学者。慶応大教授。安倍晋三政権で「安全保障と防衛力に関する懇談会」委員、国家安全保障局顧問などを歴任した。慶応大大学院修了。博士(法学)。1971年生まれ。
中国とロシア、さらにグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国が台頭し、民主主義陣営は国際政治でマイノリティーに陥ると懸念されている。この潮流を押し戻せるのか。ロシア軍に対するウクライナの軍事的反転攻勢とインドの動向がカギを握ると、細谷教授。
サミットでは中露対応でG7の結束を確認するだけでなく、他の国々との連携を固めることが焦点だった。グローバルサウスを含む招待国 8カ国と連帯を示したことで、G7が国際社会の多数派の声を代表する形を世界に発信できたと。
主役は、フランス政府専用機で来日したウクライナのゼレンスキー大統領。
インドのモディ首相、インドネシアのジョコ大統領の個別会談がハイライトだった。両国は今年と昨年のG20の議長国で、グローバルサウスの代表格。
その様子は、G7がグローバルサウスとウクライナ問題で連帯しているとのメッセージになった。ブラジルは一線を引いたが、サミットの意義が減じることはないと、細谷教授。
サミットが成果を出せたのは、「G7、中露か」の選択を求めず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を唱えた日本の包摂的な構想が、参加国の共感を呼んだためだろう。
経済安全保障に関し、経済関係を断つ「デカップリング」でなく、「デリスキング」(リスク低減)を謳(うた)ったのは、中国との経済関係を重視するアフリカや東南アジア諸国などとの連携を目指すなら、的確な判断だとも。
民主主義陣営の巻き返しの行方を左右するのは、まずウクライナによる露軍への反攻となる。
G7首脳は声明でウクライナ支援に関し「必要とされる限り」提供する強い決意を示した。これでG7とウクライナは一体化した。
G7の反転攻勢の行方を巡る 2つ目の鍵はインド。同国は今年、G20だけでなく、中露主導の「上海協力機構」(SCO)の議長国も務め、7月にその首脳会議を開催する予定。
モディ氏はゼレンスキー氏に、紛争解決のため「できることを全てする」と述べたが、日米不在のSCOで議長としてどのような合意文書をまとめるのか。
中立で全方位外交を展開するインド。対中けん制のため、ロシアから戦闘機を輸入するなど、対露制裁網には不参加の姿勢であることは諸兄がご承知のとおりです。
招待国に韓国の伊大統領も入り、会合の席でゼレンスキー大統領の隣の席に着いたのは、岸田氏の配慮?
もっとも、ニュースなどで流される映像の範囲では、ゼレンスキー大統領とモディ首相は会話していましたが、ゼレンスキー大統領と伊大統領とが会話しているシーンはみられませんでした。
韓国ではG7サミットが大きく報じられた。自国の大統領が米欧首脳と肩を並べる姿は多くの若者が見たかった光景だろうと、細谷教授。
グローバルサウスのリーダー格のインド等の参加で、G7との連携を強めたG7広島サミット。
G7と、成長著しい各国との連携が、今回を機により深まると、結論が出にくいG20とは異なる国際連携機能の復活が見込め、望ましいことですね。
# 冒頭の画像は、ゼレンスキー大統領とモディ首相 & 伊大統領
この花の名前は、カンパニュラ アルペンブルー ホシギキョウ
↓よろしかったら、お願いします。