遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

国際世論の批判を浴びてでも拒否権を使用した露と中のお家の事情

2012-02-06 22:22:00 | my notice
 シリア・アサド政権の、これまでに市民5,600人が死亡、数万人が拘束されたとされる反政府運動の弾圧に対する、国連の反体制派への武力弾圧の停止をシリア政府に求める決議案が、ロシアと中国の拒否権により二度にわたり否決されたことは諸兄がご承知の通りですが、露と中は何故国際世論から非難を浴びると解っていながら拒否権を発動したのでしょうか。また、この後拒否権発動をした責任をどう果たすのでしょうか。
 一部の第二次大戦の勝利国という過去の遺産をいつまでも背負った常任理事国の拒否権で、物事が決まらない国連の限界に対してはその改革が必要な時期にきているのではないでしょうか。
 余談ですが、敗戦国の枢軸国の日独への敵国条項、日独伊の
国連分担金の多さなどの改善も併せ、分担金第二位の日本、第三位のドイツはもっと発言権を高めてもらってしかるべきでしょう。財政危機のイタリアは負担減を考慮してあげる?
 

【水平垂直】対シリア決議案否決 露、利益圏介入を拒絶 中国は投資先保護 (2/6 産経)

 
国連安全保障理事会で4日、市民らへの武力弾圧が続くシリアに対する決議案が中露両国の拒否権行使で廃案に追い込まれた。安保理の機能不全を露呈した形となり、シリアのアサド政権が弾圧を強める恐れもある。ロシアが同政権を支える理由は何なのか。

 ロシアが昨年10月に続いて国連安保理での対シリア非難決議案に拒否権を行使したのは、中東地域の主要友好国にして武器輸出先であるシリアをアサド政権崩壊という形で喪失するわけにいかないと考えているためだ。これは、
ロシアが利益圏と考える国や地域の情勢に欧米諸国が介入することを許さないとの意思表示
であり、欧米との関係悪化は必至だ。
 旧ソ連時代から友好関係を維持しているシリアは、
中東地域で最大のロシア製武器購入国であり、旧ソ連圏を除いて唯一の露海軍基地を西部タルトゥースに擁する“橋頭堡
(きょうとうほ)”でもある。
 専門家らはシリアへの武器輸出が不可能になった場合にはロシアの損失が50億ドル(約3827億円)にのぼると推計しており、リビアのカダフィ政権崩壊で45億ドルが失われたのに続く打撃となる。
 ロシアは、欧米のリビア軍事介入に道を開いた昨年3月の安保理決議で煮え湯をのまされたと考えているため、シリアで同様のシナリオが繰り返されることへの警戒感が強い。
 7日にはラブロフ外相らがシリアを訪れることになっており、アサド政権に反対派との対話を促すなど独自の仲介外交を進めるとみられる。
 
国際社会の非難を浴びてもアサド政権を擁護するロシアの姿勢は、3月の大統領選で当選が確実視される対欧米強硬派、プーチン首相の次期政権での外交路線を示唆
してもいる。

 一方、今回も拒否権行使でロシアと足並みをそろえた
中国。安保理協議ではロシアの後ろに隠れて前面に出ようとしなかった

 国営新華社通信によると、李保東国連大使は「安保理が分裂状態にある時に投票を強行することは、団結と安保理の権威の維持に役立たない」などと拒否権行使の理由を説明した。
 
国内にチベット問題を抱える中国は、米欧による自国への干渉を嫌う手前、第三国に対する“内政干渉”には反対の立場を取るのが常だ。しかし、拒否権行使の根底にあるのは自国の利益保護
に他ならない。
 中国はシリアに自国製品を大量に輸出。2009年の両国の貿易額は約22億ドルで、ほぼ全てが中国からの輸出とされる。また、中国は油田開発や工場建設に多額の投資をつぎ込んでいる。アサド政権の崩壊で、
対リビア投資の二の舞いとなる事態はロシア同様、避けたい
のが本音である。
 ただ、中国商務省は今月1日、シリア情勢の深刻化を受けて、同国への投資にはリスクがあると勧告。企業関係者の渡航も一時中止を命じており、水面下でアサド政権崩壊後を見据えて動き始めているとの見方もある。(モスクワ 遠藤良介、北京 川越一)

----------------------------------------------------------------------------
【用語解説】シリア騒乱
 2011年3月にシリア南部ダルアーで、アサド政権を批判する落書きをしたとして少年が拘束されたことへの抗議を機に、反政府デモが全国に拡大した。国連などは、これまでに治安機関や軍などの弾圧で少なくとも市民5600人が死亡、数万人が拘束されたとしている。
 同年秋以降は、離反兵らで作る反体制派武装組織「自由シリア軍」が武装闘争を展開。反体制派知識人らで構成される「シリア国民評議会」などとともに国際社会の介入を求めている。
 こうした中、アラブ連盟は今年1月、カタールやサウジアラビアの主導でアサド大統領からシャラ副大統領への権限移譲などを要求。国連安保理にも同調を求めていた。


 国際世論から非難を浴びると解っていながら拒否権を発動した理由は、独裁政権の崩壊の波及擁護と思いがちですが、それもさることなながら、利権を失いたくないという理由も大きいのですね。
 ロシアは武器輸出をしていて、武力弾圧にはその武器が使用されていないとか苦しい言い訳をしていますが、そんなことが通用する訳がありません。悲願の南下の足掛かりの海軍基地(現在は常駐艦はなく補給基地)も手放したくない。
 中国も、輸出や投資の回収を失いたくない。
 両国に共通するのは、自分たちの権益の領域に、欧米の進出を拒否するということですね。リビアで進出を許した反省に基づいている。シリア国民の意思、世界平和は後回しです。所詮はそういう国家なのですが。米、英、仏が戦勝の主役で脇役であったり、大勢が決した後平和条約を一方的に破棄して北方領土を奪ったりした国が、拒否権を行使で来て世界世論を覆すことが、いつまでも許されていいのでしょうか?

 拒否権を行使したからには、責任を持って事態収拾に努めていただかねばなりませんが、ロシアの脅しにシリアは応じていません。ロシアのシリアへの影響力もないのなら、放置するだけどころかアサド政権の行為を認める結果となってしまいます。
 国際世論は、拒否権を行使したロシア、中国へその責任を全うすることを求めていくべきでしょう。中国はさすがに伏線も準備している様ですね。
 

シリア内戦の危機 安保理決議 廃案 政権、弾圧強化も 反体制派、攻勢の構え (2/6 読売朝刊)

 
【カイロ=田尾茂樹】国連安全保障理事会のシリア非難決議案が4日、ロシアと中国の拒否権で廃案となったことで、シリアのアサド政権が反体制派の弾圧を正当化し、さらに攻撃を強めるのは必至だ。同時に、武力行使を「市民防衛」に限定してきたとする反体制派も政治解決への道筋が閉ざされたため、政権側への攻勢を強める可能性があり、本格的な内戦に突入する危機は高まるばかりだ。

ロシア 事態収拾力にも疑問符

 【モスクワ=寺口亮一】対シリア決議案を国連安保理で否決、廃案に追い込んだロシアの決定は、
シリアの弾圧停止に向けた関係各国の努力を台無しにするものだ。次は、ロシア主導でシリア情勢を収拾できるかが問われるが、影響力は限定的
だ。
 ラブロフ露外相は4日、モスクワで「決議案は実現性に乏しく、確認や修正が必要だった」と述べ、拒否権行使を正当化した。決議案が政権側の治安部隊の撤収に重きを置きすぎ、政治対話を待たずにアサド大統領退陣を想定した、などと主張した。
 ソ連時代からシリアと経済的、軍事的関係が深い
ロシアは、政権の弾圧で女性や子供を含む犠牲者が増える中でも「対シリア武器輸出は禁じられていない」「弾圧にロシア製兵器は使われていない」として、政権への肩入れを続けてきた

 だが、政治解決を唱えるロシアのアサド政権への影響力は限られており、政権擁護の姿勢が弾圧を放置させる結果につながったことは否めない。
 ロシアは、政権と反体制派の双方にモスクワでの接触を提案しているが、反体制派は「アサド政権と話し合うつもりはない」と拒否しており、実現の見込みは薄い。ラブロフ外相は1月31日、「アサド政権の存続は問題解決の前提条件ではない」と述べた。この発言は、
アサド政権への支持を見限る可能性を示唆するもので弾圧停止を迫るメッセージだったが、シリア中部ホムスで400人以上ともされる死者を出した大規模砲撃が行われたのはその3日後で、ロシアの圧力が無視された
格好となった。
 同外相らは7日、メドベージェフ大統領の「名代」としてシリアの首都ダマスカスを訪れ、アサド大統領と会談する予定だ。だが、大統領から武力行使の即時停止の約束を取り付けるなど具体的成果が得られなければ、
有効な代案もないまま拒否権行使に及んだとして、国際社会の厳しい批判を再び招く
ことになる。

 欧米への強硬路線で強いロシア復活=帝国シンドロームを目指すプーチン氏ですが、資源と武器輸出で回復したロシア経済に陰りが見え始めた今、国内でも反プーチン独裁の運動が強まり、ますます強硬路線に走る気配ですが、苦しい状況に追い込まれていく様子ですね。
 2月7日は、北方領土の日です。
 経済が苦しくなるロシアが、日本に援助を求め始める兆しが見え始めてています。日本は毅然として主権を主張し、援助と、北方領土返還と、平和条約締結をセットで交渉を続ければ、答えが得られる日が来るのが見えてきます。






  この花の名前は、千日紅

↓よろしかったら、お願いします。





Fotolia


ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2月4日(土)のつぶやき | トップ | 2月6日(月)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

my notice」カテゴリの最新記事