中国の共産党政権は、毛沢東の独裁政治の破綻の反省から、鄧小平が、集団指導体制と定年制を導入。日本の戦後の急成長を松下幸之助氏に学び、経済急成長を遂げたことは諸兄がご承知
の通りです。
以後、党主席又は総書記は、胡耀邦、趙紫陽、江沢民、胡錦涛、習近平と引き継がれてきました。
その集団指導体制を、毛沢東時代の独裁体制に戻そうとしているのが、習近平とは、衆知のことですね。しかも、習近平の定年も撤廃。
また、経済については代々首相が担っていたものを、習近平が担い、国営企業優先とし、鄧小平が日本の戦後復興から学んで産み出した、中国流社会主義経済で、いまやGDPでは日本を遥かに抜き去り、世界2位に上り詰め、更に米国をも抜き去ろうかという勢い。
しかし、急成長する民間企業経営者を弾圧したり、安価な労働力での世界の工場モデルに人件費の高騰、不動産価格の高騰等で陰りが見え始め、コロナ禍もあり、経済は失速。近年まれに見る経済不振に陥っています。
経済は首相担当と切り離していた時代は、主席に責任は問われませんでしたが、経済にも手を広げた習近平。責任を問われる立場になっています。
中国はこのほど民間テクノロジー企業に対する規制を緩和し、不動産開発業者や住宅購入者への貸出規定を緩めるとともに、習氏の「ゼロコロナ」戦略により中国の大部分がロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされている中で製造業の生産を一部再開した。こうした動向は李氏の影響力によるものだというと、WSJ・中国特派員のリンリンウェイさん。
経済低迷とゼロコロナ戦術の弊害とで隙が生じた習近平に、李克強氏は自身の強みを生かし再び表舞台にはい上がっており、10年近く不在だった政権トップの対抗勢力を形成する可能性が出てきたと。
あと1年足らずで退任する李氏は、後任人事にも自身の意向が反映されるよう努めている。意志決定に詳しい関係筋が明らかにした。権力固めを進める習氏は少なくともさらに5年は実権を握ると見込まれており、李氏は習氏の対抗勢力となれるような次期首相を望んでいるというと、リンリンウェイさん。
意志決定に詳しい関係筋は、李氏の動きに対しては共産党内で一定の支持が集まっていると話す。習氏が経済成長を確保するための実利的な措置ではなく、毛沢東の社会主義的な構想に根ざした思想に準じることを過度に重視し過ぎていると懸念する党幹部らが後押ししているのだそうです。
李氏は先月、視察先の江西省で電子商取引(eコマース)企業が集積する産業パークを訪れ、「プラットフォーム経済」の活性化と起業家精神の促進を確約。喝采する聴衆に向かって「プラットフォーム経済を支援する」「起業家を支援する」と訴えたのだそうです。
その数日後に行われた中央政治局会議では、習氏によるハイテク企業への締め付けが一服する方針が示唆された。公式の声明文では「プラットフォーム経済の標準化された、健全な発展を支援する」措置が提唱されていたとリンリンウェイさん。
関係筋によると、李氏とそのチームが昨年終盤以降に視察ツアーから得た情報からは、習氏の締め付けが雇用と成長を阻害していることが分かった。関係者の1人は「李はそのシフトを促した立役者だ」と話したと。
しかしながら、こうした足元の変化により、経済における国家の役割拡大という習氏の政策が縮小される、あるいは西側との関係強化につながるとは想定されていない。幹部の多くは習氏の強硬な政策を支持しているためだと、リンリンウェイさん。
とはいえ、李氏の影響力が足元で高まっていることは確かだ。米クレアモント・マッケナ大学の裴敏欣政治学教授は、21年以前は李氏は「実質的に存在していなかった」。だが、今では「日増しに良くなっている」とし、「習は根底では左派的な思想を持っているが、経済については戦術的な譲歩が必要だ」と述べるのだそうです。
今秋の共産党大会を控え、習氏の指導力に対しては不満が高まっている。習氏が共産党大会で3期目続投を決めるのはほぼ確実視されているとはいえ、忠誠な側近で周辺を固められるか、あるいは歴代政権の慣例に沿って反対意見を許容する余地を残さざるを得ないかは不透明だと、リンリンウェイさん。
チャイナ7(中央政治局常務委員会)の人事については、現役幹部と長老らが参加する夏の北戴河会議で決定される。
バークレイズのエコノミストは李氏が重視する経済政策を「リコノミクス」と呼んだ。
日本の、アベノミクスは、民主党政権が、「製造業の六重苦」で日本を沈没させかけていたところを救い、見事に成長路線に乗せたことで有名ですね。
ところが、習近平が、国営企業が一段と大きな役割を担うことを通じて、経済に対する共産党による統制強化の必要性を強調。鄧小平以来の中国経済発展を遂げた、中国流社会主義経済の道を方向転換。
低賃金での世界の工場体制から、民の力で成長を続けようとするリコノミクスが消え、コスト競争体質は党運営のお役所仕事化で、競争力は低下。経済成長が低迷。そこへ新型コロナの追い打ち。
折しも、習氏の政策に対する党内の不満が高まる中で、李氏とその支持者らにとっては影響力を発揮する糸口が見えてきたと、リンリンウェイさん。
党内の議論に詳しい関係筋は、習氏の独裁的なスタイルに対する不満は頂点に達していると明かしていると。
習氏のゼロコロナ対策による雇用や経済への影響に危機感を強めた李氏は、 テスラ の上海工場などが生産を再開できるよう、会合を開いて物流の障害を取り除くよう関係各省に指示した。
習氏は次期首相として、上海市の共産党委員会書記を務める李強氏を推している。だが、同氏に対しては、上海市のコロナ感染拡大への対応を巡って党内で批判が上がっており、市民も長引く封鎖措置に怒りを爆発させている。
意志決定に詳しい関係筋によると、こうした状況から、李首相が望む人物が有力な後任候補として台頭する可能性が出てきた。
次世代の共産党指導者争いは、以前から続いていて、習近平は浙江省時代に習近平に仕えた子飼いの部下たちの「之江新軍」の、陳敏爾等を引き上げようとしていました。
片や、共青団派は、胡春華氏や、汪洋氏。
新チャイナセブン 胡春華と陳敏爾は見送り - 遊爺雑記帳
チャイナ・セブン 死闘の最中 - 遊爺雑記帳
習近平の直近での一押しで、上海市の書記に登用されていた、李強氏は、今回の上海のロックダウンの不評で脱落しましたね。
習近平の経済や新型コロナへの対策が不評で、李首相が望む人物が有力な後任候補として台頭する可能性が出てきたと、リンリンウェイさん。
習近平の暴走抑止にも、共青団派からの選出が望ましいと思われますが、胡春華氏か、汪洋氏のどちらが対日米関係(含、台湾関係)では友好的にお付き合いできるのでしょう。
# 冒頭の画像は、新型コロナ発生初期、素早く武漢訪問した李克強氏。(習近平は暫く遅れて、しかも訪問先は北京市内。)
この花の名前は、ムシトリナデシコ
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遊爺さんの写真素材 - PIXTA
の通りです。
以後、党主席又は総書記は、胡耀邦、趙紫陽、江沢民、胡錦涛、習近平と引き継がれてきました。
その集団指導体制を、毛沢東時代の独裁体制に戻そうとしているのが、習近平とは、衆知のことですね。しかも、習近平の定年も撤廃。
また、経済については代々首相が担っていたものを、習近平が担い、国営企業優先とし、鄧小平が日本の戦後復興から学んで産み出した、中国流社会主義経済で、いまやGDPでは日本を遥かに抜き去り、世界2位に上り詰め、更に米国をも抜き去ろうかという勢い。
しかし、急成長する民間企業経営者を弾圧したり、安価な労働力での世界の工場モデルに人件費の高騰、不動産価格の高騰等で陰りが見え始め、コロナ禍もあり、経済は失速。近年まれに見る経済不振に陥っています。
経済は首相担当と切り離していた時代は、主席に責任は問われませんでしたが、経済にも手を広げた習近平。責任を問われる立場になっています。
中国はこのほど民間テクノロジー企業に対する規制を緩和し、不動産開発業者や住宅購入者への貸出規定を緩めるとともに、習氏の「ゼロコロナ」戦略により中国の大部分がロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされている中で製造業の生産を一部再開した。こうした動向は李氏の影響力によるものだというと、WSJ・中国特派員のリンリンウェイさん。
経済低迷とゼロコロナ戦術の弊害とで隙が生じた習近平に、李克強氏は自身の強みを生かし再び表舞台にはい上がっており、10年近く不在だった政権トップの対抗勢力を形成する可能性が出てきたと。
"忘れられた中国首相、経済低迷で再び表舞台に - WSJ" target="_blank">忘れられた中国首相、経済低迷で再び表舞台に - WSJ 2022 年 5 月 12 日 By Lingling Wei
中国の習近平国家主席は長年、ナンバー2の有力政治家である李克強首相(66)を蚊帳の外に追いやってきた。だが、ここにきて李氏は自身の強みを生かし再び表舞台にはい上がっており、10年近く不在だった政権トップの対抗勢力を形成する可能性が出てきた。
中国経済が近年まれに見る不振にあえぐ中、李氏は西側の資本主義から距離を置き、かつ中国経済の減速を招いている措置を縮小するよう、習氏を促している。政府当局者や意思決定に詳しい顧問らへの取材で分かった。
中国はこのほど民間テクノロジー企業に対する規制を緩和し、不動産開発業者や住宅購入者への貸出規定を緩めるとともに、習氏の「ゼロコロナ」戦略により中国の大部分がロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされている中で製造業の生産を一部再開した。こうした動向は李氏の影響力によるものだという。
あと1年足らずで退任する李氏は、後任人事にも自身の意向が反映されるよう努めている。意志決定に詳しい関係筋が明らかにした。権力固めを進める習氏は少なくともさらに5年は実権を握ると見込まれており、李氏は習氏の対抗勢力となれるような次期首相を望んでいるという。
中国の政治システムは極めて不透明なため、李氏が内部でどの程度の支持を得ているのかを判断することは難しい。ただ、意志決定に詳しい関係筋は、李氏の動きに対しては共産党内で一定の支持が集まっていると話す。習氏が経済成長を確保するための実利的な措置ではなく、毛沢東の社会主義的な構想に根ざした思想に準じることを過度に重視し過ぎていると懸念する党幹部らが後押ししているという。
李氏の支持者には、中国共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)関係者も含まれる。共青団は胡錦濤元国家主席ら歴代指導者を輩出するなど強い影響力を持っていたが、習氏の時代になって影が薄くなった。
李氏は先月、視察先の江西省で電子商取引(eコマース)企業が集積する産業パークを訪れた。eコマース業界はハイテク企業への弾圧に加え、制約のない自由市場主義的な行動を「無秩序な資本の拡大」として罰した習氏によって深刻な打撃を受けている。
李氏は業界幹部や従業員を前に「プラットフォーム経済」の活性化と起業家精神の促進を確約。イベントの様子をとらえた動画によると、李氏は喝采する聴衆に向かって「プラットフォーム経済を支援する」「起業家を支援する」と訴えている。プラットフォーム経済とは、 アリババグループ などネット関連のビジネスを指す。
その数日後に行われた中央政治局会議では、習氏によるハイテク企業への締め付けが一服する方針が示唆された。公式の声明文では「プラットフォーム経済の標準化された、健全な発展を支援する」措置が提唱されている。
関係筋によると、李氏とそのチームが昨年終盤以降に視察ツアーから得た情報からは、習氏の締め付けが雇用と成長を阻害していることが分かった。関係者の1人は「李はそのシフトを促した立役者だ」と話した。
しかしながら、こうした足元の変化により、経済における国家の役割拡大という習氏の政策が縮小される、あるいは西側との関係強化につながるとは想定されていない。習氏はここ数十年で最も強力な中国指導者であり、幹部の多くは習氏の強硬な政策を支持しているためだ。
李氏やその支持者らによる政策面での勝利は、すぐに撤回される可能性もある。習氏は民間資本に対して極めて強い不信感を抱いており、党幹部が中国を再び経済自由化へと誘導することは難しいためだ。
とはいえ、李氏の影響力が足元で高まっていることは確かだ。米クレアモント・マッケナ大学の裴敏欣政治学教授が中国国営メディアの報道を分析したところ、李氏が2021年に新聞の見出しを飾った回数は前年比で15回増えており、22年初頭のトレンドが続けば、通年では前年比でおよそ倍になる見通しだ。
同教授によると、21年以前は李氏は「実質的に存在していなかった」。だが、今では「日増しに良くなっている」とし、「習は根底では左派的な思想を持っているが、経済については戦術的な譲歩が必要だ」と述べる。
今秋の共産党大会を控え、習氏の指導力に対しては不満が高まっている。習氏が共産党大会で3期目続投を決めるのはほぼ確実視されているとはいえ、忠誠な側近で周辺を固められるか、あるいは歴代政権の慣例に沿って反対意見を許容する余地を残さざるを得ないかは不透明だ。
中国最高指導部の中央政治局常務委員会の人事については、現役幹部と長老らが参加する夏の北戴河会議で決定される見通し。党関係者が明らかにした。
李氏は高い手腕を持ちながらも慎重な政治家で、市場開放を志向する一方、思想よりも実利を重視するというのが、関係筋の人物評だ。
李氏は名門・北京大学で法律を専攻。その後、鄧小平の市場改革や国営企業の民営化を推進したことで知られる著名中国人エコノミストの下で経済学博士号を取得した。
大学在学中には、共産党のシステム内ながらも、経済改革を旗印に掲げることで知られる共青団の幹部に加わった。
李氏はその後、「ラストベルト(さびた工業地帯)」である遼寧省を率いた。経済成長を測る上で、国内総生産(GDP)の公式統計ではなく、発電や貨物量などを一段と信頼できるデータとして重視した。
李氏は最終的に、当時共産党トップだった胡氏に有力な後任候補として目をつけられたが、革命的なリーダーの息子である習氏を支持する党幹部に胡氏は押し切られた。歴史学者や党関係者はこう分析している。李氏は結局、ナンバー2の座に甘んじた。
習氏が実権を握る前の20年間は、首相は大きな影響力を持っていた。党総書記を兼任する国家主席は、政治や外交、安全保障の管轄だった。首相は実務上の政権トップで、経済運営を任されていた。
李氏は首相として、銀行の巨額融資を抑制することで、借り入れを起爆剤とする経済発展モデルを変革したいと考えていた。
また国営企業の規模を縮小して効率を改善するとともに、出稼ぎ労働者の世帯が都市部で教育や福祉を受けやすくすることも目指していた。
バークレイズのエコノミストは李氏が重視する経済政策を「リコノミクス」と呼んだ。
ところが、習氏が従来の首相と国家主席の役割分担を覆し、経済運営のかじ取りも担うことが鮮明になると、リコノミクスも表舞台から消えた。
2013年11月の党中央委員会に関する国営メディアの報道では、承認された野心的な経済政策課題は、習氏自らが策定を主導したと伝えられている。習氏の名前は34回登場する一方、李氏への言及は全くなかった。
習氏はそれ以降、国営企業が一段と大きな役割を担うことを通じて、経済に対する共産党による統制強化の必要性を強調するようになる。習氏はまた、汚職捜査などを使って共青団を抑え込んでいった。
李氏も党の方針に従った。党関係者によると、李氏は支え役を受け入れるしか、他に選択肢がなかった。
折しも、習氏の政策に対する党内の不満が高まる中で、李氏とその支持者らにとっては影響力を発揮する糸口が見えてきた。中国経済は不振にあえいでおり、金融市場にも痛みが広がっている。4-6月期に中国経済がマイナス成長に陥ると予想する声すら出てきた。また数百万人の卒業生がなかなか就職できずにいる。
習氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と親密な関係を築いていることで、中国はここ数十年で最も国際社会から孤立する事態にも陥った。党内の議論に詳しい関係筋は、習氏の独裁的なスタイルに対する不満は頂点に達していると明かす。
こうした中、李氏は足元で、銀行の融資促進など成長下支え策の大半を指導している。財政省はインフラ投資の原資調達に向けた地方債発行の承認手続きを加速。住宅投機の抑制に向けて習氏が支持していた不動産税の試験プログラムなど実験的な措置を棚上げした。
習氏のゼロコロナ対策による雇用や経済への影響に危機感を強めた李氏は、 テスラ の上海工場などが生産を再開できるよう、会合を開いて物流の障害を取り除くよう関係各省に指示した。
習氏は次期首相として、上海市の共産党委員会書記を務める李強氏を推している。だが、同氏に対しては、上海市のコロナ感染拡大への対応を巡って党内で批判が上がっており、市民も長引く封鎖措置に怒りを爆発させている。
意志決定に詳しい関係筋によると、こうした状況から、李首相が望む人物が有力な後任候補として台頭する可能性が出てきた。これには汪洋全国政治協商会議(政協)主席、貿易・外国投資担当の副首相である胡春華氏が含まれる。両氏とも共青団の出身だ。
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リンリンウェイ Lingling Wei ウォールストリートジャーナルの中国特派員
https://www.thewirechina.com/team_member/lingling-wei/
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中国の習近平国家主席は長年、ナンバー2の有力政治家である李克強首相(66)を蚊帳の外に追いやってきた。だが、ここにきて李氏は自身の強みを生かし再び表舞台にはい上がっており、10年近く不在だった政権トップの対抗勢力を形成する可能性が出てきた。
中国経済が近年まれに見る不振にあえぐ中、李氏は西側の資本主義から距離を置き、かつ中国経済の減速を招いている措置を縮小するよう、習氏を促している。政府当局者や意思決定に詳しい顧問らへの取材で分かった。
中国はこのほど民間テクノロジー企業に対する規制を緩和し、不動産開発業者や住宅購入者への貸出規定を緩めるとともに、習氏の「ゼロコロナ」戦略により中国の大部分がロックダウン(都市封鎖)を余儀なくされている中で製造業の生産を一部再開した。こうした動向は李氏の影響力によるものだという。
あと1年足らずで退任する李氏は、後任人事にも自身の意向が反映されるよう努めている。意志決定に詳しい関係筋が明らかにした。権力固めを進める習氏は少なくともさらに5年は実権を握ると見込まれており、李氏は習氏の対抗勢力となれるような次期首相を望んでいるという。
中国の政治システムは極めて不透明なため、李氏が内部でどの程度の支持を得ているのかを判断することは難しい。ただ、意志決定に詳しい関係筋は、李氏の動きに対しては共産党内で一定の支持が集まっていると話す。習氏が経済成長を確保するための実利的な措置ではなく、毛沢東の社会主義的な構想に根ざした思想に準じることを過度に重視し過ぎていると懸念する党幹部らが後押ししているという。
李氏の支持者には、中国共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)関係者も含まれる。共青団は胡錦濤元国家主席ら歴代指導者を輩出するなど強い影響力を持っていたが、習氏の時代になって影が薄くなった。
李氏は先月、視察先の江西省で電子商取引(eコマース)企業が集積する産業パークを訪れた。eコマース業界はハイテク企業への弾圧に加え、制約のない自由市場主義的な行動を「無秩序な資本の拡大」として罰した習氏によって深刻な打撃を受けている。
李氏は業界幹部や従業員を前に「プラットフォーム経済」の活性化と起業家精神の促進を確約。イベントの様子をとらえた動画によると、李氏は喝采する聴衆に向かって「プラットフォーム経済を支援する」「起業家を支援する」と訴えている。プラットフォーム経済とは、 アリババグループ などネット関連のビジネスを指す。
その数日後に行われた中央政治局会議では、習氏によるハイテク企業への締め付けが一服する方針が示唆された。公式の声明文では「プラットフォーム経済の標準化された、健全な発展を支援する」措置が提唱されている。
関係筋によると、李氏とそのチームが昨年終盤以降に視察ツアーから得た情報からは、習氏の締め付けが雇用と成長を阻害していることが分かった。関係者の1人は「李はそのシフトを促した立役者だ」と話した。
しかしながら、こうした足元の変化により、経済における国家の役割拡大という習氏の政策が縮小される、あるいは西側との関係強化につながるとは想定されていない。習氏はここ数十年で最も強力な中国指導者であり、幹部の多くは習氏の強硬な政策を支持しているためだ。
李氏やその支持者らによる政策面での勝利は、すぐに撤回される可能性もある。習氏は民間資本に対して極めて強い不信感を抱いており、党幹部が中国を再び経済自由化へと誘導することは難しいためだ。
とはいえ、李氏の影響力が足元で高まっていることは確かだ。米クレアモント・マッケナ大学の裴敏欣政治学教授が中国国営メディアの報道を分析したところ、李氏が2021年に新聞の見出しを飾った回数は前年比で15回増えており、22年初頭のトレンドが続けば、通年では前年比でおよそ倍になる見通しだ。
同教授によると、21年以前は李氏は「実質的に存在していなかった」。だが、今では「日増しに良くなっている」とし、「習は根底では左派的な思想を持っているが、経済については戦術的な譲歩が必要だ」と述べる。
今秋の共産党大会を控え、習氏の指導力に対しては不満が高まっている。習氏が共産党大会で3期目続投を決めるのはほぼ確実視されているとはいえ、忠誠な側近で周辺を固められるか、あるいは歴代政権の慣例に沿って反対意見を許容する余地を残さざるを得ないかは不透明だ。
中国最高指導部の中央政治局常務委員会の人事については、現役幹部と長老らが参加する夏の北戴河会議で決定される見通し。党関係者が明らかにした。
李氏は高い手腕を持ちながらも慎重な政治家で、市場開放を志向する一方、思想よりも実利を重視するというのが、関係筋の人物評だ。
李氏は名門・北京大学で法律を専攻。その後、鄧小平の市場改革や国営企業の民営化を推進したことで知られる著名中国人エコノミストの下で経済学博士号を取得した。
大学在学中には、共産党のシステム内ながらも、経済改革を旗印に掲げることで知られる共青団の幹部に加わった。
李氏はその後、「ラストベルト(さびた工業地帯)」である遼寧省を率いた。経済成長を測る上で、国内総生産(GDP)の公式統計ではなく、発電や貨物量などを一段と信頼できるデータとして重視した。
李氏は最終的に、当時共産党トップだった胡氏に有力な後任候補として目をつけられたが、革命的なリーダーの息子である習氏を支持する党幹部に胡氏は押し切られた。歴史学者や党関係者はこう分析している。李氏は結局、ナンバー2の座に甘んじた。
習氏が実権を握る前の20年間は、首相は大きな影響力を持っていた。党総書記を兼任する国家主席は、政治や外交、安全保障の管轄だった。首相は実務上の政権トップで、経済運営を任されていた。
李氏は首相として、銀行の巨額融資を抑制することで、借り入れを起爆剤とする経済発展モデルを変革したいと考えていた。
また国営企業の規模を縮小して効率を改善するとともに、出稼ぎ労働者の世帯が都市部で教育や福祉を受けやすくすることも目指していた。
バークレイズのエコノミストは李氏が重視する経済政策を「リコノミクス」と呼んだ。
ところが、習氏が従来の首相と国家主席の役割分担を覆し、経済運営のかじ取りも担うことが鮮明になると、リコノミクスも表舞台から消えた。
2013年11月の党中央委員会に関する国営メディアの報道では、承認された野心的な経済政策課題は、習氏自らが策定を主導したと伝えられている。習氏の名前は34回登場する一方、李氏への言及は全くなかった。
習氏はそれ以降、国営企業が一段と大きな役割を担うことを通じて、経済に対する共産党による統制強化の必要性を強調するようになる。習氏はまた、汚職捜査などを使って共青団を抑え込んでいった。
李氏も党の方針に従った。党関係者によると、李氏は支え役を受け入れるしか、他に選択肢がなかった。
折しも、習氏の政策に対する党内の不満が高まる中で、李氏とその支持者らにとっては影響力を発揮する糸口が見えてきた。中国経済は不振にあえいでおり、金融市場にも痛みが広がっている。4-6月期に中国経済がマイナス成長に陥ると予想する声すら出てきた。また数百万人の卒業生がなかなか就職できずにいる。
習氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と親密な関係を築いていることで、中国はここ数十年で最も国際社会から孤立する事態にも陥った。党内の議論に詳しい関係筋は、習氏の独裁的なスタイルに対する不満は頂点に達していると明かす。
こうした中、李氏は足元で、銀行の融資促進など成長下支え策の大半を指導している。財政省はインフラ投資の原資調達に向けた地方債発行の承認手続きを加速。住宅投機の抑制に向けて習氏が支持していた不動産税の試験プログラムなど実験的な措置を棚上げした。
習氏のゼロコロナ対策による雇用や経済への影響に危機感を強めた李氏は、 テスラ の上海工場などが生産を再開できるよう、会合を開いて物流の障害を取り除くよう関係各省に指示した。
習氏は次期首相として、上海市の共産党委員会書記を務める李強氏を推している。だが、同氏に対しては、上海市のコロナ感染拡大への対応を巡って党内で批判が上がっており、市民も長引く封鎖措置に怒りを爆発させている。
意志決定に詳しい関係筋によると、こうした状況から、李首相が望む人物が有力な後任候補として台頭する可能性が出てきた。これには汪洋全国政治協商会議(政協)主席、貿易・外国投資担当の副首相である胡春華氏が含まれる。両氏とも共青団の出身だ。
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リンリンウェイ Lingling Wei ウォールストリートジャーナルの中国特派員
https://www.thewirechina.com/team_member/lingling-wei/
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あと1年足らずで退任する李氏は、後任人事にも自身の意向が反映されるよう努めている。意志決定に詳しい関係筋が明らかにした。権力固めを進める習氏は少なくともさらに5年は実権を握ると見込まれており、李氏は習氏の対抗勢力となれるような次期首相を望んでいるというと、リンリンウェイさん。
意志決定に詳しい関係筋は、李氏の動きに対しては共産党内で一定の支持が集まっていると話す。習氏が経済成長を確保するための実利的な措置ではなく、毛沢東の社会主義的な構想に根ざした思想に準じることを過度に重視し過ぎていると懸念する党幹部らが後押ししているのだそうです。
李氏は先月、視察先の江西省で電子商取引(eコマース)企業が集積する産業パークを訪れ、「プラットフォーム経済」の活性化と起業家精神の促進を確約。喝采する聴衆に向かって「プラットフォーム経済を支援する」「起業家を支援する」と訴えたのだそうです。
その数日後に行われた中央政治局会議では、習氏によるハイテク企業への締め付けが一服する方針が示唆された。公式の声明文では「プラットフォーム経済の標準化された、健全な発展を支援する」措置が提唱されていたとリンリンウェイさん。
関係筋によると、李氏とそのチームが昨年終盤以降に視察ツアーから得た情報からは、習氏の締め付けが雇用と成長を阻害していることが分かった。関係者の1人は「李はそのシフトを促した立役者だ」と話したと。
しかしながら、こうした足元の変化により、経済における国家の役割拡大という習氏の政策が縮小される、あるいは西側との関係強化につながるとは想定されていない。幹部の多くは習氏の強硬な政策を支持しているためだと、リンリンウェイさん。
とはいえ、李氏の影響力が足元で高まっていることは確かだ。米クレアモント・マッケナ大学の裴敏欣政治学教授は、21年以前は李氏は「実質的に存在していなかった」。だが、今では「日増しに良くなっている」とし、「習は根底では左派的な思想を持っているが、経済については戦術的な譲歩が必要だ」と述べるのだそうです。
今秋の共産党大会を控え、習氏の指導力に対しては不満が高まっている。習氏が共産党大会で3期目続投を決めるのはほぼ確実視されているとはいえ、忠誠な側近で周辺を固められるか、あるいは歴代政権の慣例に沿って反対意見を許容する余地を残さざるを得ないかは不透明だと、リンリンウェイさん。
チャイナ7(中央政治局常務委員会)の人事については、現役幹部と長老らが参加する夏の北戴河会議で決定される。
バークレイズのエコノミストは李氏が重視する経済政策を「リコノミクス」と呼んだ。
日本の、アベノミクスは、民主党政権が、「製造業の六重苦」で日本を沈没させかけていたところを救い、見事に成長路線に乗せたことで有名ですね。
ところが、習近平が、国営企業が一段と大きな役割を担うことを通じて、経済に対する共産党による統制強化の必要性を強調。鄧小平以来の中国経済発展を遂げた、中国流社会主義経済の道を方向転換。
低賃金での世界の工場体制から、民の力で成長を続けようとするリコノミクスが消え、コスト競争体質は党運営のお役所仕事化で、競争力は低下。経済成長が低迷。そこへ新型コロナの追い打ち。
折しも、習氏の政策に対する党内の不満が高まる中で、李氏とその支持者らにとっては影響力を発揮する糸口が見えてきたと、リンリンウェイさん。
党内の議論に詳しい関係筋は、習氏の独裁的なスタイルに対する不満は頂点に達していると明かしていると。
習氏のゼロコロナ対策による雇用や経済への影響に危機感を強めた李氏は、 テスラ の上海工場などが生産を再開できるよう、会合を開いて物流の障害を取り除くよう関係各省に指示した。
習氏は次期首相として、上海市の共産党委員会書記を務める李強氏を推している。だが、同氏に対しては、上海市のコロナ感染拡大への対応を巡って党内で批判が上がっており、市民も長引く封鎖措置に怒りを爆発させている。
意志決定に詳しい関係筋によると、こうした状況から、李首相が望む人物が有力な後任候補として台頭する可能性が出てきた。
次世代の共産党指導者争いは、以前から続いていて、習近平は浙江省時代に習近平に仕えた子飼いの部下たちの「之江新軍」の、陳敏爾等を引き上げようとしていました。
片や、共青団派は、胡春華氏や、汪洋氏。
新チャイナセブン 胡春華と陳敏爾は見送り - 遊爺雑記帳
チャイナ・セブン 死闘の最中 - 遊爺雑記帳
習近平の直近での一押しで、上海市の書記に登用されていた、李強氏は、今回の上海のロックダウンの不評で脱落しましたね。
習近平の経済や新型コロナへの対策が不評で、李首相が望む人物が有力な後任候補として台頭する可能性が出てきたと、リンリンウェイさん。
習近平の暴走抑止にも、共青団派からの選出が望ましいと思われますが、胡春華氏か、汪洋氏のどちらが対日米関係(含、台湾関係)では友好的にお付き合いできるのでしょう。
# 冒頭の画像は、新型コロナ発生初期、素早く武漢訪問した李克強氏。(習近平は暫く遅れて、しかも訪問先は北京市内。)
この花の名前は、ムシトリナデシコ
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