遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

防衛大綱 閣議決定

2010-12-19 01:10:57 | 日本を護ろう
 6年ぶりの「防衛計画の大綱(防衛大綱)」が17日に閣議決定されました。
 北澤防衛相は、「民主党は安全保障関係、防衛構想について、定見がないと批判が一部あったが、十分に応えられるものができた」と胸を張ったのだそうですね。
 「動的防衛力」という従来の「基盤的防衛力」を変更した新しい概念を導入し、限られた予算枠での戦力の運用を変えることとし、南西諸島への中国の脅威に対抗したものとした点が注目されています。
 「カンカラ菅」が一旦は政治決断した「武器輸出三原則見直し」は、政局運営を政策に優先させ、社民党との連携を深めるため記述を削られましたが、安住防衛副大臣が首相に直言して、「国際共同開発・生産への参加をにらんで、方策を検討する」とし、含みを持たせ踏みとどまった様ですね。社民党との連携は、安全保障政策の違いから、早くも挫折しています。

 
「日米深化」踏み込めず 編集委員 勝股秀通 (12/18 読売朝刊)

 私たちはいま、「安全保障」や「防衛」という概念を、現実の問題として受け止めなければならない状況に直面している。
 経済力と軍事力を増した中国は、尖閣諸島を含む東シナ海の権益を強圧的に主張し、北朝鮮は度重なる挑発的な行動で東アジアの安定を脅かしている。
抑止力であるはずの日米同盟は、民主党政権の定見のなさにより、弱体化の方向に歯車が回り始めている。まさに今回の「防衛計画の大綱」改定は、こうした厳しい情勢の中で、政府が国民と同盟国、周辺国に向かって防衛の構えを示すものだ。
 中国軍の活動に懸念を示し、
南西諸島の防衛強化という具体的な地域名を挙げて、日本の意思を示したことは評価できる。しかし、安全保障の要である日米同盟に関する記述に新味はなく、日本が米国と緊密に連携し、国民の安全を守るとともに、この地域の安定を担っていく姿勢を打ち出しているか、といえば踏み込み不足の感は否めない。
 米国はかねて、日本に対し支援態勢と役割分担の強化を求めてきた。朝鮮半島が緊迫した段階で、韓国から邦人らを救出する行動はその代表例だが、「安全が確保されなければ自衛隊は出動できない」という現実離れした規定を放置しているため、「
自衛隊が国民を守れない」(防衛省幹部)事態が続いている。同盟を深化させるには真っ先に取り組むべき課題と思う。
 新大綱では、従来の基盤的防衛力に替わって、
動的防衛力という考え方を取り入れ、「常時継続的な情報収集と警戒監視」を、防衛力の役割の最上位に位置づけた。重要な指摘だが、それだけでは心もとないことを示したのが、過日の尖閣諸島沖の事案ではなかったか。先ごろ終了した日米共同統合演習で、米軍幹部が「素晴らしいプレゼンスを示すことができた」と胸を張ったように、他国が日本に力を行使することをためらわせるには、対処能力(パワー)に裏打ちされた警戒監視でなければならない。
 大綱の改定を、国の備えを考える好機としたい。


 中国、韓国の反応の記事が以下です。
 中国は、「一部の国に、国際社会の代表を気取って、無責任に中国の発展をとやかく言う権利はない」と抗議していますが、中国の脅威は世界中が認めていることで、胸に手を当てて考えればわかることですし、他国の事をとやかく言うなとは、そのままお返しする言葉です。
 韓国が冷静なのは、北の砲撃への対応に迫られている環境の変化によるものですね。

 

中国、海自増強を警戒 新大綱「とやかく言う権利ない (12/18 読売朝刊)

 【北京=佐伯聡士】中国外務省は17日、日本政府が東シナ海などでの中国の活動に警戒感を示す新防衛大綱を決定したことについて、「中国は平和発展の道を堅持し、防御的な国防政策を実施しており、いかなる人に対しても脅威となるつもりはない」と反論する報道官談話を発表した。その上で、「一部の国に、国際社会の代表を気取って、無責任に中国の発展をとやかく言う権利はない」と、強い不快感を表明した。
 「強大な海軍」を国家目標に掲げる胡錦濤政権は、遠洋能力向上を図るため、今年4月、沖ノ鳥島西方の太平洋上で実施した艦隊合同訓練を常態化させる方針を固めている。南西諸島周
辺での日本の潜水艦増強などが障害になるとみて、警戒を強めている模様だ。
 中国紙「中国青年報」は17日、新大綱について「
日本が専守防衛政策から離れるプロセスを加速し、(日本を)攻撃性を備えた軍事国家へと発展させるものだ」と非難する西安陸軍学院の専門家の論文を掲載した。

韓国「平和に貢献期待

 【ソウル=仲川高志】17日に閣議決定された新防衛大綱について韓国政府は、「朝鮮半島を含め、地域の平和と安定に貢献することを期待している」(外交通商省関係者)と冷静な受け止め方を示している。延坪島砲撃事件で朝鮮半島情勢が緊迫化する中、韓国政府関係者は「日本の防衛力強化への懸念はあるが、憂慮を示すばかりではいられいのも事実だ」と語った。

 国内の評論家では、「動的防衛力」に対し、懸念の声が多い様です。冷戦対応から時代の変化への対応は必要だが、「基盤的防衛力」での一定の戦力配備も抑止力として必要との意見がテレビの解説でも、寺島氏以外の多くの方々の見解の様に思われます。
 
動的防衛力どう機能 森本敏・拓殖大教授

 従来の防衛大綱ができた6年前と比べて一番大きな変化は中国だ。今回、初めて中国の海洋進出に本格的に取り組んだ。ポイントは新たな脅威にどう対処するか。陸海空自衛隊をどのように連携させ、機能させるかまで書くべきだった。
 「基盤的防衛力」とは規模や態勢に関する概念だったが、新たな「動的防衛力」では機能をどのように働かせるのか。陸自はそこに配置されていることが力の根源になる。もし、ロシアが侵攻してきたらどうするのか。基盤的防衛力構想を転換し、動的防衛力を構築するというが、次元の違う話のようで違和感がある。
 財政が極めて厳しく、その枠の中で増減を迫られ、海自、空自を増やし、冷戦型の陸自を減らすことになった。その理由付けとして、動的防衛力を言い出したのではないか。
 本当にそれで日本の脅威に満遍なく対応できるのか不安だ。

法と予算の手当てを 香田洋二・元自衛艦隊司令官

 今回の大綱は、「基盤的防衛力構想」から脅威を強く意識した防衛力整備にかじを切ったといえる。中国が念頭にあることは明らかだ。気になるのは、この方針のもとで今後10~15年にわたり防衛力を西方に重点配備していった時、逆に手薄になるところがないかということだ。中国の立場に立てば、いくらでも裏をかくことができる。戦略的あいまいさを残しておくべきだ。
 「動的防衛力」も、専守防衛という範囲を超え新しい分野に取り組んでいこうというかけ声はいいが、緊急人道支援が目的であっても調査団を出した後でしか自衛隊を派遣しないような現在のやり方を変えなければ、実態が伴わない。
 また、防衛費を増やさず、今の体制の中でやりくりすることになれば、結果として防衛力の質が落ちる恐れもある。「カラ号令」に陥らないような法的・予算的手当てが必要だ。



 「動的防衛力」の聞こえはいいが、内容詳細は未明(大綱はそういうものではありますが)で、予算削減のカムフラージュのきらいがあると...。
 軍拡競争は避けたいのですが、急速に増え続ける中国の軍事力に対し、削減を続ける日本の防衛予算。日米同盟にどこまで依存するのか、自前の力をどうするのか、ロシアも含めた風当たりが強くなった近隣諸国の日本の主権への攻勢(民主党の二代に渡る政権の失政が招いたものですが)への対応をどうするのか。
 北澤防衛相は胸を張っていますが、基本戦略は、いまだはっきり見えてきていません。というか、民主党内で統一された政策がまとめられていない。

 今後の基本戦略のまとめと、大綱の早急な具現化(例=武器輸出三原則の制定当初への復元、南西諸島の強化)を期待します。





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民主党政権では日本が持たない
中国、核ミサイルの標的 (角川oneテーマ21)


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