
警視庁の国際共有極秘資料の流出で、情報セキュリィティ管理の国際信用を失墜する事件で大混乱の政府機関ですが、続いて非公開を貫いている尖閣沖の漁船衝突ビデオが、「YouTub」で世界中に閲覧されてしまいました。
これまでも海自などの流出事件がありましたが、意図せずウィニーで流出するといった過失によるものでした。しかし、今回はいずれも確信犯が狙った標的を、狙った時期(APEC開催)に合わせて流出・暴露したという深刻なものです。また、内容の影響力も日本国が世界の一流国の座から降板せねばならないほどの大きなものです。
少し毛色は違いますが、昨夜NHKの「クローズアップ現代」で、「Wikileaks」を取り上げていました。
NHK クローズアップ現代 機密告発サイト・ウィキリークスの衝撃
内部告発で提供されるものを、審査・検証し公開するのだそうですが、米・クリントン長官はアフガンの米軍の動画を、米軍兵士の安全ひいては米国の安全にかかわる犯罪として追及すると、創設者・ジュリアン・アサンジ氏を追跡しているのです。それは、米国だけでなく、オーストラリアほかの国々でも、検閲が強化されるのだそうです。インターネット上の情報サイトは、その伝搬力の速さと、使用者人口の大きさでは、既存メディアに匹敵する新しい情報伝達手段として社会での地位が確立されてきていると言えます。
今回の連続した二つの情報流出は、「Wikileaks」に駆け込んではいませんが、内部の関係者による流出(流出したものの世界への流布とは別)が、ハッカー説と共に犯人と疑われています。内部告発の手口と背景について、公安データ流出の記事を見て、尖閣のビデオともども考察してみましょう。
警視庁外事3課の内部資料とみられる文書がファイル共有ソフト「ウィニー」上に流出してから4日で1週間。捜査当局から情報が流出した事件は、これまで過失によって引き起こされることが大半だったが、今回は悪意に基づく行為だった可能性が高い。内部犯行なのか、それとも外部からのサイバー攻撃で抜き取られたのか。流出したファイルに残された痕跡などから浮かび上がるのは、ITの知識に精通した犯人像だ。
■犯人像
「ファイル名で興味をひき、情報を一気に拡散させる狙いだったのでは」
情報セキュリティー会社「ネットエージェント」(東京)の杉浦隆幸社長は、流出した圧縮ファイル名からこう分析する。
流出したのは114点の内部文書が入った圧縮ファイル5点。中身は同じだが、ファイル名はそれぞれ違う。警視庁公安部長の名字をつけたり、携帯型ゲーム機の「裏マニュアル」や、アイドルの「ヌード写真集」と称したりして、幅広い層の興味をひく狙いとみられる。狙い通り、ファイルがウィニーで公開されたのは10月28日から29日にかけての1日だったが、多くの掲示板サイト上に転載された。
114点のうち108点は「PDF」と呼ばれる形式の電子文書だった点から、「ITの知識が豊富な人物」とみるのは、電子情報の調査・解析を手がける「UBIC」(東京)の担当者だ。警視庁は内部資料を日本の文書作成ソフトで作成している。元の文書形式のままでは、互換性のないパソコンだと読み取れないケースもあるが、PDFであればほぼ100%読み取りが可能。元の文書形式に残る作成者や作成日時などの情報も、PDFに変換すれば消せる。「誰でも見られるようにし、痕跡を消すことが狙いだったのだろう」と担当者は推測する。
■サイバー攻撃?
今回流出したとみられる文書が保管されているサーバーは、インターネットには接続されていない。このため、警視庁は「外部からの侵入は困難」と説明するが、大手セキュリティ会社は「侵入方法はいくらでも考えられる」と指摘する。
例えば、ウイルス付きのメールを公安部幹部に送りつけ、幹部がうっかりファイルを開くとパソコンを感染させてしまい、内部のネットワークに侵入を許してしまう可能性もある。
■ずさん管理
庁内に出入りする人物による情報持ち出しだった場合、USBメモリーなどが悪用された可能性が高い。公安部では、公用パソコンでしか使えない処理をしたUSBメモリーの使用を原則としているが、一部の管理職のパソコンに限り、私用のUSBメモリーも使用できる設定だった。その際も、ノートに氏名や保存する文書名などを記載するだけといい、USBメモリーで文書を外部に持ち出すことは不可能ではなかった。
警視庁では外事3課の幹部の私用パソコンを提出させると同時に、それ以外の課員にも私用パソコンの提出を指示。USBメモリーを使用した痕跡が残っていないかどうかについても調べる方針だ。
ルクセンブルクに協力要請 警視庁方針発信元の特定図る
警視庁外事3課の内部資料とみられる文書がインターネット上に流出した問題で、警視庁は、文書が流出する際に経由したルクセンブルクのサーバーの通信記録を確認する方針を固めた。発信元を特定するためで、近く、現地の捜査当局に協力を求める。
同庁幹部らによると、流出した計114点の文書は、10月28~29日、更新日などが残らないPDFと呼ばれる電子文書形式に変換され、ファイルに圧縮されてファイル共有ソフト「ウィニー」のネットワーク上に流れた。
同庁で調べたところ、これらの文書はルクセンブルクにある会社のサーバーを経由して流出していたことが判明。捜査が及びにくい海外のサーバーを経由することで、発信元を特定しにくくする狙いがあるとみられている。同庁は今後、現地の捜査当局にサーバーの通信記録の提供などを依頼する方針。同国では現在、同庁の外事1課長や副総監などを歴任した末綱隆・宮内庁東宮侍従長が大使を務めている。
犯人の動機から犯人像を推察してみましょう。
1.鳩の日米同盟の破綻に始まる大失政に乗じて、日本の混乱と孤立化を推進させる。
⇒ 「竹島」の推移を見守りつつ機をうかがっていた中国が、この隙をみすかして攻勢に出て、ついに火事場泥棒ロシアも食指を伸ばしてきました。APECを直前に控えての重大かつ極秘の国際情報の管理の失態を起こすことで、日本をアジアでのリーダーの地位から引きずりおろすことを狙えます。
その犯人が、直接ハッカー行為をするか、内部にスパイを育成するか、不満分子から情報を入手する。
2.自国の国内の勢力争いで、相手側に不利な状況を作り出し、追い落とす。
⇒ 中国もロシアも日本の民主党内も、勢力争いが最近特に激しくなってきています。十分に可能性がある見方だと思っています。
3.内部の憂国の士による、失政が続く政権の転覆を図るもの。
⇒ 政権転覆とともに、日本の世界での地位も大幅に陥落する結果を産み出してしまいそうです。
[3.]の説が、マスコミの解説の中では主流のようです。
遊爺は、事件発覚時当初は、北朝鮮を含めた近隣国による[1.]が、先ず想い浮かびました。
情報の所在が特定のお役所に限られていることから、政府・与党の上層部で入手しやすいとした、[2.]の民主党内部説もある様ですね。
次に漏えいの場所を考えてみましょう。
1.情報流出は、内部の者の犯行が圧倒的であることは、過去の実績でも明らかですね。特に、外部委託業者であることが実績もでていたはずです。公安データでは、一斉にPDFへのデータ変換を実施(読売のこの記事は犯人がPDF化したとしていますが)しています。尖閣ビデオは、事件発生時に仙谷氏、前原氏などの一部の人間に編集して見せたり、国会議員に編集して見せたりしています。この時のデータ移動や、編集作業時には、多くの種類の内部の実作業者が手に触れているはずです。流出データを作成する絶好の機会でした。
作業者が個人で持ち出し資料を作成した場合は、犯人の動機[1.]の内部で育成されたスパイや、[3.]とリンクします。
2.サーバは対策十分との過信(=公安情報)が気がかりですが、パソコンやパソコンに接続する記憶媒体の管理がどこまでなされているのか。情報へのアクセスや移動に、自己申告の手書きノートで管理されているものがある様子で、大きな抜け穴がある情報管理システムだと言えます。
漏えいの場所と動機の両方を重ねて考えると、憂国の士説が確立が高くなります。
遊爺は、動機の[1]説が捨て難いです。中国人民解放軍が犯人との想定となります。
日本政府から流出したということで、将来の公開された場合に先立ち日本政府との立場が優位に立てます。既に多くの日本のメディアや政治家は、中国の反応に戦々恐々とし、腰が引けています。衝突の内容も、一回目の「よなくに」との衝突は、左旋回している「よなくに」が航路を塞ぎよけきれなかった(漁船も左に舵を切っている航跡なのであてに来ていることは明白ですが)と主張してくることは明白で、日本人の専門家としてテレビ出演した解説者にもそれを完全否定はできない(漁船を停止させ乗り込んで調査・逮捕のためには航路を塞ぐ必要がある)としています。
政府は、来週頭には調査結果を報告すると言っていますが、どこまで究明できるか。早急な究明ができないと、さらに信用を失うことになりますね。
合わせて対策の再構築が必要ですが、ここでは多くは触れません。「漏えいの場所」で少し触れた部分が肝と考えますが、教科書どおりのものではなく、現場の最前線を自己申告ではない方法で網をかけることが必要です。
【注】YouTub で、アップされた動画は、アップした本人の手ですぐに削除されたのだそうですが、コピー版が多数アップされていて閲覧できます。すでに、テレビで頻繁に放映されていますので、ここではリンクはしません。6本中の 3本の衝突時の映像を含むものは、以下でリンクしていますので、ご覧ください。
尖閣の流出ビデオ まだ閲覧できている:イザ!




![]() |
![]() |