遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

河野駐露大使帰国の次の矢は?

2010-11-04 00:16:12 | EEZ 全般
 露・メドベージェフ大統領が国後島を訪問しました。日露間の平和条約締結に向けた、北方四島の交渉の歴史を反故にし、露の姿勢を大きく転換をすることを世界に誇示する、日本への冒涜の姿勢を示したものです。
 前原氏は、「実施されれば重大な事態を招く」としていた言葉の一つ目の矢を放ち河野駐露大使を帰国させました。メドベージェフ政権は、色丹・歯舞を訪問すると更なる強硬手段で切り返してきました。「重大な事態を招く」として準備している次の矢を示さねばなりませんが、それは仙谷氏がいう経済協力の見直しなのでしょうか?
 
一時帰国の大使、露大統領の国後島訪問を報告 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
 
対露ビジネス停滞も 大型事業続々経済界に不安の声 (11/3 読売朝刊)

 ロシアのメドベージェフ大統領の北方領土・国後島訪問を巡り、仙谷官房長官が2日、ロシアとの経済協力を見直す方針を表明
したことで、対露ビジネスの冷却化は避けられない見通しとなった。原油や天然ガスなどのエネルギーの輸入先や、自動車などの販売市場として、日露経済は結び付きを強めていただけに、経済界は今後の日露関係の動向に神経をとがらせている。(愛敬珠樹)

 経済同友会の桜井正光代表幹事は2日の記者会見で、「現政権は外交戦略が不足している」と批判し、
日露間の外交上の対立が、経済面にまで悪影響を及ぼさないよう求めた

 日本政府は、ウラジオストクで液化天然ガス(LNG)の基地の建設計画を、石油資源開発や伊藤忠商事とともにロシアに提案中だ。東芝は、ロシア国営企業と濃縮ウランの備蓄化で合意しているほか、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)も10月にシベリアで、埋蔵量1億揮の油田を発見した。
 経済界には、今回の対立でこうした大型事業が滞るのでは、との不安の声が聞かれる。
 日露関係は、2007年に「サハリン2」の開発権益を巡って、開発主体の国際石油資本ロイヤル・ダッチ・シェルや三井物産、三菱商事の3社が、国営ガス大手ガスプロムに権益の過半数を半ば強引に買い取られ、一時、関係が悪化した。
 ただ、その後は、拡大するロシアの内需を見込んでトヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車などが相次いで現地生産を進めている。さらに今年からシベリア産原油の輸入が始まるなど関係改善が進み、経済面のつながりを強めている。
 三井物産は2日の記者会見で、今後も投資を継続する方針を示すなど、ロシアに進出している企業の間では、今回の措置により、大幅な戦略見直しは必要ないとの見方が多い。
 ただ、今後、日露関係が一段と悪化すれば、ビジネス面での停滞は避けられず、「ロシアと経済のつながりを急速に深めている韓国や中国、欧州企業に後れを取ることになる」との懸念も出ている。

日産・ルノー、露最大手を傘下に

 【モスクワ昌貞広貴志】ロシアの
プーチン首相
は2日、モスクワ近郊で日産自動車のゴーン社長と会談し、日産・ルノー連合による露自動車最大手アフトバ[スへの出資比率を現在の25%から50%に引き上げることに基本同意した。
 ロシア通信によると首相は会談で、
「(日産・ルノーの)追加出資を歓迎する」と言明
した。アフトバスの大株主である投資会社トロイカ・ダイアログ社は「検討されているのは50%プラスー株だ」と述べ、日産・ルノー連合がアフトバスの経営権を握る方向であることを明らかにした。
 同じく大株主である国策企業も保有株売却に前向きの姿勢を示しており、今後、交渉が本格化する。アフトバスは「ラーダ」ブランドを持ち、露政府の新車販売奨励策もあって売り上げを伸ばしている。

 遊爺は、かねて露からの資源購入に反対を唱えてきました。記事に書かれている「サハリン2」の露の姿勢がその理由です。これは記事の日本政府も出資する「サハリン1」でも同様の横やりを受けていますし、そもそも北方四島をソ連が実行支配した経緯が、終戦のドサクサに紛れ、平和条約を無視した火事場泥棒によるものなのです。つまり、ソ連、ロシアは、自分の都合で約束は平気で反故にする国なのです。
 ロシアに石油やガスを依存しているオランダなどの欧州の国々がその供給を政治利用され、脱露を模索している現状が、露に資源供給を依存することが、どういう事態を招くか示しているのです。

 露の経済発展は、資源高騰によるもので、経済政策など国の産業活動によるものではないことは、露の中の心ある自由主義思想の活動家が警鐘を鳴らしていました。つまり、資源の下落や他への切り替えが進むと、ソ連崩壊時の状況に戻ってしまう構造なのです。
 樺太やシベリアでの開発分をアジアへ売ろうとしています。サハリン1, 2の産出分も日本や中国での購入をあてにしていますが、日本の大口消費企業はスポットでの対応程度でしか応えていませんでした。
 それが、インドネシア、オーストラリアといった天然ガスの主要供給元が値上げや数量制限を打ち出したこと(豪は新田開発でそれほどでもない)で、供給先を多様化したい。最近では、米国の圧力で、イランでの油田開発撤退をした代替えの供給元が必要。といったことから、タブーのロシアからの供給に手を染めようとしています。
 しかしそれは、けっして安定供給が望めるものではなく、欧州各国の二の舞になるだけですから、ほかの供給先や、代替え品を最初から探したほうがよいことです。

 ロシア国内への販売は反対しませんが、そんなリスクの大きい国ですから、それなりの覚悟で臨むべきですし、儲かり始めたら横取りされますから、いつでも撤退出来る準備が欠かせないのです。
 政経分離は、中国以上に難しいでしょう。桜井代表幹事の気持ちはわからないではないですが、リスクは覚悟の上での国であることの理解が必要でしょう。

 もう一つ大事な見方があります。
 メドベージェフ氏の、戦勝記念日制定などからの一連の強硬姿勢は、大統領戦に向けたものだという説です。メドベージェフ氏は、プーチン氏の任期制限での一時離職の間のつなぎの大統領だったはずです。ソ連崩壊のどん底から、ロシア帝国時代を思わせる繁栄を生み出した(資源高騰によるものですが)大統領として、絶大な人気を誇るプーチン氏と、大統領の座を争い始めています。(例=モスクワ市長解任で対立)しかも、支持率が肉薄してきているのだそうですね。あのプーチン氏に勝てるとは、とても思えないのですが。
 ゴーン氏は、プーチン氏と接触しているのですね。

 大使の帰国や召還は、開戦にもつながる手といわれ、多くの矢(外交策)の準備と、実行が必要とされています。日本政府が準備し、放つべき矢がどのくらい準備されているか、お手並みを拝見するしかありませんが、たとえば、露の懸案事項の旧ソ連の国々との紛争などに口を出すなど、ソ連包囲網への参画があげられています。
 仙谷氏の知人などのマイナーな変化球ではなく、外務省のプロや、与野党の人脈(対露では鳩という貧弱さですが)を、国を挙げて駆使し、発動した「重大な事態」を、慎重かつ迅速に日本のペースで進めていただけるよう願っています。 
 プーチン氏との人脈の強化・拡大も急がれますね。


 


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石垣島最北端の平久保崎灯台

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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
 



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