遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

アジア新興国の「時限爆弾」 高い若年失業率

2024-09-01 01:33:55 | my notice
 高い経済成長率を誇るアジアの国々でも、中には隠された不都合な現実がある。若い労働者が根強い高失業率と闘っていることだと、WSJ ジョン・エモン。

 
アジア新興国の「時限爆弾」 高い若年失業率 - WSJ 

 高成長でも失業率2ケタ、数千万人の若者の足かせ by ジョン・エモン 2024年8月30日

 アジアの中でも高い経済成長率を誇る国々には、隠された不都合な現実がある。若い労働者が根強い高失業率と闘っていることだ

 バングラデシュは長らく、極度の貧困からの脱却を遂げた発展モデルとされてきた。経済成長率はここ10年間、年平均6.5%を記録している。ただ、国際労働機関(ILO)のデータによると、若年層の失業率はこの数年で16%に上昇し、少なくともここ30年で最悪の水準にある。

 
若年失業率は中国とインドもバングラデシュ並みの高さで、インドネシアは14%、マレーシアは12.5%だ



 
これらの国を合計すると、15~24歳の3000万人が就業を希望しながら職に就けていないことになる。ILOのデータによると、これは同年代の世界全体の失業者(6500万人)の半分弱を占める

 
この数字は若者の方が雇用されやすい米国や日本、ドイツといった経済大国には劣るものの、低成長の南欧諸国ほど悪くはない。イタリアとスペインでは若者の約4分の1が職を得られずにいる。

 
中国のような幅広い製造業の基盤がなく、若年失業率が2ケタに達しているアジアの国では、発展への道筋とそれがとん挫した場合にのしかかるコストが目先の問題として立ちはだかる

 
バングラデシュで今月起きた騒乱の主因は、将来の見通し悪化に対する怒りだった。学生の大規模デモを受けて、15年余り首相の座にい続けたシェイク・ハシナ氏が辞任に追い込まれ、国外に逃亡した。インドでは、2024年3月期の経済成長率が8%だったものの、ナレンドラ・モディ首相率いる与党が今年の総選挙で単独過半数を割り込んだ

 インドの若年失業率はここ数年で低下したとはいえ、依然として世界平均を上回る。
雇用の少なさがモディ氏に対する支持低下の主因だとアナリストは指摘する。

 
中国政府は昨年、若年失業率が過去最悪の2割超に達した後、同統計の公表を一時的に停止した。インドネシアの経済成長率は5%と堅調だが、鉱業の拡大によるところが大きい。同分野は重機を多く使うが、人員はそれほど必要としない。

 
多くの国で、20代でも安定した仕事を見つけにくくなっている。南アジアでは昨年、25~29歳の就業者の71%が自営業や臨時雇いなどの不安定な職に就いていた。

 
若年層の失業率が労働力人口全体より高いのは世界的傾向だ。だがこのことが、中国のような発展を目指すアジアの多くの途上国に重要な問いを突き付けている。「繁栄へのはしごは折れてしまったのか?」という問いだ。

 
バングラデシュは、世界の衣料品工場として西側の大手ブランドのジーンズやシャツ、セーターを生産することで貧困を脱した。数百万人が農業をやめて工場で働くようになった。

 だがそこで行き詰まった
。電子機器や重機、半導体のように高技能・高賃金の仕事を生む、より複雑で高付加価値の製造業に移行できずにいる日本や韓国、中国は、こうした移行を通じて経済的に大きな成功を収めた。いまやそこへ向かう道は、はるかにきつい上り坂だ

 
これから成功を目指す国は、やり手の中国と競争しなければならない。米国などの先進国は製造業の国内回帰を進めている。自動化で状況は変わりつつある。バングラデシュの主要な成長エンジンである衣料品生産でさえ、人力より機械に頼っている

 
衣料品の輸出はここ10年で倍増したが、同部門の雇用の伸びはこれを大きく下回る

 労働力需給のミスマッチも顕著だ。アジアの途上国では、
高等教育を受けて大学の学位を取得する人が年々増えている卒業生は設計やマーケティング、テクノロジー、金融といった分野のホワイトカラー職を希望するだがこうした仕事は国内に多くない

 
インドはIT産業を発展させたことで知られるが、雇用できる人数は限られており、人工知能(AI)がそうした仕事の一部を奪っている。ベンガルールのアジム・プレムジ大学が公式データを基にまとめた23年の報告書によると、国内の25歳未満大卒者の失業率は40%を超える。一方、読み書きはできるが小学校を卒業していない同年齢層では11%だ。

 フィンランドにある国連大学世界開発経済研究所のクナル・セン所長は、「父親も母親も受けていない教育を自分は受けていたら、親と同じ仕事には就きたくないだろう」と話す。「この問題を政治指導者は理解していないようだ」

 
バングラデシュ政府の22年の調査によると、大卒者の失業率は労働力人口全体の3倍に上る名門ダッカ大学の図書館は、公務員試験の準備に励む無職の卒業生であふれている。中には試験を受けるのが3回目という人もいる。20代後半で親に養ってもらっている人も多い

 アクタルザマン・フィロズさん(28)は21年に社会学の修士号を取得し、50件の求人に応募したものの就職できていない。今年は公務員職に応募し、500人が二つの職を競い合った。フィロズさんは最終選考まで残ったが不合格となった。

 地方の故郷で初級公務員をしている父親から金を借りてなんとか生活している。父親は最近、心臓の手術を受けた。フィロズさんは人生のパートナー探しを先延ばしにしている。「自分の家族に対して責任を持てなければ、結婚なんてできるわけがない」

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ジョン・エモン ウォールストリートジャーナルレポーター
 シンガポールを拠点とする東南アジアの記者です。彼はアジアの政治的および経済的発展について書いており、アジアでのCovid-19の蔓延からロヒンギャ危機、そして発展途上国における自動化の影響に至るまで、さまざまなトピックをカバーしています。

彼は以前香港に拠点を置き、アジアでの売り手の採用を求めるアマゾンの取り組みや香港の抗議運動などについて書きました。2020年、彼はWSJチームの一員であり、Amazonでのシリーズは調査報告におけるピューリッツァー賞のファイナリストでした。


 バングラデシュは長らく、極度の貧困からの脱却を遂げた発展モデルとされてきた。経済成長率はここ10年間、年平均6.5%を記録している。ただ、国際労働機関(ILO)のデータによると、若年層の失業率はこの数年で16%に上昇し、少なくともここ30年で最悪の水準にある。
 若年失業率は中国とインドもバングラデシュ並みの高さで、インドネシアは14%、マレーシアは12.5%だと、ジョン・エモン。

 これらの国を合計すると、15~24歳の3000万人が就業を希望しながら職に就けていないことになる。ILOのデータによると、これは同年代の世界全体の失業者(6500万人)の半分弱を占めると。

 この数字は若者の方が雇用されやすい米国や日本、ドイツといった経済大国には劣るものの、低成長の南欧諸国ほど悪くはない。
 
 中国のような幅広い製造業の基盤がなく、若年失業率が2ケタに達しているアジアの国では、発展への道筋とそれがとん挫した場合にのしかかるコストが目先の問題として立ちはだかる。

 バングラデシュで今月起きた騒乱の主因は、将来の見通し悪化に対する怒りだった。学生の大規模デモを受けて、15年余り首相の座にい続けたシェイク・ハシナ氏が辞任に追い込まれ、国外に逃亡した。

 インドの若年失業率はここ数年で低下したとはいえ、依然として世界平均を上回る。雇用の少なさがモディ氏に対する支持低下の主因となり、与党が今年の総選挙で単独過半数を割り込んだと、ジョン・エモン。

 中国政府は昨年、若年失業率が過去最悪の2割超に達した後、同統計の公表を一時的に停止した。

 多くの国で、20代でも安定した仕事を見つけにくくなっている。若年層の失業率が労働力人口全体より高いのは世界的傾向だ。だがこのことが、中国のような発展を目指すアジアの多くの途上国に重要な問いを突き付けている。「繁栄へのはしごは折れてしまったのか?」という問いだと。

 バングラデシュは、世界の衣料品工場として西側の大手ブランドのジーンズやシャツ、セーターを生産することで貧困を脱した。数百万人が農業をやめて工場で働くようになった。
 だがそこで行き詰まった。
 高付加価値の製造業に移行できずにいる。日本や韓国、中国は、こうした移行を通じて経済的に大きな成功を収めた。いまやそこへ向かう道は、はるかにきつい上り坂だ。

 これから成功を目指す国は、やり手の中国と競争しなければならない。
 バングラデシュの主要な成長エンジンである衣料品生産でさえ、人力より機械に頼っている。
 衣料品の輸出はここ10年で倍増したが、同部門の雇用の伸びはこれを大きく下回るのだそうです。

 労働力需給のミスマッチも顕著だ。アジアの途上国では、高等教育を受けて大学の学位を取得する人が年々増えている。卒業生はホワイトカラー職を希望する。だがこうした仕事は国内に多くない。

 インドはIT産業を発展させたことで知られるが、雇用できる人数は限られており、人工知能(AI)がそうした仕事の一部を奪っている。国内の25歳未満大卒者の失業率は40%を超えると、ジョン・エモン。

 バングラデシュ政府の22年の調査によると、大卒者の失業率は労働力人口全体の3倍に上る。名門ダッカ大学の図書館は、公務員試験の準備に励む無職の卒業生であふれている。中には試験を受けるのが3回目という人もいる。20代後半で親に養ってもらっている人も多い。
 
 高学歴の若者の失業率が高いアジアの諸国。
 これからどんな方向に向かうのでしょう。バングラデシュと同じ道を進むのでしょうか。


 # 冒頭の画像は、中国・台州で開かれた就職説明会



  この花の名前は、ジニア・プフィージョン


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