遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日露首脳会談 プーチン大統領の圧勝

2016-12-17 23:58:58 | ロシア全般
 日露首脳会談は、平和条約には、先ず日本が誠意を見せろ、G7での経済制裁から外れろとのプーチンの要求が通り、日ソ共同宣言では、主権については触れられておらず、平和条約締結後もロシアが主権を有すると、「引き分け」発言から逆に後退した内容で、経済支援・協力だけが、両国関係者が何度も書類を交換するセレモニーで終わりました。
 直前の読売新聞・日本テレビのインタビューから予測は出来ましたが、想定以上に、一方的なロシアの要求ばかりが通った結果でした。
 また、ほぼ同時進行で、欧州の対露制裁延長、オバマ大統領による、プーチン大統領へのサイバー攻撃非難があり、日本の経済協力の逆行した姿が浮き彫りになるといった、タイミングの悪さも重なりました。
 中国の力による現状変更と闘っている日本。力による現状変更を改めないロシアと、このまま融和を続けてよいのでしょうか。
 

露外交 我慢比べ 米欧制裁 譲歩せず情勢変化待つ (12/17 読売朝刊)

 
【モスクワ=畑武尊】ロシアのプーチン大統領はウクライナやシリア情勢を巡る米欧との対立を「忍耐外交」で切り抜けている。関係改善に向け自ら歩み寄ることなく、国際情勢や相手の立場の変化を待つ戦術だ。強大な国力と事実上、任期に縛られず国内の不満を封じる強権統治が対外政策での「粘り」の源泉だ。

「突き破った」
 
「プーチン大統領は日本訪問を通じ対露制裁を突き破った」

 
タス通信によると、ロシア下院のレオニード・スルツキー国際問題委員長は16日、プーチン氏の訪日の成果をこう評価した。
 日露首脳が関係強化について話し合った15日、
米政府高官はサイバー攻撃による米大統領選への介入に、プーチン氏が関与したと指摘した。欧州連合(EU)は同日、ウクライナ情勢を巡るロシアへの制裁を来年1月の期限後も半年延長
することを決めた。
 
米欧ともロシアに厳しい姿勢を確認
したが、プーチン政権がサイバー攻撃を認めることも、制裁の発端となったクリミアをウクライナへ返すこともまずない。ウクライナと並ぶ米欧との対立要因であるシリア情勢でも、ロシアはアサド政権の存続を一貫して主張する。
 ロシアと米欧の対立が決定的になったのは、2014年3月にロシアがクリミアを併合したことだ。先進7か国(G7)とEUは、プーチン政権に併合撤回をせまるため制裁に踏み切った。制裁はロシア経済に打撃を与えたものの、最終的な目標である政策変更にはつながっていない。
制裁から2年以上が過ぎた現在、ロシアの基本的な立場が変わらないままロシアを取り巻く国際環境の方が急速に変わりつつある。


得意技
 制裁を主導する
米国では約1か月後、オバマ大統領が退任し対露関係の改善に前向きなドナルド・トランプ氏が就任する。EU内で対露強硬派の英国は国民投票でEU離脱を決めた。フランスでは来春の大統領選で、プーチン氏と親交のあるフィヨン元首相の当選が有力視される。難民問題、緊縮財政を巡り足並みが乱れるEU内の政治状況が変化すれば、ロシアの「封じ込め」を見直そうとの動きが強まる可能性がある。
 エネルギーを中心にロシアで長くビジネスを担当する経済人は「
我慢比べはロシアの得意技。米欧が折れるのをロシアは待ち続けるだろう
」と指摘する。


日露首脳会談 中国 包囲網強化を警戒・米は静観

 ロシアのプーチン大統領が約7年半ぶりに来日して安倍首相と会談したことに対し、米国や中国、欧州では、様々な思惑が交錯している。

 【北京=蒔田一彦】
中国は、プーチン氏の訪日を機に、日本とロシアが接近することを警戒している。日本が中露を引き離そうとしている
とみて、日露接近をけん制する報道も目立つ。
 
国営新華社通信は15日夜に配信した論評記事で、日本が「ロシアを引き寄せる意図は対中包囲網を強化することだ」とし、「このような打算は必ず当てが外れる」と決めつけた。16日付の中国紙・環球時報は日本が、中国に対するロシアの立場を変えさせることは絶対に出来ない
」とする専門家のコメントを掲載した。
 習近平政権は、プーチン政権との間で構築した親密な関係を、日本や米国に対抗するカードとして利用してきた。中国外務省の耿爽(グォンシュアン)副報道局長は16日の定例会見でも、「中露は全面的戦略協力パートナーだ。我々はロシア側と共に引き続き関係を深化させたい」と述べ、中露関係は盤石だと改めて強調した。同日付の中国共産党機関紙・人民日報も「複雑で変わりやすい国際情勢の下、中露は世界の安定維持に重要な役割を発揮する」と主張。
中国側の、中露の蜜月は変わらないとの考えが繰り返し示されている


「なぜ信頼する」
 【ワシントン=大木聖馬】米政府は日露首脳会談について、静観する構えだ。ただ、米政府内には、プーチン氏の政治手法を踏まえ、会談の成果に懐疑的な声も多かった。
米メディアには「プーチン氏は領土問題でほとんど譲らなかった」
(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)との見方が早くも出ている。
 米国務省のカービー報道官は15日の記者会見で、日露首脳会談について、「主権国家が決定したものであり、我々が会談や会談の中身を判断する立場にはない」と述べた。カービー氏は「国家が意味のある対話、議論をし、2国間の関係を改善させることは重要だ」と述べ、会談自体を否定することもしなかった。
 しかし、
オバマ政権は、ロシアによるクリミア併合や、サイバー攻撃などを巡り、プーチン氏に対する不信感を募らせてきた。政権内からは「なぜ安倍首相はプーチン氏を信頼できるのか
」といった声も出ていた。

「露の大きな勝利」
 【ロンドン=角谷志保美】欧州もプーチン氏の訪日を注視している。
英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は16日、日露首脳会談について、「クリル諸島(北方領土を含む千島列島)での協力で合意」との見出しで速報した。北方領土での「共同経済活動」については、「ロシアのいかなる主権も認めてこなかった東京にとっては大きな一歩だが、モスクワ側から目立った譲歩はなかった」と分析。「プーチン氏の大きな外交的勝利とみられる」と結論付けている。


 タス通信が、「プーチン大統領は日本訪問を通じ対露制裁を突き破った」と報じたのだそうですが。欧州による制裁延長が発表される中、あの経済協力の延々と続いた文書交換のデモは、G7の制裁の団結を崩した証として、ロシアにはおおきな朗報となったことでしょう。
 旧来の主力ガス田の枯渇に伴う、極東や北極圏での開発に迫られているロシア。資源価格下落と、G7の経済制裁で困窮が進み、日本に擦り寄っていたのですが、プーチン大統領を高評価するトランプ次期大統領の出現で、対日接近姿勢と歩調が止まったり、領土問題では逆行してしまいました。
 田崎氏は共同開発なので、すすめれば日本企業にも利益はあると親安倍ぶりを展開し、鈴木宗男氏は、領土返還交渉のスタートになったと燥いでいます。

 オバマ大統領にすれば、「だから警告してたでしょ」と言いたいところでしょう。
 中国は、日露の接近に警戒を高めたでしょうが、対露関係の蜜月ぶりを喧伝し、関係の蜜月さを懸命に主張しています。

 諸外国の眼から見ても、プーチン大統領の完勝に見えた今回の両国首脳会談。
 領土問題については、ロシアの主権を譲らない姿勢がはっきりしたことは収穫でしょう。北極海、太平洋、そして東シナ海、南シナ海への軍事力展開の拠点として、重要性が増しているロシア。日米同盟も加味すれば、手放すにはデメリットばかりで、利益はありません。つまり、手放せない。
 領土の主権を取り戻すことは可能なのか。特別の制度で共同開発といいますが、具体的な案はなく、これから両国で模索という雲をつかむような話。
 領土も主権も帰ってこない前提で、ロシアとどう付き合っていくのか。日本の対露外交戦略の見直しが必要です。
 エリツィン大統領時代の様な財政逼迫に追い込んで、領土と経済支援をセットで臨む。勿論、G7と協調する進め方が必要です。今、購入しているガスや石油の不買で圧力をかけるなど、経済支援を逆にカード化するというのはいかがでしょう。



 # 冒頭の画像は、プーチン大統領を迎えた、安倍首相夫妻




  キクバヤマボクチと蜂


↓よろしかったら、お願いします。



写真素材のピクスタ


Fotolia


ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)





コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 12月16日(金)のつぶやき | トップ | 12月17日(土)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2016-12-18 07:11:05
酷い結果だ。地元まで呼んで遅刻され、ロシアに領土問題はないとまで言われる。ここまでされても経済協力というお土産まで渡す始末。

二階幹事長が「国民ががっかり」と述べ、産経新聞ですら「引き分けより後退」と述べるのも当然の結果だった。

ウシャコフ補佐官も「共同経済活動はロシアの法律だけに基づいて行われる」と述べている。日本はこれまでこういった主権の問題から経済協力をしなかったのに、安倍首相はこれを反故にしてしまった。これは事実上北方領土の主権はロシアにあると思われても仕方がない。最悪だ・・。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ロシア全般」カテゴリの最新記事