遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

シンガポールとフィリピンと中国と...

2011-06-13 00:25:53 | EEZ 全般
 南シナ海での中国の派遣拡大行為によるトラブルが増えていることは諸兄がご承知の通りです。ASEAN + 米国での対抗強化が昨年来ベトナムの主導で進んでいましたが、先の「アジア安全保障会議」ではベトナムが孤軍奮闘し米国が牽制しましたが、中国の札束攻勢でASEAN各国間の分断が功を奏していました。
 各国での取り組みに差がある中で、シンガポールとフィリピンの対比を取り上げている記事がありました。
 

【土・日曜日に書く】シンガポール支局長・青木伸行 中国の脅威が問うもの (6/12 産経)

 
≪生き残りへの“保険金”≫
 東南アジア諸国の軍事力は基本的に、国内の治安対策に対応する程度のものである。そうした中にあって実は、シンガポールだけは違う。「相手に『攻めない方がいい』と思わせるだけの軍事力を備えている」(東南アジア軍事筋)という。
 おしなべて言えば、シンガポールは、国内総生産(GDP)の5%、国家予算のおよそ4分の1をも国防予算に費やしている。額でいうと約95億ドル(2011年度)。フィリピンの約20億ドルなどを大きく上回っている。国防費のGDP比を、15年までに1・5%に引き上げようとしているインドネシアや、現行で2%程度のマレーシアと比較すると、シンガポールがいかに国防力の強化に力を入れているかがわかる。
 装備を概観してみよう。潜水艦5隻、フリーゲート艦など艦船41隻、F16D戦闘機をはじめ航空機106機、対艦ミサイル・ハープーンに546台の戦車…。東南アジアで最も早く早期警戒機E-2Cを導入するなど、装備の近代化も推進してきた。こうした軍事力は、海洋国家であり、国土が東京23区よりやや大きい程度のシンガポールには十二分だといえる。
 “手厚い”軍事力整備を可能にしているのはまず、14・5%(10年)という高い経済成長率である。カネがなければ国防もままならない。そして、何より
「抑止」を政策の柱に掲げるなど、国防意識の高さを指摘できるだろう。国家予算に比しての膨大な国防予算は、1965年以降の独立を守り、「経済国家」として生き残るための“保険金”
なのだ。
 シンガポールはまた、米国の「主要な安全保障協力パートナー」として、アジア・太平洋地域における米軍のプレゼンスを支えてもいる。米海軍の艦船はシンガポールの海軍基地などを使用し、中東などにおける「有事」に迅速に対応する態勢の一助となっている。中国の海洋覇権拡大の動きに伴う南シナ海などにおける緊張の高まりを受け、米軍の軍事施設使用が強化される可能性も指摘されている。
 一方、シンガポール空軍のF15SG、F16戦闘機がそれぞれ、米アイダホ、アリゾナ州に常駐し、飛行訓練を行っていることは、あまり知られていない。

 ≪「カネがない」同盟国≫
 南シナ海での中国の覇権拡大の動きに今、
最も「まずい」と頭を抱えているのが、フィリピン
であろう。国防予算に多くを割くほどの「カネがない」というフィリピンは、フリーゲート艦は1隻だ。残る64隻は哨戒艦艇などが中心。航空機はといえば4機のみで、戦闘機も欠き、脆弱(ぜいじゃく)だ。
 フィリピンとタイは、東南アジアにあって、米国が「同盟国」と呼称する国である。東西冷戦時代、フィリピンは米軍の重要な中継、補給基地だった。例えば、スービック海軍基地には、ベトナム戦争で米軍が投下した爆弾の多くが貯蔵され、この基地で艦船には補給や修理が施された。
 東西冷戦期の在フィリピン米軍基地の意義は、ソ連が陣取ったベトナムのカムラン湾もにらみつつ、アジア・太平洋地域における米軍のプレゼンスを維持し、ソ連との勢力均衡を図りながら後方支援機能を確保することにあった。
 米国がスービック海軍、さらにクラーク空軍両基地を撤退させた理由としては(1)ソ連の脅威の消滅(2)それに伴う米国の国防予算、基地縮小の動き(3)フィリピン側の基地使用料のつり上げ(4)米軍撤退が主権回復の象徴だととらえるフィリピンの一部世論-などが挙げられる。

 ≪不可欠な米軍の存在≫
 だが、最も重要な要因は、米国がフィリピンの基地機能を、他国に分散することで代替できると考えたことだった。その一環でシンガポールへ移されたのが、第7艦隊の後方支援機能である。
 東西冷戦時代にフィリピンは、ソ連、中国から攻撃を受ける可能性はない、と考えていた。しかし、
スービック海軍基地から米軍が撤退してから、今年で20年。今や南シナ海で中国という脅威が、日増しに増大している

 米比両国は現在、「訪問米軍に関する地位協定」(VFA)、「相互補給支援協定」(MLSA)を軸に、同盟関係を維持してはいる。フィリピンが、脆弱な自国の軍事力では、単独で防衛することはできないという自明の事実に、気づいたからだ。それでも今後、中国に対抗するためには、より強固な同盟関係が求められよう。シンガポールとフィリピン。その生き方は異なれど、ともにアジア・太平洋地域における米軍のプレゼンスの重要性を物語っている。日本も、その点を改めて肝に銘じるべきだろう。(あおき のぶゆき)

 シンガポールといえばマーライオンをまず思い浮かべ観光と、貿易・金融の国との勝手なイメージを持っていましたが、ここまで国防に予算を配分している国だとは知りませんでした。国家が生き残るため「抑止力」は保険との考えで、一党独裁に近い政治体制がそれを可能にしているのでしょうか。そういえば、中国がシンガポールに食指を伸ばした話は見聞きした記憶がありません。
 さらに、米国で飛行訓練を行っていたり、海軍基地を米国艦船の使用に供したり、同盟関係を強めています。

 フィリピンについては、スービック海軍基地から米軍が撤退したことによる中国の攻勢が強まったことは周知のことです。
 一時、米国との距離を置いたかに見られたフィリピンも、同盟関係は維持しているとのことですが、最近の中国の攻勢からすると、米国との同盟関係の強化は必要となるのでしょう。

 記事でも日本について指摘されていますが、民主党の小鳩政権で日米関係に歴史的なひび割れを生じさせた日本は、中国の日米同盟分断作戦にはまって攻勢を受けています。にもかかわらず民主党政権は公明党と組んで国防費の削減を強行しています。
 
佐藤正久(さとうまさひさ) オフィシャルページ 国防部会:防衛省設置法改正案への修正案を諒承
 
 「アジア安全保障会議」でも北澤氏が、ASEAN諸国の安全保障や日本の国益に沿ったリーダー的発言は効かれませんでした。諸国からは鳩以来信頼を失っていますが、その回復にはとても期待できない外交振りで、むしろ梁光烈国防相との会談では、「東シナ海における日本の艦船、航空機の活発な偵察活動で、日中間の衝突の危険がある」として、日本側に慎重な対応を求め先制され言い訳に回る始末です。
 
 シンガポールともフィリピンとも異なる弱腰外交で、フィリピンが過去にたどった国防の抑止力の軽視の道を辿っていますね。

 首相の辞意で空白が生じた隙もありますが、第二列島線への制海権、制空権拡大に向けた、昨年より大規模の艦隊の示威行為を招いています。
 民主党政権が、日本を壊さないことを、日本売り渡さないことを願っています。

 # 冒頭の写真は、スプラトリー諸島・ミスチーフ環礁で不法占拠する中国軍



 白馬・親海湿原で5月下旬にみかけた「カタクリの花」(盛りを過ぎていました)です。

↓よろしかったら、お願いします。


写真素材 PIXTA


Fotolia


中国の戦略的海洋進出
暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?




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