「米国第一」を掲げるトランプ政権。保護主義の貿易姿勢で、欧州や中国他、世界各国・地域との摩擦を拡大していますね。
この「自国第一」の姿勢を強める米国への危機感が、日本とEUを結束させ経済連携協定(EPA)の署名と早期発効へ向かわせました。
人口約 6億人、世界の国内総生産(GDP)の約 3割をカバーする巨大な自由貿易圏が新たに誕生しました。
日本は、CPTPP(TPP11)の年内発効も目指していて、両方の自由貿易圏で世界の自由貿易の新たな動きを始動させることになります。
日欧EPA、19年初め発効へ 首脳が署名 :日本経済新聞
保護主義的な動きを強めるトランプ米政権をけん制し、自由貿易の重要性を世界に示したい日本とEUのEPAと、日本と環太平洋諸国のCPTPP(TPP11)。
米国の日本に対する反応については、TPPを抜けて二国間交渉で迫る姿勢は選挙公約であり変わっていません。
北朝鮮問題を抱える日本は、通商問題で米国と衝突したくないのが本音。
経済官庁幹部からは、「圧力はかわせない。閣僚級協議では米国に譲歩を強いられるだろう」との声が聴かれるのだそうです。
他方、政府内には、EPAなどの発効で、畜産分野を中心に米国は競合国に後れをとる公算が大きいことから、「自由貿易の利益を見せることで、米国にTPP復帰を促す呼び水にできるのはないか」との見方もあるのだとも。
全く読めないのがトランプ大統領の動きですが、じつは単純で、大統領選時の公約の実現通りに動いているのだとの見方があります。選挙に当選してしまうと、公約はすっかり忘れてしまう輩が多い中、誠実な大統領とも言えますが、その公約が、長年築いてきた米国の世界のリーダーの誇りを捨てて「米国第一」の保護主義なので、地球上の各地域で軋轢を生じることになっているのですね。
「米国第一」で突き進むトランプ大統領。自由貿易での世界経済の発展を維持するためには、自由主義各国が連携し、保護主義の貿易戦争が、誰にも利益をもたらさないことを示し牽制する必要があります。
日本の安倍首相が、その旗頭の一人として、「CPTPP(ASEAN諸国や英国にも門戸を開いている)」「日欧EPA」「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進していることは、かつて日本の首相には見られなかった世界に対する提案力とリーダーシップの発揮ですね。
少子高齢化で人口減により縮小する日本市場を、世界の市場と繋ぐことで活路を開く自由貿易の「日欧EPA」と「CPTPP(TPP11)」。
アベノミクスの本命でありながら決め手がなかった第三の矢の柱となり、旧民主党が沈没させかけた日本経済を復活させるとともに、世界の自由貿易の新たな枠組み構築に貢献することになりそうで、期待が膨らみますね。
# 冒頭の画像は、日本とEUの経済連携協定(EPA)の署名に臨む安倍首相(中央)トゥスクEU大統領(右)、ユンカー欧州委員長(左)
ブルーベリーの紅葉
この「自国第一」の姿勢を強める米国への危機感が、日本とEUを結束させ経済連携協定(EPA)の署名と早期発効へ向かわせました。
人口約 6億人、世界の国内総生産(GDP)の約 3割をカバーする巨大な自由貿易圏が新たに誕生しました。
日本は、CPTPP(TPP11)の年内発効も目指していて、両方の自由貿易圏で世界の自由貿易の新たな動きを始動させることになります。
日欧EPA、19年初め発効へ 首脳が署名 :日本経済新聞
米にらみ 日欧協調 EPA署名 保護主義けん制・車関税回避 (7/18 読売朝刊 スキャナー)
日本と欧州連合(EU)は、17日に署名した経済連携協定(EPA)を早期に発効させ、自由貿易の重要性を世界に改めて示したい考えだ。保護主義的な動きを強めるトランプ米政権をけん制するねらいがあるが、米国の出方は読めず、日欧連携の成果が問われるのはこれからだ。(ロンドン 戸田雄、経済部 津田知子)
■経済界は歓迎
「保護主義からは何も生まれない」。安倍首相は17日、EUのトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)らとの共同記者会見で、トランプ政権を念頭に自由貿易の意義を強調した。
同席したEUの執行機関・欧州委員会のユンカー委員長も、「一方的な行為は認められない」と述べ、米国の鉄鋼やアルミニウムへの輸入制限措置など、保護主義的な政策を批判した。
貿易摩擦の連鎖を懸念する経済界からは、日欧EPAの署名を歓迎する声が上がった。経団連の中西宏明会長は17日、「(日欧EPAは)双方の成長と雇用の創出につながるだけでなく、反グローバル化や保護主義の傾向が強まる中、自由貿易を推進していくとの力強く前向きなメッセージになる」との談話を発表した。
トランプ政権は発足直後から、日豪などを含め12か国で合意した環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、カナダやメキシコには北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しに向けた再交渉をごり押ししてきた。「自国第一」の姿勢を強める米国への危機感が、日本とEUを結束させた形だ。
みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は「保護主義的な動きが広がる中、多角的な自由貿易体制を構築する意義は大さい」と話す。
■アキレスけん
日本とEUにとって衝撃だったのは、双方の基幹産業でもある自動車に対し、米国が関税上乗せの検討を始めたことだ。
自動車は日本の対米輸出額の約30%を占める主力製品。EUも約10%を占め、お互いに経済の「アキレスけん」と言える。共に自動車への関税は是が非でも回避したい考えだ。
ユンカー氏は来週訪米し、トランプ大統領と通商問題を協議する。最大の焦点が自動車関税だ。乗用車への関税はEUが10%、米国が2.5%。トランプ氏はEUの関税は高すぎると批判し、ツイッターで「EUが米国にかけてきた関税や貿易障壁をすぐに取り除かないなら、米国に入ってくるすべての車に20%の関税をかける」と挑発した。
EU側は水面下で自動車関税引き下げを打診し、関税上乗せを回避したい考えだが、トランプ氏が受け入れるかどうかは不透明だ。
ドイツ車が人気のEU市場では、仮に関税が下がったとしても、「米国からの輸出の増加は限定的」(日本の自動車大手幹部)との見方も多い。このため、トランプ氏がEUに対し、自動車以外の分野で譲歩を求める可能性もある。
■市場開放
日米は通商問題を議題とする新たな閣僚級協議を近く開く予定で、米国は日本への市場開放圧力を強めるとみられる。日本側は、EUとのEPAと、すでに署名済みの11か国によるTPPを盾に米国の圧力をかわし、合意済みの内容を超える市場開放には応じない姿勢で臨む考えだ。
米国が検討する輸入車への関税上乗せに対しても、発動されればTPP加盟国などと連携して対抗することなどを視野に入れる。
ただ、北朝鮮問題を抱える日本は、通商問題で米国と衝突したくないのが本音だ。「圧力はかわせない。閣僚級協議では米国に譲歩を強いられるだろう」(経済官庁幹部)との見方も出ている。
アベノミクス切り札に 日欧EPA 新TPP
安倍内閣は自由貿易の枠組み作りに注力してきた。両輪となるのが、日欧EPAと、11か国による新しいTPPだ。
EPAは来年早々にも発効させたい考えだ。TPPは昨年1月に米国が離脱を表明した後、日本主導で再始動し、今年3月に署名にこぎつけた。早ければ年内の発効を目指している。
その先には、日豪印や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16か国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も見据える。日本政府は今月1日、RCEP閣僚会合を東京で開催。安倍首相自らも会合に出席し、「自由でルールに基づく公正なマーケットを作り上げよう」と訴えかけ、RCEP交渉を主導する強い意欲を示した。
首相は第2次内閣発足以降、経済最優先を掲げてきた。だが、「物価上昇率2%」の目標到達時期が繰り返し先送りされるなど、アベノミクスの柱である大胆な金融緩和などには限界が見えている。そんな中、農産品の輸出拡大などが期待できる自由貿易の推進は、首相が描く今後の成長戦略の「切り札」だ。首相は17日の共同記者会見で、EPAを「アベノミクスの新しいエンジン」と呼んだ。EPAなどには、9月の自民党総裁選でアピールしやすい「目に見える外交成果」との側面もある。
ただ、米国不在の自由貿易は、効果が限定的なのも事実だ。政府内には、EPAなどの発効で、畜産分野を中心に米国は競合国に後れをとる公算が大きいことから、「自由貿易の利益を見せることで、米国にTPP復帰を促す呼び水にできるのはないか」(首相官邸筋)との期待感がある。 (政治部 池田慶太)
日本と欧州連合(EU)は、17日に署名した経済連携協定(EPA)を早期に発効させ、自由貿易の重要性を世界に改めて示したい考えだ。保護主義的な動きを強めるトランプ米政権をけん制するねらいがあるが、米国の出方は読めず、日欧連携の成果が問われるのはこれからだ。(ロンドン 戸田雄、経済部 津田知子)
■経済界は歓迎
「保護主義からは何も生まれない」。安倍首相は17日、EUのトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)らとの共同記者会見で、トランプ政権を念頭に自由貿易の意義を強調した。
同席したEUの執行機関・欧州委員会のユンカー委員長も、「一方的な行為は認められない」と述べ、米国の鉄鋼やアルミニウムへの輸入制限措置など、保護主義的な政策を批判した。
貿易摩擦の連鎖を懸念する経済界からは、日欧EPAの署名を歓迎する声が上がった。経団連の中西宏明会長は17日、「(日欧EPAは)双方の成長と雇用の創出につながるだけでなく、反グローバル化や保護主義の傾向が強まる中、自由貿易を推進していくとの力強く前向きなメッセージになる」との談話を発表した。
トランプ政権は発足直後から、日豪などを含め12か国で合意した環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、カナダやメキシコには北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しに向けた再交渉をごり押ししてきた。「自国第一」の姿勢を強める米国への危機感が、日本とEUを結束させた形だ。
みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は「保護主義的な動きが広がる中、多角的な自由貿易体制を構築する意義は大さい」と話す。
■アキレスけん
日本とEUにとって衝撃だったのは、双方の基幹産業でもある自動車に対し、米国が関税上乗せの検討を始めたことだ。
自動車は日本の対米輸出額の約30%を占める主力製品。EUも約10%を占め、お互いに経済の「アキレスけん」と言える。共に自動車への関税は是が非でも回避したい考えだ。
ユンカー氏は来週訪米し、トランプ大統領と通商問題を協議する。最大の焦点が自動車関税だ。乗用車への関税はEUが10%、米国が2.5%。トランプ氏はEUの関税は高すぎると批判し、ツイッターで「EUが米国にかけてきた関税や貿易障壁をすぐに取り除かないなら、米国に入ってくるすべての車に20%の関税をかける」と挑発した。
EU側は水面下で自動車関税引き下げを打診し、関税上乗せを回避したい考えだが、トランプ氏が受け入れるかどうかは不透明だ。
ドイツ車が人気のEU市場では、仮に関税が下がったとしても、「米国からの輸出の増加は限定的」(日本の自動車大手幹部)との見方も多い。このため、トランプ氏がEUに対し、自動車以外の分野で譲歩を求める可能性もある。
■市場開放
日米は通商問題を議題とする新たな閣僚級協議を近く開く予定で、米国は日本への市場開放圧力を強めるとみられる。日本側は、EUとのEPAと、すでに署名済みの11か国によるTPPを盾に米国の圧力をかわし、合意済みの内容を超える市場開放には応じない姿勢で臨む考えだ。
米国が検討する輸入車への関税上乗せに対しても、発動されればTPP加盟国などと連携して対抗することなどを視野に入れる。
ただ、北朝鮮問題を抱える日本は、通商問題で米国と衝突したくないのが本音だ。「圧力はかわせない。閣僚級協議では米国に譲歩を強いられるだろう」(経済官庁幹部)との見方も出ている。
アベノミクス切り札に 日欧EPA 新TPP
安倍内閣は自由貿易の枠組み作りに注力してきた。両輪となるのが、日欧EPAと、11か国による新しいTPPだ。
EPAは来年早々にも発効させたい考えだ。TPPは昨年1月に米国が離脱を表明した後、日本主導で再始動し、今年3月に署名にこぎつけた。早ければ年内の発効を目指している。
その先には、日豪印や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16か国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)も見据える。日本政府は今月1日、RCEP閣僚会合を東京で開催。安倍首相自らも会合に出席し、「自由でルールに基づく公正なマーケットを作り上げよう」と訴えかけ、RCEP交渉を主導する強い意欲を示した。
首相は第2次内閣発足以降、経済最優先を掲げてきた。だが、「物価上昇率2%」の目標到達時期が繰り返し先送りされるなど、アベノミクスの柱である大胆な金融緩和などには限界が見えている。そんな中、農産品の輸出拡大などが期待できる自由貿易の推進は、首相が描く今後の成長戦略の「切り札」だ。首相は17日の共同記者会見で、EPAを「アベノミクスの新しいエンジン」と呼んだ。EPAなどには、9月の自民党総裁選でアピールしやすい「目に見える外交成果」との側面もある。
ただ、米国不在の自由貿易は、効果が限定的なのも事実だ。政府内には、EPAなどの発効で、畜産分野を中心に米国は競合国に後れをとる公算が大きいことから、「自由貿易の利益を見せることで、米国にTPP復帰を促す呼び水にできるのはないか」(首相官邸筋)との期待感がある。 (政治部 池田慶太)
保護主義的な動きを強めるトランプ米政権をけん制し、自由貿易の重要性を世界に示したい日本とEUのEPAと、日本と環太平洋諸国のCPTPP(TPP11)。
米国の日本に対する反応については、TPPを抜けて二国間交渉で迫る姿勢は選挙公約であり変わっていません。
北朝鮮問題を抱える日本は、通商問題で米国と衝突したくないのが本音。
経済官庁幹部からは、「圧力はかわせない。閣僚級協議では米国に譲歩を強いられるだろう」との声が聴かれるのだそうです。
他方、政府内には、EPAなどの発効で、畜産分野を中心に米国は競合国に後れをとる公算が大きいことから、「自由貿易の利益を見せることで、米国にTPP復帰を促す呼び水にできるのはないか」との見方もあるのだとも。
全く読めないのがトランプ大統領の動きですが、じつは単純で、大統領選時の公約の実現通りに動いているのだとの見方があります。選挙に当選してしまうと、公約はすっかり忘れてしまう輩が多い中、誠実な大統領とも言えますが、その公約が、長年築いてきた米国の世界のリーダーの誇りを捨てて「米国第一」の保護主義なので、地球上の各地域で軋轢を生じることになっているのですね。
「米国第一」で突き進むトランプ大統領。自由貿易での世界経済の発展を維持するためには、自由主義各国が連携し、保護主義の貿易戦争が、誰にも利益をもたらさないことを示し牽制する必要があります。
日本の安倍首相が、その旗頭の一人として、「CPTPP(ASEAN諸国や英国にも門戸を開いている)」「日欧EPA」「自由で開かれたインド太平洋戦略」を推進していることは、かつて日本の首相には見られなかった世界に対する提案力とリーダーシップの発揮ですね。
少子高齢化で人口減により縮小する日本市場を、世界の市場と繋ぐことで活路を開く自由貿易の「日欧EPA」と「CPTPP(TPP11)」。
アベノミクスの本命でありながら決め手がなかった第三の矢の柱となり、旧民主党が沈没させかけた日本経済を復活させるとともに、世界の自由貿易の新たな枠組み構築に貢献することになりそうで、期待が膨らみますね。
# 冒頭の画像は、日本とEUの経済連携協定(EPA)の署名に臨む安倍首相(中央)トゥスクEU大統領(右)、ユンカー欧州委員長(左)
ブルーベリーの紅葉