遊爺雑記帳

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中国の国力は間もなく頭打ちを迎えるのか?

2023-05-16 01:33:55 | 米中新冷戦時代
 経済の改革・開放が始まった1978年以降、中国の国内総生産(GDP)は平均で年率9%という目もくらむような高成長を遂げてきた。
 現在、中国は世界全体のGDPのほぼ2割を占める。その市場と製造業の基盤はとてつもなく大きく、世界経済を再編するほどだった。
 習近平国家主席は、自国の重要性の高まりを利用して地政学的な秩序も再編したいと考えている。
 ただ、そこには一つだけ罠がある。中国の急速な台頭に陰りが見えるのだと、英エコノミスト誌。
 
台頭するピークチャイナ論 中国の国力は間もなく頭打ちを迎えるのか? | JBpress (ジェイビープレス) 2023.5.15(月) (英コノミスト誌 2023年5月13日号)

 中国の歴史的な上昇が水平飛行に転じつつある。そのせいで危険性がさらに高まるとは限らない

 中国の台頭は過去40年間の世界を特徴付ける現象だった。

 
経済の改革・開放が始まった1978年以降、この国の国内総生産(GDP)は平均で年率9%という目もくらむような高成長を遂げてきた

 おかげで8億人もの市民が貧困から抜け出すことができた。

 
現在、中国は世界全体のGDPのほぼ2割を占める。その市場と製造業の基盤はとてつもなく大きく、世界経済を再編するほどだった

 
中国を支配し始めて10年になる習近平国家主席は、自国の重要性の高まりを利用して地政学的な秩序も再編したいと考えている

40年間の急速な台頭に陰り
 
ただ、そこには一つだけ罠がある。中国の急速な台頭に陰りが見えるのだ

 
習氏は今後数十年間で中国の「偉大なる復興」を成し遂げると約束しているが、足元の中国経済の状況はそれに比べると平凡で、「偉大なる成熟」と呼べそうだ

 10年前には、中国のGDPは21世紀半ばに米国のそれを(市場レートベースで)抜き去り、その後は圧倒的なリードを維持すると予想されていた。

 しかし今では、そこまで劇的な変化には至らず、両国の経済規模は同等に近いものになるのではないかと見込まれている。

 このような
経済成長軌道の変化をめぐり、中国ウォッチャーの間で激しい論争が巻き起こっている

 
そこでは中国の影響力と、米国とのライバル関係が再度考察されている

 例えば、
中国の国力は今後、ライバルの国々との比較で低下していき、逆説的だがそのせいでより危険な存在になるとの見方がある

 学者の
ハル・ブランズ氏とマイケル・ベックリー氏は昨年の著作(編集部注:邦訳は『デンジャー・ゾーン 迫る中国との衝突』)で「ピークチャイナ」という説を唱え、世間に広めた

 
これによると中国は衰退に直面しており、「既存の秩序を強引に乱すのに十分な強さはあるが、時間は自分の味方だという自信を失いつつある」段階に至った

 両氏の研究は、台湾をめぐる架空の戦争で始まっている。

ピークチャイナ論に確かな根拠
 
ピークチャイナ論は、ある種の追い風が向かい風に変わり、中国の発展を妨げているという正確な観察に依拠している

 
最初の強風は人口動態によるものだ。中国ではここ10年ほど生産年齢人口が減少している

 
昨年には総人口もピークに達し、ここへ来てインドに抜かれた。子供をもっと持とうと呼びかける中国共産党の試みも功を奏していない。

 その結果、
国連の試算によれば、中国の生産年齢人口は21世紀半ばまでに4分の1以上減少する可能性があるという。

「世界の工場」をかつて埋め尽くした若い労働者の集団はもう戻ってこないのだ。

 経済を成長させる方法の一つは働き手を増やすことだ。また、すでにいる人々をもっと上手に活用するという手もある。

 だが、ここで
中国の2番目の問題が浮上する。

 
労働者1人当たりの生産性が、かつて期待されたほどには伸びそうにないのだ。

 今後は、高齢者介護に投入される資源の割合が増える。

 住宅や道路、鉄道の建設はもう何十年も続いており、インフラ整備への支出は収穫逓減に直面している。

 
習氏の政治に独裁的な傾向があるため国内の起業家は神経質になっており、イノベーション(革新)を行う中国の能力が長期的に低下する恐れもある。

 地政学的な緊張を受けて、
外国企業はサプライチェーン(供給網)を中国からほかの国々に分散させるのに熱心だ。

 
米国はいくつかの「基盤技術」での中国の能力向上を妨げたいと考えている

 
特定の半導体や機械・装置の対中輸出禁止は、中国のGDPをいくらか押し下げると予想される。

中国経済が米国を抜く日は来ない?
 
こうしたことはすべて、中国経済の潜在能力の長期予測を押し下げている。

 
大手金融機関ゴールドマン・サックスは12年前、中国のGDPは2026年に米国のそれを上回り、今世紀半ばにその差が50%以上に広がると考えていた。

 昨年この
予想を修正し、中国が米国を追い抜くのは2035年になってからで、米国より15%弱高い水準でピークを迎えるとした

 もっと悲観的な予想もある。

 調査会社
キャピタル・リサーチの見立てによれば、中国経済が世界最大になる日は永遠に訪れない。2035年に米国の経済規模の90%相当に達したところがピークになるという

 もちろん、こうした予測は確実ではない。だが、
最も妥当だと思われる数件の予測には共通点があるようだ。

 
今後10年あまりで中国と米国は経済規模が等しくなる方向に向かい、ほぼ等しくなってからはその状態が数十年固定されるというのがそれだ。

習近平の出方
 
経済成長の軌道がこれまでより平坦になることに、中国はどう対応するのだろうか

 
最も楽観的なシナリオは、生産性の伸び率を高める改革に習近平氏が踏み切るというものだろう。

 1人当たりGDPが米国の半分に満たない中国の国民は、生活水準を向上させたいと強く望むようになる。

 すると
習氏が、中国経済の「アニマルスピリッツ」の束縛を緩めたり人々の移動の自由を拡大したりして経済成長を促そうとする、というわけだ。

 
中国政府がムダの多い国有銀行や国有企業に資本の配分を任せるのをやめる可能性もある

 
外国と付き合う際のつっけんどんな態度を改め、地政学的な緊張を緩和させたり、中国では事業活動を安全に行えると企業を安心させたりすることも考えられるだろう。

 
そのような改革は最終的には中国をさらに強くするかもしれないが、それと同時に、その攻撃的な姿勢が穏やかになっていくことも期待できる

 
問題は、恐らく亡くなるまで中国の支配者であり続ける現在69歳の習氏が、政治経済の自由化を受け入れる兆しを一切見せていないことだ

中国がさらに攻撃的になる可能性
 
片や悲観論者は、経済成長の鈍化を受けて中国がさらに攻撃的になるのではないかと危惧している。その可能性があると考えられる理由は多い。

 
習氏は、自分の支配を批判する者は中国自体をばかにしているのだと普通の中国国民に信じ込ませるために、危険なナショナリズムをあおっている

 中国の軍事予算は今年、GDP成長率と同程度の7%超の増額になると予想される。

 
軍事費の水準自体はまだ米国を下回るものの、その差は縮小している。

 
2030年の海軍力は米軍のそれを50%上回る可能性があり、核保有量は2035年までに現在のほぼ4倍に膨らむ

「中国の経済力はピークにさしかかっているかもしれないが、米国にグローバルに挑戦できる国は中国をおいてほかにない」

 ブランズ氏とベックリー氏はそう記している。

 
実現する可能性が最も高いのは、楽観と悲観の中間に位置するシナリオだ。

 
この20年間で中国台頭のスピードは不安定化しており、グローバルな経済的・地政学的秩序に調整を強いる要因になっていた

 もしこのスピードが低位安定するのであれば、経済が激しく混乱する局面はこれで終わりを迎えるのかもしれない。

2つの超大国が並び立つ時代
 そして、
いろいろなトラブルを抱えていても中国経済が縮小することは考えにくく、ブランズ氏とベックリー氏が恐れている虚無的で破壊的な類いの思想の引き金が引かれることもなさそうだ

 確かに習氏は予測しがたい人物だが、中国経済の長期的な見通しは大成功でもなければ大失敗でもない。

 
米国と対等に近い立場を数十年保つとなれば、傲慢さを慎んだり台湾侵攻を控えたりする理由もできる

 
重要なのは、超大国が互いの意図の読み間違いを回避できるか、紛争に突入するのを防止できるか、ということだ

 本誌エコノミストの来週号では、世界における米国のリーダーシップと、2つの超大国が対等に向き合うこれからの時代に米国は中国にどう対応するべきなのかを検討する。


 習氏は今後数十年間で中国の「偉大なる復興」を成し遂げると約束しているが、足元の中国経済の状況はそれに比べると平凡で、「偉大なる成熟」と呼べそうだと、英・エコノミスト誌。
 
 10年前には、中国のGDPは21世紀半ばに米国のそれを(市場レートベースで)抜き去り、その後は圧倒的なリードを維持すると予想されていた。
 しかし今では、そこまで劇的な変化には至らず、両国の経済規模は同等に近いものになるのではないかと見込まれている。
 このような経済成長軌道の変化をめぐり、中国ウォッチャーの間で激しい論争が巻き起こっている。
 そこでは中国の影響力と、米国とのライバル関係が再度考察されていると。
 
 中国の国力は今後、ライバルの国々との比較で低下していき、逆説的だがそのせいでより危険な存在になるとの見方がある。
 学者のハル・ブランズ氏とマイケル・ベックリー氏は昨年の著作で「ピークチャイナ」という説を唱え、世間に広めた。
 これによると中国は衰退に直面しており、「既存の秩序を強引に乱すのに十分な強さはあるが、時間は自分の味方だという自信を失いつつある」段階に至ったと。

 ピークチャイナ論は、ある種の追い風が向かい風に変わり、中国の発展を妨げているという正確な観察に依拠していると、英エコノミスト誌。
 
 最初の強風は人口動態によるものだ。中国ではここ10年ほど生産年齢人口が減少している。
 昨年には総人口もピークに達し、ここへ来てインドに抜かれた。
 国連の試算によれば、中国の生産年齢人口は21世紀半ばまでに4分の1以上減少する可能性があるのだと。
 「世界の工場」をかつて埋め尽くした若い労働者の集団はもう戻ってこないとも。

 更に中国の2番目の問題が浮上する。
 労働者1人当たりの生産性が、かつて期待されたほどには伸びそうにないと。
 
 今後は、高齢者介護に投入される資源の割合が増える。
 住宅や道路、鉄道の建設はもう何十年も続いており、インフラ整備への支出は収穫逓減に直面している。
 習氏の政治に独裁的な傾向があるため国内の起業家は神経質になっており、イノベーション(革新)を行う中国の能力が長期的に低下する恐れもあると、英エコノミスト誌。

 地政学的な緊張を受けて、外国企業はサプライチェーン(供給網)を中国からほかの国々に分散させるのに熱心だ。
 米国はいくつかの「基盤技術」での中国の能力向上を妨げたいと考えている。
 特定の半導体や機械・装置の対中輸出禁止は、中国のGDPをいくらか押し下げると予想されるとも。

 大手金融機関ゴールドマン・サックスは12年前、中国のGDPは2026年に米国のそれを上回り、今世紀半ばにその差が50%以上に広がると考えていた。
 ところが昨年この予想を修正し、中国が米国を追い抜くのは2035年になってからで、米国より15%弱高い水準でピークを迎えるとしたのだそうです。

 もっと悲観的なのは、調査会社キャピタル・リサーチの見立てによれば、中国経済が世界最大になる日は永遠に訪れない。2035年に米国の経済規模の90%相当に達したところがピークになると。

 最も妥当だと思われる数件の予測には共通点があるようだと、英・エコノミスト誌。
 今後10年あまりで中国と米国は経済規模が等しくなる方向に向かい、ほぼ等しくなってからはその状態が数十年固定されると。

 経済成長の軌道がこれまでより平坦になることに、中国はどう対応するのだろうか。
 最も楽観的なシナリオは、生産性の伸び率を高める改革に習近平氏が踏み切るというものだろうと、英・エコノミスト誌。
 1人当たりGDPが米国の半分に満たない中国の国民は、生活水準を向上させたいと強く望むようになる。
 すると習氏が、中国経済の「アニマルスピリッツ」の束縛を緩めたり人々の移動の自由を拡大したりして経済成長を促そうとすると。

 そのような改革は最終的には中国をさらに強くするかもしれないが、それと同時に、その攻撃的な姿勢が穏やかになっていくことも期待できる。
 問題は、恐らく亡くなるまで中国の支配者であり続ける現在69歳の習氏が、政治経済の自由化を受け入れる兆しを一切見せていないことだと、英エコノミスト誌。

 片や悲観論者は、経済成長の鈍化を受けて中国がさらに攻撃的になるのではないかと危惧していると。
 習氏は、自分の支配を批判する者は中国自体をばかにしているのだと普通の中国国民に信じ込ませるために、危険なナショナリズムをあおっている。
 
 中国の軍事予算は今年、GDP成長率と同程度の7%超の増額になると予想される。
 軍事費の水準自体はまだ米国を下回るものの、その差は縮小している。
 2030年の海軍力は米軍のそれを50%上回る可能性があり、核保有量は2035年までに現在のほぼ4倍に膨らむ。

 実現する可能性が最も高いのは、楽観と悲観の中間に位置するシナリオだ。
 この20年間で中国台頭のスピードは不安定化しており、グローバルな経済的・地政学的秩序に調整を強いる要因になっていた。
 もしこのスピードが低位安定するのであれば、経済が激しく混乱する局面はこれで終わりを迎えるのかもしれないと、英・エコノミスト誌。

 いろいろなトラブルを抱えていても中国経済が縮小することは考えにくく、「ピークチャイナ」という説を唱えるランズ氏とベックリー氏が恐れている虚無的で破壊的な類いの思想の引き金が引かれることもなさそうだと。

 中国が、米国と対等に近い立場を数十年保つとなれば、傲慢さを慎んだり台湾侵攻を控えたりする理由もできる。
 重要なのは、超大国が互いの意図の読み間違いを回避できるか、紛争に突入するのを防止できるか、ということだと、英・エコノミスト誌。

 習近平は、米国を凌ぐ中華の覇権拡大を目指していますが、米国を超えたと勘違いさせない世界各国の抑止力が重要ですね。

 仏マクロン大統領と、フォンデアライエン欧州委員長が訪中し、エアバス160機の受注をしたマクロン氏は、「欧州は台湾問題で米中いずれにも追従すべきではない」と迷言、非難を浴びましたが、フォンデアライエン欧州委員長は、台湾問題をめぐって習近平中国国家主席と応酬。
 米中新冷戦時代で、欧米の連携を崩そうとする習近平の戦術にまんまと嵌められたマクロン大統領。
 G7では、どの面下げて参加するのでしょう?

 【主張】マクロン仏大統領 台湾見捨てる愚言撤回を - 産経ニュース

 メルカトル中国研究所(MERICS)・欧州政策センター共催イベントにおける、EUと中国の関係に関するフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長の演説 | EEAS



 # 冒頭の画像は、訪中したマクロン大統領と、習近平首席



  この花の名前は、ニオイバンマツリ


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