遊爺雑記帳

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習近平政権内で権力闘争の激化か

2020-09-12 01:22:55 | 中国 全般
 習近平国家主席は人民大会堂で、中国警察の記念日でもなければ何の特別な日でもない先月26日に、「警察部隊授旗式典」を開き、公安トップに中国警察の「警旗」を授けたのだそうです。
 何らかの特別なメッセージを伝えるために日を選ばずして式典を催した、と考えるべきだと石平氏。
 
【石平のChina Watch】習政権「権力闘争」激化の予感 - 産経ニュース 2020.9.10

 先月26日、中国の習近平国家主席は人民大会堂で開かれた「警察部隊授旗式典」において、公安部長らの公安トップに中国警察の「警旗」を授けた。

 
その日は中国警察の記念日でもなければ何の特別な日でもない。それにもかかわらずどうしてこのような「授旗式典」が開かれたのか。おそらく習主席は何らかの特別なメッセージを伝えるために日を選ばずして式典を催した、と考えるべきであろう。

 式典に臨んだ
習主席の訓示を丹念に読めば、そこに出てくるのはやはり「党へ忠誠」というキーワードだ。「警察部隊は党の意思を自らの意思とし、党中央の命令に服従し、党中央に絶対的な忠誠を保たなければならない」と彼が強調しているのである。

 中国の
警察部隊は成立したその日からずっと党中央の指揮下にあって党中央に対して「不忠誠」であったことは一度もない。ならば習主席が今更のように、警察部隊に「絶対的な忠誠」を求めたのは一体どういうことなのか

 中国の場合、最高指導者が「何々をすべきだ」と強調するとき、それは往々にして、この「何々」が欠如している。従って異例の「授旗式典」での習主席の訓示内容からすれば党の最高指導者の彼はやはり、
警察部隊の「忠誠心」に対して疑問あるいは不安を感じているようである。

 それは
最近、党中央が警察部隊の幹部に対して粛清を頻繁に行っていることからもうかがえる。4月にはまず、中国公安部の副部長だった孫力軍という高級幹部が「規律違反」などの罪状で解任され、取り調べを受けることとなった。事実上の粛清である。6月には、1千万人大都会の重慶直轄市の公安局長が同じ処分を受けて失脚した。そして8月、今度は上海市副市長兼公安局長がまた、同じような形で粛清の憂き目にあった。

 
短期間において、政権維持の要である公安幹部がこれほどの頻度で粛清されるようなことはめったにない。中国の場合、最高指導者が交代すると、新政権が前政権の「残存勢力」一掃のために幹部の粛清を大幅に行うことはよくあるが、政権成立の8年目の習政権が公安幹部の粛清を始めるのは異例のこと、異常事態ともいうべきであろう。

 
習主席は一体何を心配しているのか。それは、前述の孫力軍元公安副部長の粛清大会において、公安部長が述べた下記の言葉に表れている。彼はここで、「公安幹部は全員、党中央における習近平総書記の核心的地位を守り、核心を擁護して核心に従い、核心に忠誠を尽くさなければならない」と、習主席に専用の「核心」という言葉を連発して主席個人への忠誠を強調している。その裏返しとして考えられるのは、孫力軍が粛清された最大の理由も、そして習主席自身の最大の心配事も全部、今の警察部隊には主席個人への忠誠が足りない、とのことであろう。

 つまり習政権は成立して
8年目にしても、いまだに安定した政権基盤を築いていない。警察部隊の「不忠誠」を恐れているからこそ、習主席の主導下で警察幹部への頻繁な粛清が行われているわけであるが、恣意(しい)的な粛清は逆に、警察幹部たちの恨みを買って反発を招きかねない

 
党内ではすでに、習主席主導の強硬な対外政策や習主席自身の「毛沢東回帰」の政治志向への不満と反発が高まってきている。その時に警察部隊の習主席に対する離反、そして習主席VS警察部隊の暗闘が始まっていれば、その意味するところは政権内の権力闘争の激化だ。嵐が吹き始めている予感である。


 
「文革」評価揺り戻しから見える習近平の危うい立場 習近平が“擁護”するも、教科書は再び「間違い」と記述 | JBpress(Japan Business Press) 2020.9.11(金) 澁谷 司:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・アジア太平洋交流学会会長

 よく知られているように、1981年、中国共産党は11期6中全会で、「文化大革命」(1966年~76年。以下「文革」)を総括した。同会議では「建国以来の党の若干の歴史問題についての決議」が採択され、毛沢東主席が起こした「文革」は「誤り」だった、とはっきり認めた

 
けれども、習近平政権は、「文革」(「文化小革命」「第2文革」)を復活させようとしている。おそらく習主席は自らが毛主席と肩を並べる存在か、それ以上を目指しているのだろう。

<中略>

 近年、中国歴史教科書で大きく変化したのは、2018年版である。おそらく習近平政権は、前年の2017年(ないしは、それ以前)から「文革」への評価を変更しようとしていた事が窺える。そして、実際、2018年の教科書改訂につながった。これは「習近平派」が一時、党内で優勢になった結果ではないだろうか。

 ところが、
翌2019年には、「反習近平派」(その中心は李克強首相)が徐々に巻き返し、今年2020年には、以前の「文革」評価に戻っている。これは、2018年~19年にかけて「反習派」が党内で支配的になった事を物語るのではないか。

 だからと言って、軽々に、「反習派」が共産党全体を牛耳っているとは決めつけられないだろう。
習近平主席が依然、軍・武装警察・公安等を掌握しているからである。

 ただし、
いつ習主席に対するクーデターが起きても不思議ではない状況にある。直近では、今年3月、郭伯雄の息子、郭正鋼がクーデターを起こしたと伝えられている。

 それにしても、中国共産党は、一度、「文革」を明確に否定しておきながら、習主席に再び「文革」発動を許すというのは、どういう訳だろうか。中国では、いまだ普通選挙の実施等、民主主義が作動していないという“悲劇”かもしれない。


 鄧小平が1982年の憲法改正で3選を禁じた国家主席の座を、2018年3月の全人代で、憲法改正し、期限制限撤廃を実現させた習近平主席。
 上海閥の江沢民派、鄧小平を引き継ぐ胡錦涛・李克強の共青団派といった勢力の幹部を、汚職の名目で一掃し、権力を掌握していました。
 
 しかし、2018年~19年にかけて「反習派」(共青団派の李克強が中心)が党内で勢力を盛り返してきていると、日本戦略研究フォーラム政策提言委員・アジア太平洋交流学会会長の渋谷氏。
 新型コロナウイルスの武漢肺炎感染拡大では、責任を李克強に追わせようと担当させた習近平でしたが、李克強は早々に現場視察に入るなどし、国民の高い評価を得ました。一方、動かない習近平の評価が下がり、あわてて北京(武漢ではなく比較的安全な)の視察に入り不評の上塗りをしたことは諸兄がご承知の通りです。
 
 貿易戦争が拡大し「新冷戦時代」に突入している米中関係でも劣勢で、国内経済成長が鈍化し、成長期には顕在化しづらかった貧富の格差が健在化し、経済でも習近平の評価は下がっています。

 1981年、中国共産党は11期6中全会で、「文化大革命」(1966年~76年。)を総括し、毛沢東主席が起こした「文革」は「誤り」だった、とはっきり認めたにもかかわらず、毛主席と肩を並べる存在か、それ以上を目指している習近平は、毛沢東時代への回帰を目指していることは衆知のことですね。

 先月26日、突然「警察部隊授旗式典」を開いて、公安部長らの公安トップに中国警察の「警旗」を授けた習近平。
 そこで、今更のように、警察部隊に「絶対的な忠誠」を求めたのは、警察部隊の「忠誠心」に対して疑問あるいは不安を感じているからだと、石平氏。
 最近、党中央が警察部隊の幹部に対して粛清を頻繁に行っているのだそうで、政権成立の8年目の習政権が公安幹部の粛清を始めるのは異例のこと、異常事態ともいうべきであろうと。
 つまり習政権は成立して8年目にしても、いまだに安定した政権基盤を築いていないとも。

 党内ではすでに、習主席主導の強硬な対外政策や習主席自身の「毛沢東回帰」の政治志向への不満と反発が高まってきていると石平氏。
 習主席 VS 警察部隊の暗闘が始まっていれば、その意味するところは政権内の権力闘争の激化だ。嵐が吹き始めている予感がと。

 中国共産党は、一度、「文革」を明確に否定したにも関わらず、「文革」への評価を変更しようとしてきた習近平。「習近平派」が一時、党内で優勢になった2018年の教科書改訂成功。
 ところが、翌2019年には、「反習近平派」(その中心は李克強首相)が徐々に巻き返し、今年2020年には、以前の「文革」評価に戻っているのだそうです。
 これは、2018年~19年にかけて「反習派」が党内で支配的になった事を物語るのではないかと渋谷氏。
 
 いつ習主席に対するクーデターが起きても不思議ではない状況にある。直近では、今年3月、郭伯雄の息子、郭正鋼がクーデターを起こしたと伝えられているのだそうです。

 その状況での、警察部隊への習近平の引締め。
 政敵を汚職の御旗で駆逐し、定年制撤廃の憲法改定を実現し、毛沢東時代への回帰の専制政治の具現化を目指す習近平。
 その逆を警戒するからこその警察部隊の引締めなのでしょうか。
 しかし、恣意的な粛清は逆に、警察幹部たちの恨みを買って反発を招きかねないと石平さんが指摘されるとおりで、ますます自分の首を絞めることになりかねませんね。

 今日の経済発展を遂げた中国を築いた鄧小平の共青団派の巻き返しがどこまでできるのか。
 武漢肺炎の感染拡大の初動や、香港、ウイグルの人権弾圧で国際批判を浴び、米中貿易戦争で経済成長も鈍化し国内支持率が懸念される習近平政権。
 新型コロナ感染不況からの脱却の兆しがあるとの報道が見られますが、国内勢力の変動には要注目ですね。



 # 冒頭の画像は、香港の米総領事館前で米国旗を掲げ、警察官に囲まれる女性




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