米大統領選の山場のひとつとされる、スーパーチューズデーの投票結果を、主要各紙が一斉に社説で取り上げています。
いずれも、共和党のトランプ氏の躍進が止まらず、共和党の大統領候補となり、米国の大統領になることを危惧しています。
民主党は、ヒラリー氏の大勝で、大統領候補への道筋が見えてきたようですね。
しかし、両候補の日本叩きやTPPへの姿勢に、ポピュリズムへの傾倒が見られることへの危惧も、併せて論じています。
産経は、トランプ氏の躍進を集中して論じて、「イスラム教徒入国拒否の発言に至っては、極めて不適切」「内向きで独善的」「日米同盟の意義を理解しているとは思えない」と非難し、オバマ政権が招いている「弱い米国」への批判、富裕層に対する不公平感など、米国民にやり場のない不満をトランプ氏の躍進の原因に挙げ、トランプ、クリントン両氏に、「世界の次期指導者にふさわしい品格と英知を競い合ってほしい。」と求めています。
【主張】トランプ現象 「痛快だから」では済まぬ - 産経ニュース
日経も、殆どをトランプ氏について費やし、「米政治が混迷を深めている。」「共和党は混乱している。」と指摘し、「米政治が大揺れになれば、米国民が抱く格差の拡大などへの不満のはけ口に日本がされるおそれがある」と述べ、日本の向き合う姿勢について、今の動きにまつもにぶつかるのではなく、TPP関連法案を早期に処理し、自由貿易の推進の旗振り役を務めるべきとし、「なぜトランプ現象が起きているのか。その背景をよく理解し、ポピュリズムの潮流に世界をのみ込ませないための手立てを考えたい」と提言しています。
世界的な影響が懸念される米政治の混迷 :日本経済新聞
毎日は、共和党本来の姿、主張とは何なのかと、共和党の迷走を取り上げています。この着目は、トランプ氏批判や、米国民の現状への不満をトランプ旋風の主因とする流れの中で、遊爺も考えていたことで、的を得たものと同意します。
「家族の絆」を含めて米国のよき伝統と価値観を重んじてきたのが共和党。だが、近年は原理主義的なキリスト教右派に加え、ネオコン(新保守主義派)、保守系草の根運動の「ティーパーティー(茶会)」などが影響力を増して、伝統的な共和党の価値観が揺れていると指摘しています。主流派が候補を一本化できないのでは、党の弱体化=混乱はやむを得ませんし、そんな党から大統領が産まれたとしても、政治は混乱を深めることになりますね。
社説:トランプ氏優勢 これでいいのか共和党 - 毎日新聞
米共和党幹部に亀裂、トランプ氏「不支持」の声 - WSJ
朝日は、言葉を並べて遊んでいるだけで、響く内容が無くコメントに値しません。
(社説)米国大統領選 分断の政治を憂う:朝日新聞デジタル
読売が最も遊爺には近い考えです。
米大統領選で、民主党と共和党の指名候補を争うスーパーチューズデーの投票が行われた。
10を超える州の予備選と党員集会が集中する序盤戦最大のヤマ場だ。共和党は不動産王のドナルド・トランプ氏、民主党はヒラリー・クリントン前国務長官がそれぞれ多くの州で勝利し、指名獲得に前進した。
トランプ氏は勝利宣言で、「民主党員や無党派層がこちら側に来ている」と述べ、支持層が拡大したことを誇示した。
政治経験のないアウトサイダーの旋風は、とどまるところを知らない。党派対立に明け暮れ、物事が決まらない「ワシントン政治」への有権者の怒りが背景にある。米国に根強い「反知性主義」の表れとも言えるだろう。
「移民の流入を阻止するため、メキシコ国境に壁を築く」「イスラム教徒の入国禁止」「すべての不法移民の強制送還」――。トランプ氏の過激な主張は、既存の政治家には口にできまい。
移民に職を奪われたと憤り、イスラム教を敵視する人々には、既成政治に染まらない斬新な発言として、心に響くのではないか。
トランプ氏に閉塞状況の打破を託す思いは、共和党の幅広い支持者に浸透しつつある。「11月の本選で勝てる可能性が最も大きい候補」との見方も広がってきた。
懸念されるのは、討論会などで政策論争が深まらず、トランプ氏の主張の妥当性や実現性がほとんど検証されていないことだ。
「日本や中国、メキシコを貿易で打倒する」「偉大な米国を取り戻す」といった単純なスローガンの繰り返しは、危うい大衆扇動そのものではないか。
共和党の主流派には、トランプ氏の指名獲得に否定的な声も出ている。だが、それが「既存支配層の介入」と反発を呼び、トランプ支持がむしろ拡大しかねないところに事態の深刻さがある。
クリントン氏は勝利集会で「壁を築くのではない。取り払うのだ」「米国を再び一つにしよう」と語った。トランプ氏との対決を早くも意識しているのだろう。
ファーストレディーや上院議員などの経験と実績がクリントン氏の強みであり、弱みだ。「支配層」に不満を持つ人々がどう評価するかが、選挙戦のカギとなる。
トランプ、クリントン両氏が、環太平洋経済連携協定(TPP)への反対を明言しているのは心配だ。アジア太平洋地域の貿易活性化を目指す協定が、大統領の交代で反故ほごにされてはならない。
共和党主流派の議員の方々、支持者の方々は、民主党のクリントン候補との本戦での戦いに勝てないとあきらめて、トランプ氏のパフォーマンスを放置しているとしか見えません。これでは、共和党の衰退を助長し、二大政党の一翼を担うに足る政党として立ち行かなくなるのではと、心配してしまいます。
日本人の遊爺が憂えてもしかたないとはいえ、このトランプ旋風が、クリントン氏までもポピュリズムに走らせていて、オバマ政権で内向きになり、世界の混乱を生じさせた米国が、更に衰退の道を進む様に見えます。
日本が、民主党政権で衰退の坂道を転げ落ちた、その再現が米国で起きようとしているように感じます。
未だ間に合うのかどうか解りませんが、共和党の主流派の方々が、一致団結し、党の衰退・分裂を回避され、よき米国らしい党の姿を取り戻していただきたい。
共和党、民主党ががっぷりよつに組んで、戦っていただきたい。日米同盟の絆を強め、アジアの平和を護りたいと考えるのです。
今回の大統領選の混乱を観ていて、ふと思い浮かんだのは、「中国は、米国大統領に、中国人を据える野望を持っている」という、妄想説です。サンフランシスコ市長は既に中国系で乗っ取られ、市議会も危うい状況であることは、諸兄がご承知の通りです。
誰もが予期しなかったトランプ氏の躍進は、そんな危惧を抱かせますが、全くの妄想と切り捨てられなくなってきたのは、遊爺だけでしょうか。
この花は、コスモス
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