大統領選を圧勝し、4期目に突入するプーチン大統領。4期目の課題の一つは制裁解除。軍事、情報、諜報作戦を織り交ぜた攻撃、いわゆる「ハイブリッド(混合)戦争」。
その4期目の課題解決に向けたプーチン大統領の戦術のひとつは、対露包囲網の分断。そのためには、2014年のクリミア半島併合以来本格化させてきた軍事、情報、諜報作戦を織り交ぜた攻撃、いわゆる「ハイブリッド(混合)戦争」の強硬路線による欧米諸国の分断。
ところが、英国在住のロシア人元スパイに対する暗殺未遂事件が発覚。欧米とロシアの対立が激化し、ロシアと西側諸国との「新冷戦」に発展すると指摘が出ていると言うのは、読売の記事。
英国・メイ首相の反応は素早く、「第2次大戦後、初めて欧州の地で攻撃用神経剤が使われた」と、事件の重大性を国際社会に訴え、西側諸国も急速にまとまり、米独仏など20か国以上が露外交官の国外追放を発表。
根底にあるのは、今回の事案が単独の暗殺未遂事件ではなく、ロシアが2014年のクリミア半島併合以来本格化させてきた軍事、情報、諜報作戦を織り交ぜた攻撃、いわゆる「ハイブリッド(混合)戦争」の一環だという共通認識があるからなのだそうです。
「クリミア併合以来、双方の安保対話は実質的に途絶えている。冷戦期より交流がなく、誤解が生じやすい」(NATOの副最高司令官を務めた英国のリチャード・シレフ氏)
「20世紀の冷戦には東西間にルールがあったが、今はない。『混合戦争』も、ルールはまだない。」(英国の元駐ベラルーシ大使、ナイジェル・グールドデイビーズ氏)
と言った声が示すように、今後の欧米とロシアとの関係は、予断を許さない状況にあり、「新冷戦」に発展する可能性があるのだと。。
強行姿勢を堅持するプーチン大統領にすれば、追放外交官数に見られる温度差を突き、諸国を分断したい。
日本は現段階で、対抗措置に参加しておらず、外務省幹部は「安倍政権が対露関係を重視している面もあるが、今回の件は諜報部門の側面が強く、入りづらい」と話しているのだとか。
G7では、メルケル首相に次ぐベテランとなった安倍首相。プーチン大統領とも、トランプ大統領とも親しいとされる人脈が、「新冷戦」への発展を防ぐ役に活かせるか。
日本が、世界外交のひのき舞台で貢献できる可能性があるチャンスですが、どうでしょう。
# 冒頭の画像は、英国下院で、ロシアとの全ての高レベル連絡を英政府が一時停止すると述べたメイ首相
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その4期目の課題解決に向けたプーチン大統領の戦術のひとつは、対露包囲網の分断。そのためには、2014年のクリミア半島併合以来本格化させてきた軍事、情報、諜報作戦を織り交ぜた攻撃、いわゆる「ハイブリッド(混合)戦争」の強硬路線による欧米諸国の分断。
ところが、英国在住のロシア人元スパイに対する暗殺未遂事件が発覚。欧米とロシアの対立が激化し、ロシアと西側諸国との「新冷戦」に発展すると指摘が出ていると言うのは、読売の記事。
欧米VS 露 「新冷戦」の影 外交官追放の応酬 露 軍事・情報の「混合」作戦 (4/4 読売朝刊)
欧米とロシアの対立が激化している。きっかけは、3月4日に起きた英国在住のロシア人元スパイに対する暗殺未遂事件だ。ロシアによる近年の度重なる軍事的挑発や他国の情報操作などに対する欧米の反発は頂点に達し、双方が多数の外交官を追放し合う前代未聞の報復合戦となっている。18日の大統領選で4期目を勝ち取ったプーチン大統領は、軍事、非軍事の手段を交えた強硬路線を今後も維持すると見られ、ロシアと西側諸国との「新冷戦」に発展するとの指摘も出ている。
英国の反応は速かった。3月4日の日曜日、元スパイとその娘が英南西部で意識不明で発見されると、6日昼には下院本会議場で「ロシア政策に関する緊急質問」の審議が招集された。
ジョンソン外相は冒頭から、「多くの推測がある」と述べ、ロシア政府の関与を示唆した。事件について「旧ソ連が製造していた兵器レベルの神経剤が使われ、ロシア関与の可能性が非常に高い」とメイ首相が発表したのは12日だった。
メイ氏はそれ以降、「第2次大戦後、初めて欧州の地で攻撃用神経剤が使われた」と、事件の重大性を国際社会に訴え、26日には、米独仏など20か国以上が露外交官の国外追放を発表した。
西側の結束
西側が急速にまとまった理由は何だろうか。
一つは、兵器レベルの神経剤が使われたことの確たる証拠を、英政府が各国に示したと見られることだ。フランスは当初慎重だったが、途中からマクロン大統領が英国支持を明言。15日には英米独仏4首脳が対露非難共同声明を発表した。また、米トランプ政権が60人という大規模な外交官追放を決めたことも、他の国々に影響を与えた。
根底にあるのは、今回の事案が単独の暗殺未遂事件ではない、という共通認識だろう。ロシアが2014年のクリミア半島併合以来本格化させてきた軍事、情報、諜報作戦を織り交ぜた攻撃、いわゆる「ハイブリッド(混合)戦争」の一環だという認識だ。
増えるスパイ
各国の対抗措置が、露外交官の国外追放であることについて、英国の元駐ベラルーシ大使、ナイジェル・グールドデイビーズ氏は、「外国に機密を売った元スパイは永遠に許さない、というプーチン政権の威嚇に対する情報戦だ」と指摘する。
「メイ氏は、英国が追放した23人を『外交官と称した無申告の諜報部員』と表現した。スパイのことだ。西側諸国に潜む露スパイは近年、増加している。今回の英国の措置は、どれもロシアのスパイ網を無力化するためのものだ」
米国の戦略家、エドワード・ルトワック氏も、トランプ政権が米西海岸シアトルにある露領事館の閉鎖を盛り込んだことが「明白な情報戦を示す」と話す。同領事館は、米海軍の原子力潜水艦の基地に隣接。さらに、シアトルは、軍用機やミサイルを製造するボーイング社の拠点でもある。
日本は現段階で、対抗措置に参加していない。外務省幹部は「安倍政権が対露関係を重視している面もあるが、今回の件は諜報部門の側面が強く、入りづらい」と話した。
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ロシアに対し、29か国とNATOが露外交官の追放を表明している。 ( )の数値は人数
米国(60)、英国(23)、ウクライナ(13)、ドイツ(4)、カナダ(4)、ポーランド(4)、フランス(4)、リトアニア(3)、チェコ(3)、モルドバ(3)、イタリア(2)、豪州(2)、オランダ(2)、デンマーク(2)、アルバニア(2)、スペイン(2)、エストニア(1)、フィンランド(1)、ルーマニア(1)、クロアチア(1)、ラトビア(1)、スウェーデン(1)、ノルウェー(1)、アスルランド(1)、ベルギー(1)、ハンガリー(1)、ジョージア(1)、モンテネグロ(1)、(NATO)(7)
ロシアも各国に同数の外交官追放を表明
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英米 同盟再強化が不可欠
ただ、プーチン大統領は欧米との全面対決を望んでいるわけではなさそうだ。
ロシアは、クリミア併合後に始まった経済制裁下で、国内経済の停滞が続く。4期目の課題の一つは制裁解除だ。英保守党関係者は「今のプーチン氏の最大の狙いは、欧州の分断。対露強硬派の英国と、経済的につながりの深い独仏を離間させる。テレビやインターネットによる情報操作も含む『混合戦争』に力を入れている」と指摘する。
モスクワの外交専門家も「プーチン氏が今注目しているのは、各国の追放者数。独仏の各4人は米英に比べて少なく、温度差がある。中・東欧には、不参加の国もあり、ロシアに分断働きかけの余地はある」と語った。
今後の欧米とロシアとの関係は、予断を許さない。北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍の副最高司令官を務めた英国のリチャード・シレフ氏は、「4期目のプーチン氏は中期的には強硬路線を崩さず、『新冷戦』に発展する可能性がある。米欧はクリミア併合やシリア問題で、強固な抑止力を示せなかった」と述べ、今回のような連携強化が必要だと主張する。
さらに、「クリミア併合以来、双方の安保対話は実質的に途絶えている。冷戦期より交流がなく、誤解が生じやすい」と懸念を示した。
グールドデイビーズ氏の見解も共通する。「20世紀の冷戦には東西間にルールがあったが、今はない。軍事面に限らず、諜報活動やインターネット介入による情報戦もある『混合戦争』も、ルールはまだない。新冷戦の危険な要素となりうる」
「ただ、今のロシアは昔のソ連より弱い。世界への波及力、共産主義に代わるイデオロギー、東の盟主としての自信ーーいずれも欠けている。これが暴発と自制のどちらにつながるか、が注目点だ」
今回、欧米の取りまとめを主導したメイ首相はこれに対応する大戦略を練らねばならない。不安定なトランプ政権との同盟再強化は待ったなしといえる。
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ハイブリッド(混合)戦争
軍事と非軍事を混合させた手段によって、特定の政治目的や国益を達成しようとする戦いの方法。ロシアは近年、核ミサイルなどの軍備強化の一方、インターネットによる世論操作などを駆使して欧米の選挙や政治に介入していると批判されている。米ランド研究所は、ロシアの混合戦争の目的は、西側諸国の分断、戦争の口実作り、欧州市場へのアクセス確保などだと分析している。
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欧米とロシアの対立が激化している。きっかけは、3月4日に起きた英国在住のロシア人元スパイに対する暗殺未遂事件だ。ロシアによる近年の度重なる軍事的挑発や他国の情報操作などに対する欧米の反発は頂点に達し、双方が多数の外交官を追放し合う前代未聞の報復合戦となっている。18日の大統領選で4期目を勝ち取ったプーチン大統領は、軍事、非軍事の手段を交えた強硬路線を今後も維持すると見られ、ロシアと西側諸国との「新冷戦」に発展するとの指摘も出ている。
英国の反応は速かった。3月4日の日曜日、元スパイとその娘が英南西部で意識不明で発見されると、6日昼には下院本会議場で「ロシア政策に関する緊急質問」の審議が招集された。
ジョンソン外相は冒頭から、「多くの推測がある」と述べ、ロシア政府の関与を示唆した。事件について「旧ソ連が製造していた兵器レベルの神経剤が使われ、ロシア関与の可能性が非常に高い」とメイ首相が発表したのは12日だった。
メイ氏はそれ以降、「第2次大戦後、初めて欧州の地で攻撃用神経剤が使われた」と、事件の重大性を国際社会に訴え、26日には、米独仏など20か国以上が露外交官の国外追放を発表した。
西側の結束
西側が急速にまとまった理由は何だろうか。
一つは、兵器レベルの神経剤が使われたことの確たる証拠を、英政府が各国に示したと見られることだ。フランスは当初慎重だったが、途中からマクロン大統領が英国支持を明言。15日には英米独仏4首脳が対露非難共同声明を発表した。また、米トランプ政権が60人という大規模な外交官追放を決めたことも、他の国々に影響を与えた。
根底にあるのは、今回の事案が単独の暗殺未遂事件ではない、という共通認識だろう。ロシアが2014年のクリミア半島併合以来本格化させてきた軍事、情報、諜報作戦を織り交ぜた攻撃、いわゆる「ハイブリッド(混合)戦争」の一環だという認識だ。
増えるスパイ
各国の対抗措置が、露外交官の国外追放であることについて、英国の元駐ベラルーシ大使、ナイジェル・グールドデイビーズ氏は、「外国に機密を売った元スパイは永遠に許さない、というプーチン政権の威嚇に対する情報戦だ」と指摘する。
「メイ氏は、英国が追放した23人を『外交官と称した無申告の諜報部員』と表現した。スパイのことだ。西側諸国に潜む露スパイは近年、増加している。今回の英国の措置は、どれもロシアのスパイ網を無力化するためのものだ」
米国の戦略家、エドワード・ルトワック氏も、トランプ政権が米西海岸シアトルにある露領事館の閉鎖を盛り込んだことが「明白な情報戦を示す」と話す。同領事館は、米海軍の原子力潜水艦の基地に隣接。さらに、シアトルは、軍用機やミサイルを製造するボーイング社の拠点でもある。
日本は現段階で、対抗措置に参加していない。外務省幹部は「安倍政権が対露関係を重視している面もあるが、今回の件は諜報部門の側面が強く、入りづらい」と話した。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ロシアに対し、29か国とNATOが露外交官の追放を表明している。 ( )の数値は人数
米国(60)、英国(23)、ウクライナ(13)、ドイツ(4)、カナダ(4)、ポーランド(4)、フランス(4)、リトアニア(3)、チェコ(3)、モルドバ(3)、イタリア(2)、豪州(2)、オランダ(2)、デンマーク(2)、アルバニア(2)、スペイン(2)、エストニア(1)、フィンランド(1)、ルーマニア(1)、クロアチア(1)、ラトビア(1)、スウェーデン(1)、ノルウェー(1)、アスルランド(1)、ベルギー(1)、ハンガリー(1)、ジョージア(1)、モンテネグロ(1)、(NATO)(7)
ロシアも各国に同数の外交官追放を表明
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英米 同盟再強化が不可欠
ただ、プーチン大統領は欧米との全面対決を望んでいるわけではなさそうだ。
ロシアは、クリミア併合後に始まった経済制裁下で、国内経済の停滞が続く。4期目の課題の一つは制裁解除だ。英保守党関係者は「今のプーチン氏の最大の狙いは、欧州の分断。対露強硬派の英国と、経済的につながりの深い独仏を離間させる。テレビやインターネットによる情報操作も含む『混合戦争』に力を入れている」と指摘する。
モスクワの外交専門家も「プーチン氏が今注目しているのは、各国の追放者数。独仏の各4人は米英に比べて少なく、温度差がある。中・東欧には、不参加の国もあり、ロシアに分断働きかけの余地はある」と語った。
今後の欧米とロシアとの関係は、予断を許さない。北大西洋条約機構(NATO)欧州連合軍の副最高司令官を務めた英国のリチャード・シレフ氏は、「4期目のプーチン氏は中期的には強硬路線を崩さず、『新冷戦』に発展する可能性がある。米欧はクリミア併合やシリア問題で、強固な抑止力を示せなかった」と述べ、今回のような連携強化が必要だと主張する。
さらに、「クリミア併合以来、双方の安保対話は実質的に途絶えている。冷戦期より交流がなく、誤解が生じやすい」と懸念を示した。
グールドデイビーズ氏の見解も共通する。「20世紀の冷戦には東西間にルールがあったが、今はない。軍事面に限らず、諜報活動やインターネット介入による情報戦もある『混合戦争』も、ルールはまだない。新冷戦の危険な要素となりうる」
「ただ、今のロシアは昔のソ連より弱い。世界への波及力、共産主義に代わるイデオロギー、東の盟主としての自信ーーいずれも欠けている。これが暴発と自制のどちらにつながるか、が注目点だ」
今回、欧米の取りまとめを主導したメイ首相はこれに対応する大戦略を練らねばならない。不安定なトランプ政権との同盟再強化は待ったなしといえる。
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ハイブリッド(混合)戦争
軍事と非軍事を混合させた手段によって、特定の政治目的や国益を達成しようとする戦いの方法。ロシアは近年、核ミサイルなどの軍備強化の一方、インターネットによる世論操作などを駆使して欧米の選挙や政治に介入していると批判されている。米ランド研究所は、ロシアの混合戦争の目的は、西側諸国の分断、戦争の口実作り、欧州市場へのアクセス確保などだと分析している。
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英国・メイ首相の反応は素早く、「第2次大戦後、初めて欧州の地で攻撃用神経剤が使われた」と、事件の重大性を国際社会に訴え、西側諸国も急速にまとまり、米独仏など20か国以上が露外交官の国外追放を発表。
根底にあるのは、今回の事案が単独の暗殺未遂事件ではなく、ロシアが2014年のクリミア半島併合以来本格化させてきた軍事、情報、諜報作戦を織り交ぜた攻撃、いわゆる「ハイブリッド(混合)戦争」の一環だという共通認識があるからなのだそうです。
「クリミア併合以来、双方の安保対話は実質的に途絶えている。冷戦期より交流がなく、誤解が生じやすい」(NATOの副最高司令官を務めた英国のリチャード・シレフ氏)
「20世紀の冷戦には東西間にルールがあったが、今はない。『混合戦争』も、ルールはまだない。」(英国の元駐ベラルーシ大使、ナイジェル・グールドデイビーズ氏)
と言った声が示すように、今後の欧米とロシアとの関係は、予断を許さない状況にあり、「新冷戦」に発展する可能性があるのだと。。
強行姿勢を堅持するプーチン大統領にすれば、追放外交官数に見られる温度差を突き、諸国を分断したい。
日本は現段階で、対抗措置に参加しておらず、外務省幹部は「安倍政権が対露関係を重視している面もあるが、今回の件は諜報部門の側面が強く、入りづらい」と話しているのだとか。
G7では、メルケル首相に次ぐベテランとなった安倍首相。プーチン大統領とも、トランプ大統領とも親しいとされる人脈が、「新冷戦」への発展を防ぐ役に活かせるか。
日本が、世界外交のひのき舞台で貢献できる可能性があるチャンスですが、どうでしょう。
# 冒頭の画像は、英国下院で、ロシアとの全ての高レベル連絡を英政府が一時停止すると述べたメイ首相
アシタバ
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