遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の東シナ海への侵略 新たな段階へ一歩を踏み出した

2016-06-29 23:58:58 | 東シナ海尖閣諸島
 東シナ海の日本近海で、中国海軍の軍艦が連続して進入していることは諸兄がご承知の通りで、遊爺も取り上げさせていただいていました。
 ところが、海だけでなく、空でも戦闘機の活動が活発化していて、「空自創設以来初めての、実戦によるドッグファイト」が勃発するに至ったのだそうです。明らかに、尖閣実効支配に向けて、「中国が一歩踏み込んだ」と唱え、無反応に見える政府もに、元航空支援集団司令官の織田邦男氏が警鐘を鳴らしておられます。
 

東シナ海で一触即発の危機、ついに中国が軍事行動 中国機のミサイル攻撃を避けようと、自衛隊機が自己防御装置作動 | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.6.28(火) 織田 邦男

 6月9日、中国海軍ジャンカイ級フリゲート艦1隻が尖閣諸島周辺の接続水域に侵入した。これまで公船(海警)が接続水域や領海に侵入してくることは、しばしばあったが、中国海軍が尖閣諸島周辺の接続水域に入ったのは初めて
である。
 その
6日後の15日、今度は中国海軍ドンディアオ級情報収集艦が口永良部周辺の領海を侵犯
した。2004年、中国海軍漢級原子力潜水艦が先島諸島周辺の領海を侵犯して以来、2回目の事案である。
 中国国防省は「トカラ海峡は『国際航行に使われている海峡』で、自由に航行できる」と正当性を主張している。だが日本政府「屋久島や奄美群島付近のトカラ海峡は国際的な船舶航行がほとんどなく、国連海洋法条約で定める『国際海峡』には該当しない」と反論し懸念を示した。
 国際法上、領海内の無害通航は認められている。ただ中国は自国の領海においては、「無害通航」についても事前承認を求めている。今回はダブルスタンダードの非難を避けるために、あえて「国際海峡」を主張したものと思われる。

■一触即発の東シナ海上空
 この時、日米印3カ国の共同訓練に参加するインド軍艦が航行しており、中国軍は共同訓練を監視する目的があったことは確かである。その
翌日の16日、今度は沖縄・北大東島の接続水域に同じ中国海軍情報収集艦が侵入
している。
 これら
海上の動きと合わせるように、東シナ海上空では、驚くべきことが起こりつつある中国空海軍の戦闘機が航空自衛隊のスクランブル機に対し、極めて危険な挑発行動を取るようになった
のだ。

 東シナ海での中国軍戦闘機による米軍や自衛隊の偵察機への危険飛行は、これまでにもしばしば生起している。他方、中国軍戦闘機は空自のスクランブル機に対しては、一定の抑制された行動を取ってきたのも事実である。
 武装した戦闘機同士がミサイル射程圏内でまみえると、一触即発の事態になりかねない。そういうことに配慮してだろう、中国軍戦闘機は空自戦闘機とは一定の距離を保ち、比較的抑制された行動を取ってきた。
 これまで中国軍戦闘機は東シナ海の一定ラインから南下しようとはせず、空自のスクランブル機に対しても、敵対行動を取ったことは一度もなかった。

だが今回、状況は一変した。中国海軍艦艇の挑戦的な行動に呼応するかのように、これまでのラインをやすやすと越えて南下し、空自スクランブル機に対し攻撃動作を仕かけてきた
という。
 攻撃動作を仕かけられた空自戦闘機は、いったんは防御機動でこれを回避したが、このままではドッグファイト(格闘戦)に巻き込まれ、不測の状態が生起しかねないと判断し、自己防御装置を使用しながら中国軍機によるミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱したという。
 筆者は戦闘機操縦者だったので、その深刻さはよく分かる。まさに間一髪だったと言えよう。
冷戦期にもなかった対象国戦闘機による攻撃行動であり、空自創設以来初めての、実戦によるドッグファイト
であった。
 日中共に戦闘機はミサイルを搭載し、機関砲を装備している。武装した戦闘機同士がミサイル射程圏内で遭遇するわけである。戦闘機同士がいったん格闘戦に陥ると、空中衝突やミサイル発射に至る可能性は十分にある。
 規律の厳格な空自戦闘機操縦者が先にミサイル発射することはまずあり得ない。だが中国空軍の戦闘機パイロットは経験も浅く、何をするか分からない。

 2001年、海南島沖の公海上空を飛行中の米海軍EP-3電子偵察機に対し、中国空軍J-8戦闘機がスクランブルをかけ、挑発行動を取った挙句衝突したことは記憶に新しい。

■外交手段を取らない日本政府
今回の事例は極めて深刻な状況
である。当然、政府にも報告されている。
 だが、地上ではその深刻さが理解しづらいせいか、
特段の外交的対応もなされていないようだ。だからニュースにもなっていない。問題は、こういった危険な挑発行動が単発的、偶発的に起こったわけでなく、現在も続いている
ことだ。
 これら上空での状況は、海上での中国海軍艦艇の動きとは比較にならないくらい大変危険な状況である。
政府は深刻に受け止め、政治、外交、軍事を含めあらゆる観点からの中国サイドに行動の自制を求めるべき
である。
 しかしながら、参議院選挙も影響してか、その動きは極めて鈍い。

なぜ今、中国は海上、航空の2つの領域でこういう挑発的な行動に出てきたのだろう
。現段階で確たることは言えないが、偶発的事案とは言えないことだけは確かだ。
 危機管理の要諦として「最悪」のシナリオを考えておく必要があるが、最悪のシナリオは、一言でいうと
「中国が一歩踏み込んだ」
ということだろう。
 これまで中国は決して軍艦を尖閣諸島周辺の接続水域に侵入させたことはなかった。尖閣諸島の国有化以降、公船(海警)を侵入させて既成事実を積み上げてきた。
毎月3回、1回3隻の公船が尖閣諸島の領海を侵犯し、2時間居座った後、退去するという定型パターンを繰り返してきた。「3-3-2フォーミュラ」と言われるゆえん
である。

「サラミ・スライス戦略」「クリーピング・エキスパンション」と言われるように、中国はこれまで、国際社会の批判を回避すべく、軍艦を出さずに、公船でもって既成事実を積み重ね、少しずつ少しずつ実効支配を我が物にしようとしてきた


■狙いは空自戦闘機の駆逐
 上空でも中国軍戦闘機によって抑制されてはいるが接近行動を繰り返してきた。だが、
戦闘機による尖閣諸島の領空侵犯は一度もなかった

 ただこれを繰り返しても、国家の象徴たる軍艦や戦闘機を出さない限り、実効支配を完結することはできない。
いずれは、軍艦を尖閣諸島の領海に居座らせ、空自戦闘機を駆逐して中国戦闘機を自由に領空に留まらせることによって実効支配を完結させたいと機会を伺っていた。今回、その第1歩を踏み出す絶好のチャンスが到来したと判断
したのではないだろうか。

 G7が終わり、シャングリラ対話、そして米中経済戦略対話も終了した。いずれも南シナ海の埋め立てや領有権問題で中国は非難の矢面に立たされ、国際的に孤立した。この後、9月に北京で実施されるG20にはしばらく時間がある。この間を絶好のチャンスと捉えた可能性がある。
 9月までに評判を回復すればいいのであって、今しばらくの間は、さらに国際的に非難されるような行動を取っても、大勢に影響はない。
 また、
フィリピンが提訴した国際常設仲裁裁判所の判断がまもなく示される予定である。中国はこの判断には従わない旨を既に公言
している。だが、裁定が下されればさらに国際社会から糾弾を受けるだろう。
 だが、100度の湯に100度の熱湯を加えても200度にはならないように、地に落ちた評判はそれ以上落ちることはない。失うものはないのであり、これは逆に絶好のチャンスでもある。
 まさに
ピンチはチャンスとばかりに軍による領海侵犯、領空侵犯を常態化させる「最初の一歩」として、行動を開始した
と考えたとしても不思議ではない。
 もしこの最悪のシナリオが事実なら、
今後、9月までの間、東シナ海の海上および上空で日中の小規模紛争が起きる可能性は極めて高い
。事実、上空では毎日のように危険極まりない挑発的行動が続いているという。
 自衛隊は引き続き毅然と対応しなければならない。だが、中国軍の挑発に乗ってはならない。また中国軍へ武力行使の口実を与えてはならない。

■中国の思う壺にならないために
 さりとて、余計な刺激を避けようと、
こちらが引くだけでは日本の弱腰を見透かされ、中国軍の行動はさらにエスカレートし、軍による実効支配が進んでしまう。まさに中国の思うつぼ
である。
 2010年、中国漁船が海保巡視艇に衝突した際、時の民主党政権は漁船の船長を法律で裁くことなく国外退去させた。この結果、さらに中国の傍若無人な行動はエスカレートしたことを見れば分かる。
中国は今回、間違いなく一歩踏み出した。今、中国はこれらの動きに対する日本政府の反応を見ている


 上空での熾烈な戦いは今もなお続いている。もはや空自による戦術レベルの対応だけでは限界かもしれない。
上空での中国軍の危険な挑発行動は、いち早くこれを公表し、国際社会に訴え「世論戦」に持ち込むことが必要
である。
 ことは急を要する。政治家はまず、ことの深刻さ、重要さを認識すべきである。
今のまま放置すれば、軍による実効支配が進むだけでなく、悲劇が起きる可能性がある


政府は、政治、外交、軍事を含む総合的で戦略的な対応を早急に取るべきである。英国のEU離脱への対応や参議院選挙も重要であろう。だが、この問題はそれと同等またはそれ以上に深刻なのだ。

 「なぜ今、中国は海上、航空の2つの領域でこういう挑発的な行動に出てきたのだろう」とも喚起しておられます。
 尖閣諸島が日米同盟の適用範囲であることを明言した最初の米国政府要人は、当時国務長官だった、ヒラリー・クリントン氏でした。後に、オバマ大統領も明言するに至っていますね。がしかし、その理由は、日本の実質管理下にあることで、領土か否かについては関与していませんね。そこで、中国は尖閣を実質管理下におこうと、組織の統廃合を進め、海警局を設立し、各種公船も「海警」の名に統一して、尖閣近海での定期巡回をし、中国漁船の管理と、石垣島などの日本漁船の接近を阻止する現状を確立しています。海保の巡視船より、島に近い側で巡回していると報道されています。
 それが今、「海監」ではなく、離れた位置で滞在していた軍艦が接近するようになり、空では、空自創設以来初めての、実戦によるドッグファイトが勃発するに至ったのです。
 行動がエスカレートしている最終目的は、尖閣諸島の実効支配ですね。日本の実質管理下にあることが日米同盟の適用理由と言う米国。中国が実質管理下におけば、米国が日米同盟の適用範囲とする理由は消滅します。既に「海監」が定期巡回して、日本の漁船を排除しているのですから、実質管理に近づいています。そこへ軍艦も参入して日本の巡視船を遠ざければ、制海権を獲得し、管理どころか「実効支配」が成立します。「実効支配」を完成させるには、制空権も必要ですから、スクランブルしてくる空自の戦闘機も排除する必要がある。

 フィリピンが提訴した、国際常設仲裁裁判所の判断がまもなく下されますね。この裁定には従わないと公言している中国。南シナ海でも、人口島を建設して、国際海洋法に反し、領土、領海空権を主張し、米軍の「航行の自由作戦(FONOP)」と対峙しています。
 追い込まれている様に見える中国ですが、織田氏は、「地に落ちた評判はそれ以上落ちることはない。失うものはない。」とし「ピンチはチャンスとばかりに軍による領海侵犯、領空侵犯を常態化させる「最初の一歩」として、行動を開始した」と分析しておられます。
 そして「一歩踏み出した」中国は、日本の反応を観ていると。たしかに、中国の戦術は、ジャブを繰り出して反応を観ながら強い反発があれば一歩引き、暫くジャブを繰り返し、慢性化させて慣らした後、二歩前進するといった繰り返しで徐々に侵略して目的を達するといったものです。反発が微弱であれば、そのまま侵略を勧めます。巡視船に衝突した漁船への菅・仙谷・前原氏等の民主党政府の対応が、今日の侵略を招いているのは衆知の事実ですね。
 今回のドッグファイトは、日本政府は何も反応している様に見えませんし、メディアも報道していません。この織田氏の記事が、ネットで話題になり、数紙が取り上げてようやく有志の間で知られることとなっているのですね。

 織田氏が指摘されている通りで、日本の反応次第で、中国の侵略の速度や規模は加速されます。
 「政府は、政治、外交、軍事を含む総合的で戦略的な対応を早急に取るべき」と提唱されていますが、まさにその通りで、しかも世界に広く現状を知らしめて、国際世論を喚起すべきです。
 何故、外務省等の政府が動かないのか。理由が謎です。中国戦闘機の危険行為が広く知られる方が、参院選でも国民の投票行動の安全保障に対する思考の参考になるはずです。
 選挙はさておいて、新たな段階へ一歩を踏み出した中国へ、毅然として態度を示さねば、旧民主党政府が失敗したように、更なるエスカレートを招いてしまい、尖閣の実効支配、ひいては沖縄への侵略を産んでしまいます。
 中国・戦闘機の暴挙への抗議と、国民や国際社会への広報を政府に促しましょう!遊爺は、以下のサイトで政府へ要請しました。よろしければ、皆様もお願いします。(匿名でも可能です。)
 
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