遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日本近海で、米中露等で海中のパワーゲームが激化

2012-01-13 23:48:14 | EEZ 全般
 米国が主導する中国包囲網。元はと言えば中国の海洋覇権拡大、台湾併呑の為の「接近拒否戦略」が発端です。
 米中のつばぜり合いの最前線は、海中での潜水艦の制海権争いで、そのパワーゲームが激化し、ロシアも太平洋艦隊に戦力を移行し米中の動きに注目しているのだそうで、日本近海の海中が騒然として来ている様です。
 

変動2012 第1部 東アジアと日本 近海に米中潜水艦 沿岸国交え 駆け引き戦 (1/13 読売朝刊)

 米国、中国、ロシアなどの力が渦巻く日本周辺で、海中のパワーゲームが激しさを増している。
<中略>

 
海中をひそかに動く潜水艦は、敵艦を破壊、海上輸送路をかく乱する攻撃能力と、敵の鼻先で情報収集できるスパイ能力を備えた戦略的な兵器だ。存在自体が相手の動きを縛る。
 ベトナム潜水艦がにらむのは、南シナ海の領土、領海で対立する中国。越関係筋は、ロシア、インドと潜水艦乗員研修で協力を始めたことを明らかにし、「日本にも潜水艦運用や乗員養成での協力希望を伝えている」と語った。
 越国防相の来日時、
日越は、南、東シナ海で勢力圏拡大を図る中国をにらみ、安保分野での多国間連携の方針を確認、日越防衛交流推進の覚書も交わした。
 米海軍介入を拒む中国の「接近拒否戦略」
で切り札となるのも潜水艦だ。
 中国の現有潜水艦は、海軍の一大拠点・海南島に配備されたとみられる最新鋭戦略ミサイル原潜「晋」級を含め70隻以上。香港メディアは、20年までに30隻を新造する野心的計画があると報じた。世界第2の経済大国は、07年に訪中した
米太平洋軍司令官に中国海軍高官が「私的」に提案した「ハワイを境にした太平洋の分割統治」
を視野に入れ始めたかに見える。
 しかし、世界の海の自由航行を国是とする米国にとり、これは重大な挑戦だ。オバマ政権は5日発表した国防関係報告書で「
中国の台頭は米国経済、安全保障を脅かす可能性がある」と指摘、2地域での大規模戦争に備える二正面戦略を放棄し、アジア太平洋に国防の軸足を移すと宣言
した。
 世界最強の米潜水艦隊が、太平洋を西へと向かう。保有空母と潜水艦のそれぞれ60%がアジア・太平洋に配される予定で、中国潜水艦の奇襲攻撃から空母を守るため、敵艦を狩る攻撃型原潜が前方展開する。
 米議会調査局の報告書などによれば、グアム近海に攻撃型原潜3隻が展開、西海岸に同原潜3隻と巡航ミサイル原潜2隻が常駐している。豪州西部への原潜寄港計画も報じられている。
 西太平洋の海中で始まった米中の熾烈な「グレート・ゲーム」。米国とその同盟国の連携にベトナムなども加わる形で、緩やかな対中大包囲網が生まれつつある。北からは、ロシア太平洋艦隊の原潜が、米中双方をうかがう。

   ◇

 中国の台頭、西洋の後退という潮流によって、世界は大変動期に入った。米中露などで指導者交代期を迎える今年、新秩序形成に向けた世界の姿を追う。

 以下は、ベトナムの動きです。
 日本はベトナムの期待に応えられるのでしょうか。日本は、激化する近海での動きに備える戦略は何処まで構築されているのでしょう。
 野田政権の、2代に渡る防衛相の選任姿勢は、党内融和のポストの役割に留まる位置づけ。自国の近海の事でありながら、とても各国の動きの中でリーダーシップを持てる危機感を認識しているとは言えない。
 

ベトナム 米露と連携 (1/13 読売朝刊)

 
ベトナム中部、南シナ海に面するカムラン湾は、水深が30メートル近くあり、10万トン級の艦船が出入りできる天然の良港だ。ベトナム戦争中は米軍の補給基地となり、冷戦期にはソ連軍が駐留した。2002年にロシア軍が撤退した後、越政府は外国の軍事目的利用を断り、白い砂浜を生かしたリゾート開発などを進めてきた。
 だが、スプラトリー(南沙)諸島などを巡る中国との領土、
領海摩擦が激化する中、越政府は同湾を外国に利用させることの戦略的価値に再び着目
し、現在、外国軍艦船の停泊を想定した補給基地の整備にかかっている。開発には露企業もかかわっているという。
 越軍事筋は「ベトナムの主権を尊重し、使用料を払うなら、どの国でも利用できる。他国と信頼関係を築く機会にもなる。ベトナムの経済と安全保障にとって、カムラン湾は重要さを増している」と語る。
 ベトナムは現在、南シナ海の問題に、
米国、ロシア、インド、日本など各国を広く巻き込むことによって、圧倒的な軍事力を背景に「当事者間協議」での解決を求める中国に対抗
しようとしている。国際会議で同問題を取り上げるほか、10年には米越海軍合同演習を実施した。潜水艦隊を巡る各国との協力は、その一環でもある。
 南シナ海に対する国際社会の関与を広げていこうとするベトナムにとって、カムラン湾は有力なカードとなった。
 ホーチミン海洋科学技術環境協会のドアン・マン・ズン副会長は、「海外の注目をカムラン湾に集める必要がある」と語った。さらに、越印両国が南シナ海で進める資源採掘協力についても、「インドの注意を南シナ海に向けさせる狙いがあった」と指摘した。
 中越両国は過去、南シナ海で軍事衝突を繰り返してきた。ベトナム戦争中の1974年、中国軍は南ベトナム軍(当時)をパラセル(西沙)諸島から駆逐。88年には、スプラトリー近海で大規模な衝突があった。
中越の国力が隔絶する中、ベトナムにとって、各国との連携が、これまで以上に重要な意味を持っている。


 ロシアの動きです。
 

露海軍対中も視野 (1/13 読売朝刊)

 
先月23日、ロシア北西部の白海で、2007年に進水した最新鋭ボレイ級原潜「ユーリー・ドルゴルーキー」から、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「ブラバ」2発が同時発射された。オレンジ色の尾を引いて海面を飛び出したミサイルは瞬く間に灰色の空に吸い込まれ、6000キロメートル以上離れたカムチャツカ半島の目標に命中した。
 米国のミサイル防衛(MD)に対抗して開発されたブラバ。「ユーリー・ドルゴルーキー」からの発射実験は、これで4回連続成功した。メドベージェフ大統領はその4日後、ブラバの実戦配備を宣言。これを受けて同艦は今年、カムチャツカ半島の太平洋艦隊原潜基地に配備される見通しとなった。
 また、仏製強襲揚陸艦「ミストラル」級2隻が、同艦隊の本拠ウラジオストクの近くに14~15年に配備される。北部ムルマンスク州セベロモルスクに司令部を置く北方艦隊の原子力ミサイル巡洋艦「アドミラル・ナヒーモフ」を太平洋に移すとの情報もある。
 氷点下20度近くに冷え込んだ先月下旬のウラジオストクで、今年9月に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に向け、橋や道路、高級ホテルの建設が進んでいた。太平洋艦隊司令部がある金角湾には大型駆逐艦が停泊していた。
 APECでは、プーチン首相が大本命となる3月の大統領選での勝者が、「太平洋国家」ロシアをアピールする。同艦隊増強は、エネルギー開発とともに、世界の富と力が集中しつつあるアジア太平洋への進出を目指す国家戦略の柱だ。
 地元日刊紙「ウラジオストク」のアンドレイ・プシカリョフ編集長は「北大西洋条約機構(NATO)との衝突はもはやあり得ず、
北方艦隊の重要性は低下した。太平洋艦隊はいずれ、質、量ともにロシア海軍最強になる
」と断言した。
 軍事専門家の間では、
太平洋艦隊増強は、米国への対抗だけでなく、中国への備えとの見方も強い。極東ロシア通信のアナトリー・イリユホフ記者は「人口過多の中国の課題は、土地獲得。ロシアには広大な土地と資源がある。(中露)戦事の可能性はある
とみるのが現実的だ」と語る。
 軍事専門家アレクサンドル・フラムチーヒン氏は
中国がロシアに侵攻する可能性を「95%以上」
と衝撃的な言葉を口にした・軍事評講家ビクトル・リトフキン 氏は、極東における「国境、海上交通要路、資源の防衛」の重要性を指摘した。

 北方領土の長年の交渉を、菅政権時代に完全に覆された民主党の日本。
 太平洋艦隊の増強は、日本を通り越して米中の西太平洋の動きを睨んだものと遊爺も唱えてきましたが、ここへきて明確になってきましたね。
 更に、米というより、中国への警戒の度合いが強い!
 ますます北方領土が遠のきます。

 天然ガスの主力ガス田が枯渇し、極東か北極圏での高コストの新規開発を迫られているロシア。欧州がエネルギーの安定供給を画し脱ロシアを図り、販売先が減るロシア。「シェールガス革命」で、米国が天然ガスの輸出国に転じるなど、天然ガスの供給力が好転する市場環境。
 火力発電の増加を余儀なくされる日本は、ロシアにとって救いの神となる販売先ですが、ここは我慢のしどころ。
 北方領土を返せば、ガスの購入や開発への協力をしてもよいとし、ロシアにエネルギー供給を依存することは避けるしか、返還の道は残されていないと政府も民間企業も肝に銘ぜねばなりません。


 # 冒頭の画像は、三亜海軍基地に停泊する晋級原子力潜水艦



  この花の名前は、リンドウ  撮影場所=六甲高山植物園

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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交








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