遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

英国EU離脱騒動 日本人が得るべき教訓

2016-06-27 23:58:58 | my notice
 英国のEU離脱の驚き。週明けの今日の日経平均の株価は、先週末比357.19円の反騰となり落ち着きを取り戻しました。勿論、不透明なことが多く、先行きは見通せません。
 興味深いのは、離脱が決まった時に、離脱多数の結果で歓喜していた人々の様子が報じられていたのですが、今日は、テレビや新聞で、英国民が一番結果に驚いていて、離脱に投票した人でさえ、反省していると報じられていることです。
 googleの検索で、EUについてとか、離脱の弊害の検索が急増し、離脱が決まってから知識を得ようとする人が増えているとの報道も諸兄がご承知の通りです。
 
[スキャナー]英国民投票 「まさか」離脱派後悔…「深く考えず1票」/若者不満募らす : 読売プレミアム

 
英離脱で勃興する勢力に備えよ キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦 (6/27 産経 正論)

 6月23日の国民投票の結果には一瞬絶句した。英国の大衆迎合型民族主義を過小評価したことを思い知らされた。同日付本紙コラムで筆者はこう予想した。

 ●英国の欧州連合(EU)離脱の悪影響は経済面に限られない。
 ●離脱賛成が過半数を占めるということは、英国有権者が抱く反EUの民族主義的感性が、加盟維持という国際主義的理性を凌駕(りょうが)したということ。
 ●あの英国でも大衆迎合主義的ナショナリズムが本格的に始まったことを意味する。

 それでも筆者はイギリス人がEU離脱を選択する可能性は低いとどこか楽観していた。最後は英国の理性が感情を抑えると信じたかったのだ。英国EU離脱の経済的悪影響については既に多くの記事が書かれている。本稿では国民投票結果が今後の国際政治に及ぼす影響につき考えてみたい。

≪「ダークサイドの覚醒」≫
 昨年末あたりから筆者は繰り返しこう書いてきた。
 ●現在世界中で醜く、不健全で、無責任な、大衆迎合的ナショナリズムが闊歩(かっぽ)している。
 ●21世紀に入り世界各地で貧富の差が一層拡大した。前世紀後半までそれなりの生活ができた中産階級が没落し始めたからだ。
 ●彼らの怒りは外国、新参移民と自国エスタブリッシュメントに向かう。強い不平等感を抱く彼らは何に対しても不寛容で、時に暴力的にすらなる。

 筆者はこれを「ダークサイドの覚醒」と呼んできた。欧州大陸での反イスラム・反移民の極右運動や米国のトランプ旋風だけではない。中東「アラブの春」運動や中国で習近平総書記が進める反腐敗運動などの政治社会的背景も基本的には同じだ。それがあの英国ですら起きたのだから、もう世界的に定着したと考えてよいだろう。
 この傾向はポスト冷戦期の終焉(しゅうえん)とともに顕在化し始めた。ポピュリズムとナショナリズムは欧米の自由民主主義的な現状維持勢力を劣化させる一方、力による現状変更も厭(いと)わない「帝国」を生みだしつつある。最初は愛国主義者プーチン大統領のロシア。ジョージア、ウクライナ、クリミアなどへの軍事介入がその典型例だ。続いて中国。習近平総書記が進める「中国の夢」も力による現状変更を正当化するものだ。
 中露だけではない。大衆迎合的民族主義が帝国主義と合体する可能性はイランやトルコにも見られる。今後はこれまで世界秩序を維持してきた自由・民主・市場経済を重視する勢力が求心力を失って分裂傾向を強める一方、権威主義的・非民主的勢力が、前者の凋落(ちょうらく)によって新たに生まれる「力の真空」を埋めていくだろう。

≪政治家に求められる制御能力≫
 日本は何をすべきか。第1にパニックは禁物だ。確かに市場では政治的不確実性がパニックとボラティリティ(数値の乱高下)を生んでいる。しかし、この現象が一過性でないことは述べた通りだ。今後もダークサイドの覚醒は長期化し世界各地に波及していくだろう。であれば今後はこの状態を「新常態」と覚悟する、冷静で理性的な判断が必要となるだろう。
 第2はデマに惑わされないことだ。既に一部では、これからユーロは暴落しEUは崩壊し、英国は分裂するなどとまことしやかに報じられている。しかし、離脱の連鎖反応を恐れるEU主流は逆に結束を強めるから、ユーロへの悪影響は少ないだろう。しかも、英国の離脱には通知から2年間の交渉期間が必要だ。ダークサイドからの逆襲を受けた欧州エリートの粘り腰も過小評価すべきではない。

 そもそも、今回の衝撃はリーマン・ショックとは若干異なる。後者がサブプライムなど米国バブル崩壊に端を発した経済問題であるのに対し、今回の原因はより政治的側面が強く複雑だからだ。
 最後に重要なことは、ダークサイドを制御する能力だ。この制御に失敗した政治家は、キャメロン英首相であれ米共和党主流派であれ政治生命を失った。そうした危険が将来、日本に生じないという保証はない。

≪普遍的価値を尊重し連携を≫
 産経新聞(25日付)に「英国人は外部から指示されればされるほど、拒否する気性がある。論理的に正しくても、感情的に反発する」とあった。なるほど、では、同じ島国・日本にも同様の気質はないのか。これらは日本国内の左右のダークサイドに共通してみられる傾向ではないのか。
 中国の新華社通信は「西側が誇りとしている民主主義の制度が、ポピュリズムや民族主義、極右主義の影響にはまったくもろいことが示された」と報じたそうだ。しかし、民主的国民投票など実施できない独裁国家・中国にそれを言う資格はない。
 今回の英国EU離脱騒動は日本にとって対岸の火事ではない。日本人が得るべき教訓は、常に理性的に行動し、決して感情的にならないこと。そして、無責任な左右のナショナリズムを排しながら、普遍的価値を尊重する勢力との連携を貫くことの重要性である。(みやけ くにひこ)


 「醜く、不健全で、無責任な、大衆迎合的ナショナリズムが闊歩(かっぽ)している」「21世紀に入り世界各地で貧富の差が一層拡大した。前世紀後半までそれなりの生活ができた中産階級が没落し始めた」「彼らの怒りは外国、新参移民と自国エスタブリッシュメントに向かう。強い不平等感を抱く彼らは何に対しても不寛容で、時に暴力的にすらなる」。これを「ダークサイドの覚醒」と呼ぶと言う、宮家邦彦氏。
 「アラブの春」で吹き荒れた風が拡散し、ポピュリズムとナショナリズムは欧米の自由民主主義的な現状維持勢力を劣化させる一方、力による現状変更も厭わない「帝国」を生みだしつつあり、中露の力による現状変更、欧州大陸での反イスラム・反移民の極右運動や米国のトランプ旋風を産み出し、英国まで侵食し、「ダークサイドの覚醒」は世界に定着したと考えてよいと指摘されています。
 世界中で起きている、底流に繋がりが読み取れる新たな動きの鼓動が感じられますが、うまく表現されていますね。
 そしてそれは、「アラブの春」が当初解放に向けた夜明けの様に捉えられていながら、自称イスラム国を産むような、大混乱の時代を招いたように、第二次大戦後の世界の秩序のバランスが崩壊するかの流れを産んでいる様に見えます。

 この英国のEU離脱の国民投票が選択した答え。新華社通信は「西側が誇りとしている民主主義の制度が、ポピュリズムや民族主義、極右主義の影響にはまったくもろいことが示された」と報じたのだそうですが、記事で指摘されている様に、共産党一党独裁支配の中国にいわれる筋合いはありませんが、生じているダークサイトの管理能力が求められているのは事実です。

 日本は何をすべきか。宮家氏が指摘されるのは、以下の2点。
 ひとつは、今後もダークサイドの覚醒は長期化し世界各地に波及していくと正面から受け止めて、冷静で理性的な判断をすること。

 もうひとつは、デマに惑わされないこと。
 英国の離脱に投票した人が、感情を優先させ、EU離脱後の冷静な判断を欠き、反キャメロン政策の意思表示で離脱に投じたが、離脱が現実のものとなって後悔しているとの声が報じられています。

 日本では、偏向メディアが政権交代の風を吹かせ、メディアに騙された人々によって政権交代が実現したのですが、経済は日本沈没の危機を招き、安全保障では、東シナ海の中国、北方四島のロシア、日本海の竹島では韓国と、近隣諸国の進入や実効支配の強化を招く国益の損耗を生じてしまいました。
 宮家氏が指摘される、英国のEU離脱国民投票結果から学んで日本がすべきことの2点。傾聴に値する提言ですね。

 日本国民が、参院選でどのような選択をするのか。政権への批判を、誤った形で表現するのかしないのか。偏向メディアに、知識不足に付け込まれ、騙され、乗せられて感情で判断させられてしまうのか否か。大きく変化しようとしている世界の流れの中で、荒波に巻き込まれない判断が必要ですね。


 
 # 冒頭の画像は、英国がEU加盟国として支払っている拠出金の額で、嘘を言った事を認めた、英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首
  英EU離脱:公約「うそ」認める幹部 「投票後悔」の声も - 毎日新聞




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