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自称イスラム国は、後藤氏の殺害に続いて、米国の人道支援家の女性人質がヨルダンの空爆で死亡したと発表しました。
人質交渉には応じないとする米国内の、自称イスラム国による人質への対処の現状世論を、家族による身代金支払いの是非、イスラム国に関する報道のあり方について、読売新聞が報じています。身代金の支払いに民間が応じることには米政府内でも見解が分かれているのだそうです。
また、イスラム国の人質の関係者や、タリバンから脱出した人質経験者は、「支配地域に行くのは自殺を図るようなものだ」「いまは記者は行くべきでない 」と述べています。
ヨルダン空爆:「米国人人質が死亡」…「イスラム国」声明 - 毎日新聞
今回の後藤氏の自称イスラム国潜入は、朝日との契約によるものとか、毎日(or TBS)との契約とかネット上で情報が飛び交っています。
報道のありかたについて、AFP通信は14年9月、フリー記者がこれ以上危険を冒さないよう、「AFP記者を行かせない地域からの売り込みは受け付けない」との立場を示していたのだそうですね。
日本ではフリーカメラマンの渡航について外務省職員等が指導したが、強硬しようとしたので、旅券返納を求めたとの件が話題になっています。
だれかが報道しなければ、世界の人々が、現地の惨状を知ることが出来ない。「憲法が保障する報道・取材の自由や移動の自由」を国家が束縛するといった声があるのですね。
シリア渡航禁止「乱暴」杉本さん訴訟検討 : nikkansports.com
読売の記事の人質関係者や、経験者は、「支配地域に行くのは自殺を図るようなものだ」「いまは記者は行くべきでない」と述べています。
イスラム国に関する報道のあり方は、相手は、平和ボケした机上の論議は通用しないと考えねばならないでしょう。
報道の自由、行動の自由は、民主主義国家では尊重されねばなりませんが、自由には、義務や責任が裏打ちされていなければならず、無制限ではありません。
リスクと成果のバランスの見極めが重要ですね。
大手メディアが、自社の記者ではなく、フリージャーナリストを使って、リスクの高い現地の映像を求める。それは、フリージャーナリストを名乗る方々が、リスクを冒してまで現地に入る原因の一端を担っています。
イスラム国の報道について、遊爺は、AFP通信の姿勢を支持します。
身代金の国家ではなく私的な支払いについては、ケースバイケースでは、自己責任の選択肢のひとつとして排除はしませんが、テロとの戦いにおいて、命を顧みず潜入した方(人質となってしまって、テロのプロパガンダに結果として協力してしまうことは承知の上の行為)の全てを対象とすへきかは、賛同しかねます。「人々の苦しみが世界から覆い隠されているのは悲劇だが、記者が危険を冒すべきだとは道徳上、言えない。」と言う、デビッド・ロード記者の声は、傾聴に値します。
# 冒頭の画像は、空爆により死亡したとされる米国人人質のケイラ・ミューラーさん
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この花の名前は、ヘリアンサス・アトロルベンス
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1953年6月、島根県が竹島に建てた日本の領土であることを示す標柱
竹島に関する動画 / 政府広報 - YouTube
杉原由美子氏による絵本「メチのいた島」読み聞かせ - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。
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人質交渉には応じないとする米国内の、自称イスラム国による人質への対処の現状世論を、家族による身代金支払いの是非、イスラム国に関する報道のあり方について、読売新聞が報じています。身代金の支払いに民間が応じることには米政府内でも見解が分かれているのだそうです。
また、イスラム国の人質の関係者や、タリバンから脱出した人質経験者は、「支配地域に行くのは自殺を図るようなものだ」「いまは記者は行くべきでない 」と述べています。
ヨルダン空爆:「米国人人質が死亡」…「イスラム国」声明 - 毎日新聞
「イスラム国」米国人人質問題 殺害相次ぎ 高まる不満 米政府対応 (2/10 読売朝刊)
イスラム過激派組織「イスラム国」による外国人人質事件で米国人は3人が殺害され、1人が安否不明となっている。英国を除く欧州各国の人質の多くは解放されており、米国人の家族の不満は大きい。米政府が対応の見直しを進めるなか、人質の関係者や拘束経験を持つジャーナリストの意見から、家族による身代金支払いの是非、イスラム国に関する報道のあり方など、様々な課題が浮かび上がった。(ワシントン 白川義和) <中略>
問われる報道機関
イスラム国による人質事件は、拘束された外国人記者が一時は10人以上に達し、取材や報道のあり方の問題もつきつけた。
AP通信、ロイター通信、AFP通信、米紙ワシントン・ポストなど欧米13メディアの編集幹部は2013年12月、シリア反体制派に連名で書簡を送り、記者誘拐が多発する状況が改善されなければ、シリア内戦取材の規制を続ける方針を通知。その分、フリージャーナリストの役割が高まった。
だが、AFP通信は14年9月、フリー記者がこれ以上危険を冒さないよう、「AFP記者を行かせない地域からの売り込みは受け付けない」との立場を示した。AFPはフリー記者だったフォーリー氏の記事や映像を恒常的に買っていたという。
一方、外国人記者拘束の事実は、イスラム国の映像公開まで報じられない事例が多かった。
民間団体「ジャーナリスト保護委員会」のジョエル・サイモン事務局長は、「良い結果を生んでいると思えない。情報管理を彼らに委ね、宣伝に使われている」と述べ、報道機関側にも改善の余地があるとの見解を示した。
誘拐は金銭目的 フォーリー氏と契約したフィリップ・バルボニ氏
フォーリー氏が消息を絶ち、我々はFBIに通報するとともに、誘拐専門の警備会社と契約した。約1年後の13年11月、最初のメールがフォーリー氏の弟と私に来た。約1週間後、「生存を証明するから質問を送れ」と言ってきた。フォーリー氏だけが答えられる質問を懸命に作った。
13年12月に返信が来た。答えはすべて合っていた。彼らは同時に、身代金1億ユーロ(現在の為替レートで約134億円)の支払いか「イスラム教徒の囚人」の釈放を要求し、「米政府が支払いも釈放もできないなら、おまえたちが払えばいい」と主張した。我々は「そんな巨額は無理だが、協力はしたい」という趣旨の回答を送った。
その後、14年8月に米軍がイスラム国への空爆を始めるまで連絡はなかった。8月12日に空爆を非難するメールが届き、フォーリー氏はそのせいで処刑されると書いてあった。19日に殺害映像が出た。
彼らの目的は金銭だったと確信している。スペイン、フランスなど欧州の政府は身代金を払ったか、支払いに協力した。1人あたり300万~500万ユーロ(同4億~6億7000万円)だと思う。我々が雇った専門家が欧州のある人質の交渉も担当し、実際に身代金を運んだ。
フォーリー氏の家族は自力で身代金を集めようとしていた。FBIは「支払いをしても訴追しない」と明言したが、国家安全保障会議(NSC)は「訴追される」と言った。政府内で分裂があった。イスラム国との交渉は過去は可能であっても、いまは違う。支配地域に行くのは自殺を図るようなものだ。
米欧 対策調整を アフガンで拘束されたデビッド・ロード記者
08年11月、アフガニスタンのカブール郊外で(アフガンの旧支配勢力)タリバンの司令官のインタビューに行き、拘束された。拘束が7か月になった時、見張りが眠っているすきに、一緒に拘束されたアフガン人記者と逃げた。米政府が救出してくれる可能性は非常に少ないと思っていた。身代金を払う可能性はゼロだ。
妻とは何回か電話し、タリバンの要求を伝えた。米政府に身代金2500万ドル(現在の為替レートで約30億円)と(米国がテロ容疑者を拘束しているキューバの)グアンタナモ基地からの囚人15人の釈放を要求していた。我々が逃げた時は、要求は約700万ドル(同8億3000万円)と囚人7人に下がっていた。当時私が所属したニューヨーク・タイムズ紙は身代金支払いを申し出た。ただ金額は百万ドル単位ではなかった。タリバンは一笑に付した。
いま、誘拐件数は増え、身代金の額が跳ね上がっている。対応を国際的に調整する必要がある。米国と欧州諸国は一致した政策を模索すべきだ。
家族や会社が身代金を払うのを政府が黙認するのは、悪い選択肢ばかりのなかでは最良だと思う。政府が支払う場合、巨額でも対応できてしまうため、相場が跳ね上がる。数年前に比べ、大幅に上がり、家族や小さな会社が支払うのが不可能な額になってしまった。
遺憾だが、いまは記者はシリアに行くべきでない。シリアの人々の苦しみが世界から覆い隠されているのは悲劇だが、記者が危険を冒すべきだとは道徳上、言えない。
イスラム過激派組織「イスラム国」による外国人人質事件で米国人は3人が殺害され、1人が安否不明となっている。英国を除く欧州各国の人質の多くは解放されており、米国人の家族の不満は大きい。米政府が対応の見直しを進めるなか、人質の関係者や拘束経験を持つジャーナリストの意見から、家族による身代金支払いの是非、イスラム国に関する報道のあり方など、様々な課題が浮かび上がった。(ワシントン 白川義和) <中略>
問われる報道機関
イスラム国による人質事件は、拘束された外国人記者が一時は10人以上に達し、取材や報道のあり方の問題もつきつけた。
AP通信、ロイター通信、AFP通信、米紙ワシントン・ポストなど欧米13メディアの編集幹部は2013年12月、シリア反体制派に連名で書簡を送り、記者誘拐が多発する状況が改善されなければ、シリア内戦取材の規制を続ける方針を通知。その分、フリージャーナリストの役割が高まった。
だが、AFP通信は14年9月、フリー記者がこれ以上危険を冒さないよう、「AFP記者を行かせない地域からの売り込みは受け付けない」との立場を示した。AFPはフリー記者だったフォーリー氏の記事や映像を恒常的に買っていたという。
一方、外国人記者拘束の事実は、イスラム国の映像公開まで報じられない事例が多かった。
民間団体「ジャーナリスト保護委員会」のジョエル・サイモン事務局長は、「良い結果を生んでいると思えない。情報管理を彼らに委ね、宣伝に使われている」と述べ、報道機関側にも改善の余地があるとの見解を示した。
誘拐は金銭目的 フォーリー氏と契約したフィリップ・バルボニ氏
フォーリー氏が消息を絶ち、我々はFBIに通報するとともに、誘拐専門の警備会社と契約した。約1年後の13年11月、最初のメールがフォーリー氏の弟と私に来た。約1週間後、「生存を証明するから質問を送れ」と言ってきた。フォーリー氏だけが答えられる質問を懸命に作った。
13年12月に返信が来た。答えはすべて合っていた。彼らは同時に、身代金1億ユーロ(現在の為替レートで約134億円)の支払いか「イスラム教徒の囚人」の釈放を要求し、「米政府が支払いも釈放もできないなら、おまえたちが払えばいい」と主張した。我々は「そんな巨額は無理だが、協力はしたい」という趣旨の回答を送った。
その後、14年8月に米軍がイスラム国への空爆を始めるまで連絡はなかった。8月12日に空爆を非難するメールが届き、フォーリー氏はそのせいで処刑されると書いてあった。19日に殺害映像が出た。
彼らの目的は金銭だったと確信している。スペイン、フランスなど欧州の政府は身代金を払ったか、支払いに協力した。1人あたり300万~500万ユーロ(同4億~6億7000万円)だと思う。我々が雇った専門家が欧州のある人質の交渉も担当し、実際に身代金を運んだ。
フォーリー氏の家族は自力で身代金を集めようとしていた。FBIは「支払いをしても訴追しない」と明言したが、国家安全保障会議(NSC)は「訴追される」と言った。政府内で分裂があった。イスラム国との交渉は過去は可能であっても、いまは違う。支配地域に行くのは自殺を図るようなものだ。
米欧 対策調整を アフガンで拘束されたデビッド・ロード記者
08年11月、アフガニスタンのカブール郊外で(アフガンの旧支配勢力)タリバンの司令官のインタビューに行き、拘束された。拘束が7か月になった時、見張りが眠っているすきに、一緒に拘束されたアフガン人記者と逃げた。米政府が救出してくれる可能性は非常に少ないと思っていた。身代金を払う可能性はゼロだ。
妻とは何回か電話し、タリバンの要求を伝えた。米政府に身代金2500万ドル(現在の為替レートで約30億円)と(米国がテロ容疑者を拘束しているキューバの)グアンタナモ基地からの囚人15人の釈放を要求していた。我々が逃げた時は、要求は約700万ドル(同8億3000万円)と囚人7人に下がっていた。当時私が所属したニューヨーク・タイムズ紙は身代金支払いを申し出た。ただ金額は百万ドル単位ではなかった。タリバンは一笑に付した。
いま、誘拐件数は増え、身代金の額が跳ね上がっている。対応を国際的に調整する必要がある。米国と欧州諸国は一致した政策を模索すべきだ。
家族や会社が身代金を払うのを政府が黙認するのは、悪い選択肢ばかりのなかでは最良だと思う。政府が支払う場合、巨額でも対応できてしまうため、相場が跳ね上がる。数年前に比べ、大幅に上がり、家族や小さな会社が支払うのが不可能な額になってしまった。
遺憾だが、いまは記者はシリアに行くべきでない。シリアの人々の苦しみが世界から覆い隠されているのは悲劇だが、記者が危険を冒すべきだとは道徳上、言えない。
今回の後藤氏の自称イスラム国潜入は、朝日との契約によるものとか、毎日(or TBS)との契約とかネット上で情報が飛び交っています。
報道のありかたについて、AFP通信は14年9月、フリー記者がこれ以上危険を冒さないよう、「AFP記者を行かせない地域からの売り込みは受け付けない」との立場を示していたのだそうですね。
日本ではフリーカメラマンの渡航について外務省職員等が指導したが、強硬しようとしたので、旅券返納を求めたとの件が話題になっています。
だれかが報道しなければ、世界の人々が、現地の惨状を知ることが出来ない。「憲法が保障する報道・取材の自由や移動の自由」を国家が束縛するといった声があるのですね。
シリア渡航禁止「乱暴」杉本さん訴訟検討 : nikkansports.com
読売の記事の人質関係者や、経験者は、「支配地域に行くのは自殺を図るようなものだ」「いまは記者は行くべきでない」と述べています。
イスラム国に関する報道のあり方は、相手は、平和ボケした机上の論議は通用しないと考えねばならないでしょう。
報道の自由、行動の自由は、民主主義国家では尊重されねばなりませんが、自由には、義務や責任が裏打ちされていなければならず、無制限ではありません。
リスクと成果のバランスの見極めが重要ですね。
大手メディアが、自社の記者ではなく、フリージャーナリストを使って、リスクの高い現地の映像を求める。それは、フリージャーナリストを名乗る方々が、リスクを冒してまで現地に入る原因の一端を担っています。
イスラム国の報道について、遊爺は、AFP通信の姿勢を支持します。
身代金の国家ではなく私的な支払いについては、ケースバイケースでは、自己責任の選択肢のひとつとして排除はしませんが、テロとの戦いにおいて、命を顧みず潜入した方(人質となってしまって、テロのプロパガンダに結果として協力してしまうことは承知の上の行為)の全てを対象とすへきかは、賛同しかねます。「人々の苦しみが世界から覆い隠されているのは悲劇だが、記者が危険を冒すべきだとは道徳上、言えない。」と言う、デビッド・ロード記者の声は、傾聴に値します。
# 冒頭の画像は、空爆により死亡したとされる米国人人質のケイラ・ミューラーさん
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この花の名前は、ヘリアンサス・アトロルベンス
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1953年6月、島根県が竹島に建てた日本の領土であることを示す標柱
竹島に関する動画 / 政府広報 - YouTube
杉原由美子氏による絵本「メチのいた島」読み聞かせ - YouTube
↓よろしかったら、お願いします。
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