Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

コミック雑誌なんかいらない!

2010-12-14 | 日本映画(か行)
★★★★★ 1986年/日本 監督/滝田洋二郎

「渾然一体のパワー」


テレビの人気突撃レポーターの取材活動を追う中で実際に85年に起こった有名人のスキャンダルや社会的事件をはさみ入れ、ワイドショーに踊らされる大衆への皮肉も込めて描いた衝撃の問題作。ワイドショーの人気レポーター、キナメリは有名人のスキャンダルをハイエナのごとく嗅ぎ回る男。今日も事件を求めて街へ繰り出す。ロス疑惑の三浦和義にマイクを向け、神田正輝との結婚を控えた松田聖子の家に張り込み、ヤクザの抗争を取材する…。


二度目の観賞。やっぱ何度見ても傑作。
日航機事故からおにゃん子クラブ、
風俗に至るまでいろんな社会問題がてんこ盛り。
「恐縮です」が売り文句の内田裕也演じる突撃リポーター、
キナメリ(ヘンな名前だよなー)を通して、当時の日本の世相を斬りまくる。
棒読みのどう見ても演技ヘタクソな内田裕也が、
後半マスコミの在り方に疑問を持ち始め、変容していく様が超カッコイイ。
いや私は、「水のないプール」も「十階のモスキート」も大好きでして、
昔から俳優内田裕也のファンです。

豊田商事の社長殺害事件をそのまま再現したラストシークエンスが圧巻。
殺し屋を演じるビートたけしの狂気がスクリーンを満たし、背筋がぞくそく。
この後、たけしは映画と同じように襲撃事件を起こしたし、
出演者のひとりであるロス疑惑の三浦容疑者も、この作品の撮影中に逮捕されるし。
こういう驚くべき偶然性を生み出す映画は今風に言えば「もってる」ってやつだよね。
語り継がれる映画ってのは、こうした想像を超えた何かを持っている。

で、これは滝田監督のデビュー作なんだけど、
元々内田裕也の持ち込み企画なんだよね。で、ふと思い出す。
あれれ、「おくりびと」も本木雅弘の持ち込み企画だよなー。
なんだ、親戚繋がりじゃん。
モックンはこの作品が念頭にあって、
滝田監督にお願いしたのかもと思うのであります。