Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

劇場版 ルパン三世 ルパンVS複製人間

2011-09-21 | 日本映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 1978年/日本 監督/吉川惣司


「ワルな西村晃の声」


ラストに出現するアレがあまりにインパクト大で、子どもの時に見たのにずっと覚えていた作品。
偶然テレビで久しぶりに見たんだけど、あまりに面白くて大コーフン。
「カリオストロの城」ももちろん見ているけど、私はこっちの方が断然好きだな。

1978年作、ルパンシリーズの劇場第1弾ってことだけど、とても大人向けよね。
ラスト、マモーは宇宙に飛び出し、「新たな精神」となって宇宙の神たらんとする。
ひょー。これは「2001年宇宙の旅」じゃあないですか。
クローン人間が複製を繰り返しているうちに、そのDNAが100%継承されなくなったり、
完全クローンできなかった欠陥人間が生まれたり。
マモーが崩壊するそのプロセスもがっつりSFモード入ってて
ハリウッドでこのまま実写化できるんじゃないのかとすら思える。
で、何だかやたらと深遠なラストの後でルパンと銭形のとっつぁんが肩組んで逃げ回るお決まりの展開。
このギャップがいい。

何より本作に惹きつけられたのはマモーの声を担当する西村晃の「声の演技力」。
彼だったからこそ、本作は傑作になっていると思う。
私は西村晃と言えば「赤い殺意」や「絞殺」など、妻をないがしろにしていたぶるような最低男が頭に浮かぶ。
「華麗なる一族」などの企業物にもよく出演していた。大抵上司を裏切るような卑怯な役どころばかりで。
晩年でこそ水戸黄門だけど、当時は悪役をやらせれば右に出る者なしだったなあ。
そういう彼のダークな面がマモーにそのまま乗り移っていて、すばらしかった。
いくら複製してもいずれは朽ち果ててゆく肉体とは決別し、精神として存在し続けること。
その孤独と哀しみが彼の声色に込められている。
子ども心にマモーは可哀想な存在だと思ったんだけど、それは西村晃の声のせいだった。
もう一回ちゃんと見よう。