Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

三度目の殺人

2017-10-18 | 日本映画(さ行)
★★★★ 2017年/日本 監督/是枝裕和

(映画館)

「裁く」とは何かを問いかける哲学的作品。
いつもの是枝風とは一線を画しており、まるでフランス映画のよう。
十字架のモチーフや苦しむ人の思いを忖度して罪を犯すということから、役所は神なのかと思わされる。
神に触れ罪に気づいた福山は最後は十字架に架けられるのか。
どうしても犯人は誰か、動機は何かというところに観客の思いは行ってしまうが、
本作はそれは関係ないのだと気づかされるターニングポイント、及び、物語の誘導が弱いように感じる。
それはつまり、役所の存在そのものにもっと光をあてないといけないわけだが、
そうなるには「スター福山の起用」が邪魔をしている。
福山の役割は「凶悪」における山田孝之が近い。
悪(本作では役所の不条理な行動)を際立たせる狂言回しであるが、
確実に自分も狂わされていく様子を内面から演技で見せなければならなかったが、福山には荷が重かったか。
例えば、ジャック・オーディアールなんかがリメイクすればもっとわかりやすい作品になるかもしれない 。