Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

新聞記者

2019-07-17 | 日本映画(さ行)
★★★★ 2019年/日本 監督/藤井道人 

(映画館)

視線の映画だ。杉原と吉岡。追いつめられてなお愚直に正義を貫こうとする彼らのまっすぐな横顔に引き込まれる。ラストは互いの正面を捉えるショット。2人の視線は交わるが、横断歩道に挟まれてしまう。視線の向こうを観客も共に凝視し続け、ラストまで高いテンションで鑑賞した。

現政権の暗部を描いたことでも話題だが、不正に向き合う人間の真摯な姿を描く作品としても見応え抜群。個人的には当事者本人の出演シーンで興をそがれたのが残念。役者の中に混じると違和感が生まれ、作品への没入感がサッと引いてしまった。あの討論番組は役者を使って撮影して欲しかったな。それでも、実際の事件が今なおその真相がくすぶっている中で本作を作った意気込みは評価に値する。

あとね、とにかく松坂桃李がすばらしい。ちょっとした仕草や表情で苦悩や躊躇、決意を表現していて驚いた。表情の演技がここまでうまいなんて。彼が出演することによって、若い映画ファンが来てくれることの意味はとても大きいと思う。