Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ガス燈

2020-08-08 | 外国映画(か行)
★★★★★ 1944年/アメリカ 監督/ジョージ・キューカー

実に恐ろしい。ホラーと言ってもいい。 「おかしいのはお前だ」 その刷り込みが妻を狂気に追いやる。現代の家庭内DVと地続きゆえに全く古臭さを感じさせない。夫の一つひとつの言動は今で言うところのソシオパスだが、これほどリアルに緻密に描けている作品があるだろうか。傑作。

精神的に追い詰められるヒロインのイングリット・バーグマンの美しさよ。同様のサスペンスを多く作ったヒッチコックが本作を撮ったらどうなっただろう。 「誰も私を信じない」系には名作が多いが、本作を見ると他が霞んでしまう。ガスライティングという心理学用語が生まれたのも納得の完璧な逸品。