Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

火口のふたり

2020-12-14 | 日本映画(か行)
★★★★☆ 2019年/日本 監督/荒井晴彦

柄本佑と瀧内公美、2人だけの世界を堪能。震災への負い目。子を産みたいという女の本能。ラストの賢治のセリフ。欲望のまま体を重ねているように見え、命を授かるという性行為の本来の意味に返っていく展開に胸を打たれた。風力発電を背景にしたふたりのラストシーンがとても美しい。

中盤明かされる二人の関係。そして予想外のラスト。原作未読だったのでこの展開は驚いた。エンドロールを見て女性スタッフが多いなと思っていたが、やはり意図的にそうしていたようで安堵した。裸のふたりを撮影したモノクロームの写真がすばらしくいい。カメラマン野村佐紀子。写真集欲しくなった。

レ・ミゼラブル

2020-12-14 | 外国映画(や・ら・わ行)
★★★★☆ 2019年/フランス 監督/ラ・ジリ

パリ郊外、モンフェルメイユ。黒人少年がある物を盗んだことから街は一触即発の事態に。刻一刻と変化する事態を臨場感たっぷりに伝える手持ちカメラ。一寸先は闇。高まる動機が抑えられない。子供達にとって現実はあまりに無情。守られるべき側から当事者になるしかない過酷な現実。

シェルブール(!)から異動の警官ステファンを相棒が街案内していく語り口がうまい。我々もステファン同様、警察の横暴やマフィアの癒着に面食らう内に事件が勃発、完全に住民目線で事態を眺めることになる。そして腐った男達にも人の心がある事をチラリと見せるのが憎い。2020年最もズシンと来た。