Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

アンオーソドックス

2021-02-23 | TVドラマ(海外)
★★★★ Netflix

女性としての様々な呪縛に囚われた主人公が自由を得るまでの話だが、とにかく超正統派ユダヤ教の儀式が驚きの連続。ユダヤ人差別からドイツから逃れアメリカに来たのに、ベルリンで自由を知るという皮肉な展開。これほど人間の尊厳を奪う宗教とは何だろうか。

舞台がNYという事にも驚く。数ブロック先では自由な服装で自由を謳歌する女性がごまんといるのだ。彼女たちを身近に感じながら、このあまりに厳格な日々を送る心理はどういうものなのだろう。まだまだ世界には自分の知らないことがあると痛感させられた。ユダヤ教徒を演じるキャストも熱演。

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー

2021-02-23 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2017年/アメリカ 監督/デビッド・ロウリー

不慮の死を遂げた男。幽霊となり彼女の元に止まる事を決めた…と思ったら、 何この予想外の展開。 セリフのない長回し、たゆたう時の流れ、時空を超える魂。宇宙を見れば人の生死はたわいもない。が、それでも誰かを思うことの切なさがじんわりと心に残る。

MOTHER マザー

2021-02-23 | 日本映画(ま行)
★★★★☆ 2020年/日本 監督/大森立嗣

救いようのない物語はファーストカットが大事だ。息子の膝を舐め、母子で自転車で坂道を下るショットで確信。ロングショット、手持ちカメラ、クロースアップ。全てが爽快なほどに決まっている。映画の教科書のようなカメラ使いが閉じた親子の世界と愛憎を見事に映し出す。

大森立嗣監督は決して褒められることはない人間のエゴや業を描き出すのが本当にうまい。「さよなら渓谷」の真木よう子のように、誰も触れることができない女の奥底に秘めた闇を長澤まさみに見る。寂しい親子のロングショットと対照的に、彼女のクロースアップのカットはどれもすばらしすぎた。