Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

CLIMAX クライマックス

2021-09-04 | 外国映画(か行)
★★★★ 2018年/フランス・ベルギー 監督/ギャスパー・ノエ

誇りを持って世に出すフランス映画、ドーン!もうタイトルで痺れ、冒頭ダンスシーンで5億点。ダンサーたちの驚愕の動きに酔いしれる。バッドトリッパーたちの一夜の鬼畜大宴会。妊婦の腹を蹴るという絶対に許せない不道徳行為をも呑み込む狂乱の宴。背徳的な魅力に抗えない。

ただのバカ騒ぎのように見えて、いろんな伏線が仕込まれている。LSDによって見える幻覚は自身の心の闇によるものゆえ、それぞれのダンサーの奇行は彼らの何を呼び覚ましているのかと想像を巡らせてしまう。嘔吐、肉欲、発火、暴力。混沌の地獄絵図とわかっているのに、リピート鑑賞してしまった。

あの頃。

2021-09-04 | 日本映画(あ行)
★★★★ 2021年/日本 監督/今泉力哉

これは青春ノスタルジック物語というより、“あの頃”は大目に見られていた男たちの集団行動の否定(終焉)を描いた作品ではないのか。男性監督と男性脚本家が真摯に考え表現した内省的な作品と感じられて仕方ない。それらを一番体現していた彼が悲しい末路をたどるという点においても。

もちろん、ノスタルジーにばかり浸るなというクレしんオトナ帝国のテーマも垣間見える。しかしラストに劔が引用する、あるモー娘。メンバーの言葉が象徴的なのだ。2021年の今見ると目を覆いたくなる一連の内輪ノリ・悪ノリ行動。本作をMe tooの流れの中にある1本と見る見方は間違っているのだろうか。

また、恋愛研究会の地下イベントの悪ノリ・悪ふざけは昨今問題になっていた松江監督の一連の騒動を思い出してしまった。好きなもの同士なら何やっても許される感じ、それを観衆と共有し、共犯関係を作ってしまうノリ。

それにしても今泉監督は街の切り取り方がうまい。ロケ地は関東のようだが大阪の下町と言われてもわからない。橋のシーンも南港あたりかと思った。そしてどの俳優も人間らしさが光る。松坂桃李の映画と思っていたら仲野太賀の映画だった。そこも含めて何もかも思っていたのと違う映画だった。いい意味で。