Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ザ・スクエア 思いやりの聖域

2019-11-25 | 外国映画(さ行)
★★★★☆ 2017年/スウェーデン・ドイツ・フランス・デンマーク 監督/リューベン・オストルンド

最高。15分に1回くらい爆笑した。アート業界界隈の自称常識人たちの無意識の差別意識や偽善がどんどんずれていって関わる人を厭な気持ちにさせる意地悪映画。前作のフレンチアルプスもずいぶん意地の悪い話だったが今作もツボにどハマりした。

誰も話聞いてねえなあと思ったら大声出したり、トークショー中に野次飛ばす人がいたり、場の和が乱れるいたたまれなさって日本人にも共通した意識。あと固定カメラの使い方が巧い。主人公が馬鹿言い出すと横で聞いてる人の「こいつまたバカ言ってんなあ」という表情を映し続ける。ああ意地が悪い。

障碍者やホームレス、精神障害者の描写がインサートされ、思いやりとは何かを問う。しかも、その表現手段として主人公が勤める美術館の現代アートを使うという点に監督の才気を感じる。猿人間のくだりは白人インテリをとことんいじめているとしか思えない。監督なんか嫌な思い出でもあるのか? 笑

こうしたインテリ層の差別意識を過剰に可視化した作品として「奇人たちの晩餐会」を思い出す一方、白人インテリの不遜さを自覚的に描くという点において「隠された記憶」等のミヒャエルハネケ作品との共通点も感じる。潜在的な差別意識を不穏な方向に振り切るとハネケみたいになるのではないだろうか

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