Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ションベン・ライダー

2012-01-06 | 日本映画(さ行)
★★★☆ 1983年/日本 監督/相米慎二

「アントキの中学生」

勝手なイメージでこれが相米監督のデビュー作だと思ってたんだよね。
なぜかというと、学生の自主映画みたいなノリでとても荒削りな作品だから。
もちろん、それが魅力になっているのは言うまでもない。

でも「翔んだカップル」や「セーラー服」の後に作られた作品なんだね。知らなかった。

大好きなカメラを手に入れて、無我夢中で撮った。
そんなみずみずしさにあふれている。
ぴあフィルムフェスティバルで学生たちの作品が入賞したりするじゃない?
あんな感じなんだよね。

本当ならそのたどたどしさが稚拙に感じられるかもしれない
河合美智子や永瀬正敏のセリフまわしも魅力的にうつる。
大人という壁に全力で突撃する中学生たち。
「大人は判ってくれない」。
このモチーフはその後の「台風クラブ」で大きな実を結ぶんだね。

性に目覚め、大人になろうとしている彼らだけど
自分たちがまだ子どもであること、その無力さも知っている。
もがいても、もがいても、大人は相手になんかしれくれない。
ちぇっ、なんだよ、バカヤロー。

そんな中で藤竜也演じるヤクザだけが自分たちを大人扱いしれくれる。
この藤竜也の雰囲気がすごくいいんだよねー。

今そうやってもがいている中学生っているんだろうか。
今の子たちにとって、大人と自分たちとの境界線はとても曖昧だ。
「大人」とは本来、不可解で無寛容な存在なはずで、
だからこそ、その存在の際だちを壁と捉えてきた。
でも、今の子たちにとって、大人はそれだけの存在感を示しているんだろうか。
ふと、そんなことを考えてしまった。


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