【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より2023年1月2月

2023-03-04 | 折々の花~お庭編~
戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より
1月(1日、8日、15日、22日、29日)2月(5日、12日、19日、26日)付朝日歌壇の入選歌の中から戦争を詠んだ歌をよりすぐり。
選者は高野公彦さん、永田和宏さん、馬場あき子さん、佐佐木幸綱さんです。
☆印は共選作です。

高野公彦選
☆暗き部屋に老女が独り寒いの、と震えておりぬ これが戦争(松戸市)遠山 絢子
 湯たんぽにお湯入れ思うウクライナの冬寒かろうな辛かろうな(福島市)美原 凍子
 「人は皆必ず死ぬ」とプーチンが戦死の兵の母に言いたり(観音寺市)篠原 俊則
【評】一首目と二首目、ウクライナの人々の窮状を思う歌。三首目、冷酷無比なロシアの元首の言葉。
民意よりアメリカ政府の要求で決まった気がする軍事費増加(前橋市)松村  蔚
漆黒のウクライナの上煌々とモスクワの灯あり衛星写真に(諫早市)藤山 増昭
冬天の無数の星を観ておもふ戦する星唯一地球(埼玉県)酒井 忠正
「平和への貢献」と言いバイデンは防衛強化の日本を褒める(観音寺市)篠原 俊則
鹿狩りのドローンが飛んでふと思う戦争の事ウクライナの事(新潟県)涌井 武徳
★鹿狩りでドローンを使う時代が来たが、かの国のことを思うと心の翳(かげ)る作者。
横浜に米軍部隊が配備さるもはや新しい戦前なのか(横浜市)松村千津子
★すぐ近くまで米軍部隊が来て、タモリの言った「新しい戦前」が迫ってくる思い。
居間で見る戦車塹壕(ざんごう)泣く老女 参謀総長の勲章の綺羅(北九州市)松尾あけみ
★テレビに映る残酷で悲惨な景と、派手な景。
戦する智恵はあれども停戦の英知なきまま一年の過ぐ(亀岡市)俣野 右内
戦争で敵の国民のみならず自国の兵も殺すプーチン(三郷市)木村 義熙
闖入(ちんにゅう)し攻めあぐむ国は一年後囚人兵が前線に立つ(福島市)青木 崇郎

永田和宏選
雪ふぶく宗谷岬の怒濤聞くかくも近きか隣国ロシア(仙台市)沼沢  修
☆カタールの陽光溢れる会場とローソクの灯のキーウのシェルター(三鷹市)山縣 駿介
☆暗き部屋に老女が独り寒いの、と震えておりぬ これが戦争(松戸市)遠山 絢子
日本が盾で米国が矛という役割分担初めて知りぬ(江別市)成田  強
腕を吊る兵にやさしくとカーディガン産みしは遠きクリミア戦争(大和郡山市)四方  護
★負傷兵のためにカーディガン伯爵が考案したのだとか。
 パタパタとドミノは粘り倒れゆく行きつくボスの倒れるまでは(安曇野市)望月 信幸
★責任の重さと言うだけで責任を取らぬ政権。
 ちかぢかに来るべきものが来るようなそんな気がするプーチンの顔(名古屋市)小林 有三
★怖(おそ)ろしい予感
人間は一度は死ぬが戦場で犬死(いぬじに)だけはさせないと母(西海市)前田 一揆
★プーチンは人は一度は死ぬのだからと言ったが、戦場で犬死だけはさせまいとは世の母のすべての思うところ。
あれだけの地獄を語るヒバクシャの声おだやかであるが尊し(アメリカ)大竹幾久子
ボタン押す人差し指も消毒をするのかミサイル管制室(草津市)今川 貞夫
お互いに兵士は死ねど子どもらが死んでゆくのはウクライナばかり(五所川原市)戸沢大二郎
★戸沢さん、戦争というものの本質を捉えた。この不条理をどのようにわが事として捉えられるか。
戦場を駆ける兵士と箱根路を走る若きの正月二日(宮崎市)木許 裕夫
☆式典に酒飲み暴れいる二十歳(はたち)戦場に銃構える二十歳(観音寺市)篠原 俊則
★戦争当事国の若者との対比に安堵(あんど)と批判が。
戦争と戦争までのつかの間を平和と言ふならあまりに悲しい(三鷹市)山縣 駿介
ハルキウの「ランダウ通り」よ平和なれロシアの学者の名であればこそ(柏市)堀  千賀
弟よ感じているか骨壺を抱いて眠れる妻のぬくもり(横浜市)馬瀬 強司
爆撃の瓦礫に埋もれ救われし人と救いし人の抱擁(浦安市)中井 周防
「国民の命を守る」ための武器それが命を危険に曝す(観音寺市)篠原 俊則
戦中に生まれ戦後を長く生き今日戦前を生きる辻褄(長野県)千葉 俊彦

馬場あき子選
百日を耐えれば春はまた来ると我を励ますウクライナの人(五所川原市)戸沢大二郎
★根気よく粘り強いウクライナ人の精神を感じさせる言葉に励まされる思い。
☆カタールの陽光溢れる会場とローソクの灯のキーウのシェルター(三鷹市)山縣 駿介
★W杯会場のカタールの陽光と賑(にぎ)わいに対照されたキーウの現実。これをどう見る、と言いたげだ。
「人は死ぬ」と病死事故死もあるけれど戦死はあんたのせいだプーチン(茨城県)樫村 好則
荒れ果てし壁バンクシーの少年も雪を被りてウクライナは冬(五所川原市)戸沢大二郎
★バンクシーの柔道少年の絵、こちらウクライナに健在。
クリスマス兵士の肩に銃に降る雪の悲しさ雪の重たさ(福島市)美原 凍子
敵の基地攻撃するを思ふ時戦争はすでに始まつてゐる(長野県)千葉 俊彦
真珠湾攻撃の日に防衛費のための増税総理は決める(観音寺市)篠原 俊則
手を伸ばし武器無きを示すが握手とふ人はいつから武器を見せゆく(牛久市)高木 美鈴
一年を「戦」で総括することに試されている地球の我ら(札幌市)住吉和歌子
ドローンを無人攻撃機に仕立て殺戮するを進歩と呼べり(浜松市)松井  惠
この我に戦死の伯父と空爆死の伯母ゐる事実山茶花朱く(霧島市)秋野 三歩
眠られぬ夜は羊をさがせども戦車が一台戦車が二台(大和市)澤田 睦子
「戦わないために今闘っている」おきなわ婆(おばあ)の眼差し揺るがず(横浜市)角田 英昭

佐佐木幸綱選
山茶花の散る年の瀬に戦争へ急に舵切る岸田政権(小牧市)白沢 英生
次に来ること徴兵かもしれず思いもよらぬほどの急変(東京都)中澤 隆吉
★第一・二首、防衛力の抜本的強化をはかるとする閣議決定が慌ただしくなされ、それに関わる作が今週は多くあった。

「三十一文字の思い 朝日歌壇から」こちら

わんちゃんが大ファンしてる山添親子さんの歌(朝日歌壇より)
セーターに頭をもぐらせてくる子「ケンタウロスになろう」と言いて(奈良市)山添 聖子
★母と子の愉(たの)しげなひととき。半獣神のケンタウロス遊びをしかけるいたずらっ子の甘えが愛(いと)しい。
応援に会釈を返す子もおりぬ三年ぶりのマラソン大会(奈良市)山添 聖子
☆くじら座の尾ほどの拗(こじ)れ保ちつつ思春期の子はドアの向こうへ(奈良市)山添 聖子
★星のくじら座の形を比喩として可憐(かれん)さを見せた。
先頭を走る学生連合に箱根の風は等しく吹きぬ(奈良市)山添 聖子
上履きの二足並びて干されたり平和とはこんな日曜の朝(奈良市)山添 聖子
中休み校長室で絵手紙を描きます枝と葉付きのみかん(奈良市)山添  葵
カモノハシがモモンガになってとんでいくはつゆめでしたいいことあるかな(奈良市)山添 聡介

庭で福寿草が咲いてる、ダイスキなお花です
 

ウチに福寿草がやってきたのはこちら