【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

戦争を詠む 朝日新聞朝刊朝日歌壇より 2023-11~2023-12

2023-12-25 | 日記
朝日新聞 毎週日曜日掲載 朝日歌壇の入選歌から、戦争を詠んだ歌を抜粋。
今回は2023年11/5 11/12 11/19 11/26 12/17 12/10 12/17 12/24 
選者は佐佐木幸綱さん、馬場あき子さん、高野公彦さん、永田和宏さんです。
★⇒【評】
〈佐佐木幸綱選〉
空爆を逃れるガザの幼子のTシャツの胸にはキティちゃん(藤沢市)朝広 彰夫
腕に名を書かれなければならぬ理由(わけ)ガザの児は知る誰言わずとも(堺市)芝田義勝
ガザをうつすテレビは無臭 戦争は無臭ではない、無臭ではない(川崎市)小暮里紗
★戦場を映すテレビ映像と実際の現場の決定的な差異は臭気だという。鋭い。
ブーゲンビリアと笑顔に満ちていた今はミサイル飛ぶエルサレム(東京都)増田麻美
呼びあいて登校の児ら駆けてゆくガザにもあったはずの日常(東久留米市)塩崎慶子
『はだしのゲン』全十巻を借りてゆく高校生あり久しぶりなり(神奈川県)神保和子
★広島市の平和教育副教材から差し替えられて話題となった『はだしのゲン』。作者は図書館の関係者だろう。

<馬場あき子選>
沖縄は日本に復帰し半世紀孤立無援の戦い続く(三郷市)木村義熙
終戦時小五のわれらに「幸せは…」橘曙覧(たちばなあけみ)を教えし先生(蓮田市)斎藤哲哉
この子らが泣くためだけに生れしとは思いたくなきガザの映像(観音寺市)篠原 俊則
怪我の子を抱きて「神よ」と叫びつつ瓦礫のなかを走る父親(観音寺市)篠原俊則
腕に名を油性のペンで書かれつつ父親の顔覗くガザの子(堺市)芝田義勝
原爆の実相伝える資料館十四言語の音声ガイド(東京都)佐藤研資
★毎日のように映像で報じられるガザ攻撃の状況。その中から戦争の悲惨な現実を永遠に訴え残そうとする歌が沢山(たくさん)投稿されている。その中から選んだ。
クルド人在留許可が少し下りる許可出ぬ家庭と溝は深まる(朝霞市)青垣進
あたたかき赤児を抱けばガザに果てしあまた幼の生命(いのち)切なし(沼津市)佐々木みつお
★身近な乳児を抱き上げ、その温(ぬく)もりのいとしさから戦火の中に生まれてすぐ死を迎える赤児たちを思う。
麻酔なくスマホのライトにメス握る医師の腕には包帯巻かれ(中津市)瀬口美子
★戦場の医師の苛酷(かこく)な現場映像に心を刺される。
あなたかもあなたの子かも病院の床に転がされている赤子(春日井市)伊東紀美子
★生まれながらに、すでに母親を喪(うしな)った乳児たち、しかも激しい戦闘下で。ひ弱な命が、おむつひとつで転がされている写真を見たのだ。その時の悲痛な声。
モーゼなき出エジプト記見るが如ガザ退避する民の列行く(東京都)中島加略人
イスラエルの承諾なくばガザの民望む支援もしてはもらえず(大和市)李種太

<高野公彦選>
哀しみの瞳をのせたロバの馬車ゆっくりゆっくり南へ動く(鹿嶋市)大熊佳世子
★爆撃を逃れ、ガザ地区の市民がゆっくり南へ退避する悲しい光景。
AIも兵器も進歩したけれど太古のままに人類は野蛮(朝霞市)岩部博道
★人智(じんち)は進化を遂げても人類の野蛮さは消えない。
海を埋めミサイルを買い富士山が雪化粧する国に住みおり(和泉市)星田美紀
★日本の今を端的に言えば、の歌。
法要に伯父が残した日記読むかすれた文字のラーゲリの日々(安芸高田市)安芸深志
国会も熊の被害もガザ地区もテレビは映し木枯らし一号(町田市)山田道子
★世間でさまざまな事が起こり、そして季節も移り変わる。まさに現世は生生流転。
麻酔なくスマホのライトにメス握る医師の腕には包帯巻かれ(中津市)瀬口美子
★過酷な現実に向かい合うガザ地区の病院内の光景。
硫黄島は東京都 本を読みて知るいまも還らぬ兵士一万人(町田市)山田 道子
美しき民謡の国ロシアの地いただきになぜプーチンがいる(東京都)西垣 郁子
青天に飛行機雲がクロスしてガザでは今日も犠牲者数多(あまた)(高崎市)小島  文
四字熟語「喜怒哀楽」になき「憎(ぞう)」が争いもたらしまた「憎(ぞう)」を生む(沼津市)山本 昌代
国会も熊の被害もガザ地区もテレビは映し木枯らし一号(町田市)山田道子
★世間でさまざまな事が起こり、そして季節も移り変わる。まさに現世は生生流転。
駅ピアノにショパン弾きたるイスラエルの青年は今ガザを撃てるや(秩父市)畠山時子
腕に名を書かれなければならぬ理由(わけ)ガザの児は知る誰言わずとも(堺市)芝田義勝
世界中女性がトップになるならば戦争なんてする国はない(町田市)高梨守道
囚人が徴兵されて房(ぼう)の空き増える戦時下ロシアの刑務所(横浜市)竹中庸之助
悪だけを殺す砲弾あらずして悪も明らかならざる世界(八王子市)額田浩文

〈永田和宏選〉
おきなはの判決記事にたしかめる疲労のふかき知事のよこがほ(北九州市)嶋津 マヨネーズに楊枝を立てて驚いた辺野古の杭も同じだろうか(長野市)関  龍夫
風呂なんて入れる訳がないだろな飲む水さえもままならぬガザ(五所川原市)戸沢大二郎
220万人が住むガザ地区にトラック20台の物資が届く(寝屋川市)今西 富幸
刹那なる極楽の夢覚めたれば浦島太郎に召集令状(柏市)藤嶋務
保育器を出されしガザのみどりごの生は緑布の温みのもつ間(ま)(水戸市)中原千絵子
名付けられ名前で呼ばるるはずだったガザの未熟児その後の映らず(八王子市)額田浩文
平和しか知らない子たち戦(いくさ)しか知らない子たち皆ママが好き(日田市)石井かおり
ガザの新生児たちの受難は戦争の愚かさと酷(むご)さの象徴。
まだ書けぬ己が名腕に記さるをガザの幼は見つめてをりぬ(中津市)瀬口美子
乳のみごの服を鋏で切りひらきガザの医師団オペをはじめる(稲沢市)伊藤京子
モザイクがかかって見にくい物体が遺体だと知るまでの三秒(五所川原市)戸沢大二郎
★👆三首、死を前提として腕に名を書かれる幼な、服を切り裂いて為(な)されるオペ、そしてモザイクの中のリアルな遺体。メディアを通じてではあるが、直接目にする光景の迫力が凄(すさ)まじい。
八十年前にはありき招集が召集だった暗き時代が(観音寺市)篠原俊則
民衆は殺し合わない 戦場で国に強制されない限り(東京都)十亀弘史
大型で非常に強い勢力の軍国主義が接近中です(東京都)冨永清美
人はみな己が逝きし日知らぬもの文明忌来るこれ開戦日(大和郡山市)四方護
刹那なる極楽の夢覚めたれば浦島太郎に召集令状(柏市)藤嶋務
保育器を出されしガザのみどりごの生は緑布の温みのもつ間(ま)(水戸市)中原千絵子
名付けられ名前で呼ばるるはずだったガザの未熟児その後の映らず(八王子市)額田浩文
★ガザの新生児たちの受難は戦争の愚かさと酷(むご)さの象徴。
平和しか知らない子たち戦(いくさ)しか知らない子たち皆ママが好き(日田市)石井かおり
数えないで一万人の一人には息子ハリドは私のすべて(高山市)松井徹朗
★数字にはして欲しくないという、ハリド君の母の悲壮な叫び。白シャツの子は真っ赤なシャツを着て掘り出された。
四時間の戦闘休止ガザ地区の幼き子らの二十時間よ(観音寺市)篠原俊則
★四時間休止というが、それ以外の時間を空爆に曝(さら)される子供達。
エルサレム・中東教区のMESSAGE(メッセージ)「呻(うめ)き」という語は直ぐ分かりたり(姶良市)矢野敬一郎

朝日新聞「ひととき」は女性のための投稿欄として1951年に誕生。
「渡辺えりの心に残るひととき」は4か月に一度掲載されています。
2023年12月25日は『温かい声届け戦争止めたい』こちら
反戦、勇気、声を届けること 女性たちと渡辺えりさんの響き合う思い:朝日新聞デジタル (asahi.com)