【わんちゃんの独り言】

毎日の生活の中で見たこと、聞いたこと、感じたこと、思いついたこと等々書き留めています
(コメント大歓迎デス・・・・・)

園長・副園長の園内ガイド~京都府立植物園~

2013-08-07 | 折々の花~植物園~
京都府立植物園では奇数月には『園長・副園長の園内ガイド』
偶数月には『松谷名誉園長さんと気まぐれ散歩』があります、7月28日にですね、
『園長・副園長の園内ガイド』に参加してまいりました。
その日は副園長さんでした。

ウバメガシ(姥目樫)ブナ科


御所の生垣にありますが植物園の周辺では自生はしてないそうです
太平洋側和歌山では直径1mにもなるようなのがあるとか・・・
「この木は日本で一番重たい木です、生木だったら水に沈んでしまいます、土佐備長炭、紀州備長炭などは必ずウバメガシで炭を焼くんですよ」
副園長さんは趣味で炭焼き体験をされたことがあったということで、白炭、黒炭の製造工程などのお話をされました。
ご自宅の冷蔵庫の中とか、ご飯を炊くときは炭を入れて、床下には500㌔の炭を置いてはるそうです。
いろんな効果を期待して・・・っとおっしゃってました。
ついでのことに
日本で一番重たい木がウバメガシ
日本で一番軽い木は?「キリ」
世界で一番軽い木は?「バルサ」⇒模型飛行機の材料など。

ニンジンボク(人参木)クマツヅラ科

中国原産。

果実は球形で黒く熟しますが、これを漢方では牡荊子(ぼけいし)と呼んで風邪薬に用いられます。
名前は、葉のかたちが「チョウセンニンジン」に似ていることから。

クスノキ(樟、楠)クスノキ科


三行脈(さんこうみゃく)の基部の所に虫えい(虫こぶ)、フシダニがここに住んでいる、フシダニを住まわすことによって他の悪いダニを来ないようにしている、クスノキの生き抜くための戦略➱【おまけ①欄へ】

もう一つクスノキは枯れ枝だけじゃなくって生枝も落とします、台風などが来ると無駄な抵抗をしない!自ら抵抗になる枝を全部落としていく?そうです。自分が倒れないために枝を落としていく・・・なんと。

クスノキにまつわるスサノオノミコトについて、お話しされました。
日本書紀の頃、スサノオノミコトが樹木の荒れ果てた大地を見て、ひげを抜いて放つと杉の木に、胸毛を抜いて放つとヒノキ(檜)に、尻毛はマキ(槙)に、眉毛はクスノキ(樟)になった・・・と。

ウチに帰ってネット検索してみました。
「檜は宮殿を造るのに、槙は現世の国民の棺を造るのによい、杉と樟は、船を造るのによい。たくさんの木の種を播こう」素戔男(スサノオ)尊は木の神・・・遺跡ではクスノキの丸木舟など出土するそうです、ナルホドです。
またクスノキは樟脳の原材料です、枯れた落葉を匂ってみました、良い匂いがします、枯れてもなおです。

クスノキにフウラン

クスノキに着生、花が咲いてました
(ちなみにこのフウランは職員さんの手で着生されたモノやそうです)

トチュウ(杜仲)トチュウ科

中国原産の落葉高木。
あの杜仲茶のトチュウです。

副園長さんが葉っぱをちぎってひっぱられて何か?されてました。
グッタペルカって説明されました
グッタペルカって何?
生の葉をちぎると白い糸を引きます。


写真はクリックすると拡大します
これは、グッタペルカというトチュウ独自の繊維です。
虫の口にからまるため、これを嫌って寄り付かないといいます。
これにより無農薬の有機栽培が可能なんです。

シダレエンジュ(枝垂れ槐)マメ科


樹の中に入って観察、外芽は伸びていって内芽は剪定してるとか、中国の方ではこの姿、龍が天に昇る枝振りが幸運開運の木ということで庭木としてよく植えられいるそうです。
京都府立植物園第二代目園長さんが昭和9年に中国から持ち帰り日本のエンジュの木に接ぎ木して生まれたのがこの樹です、もう少しすれば咲いた花が見れるそうです。花は毎年咲くのではなく1年おきか2~3年おきのように咲くそうです
ところで、実が実る木々は毎年実りませんね理由があるんですよ、山のクリやドングリでも毎年豊作ではありません、実っというのは動物の餌になります、だから、ある時は食べきれないほど実が生り余ったのが発芽する、そしてある時は不作にする、そしたら動物が増えない・・・と、いうワケがあるっと。

半木(なからぎ)神社

上賀茂神社の末社

織物の神様と言われています。
ご利益は?今では試験の合格とか、縁結びとか何でもきいてもらえるそうです。
西賀茂の森から洪水で流されてきたから「流木(ながれぎ)神社」と称したが、上賀茂と下鴨の間に位置することから「半木(なからぎ)神社」となった。

ここ半木の森は植栽されたものではなく自然林です。ここに在る古木は200年とか250年とかの古いもの、ここは手を入れずに自然に任せてあります。
つまりここは大温帯林なんで、一般的には苔から始まり草になり、茨が生えて明るいとこにはアカマツまた明るいところが好きな落葉広葉樹が生えてだんだんと椎とか樫が育って、最終的にはシイ、カシ、タブノキっと極相林(【おまけ②】欄へ)というんですけど、東山とか嵐山とかは今、椎の木が生い茂っています、コレは自然の流れ。と・・・
昔、松の木が生い茂ってたのが不自然なんですよ、明治~昭和の初期は非常に貧しく山にあるモノはほとんど搾取されました、それで最初に生えるのが松の木、だからその頃はマッタケも大発生してました、昭和の30数年頃に京都府内でのマッタケの生産量は140トン~150トンありました、今、0.6トン多い時で1トンと、お話しされて
「私が独身の頃、知人からリュックサックにいっぱいのマッタケをいただいて晩御飯が焼きマッタケだけということが一回だけあった」っと。

ここでいきなりクイズが出題されました(答え言っちゃいます)
樹木の高さ比べ
京都府立植物園で一番は?:センベルセコイア37m
京都府立植物園で二番目は?:カツラ33.55m
京都府立植物園で三番目は?:ヒマラヤシーダ33m
世界で一番は?:センベルセコイア115m
日本で一番は?:杉58m(秋田県)
樹高成長は土地の肥沃度に影響されます、土地が肥沃でしたら上に伸びますし、お日さんが当たって光合成する養分は横に肥大成長するのに使われます。同じ樹種で立地条件が同じ場所ならだいたい同じ木の高さになりますね(個体差はありますが)

ケヤキ(欅)ニレ科

名前の由来は「けやけし尊ぶ木」

この木の特徴は植物園ではこの木は元気良く育たないですね、スギよりももっと肥沃に富んだところにシッカリと育っていく樹木です。材木としても非常に高値で取引されています、赤ケヤキ、青ケヤキとか言う言い方なんですけど、切ってみなければわからないですが、材の色が赤っぽいのが赤ケヤキでそれが高価に取引されてます、高値の時は木材市場で1㎥ン十万とか100万とかで取引されます、今、スギなんかは1㎥1万円いくかいかないかです、1本だと2000円とか、そういう面でもケヤキは貴重な木です。
ここでケヤキは環孔材 (かんこうざい)であってスギ、ヒノキなどとの違いを説明されましたがわんちゃんにはちょっと難しかったです。
「植物園の正門までのアプローチロードのケヤキ並木も非常に美しいです。そういう木、私の大好きな木なんです・・・」と言われてました。
ここで副園長さんとの観察会は終了。

この日の観察会は樹木、樹木、樹木・・・他にも
レバノンシーダ(祖国レバノンでは絶滅の危機。ノアの方舟はこの木で作ったとか・・・)
タイサンボク、ヒマラヤスギ、イロハモミジ、ヤツデ、ホルトノキ、エノキ、ハリギリ、シリブカガシ、ハリモミ等々。

「ほろびないもの」   坂村真民

わたしのなかに
生き続けている
一本の木

わたしのなかに
咲き続けている
一輪の花

わたしのなかに
燃え続けている
一筋の火

↑道草さんからいただきました


【おまけ①】
クスノキの葉は、葉の中央を通る主脈の根本近くから左右に太い側脈が出ていますが、通常フシダニによるダニ室は、その側脈の分岐点にできます。

ダニ室の写真2枚(葉の表からと裏から)を添付しておきます。



裏から見ると、出入り口に敵の侵入を防ぐ毛が生えています。
解説・写真提供:そよかぜさん
クスノキの葉のダニ、もっと詳しく ⇒こちら

【おまけ②】
極相林とは?
コケ→一年生の草→多年生の草→低木(アオキ等)→高木(タブノキ等)というように,植生は自然のまま放置しておくと,群落として生活のパターンをつぎつぎに発達させます。そして最後は,適度の湿り気をもった豊かな土壌の上の木の群落(森林)に落ち着きます。このように生活パターンを変えていく,いわゆる「遷移」(サクセッション)の最終段階のことを,極相(クライマックス)といい,この段階に到達した森林は一応自然の完成した姿といえ,極相林と呼ばれます。➱weblio参照

【トピックス】京都府立植物園HPより

観覧温室について

★高山植物室では、世界や日本の高山植物や京都の希少植物を展示しています。
★昼夜逆転室(ナイトフラワーガーデン)では、昼に夜の空間を創り出し、夜に咲く花を展示しています。

年間パスポート発売
★平成25年4月1日(月曜)より、年間パスポートの発売を開始します。
1年間、何度でもご利用いただけるお得なチケットです!
お友達へのプレゼント用にもしていただけます。
★大人 1,000円  高校生 750円
※入園門でご購入いただけます。
※温室観覧料は別途必要となります。

入園料等を改訂します
★平成25年4月1日(月曜)より、小・中学生は、入園料・温室観覧料が無料です。
★平成25年7月1日(月曜)より、70歳以上の方は、入園料・温室観覧料が無料です。



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6 コメント

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極相という言葉、気にいりました。 (陀羅尼助)
2013-08-07 19:40:15
 臨場感あふれるレポートで、副園長さんの声まで聞こえてきそうです。
いつもながら自然の摂理というか、自然の智慧というか、よくできているなあ、でした。

とくに驚いたのは
*楠の葉に良いダニが住む部屋があって悪いダニを撃退するとは・・
*杜仲の葉には虫よけの粘り気のあるグッタペルカがあるとは・・

 職場が姫路だった頃、楠の並木を通って。通勤していました。思い出します。
 楠も欅も並木がそれぞれにふんいきがあり、写真を見ているだけで安らぎますね。
 エンジュもよく耳にするのですが、初見です。
 スサノオの尻の毛が槙の木になったというお話。槙の木に失礼ではないかと思ったりしましたが、棺おけ用の木材ということで、なんとかつじつまはあってますね。ははは。

 極相林の極相、いきつくところまでいった、この漢字、気にいりました。まだまだ人生の極相じゃないぞと、時々、唱えます。
  


陀羅尼助さん お早うございます (わんちゃん)
2013-08-08 09:30:51
陀羅尼助さん いつも奥深く読んでいただきアリガトウございます
書いた本人も「ふ~んナルホド」って改めて読みふけってます。

”植物の生き抜く戦略”が主だったテーマなんでお話を聞くと「ほぉ~そうなんや・・・」の連続です。
花や葉っぱが知恵を絞ってそこに存在してる姿を見ると、ただただ感心するばかりです、
「うまいこと出来てるなぁ・・・」の連続です。
お話を聞く前と聞いた後とでは写真を撮るときの植物の見方が変わってくるって確かやなぁっといつも思います。
知る知らないの世界ですね
地球のいのちを支える樹々たち。 (道草)
2013-08-09 06:06:02
様々な植物の紹介を読ませて頂いて、いつも自然の摂理の不思議と言いますか神秘性に感心するのですが、今日の話では植物の叡智の如きものを感じます。
昔に住んで居た神社の境内の垣根が姥目樫だったと記憶しているのですが、樫の名があるだけんこんなに大木に育つのですか。垣根に利用するのは、また種類が異なるのかも知れませんが。

楠に風蘭が共生していますが、樫や楠(多分)の枯木に猿の腰掛が付着しているのをよく見掛けました。子供の頃は、本当に猿が腰掛けるのだ、と信じていましたが・・・。
杜仲茶はたまに飲むこともありますけど、こんな大木から採れるのですか。茶の木のイメージとは大きく異なります。
グッタペルカとは初めて聞きましたが、杜仲と言い楠と言い、こうなりますと人間顔負けの知能を持っているとしか思えません。驚きです。

日本は太平洋戦争の頃に杉の植栽を奨励したと聞きます。その政策は各地の極相林を大きく歪めてしまったのでしょう。
北山杉も一時は持て囃されましたが、今は完全に下火になっています。また、あの頃は松も多くて、松茸はイヤになるほど穫れました。
小学校の裏山へも、体育の時間に皆で穫りに行って、大きく笠の開いた松茸など足で蹴ったりしていました。今は全滅に近い様ですが、自然界は自分の手で極相の回復を目指しているのでしょうか。
2年ばかり前に団栗を拾って来て、周辺の空き地に撒きましたけど、あの行為はやはり不自然なのかも知れません。幸か不幸か、芽が出ても大抵は斬られてしまいました。鉢で育てた1本だけ、娘宅へ移植して裏庭で元気に育っていますが・・・。


「ほろびないもの」   坂村真民

わたしのなかに
生き続けている
一本の木

わたしのなかに
咲き続けている
一輪の花

わたしのなかに
燃え続けている
一筋の火

おはようございます。 (ショット)
2013-08-09 06:58:19
わんちゃんさん、凄い植物園でのレポートですね!
詳しい説明を上手くまとめ感心です。
良いお勉強しながらの散策。色々愉しい事、知らなかったこと多く、わんちゃんのまとめ読みながら画像見せて頂きました(*^_^*)
木々、葉・・生きるために工夫がされまぁ~~ぁ・・そうなんだ!・・っと。いっぱい白無すぎることばかり・・に思いましたョ・・。
道草さん こんにちわ~ (わんちゃん)
2013-08-09 17:07:28
植物園に行きますとお花ばっかりに気を取られて樹木の方は見過ごしてしまいがちのわんちゃんなんですよ。
観察会に参加して改めて樹木の見直しです。
山歩きしてて次々と木々の名前が言えたらどんなにステキなことでしょう、といつも思います。
まだまだのわんちゃんです。
植物園はキチンと名札が付いてるので大助かりです。
そして樹木の個性など教えていただいたらなおさら印象に残りますね。

マッタケといえば子供の頃そんなに苦労せずにいただいた記憶があります。
最近ではその高価なことに季節を味わう前にひいてしまいます。

自生の植物は引き抜いて持って帰るなどいけないことですが、よそから持ってきてそこへ植える方がもっといけないことやと教えていただいたことがあります

道草さんご覧いただきアリガトウです。
ショットさん こんにちわ~ (わんちゃん)
2013-08-09 17:28:49
観察会に参加して植物の違った顔が見れてナルホドと感心するばっかりです。
厳しい自然の中で生き抜く植物たちの戦略が「なんと」の連続です。

いつもは見過ごしてしまいそうな樹木たちのこんな生き生きとした姿を教えていただいてカンゲキでした。
とはいうものの、名札無しで再開した時ちゃんと名前が言えるかな?
自信ないです・・・

ショットさん コメントありがとうです。

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