落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

怖い話は好きですか

2005年07月23日 | movie
『ヴァン・ヘルシング』
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仕事の資料としてお借りしたんですが、全編ばっちり拝見しちゃいました。
面白かったよ。うん。
ゴシック・ホラー・アクションっつーの?ジキル博士とかフランケンシュタインとか狼男とかドラキュラとか、とりあえずフリークスがあれこれとっかえひっかえ出てくる。こんなにいろいろ出てきてええんか?そんで割りとあっさり死んじゃったり。
日本にもありましたねそーゆーの。『魔界転生』だっけ。でもアレって登場する剣豪になんの思い入れもなければぜんぜんおもろくないんだよね。柳生十兵衛?ダレ?官本武蔵?聞いたことなーい(爆)。みたいな(笑)。あ、ぐりは柳生十兵衛も官本武蔵も宝蔵院胤舜も名前は分かりますよ。名前ぐらいはね(爆)。

だからこの映画もそもそもジキル博士とかフランケンシュタインとか狼男とかドラキュラとかそういうものに対する思い入れとか潜在的な恐怖感がなければ、ほとんどただのコミックホラーになってしまう。まぁそういうところも狙ってるんだろうと思う。途中からなんか『エイリアン』みたいになってくるしー。なんでドラキュラが繁殖すんねんオイ。時代背景とかキャラクター設定とか全然史実を反映してないし。っつーかむしろぶっちぎり?状況説明もほとんどない箇所とか、辻褄があってんのかあってないのかよく分かんない箇所も多いし。
まぁでもそれでもいいんだよね。だってちゃんと楽しめるもん。ストーリー展開に勢いがあってさ。これだけめちゃくちゃやってると、こまいことアレコレつっこむのもバカらしいしさ。
しかしアレだね。欧米の人はドラキュラを怖がってる割りにはほんとに怖かったり悲しかったりするシリアスなドラキュラ映画って最近つくってないね。つくろうとはしてるんだろうけどどうしても途中で無理がくる。なんでやろね。

この映画もがんばってる部分はすごいがんばってるんだけど、いかんせんキャラクターCGのアニメーションに愛が感じられない。CGキャラ出てきた途端、画面がいきなり格闘ゲームっぽくなる(涙)。ストーリーとかアイデアとか、観客を喜ばせようというサービス精神はすごくよく分かるんだけど、じゃあ何がしたかったのか?ってとこはもうひとつよく分からなかったです。

ちなみにドラキュラ伝説には何人かモデルがいて、直接「ドラキュラ」の名の由来になった人は15世紀ルーマニア・トランシルヴァニア地方の騎士ヴラド・ツェペシュ。彼の父が「ドラクル(竜騎士団=ドラコの騎士。もともとはルーマニア語で“悪魔”)」と云う異名を持っていたため「ドラクルの息子=ドラキュラ」と呼ばれた。また「ツェペシュ」とは「串刺し」を意味する。ヴラドはワラキア公国がオスマントルコに攻め入られた時、牢にいた囚人たちを生きたまま串刺しにして街道に並べ、これを見て戦意を喪失したトルコ軍が退却したと云う逸話による呼び名である。
このグロテスクな逸話とスラブ地方に古くから伝わる吸血鬼伝説を下敷きに、15世紀フランスで推定600人から1500人とも云われる少年たちを殺害したジル・ド・レ侯爵(ペロー『青ひげ』のモデル)や、16世紀ハンガリーで若い女性ばかり612人を殺害したエリザベート・バートリー伯爵夫人が、自らの快楽のために犠牲者の血や肉を口にしたと云う実話をミックスして19世紀イギリスの作家ブラム・ストーカーが描いた小説が『吸血鬼ドラキュラ』であり、今日のドラキュラ伝説のおおもとはこの小説とそれを映像化した無声映画によるものらしいです。

人間て自分から怖いものをつくりだして自分で怖がる、へんな生き物なんだなぁ。