落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

渋谷で映画まつり

2007年04月28日 | movie
『イノセントワールド 天下無賊』
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馮小剛(フォン・シャオガン)作品て初めてかな?ぐりは?
おもしろかったよ。うん。楽しめました。お金も手間もかかってる、豪華なエンターテインメント・アクションコメディって感じで。
がー。
中国映画の田舎くささを払拭するためなのか、余計な小細工がやたらくどい。
ハリウッド映画のマネなのか、妙なエフェクトやトリッキーな編集技法をごてごて使い過ぎ。大袈裟な音楽もうるさい。騒々しいだけじゃなくて、まったく音楽いらないとこにまで音楽いれてる。やりゃあいいってもんじゃないでしょうが。
そういう後付け的な装飾がやかましくて、みてて気が散ってしょうがなかったです。
そんなことに手をかけるくらいなら、最初からちゃんとフィルムで撮りなはれ(この作品はHD収録)。オオカミがシベリアンハスキーってそりゃないぜ。電車のセットが静止してるのもいただけない。後処理でいうと合成も浮いてる。
物語そのものは悪くないのに、頑張る方向を間違えたばっかりに却って安っぽくなってしまってます。残念。
しかし李冰冰(リー・ビンビン)はやっぱいいですねえ。ぐりチョー好みやわ。かわいいし色っぽいし。女くさーい!ってカンジがたまらーん(おっさんか<自分)。
ところであのオチもさっぱりいただけないですよねえ。犯罪者がハッピーエンドになっちゃいけない中国映画といえども、コメディでアレはないよ〜すっげーとってつけた感まるだしで。やっぱ劉徳華(アンディ・ラウ)には流血は不可欠なのか?

渋谷で映画まつり

2007年04月28日 | movie
『フランドル』
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すんげえ台詞少ない。音楽もほとんどナシ。登場人物も少ないし、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)の映画にすごく似てます。
ただしテーマは全然違う。これ反戦映画だから。
“フランドル”といえばぐり的にはフランドル絵画─ファン・エイク、ヒエロニムス・ボス、ブリューゲル、ルーベンスなど─なんだけど、映画に出てくる風景もまさしく「絵のような」美しさ。晩秋、青々と緑の茂る田園地帯に雪が降ってたり、夏は乾燥した黄色い草地と緑の草地がまだらになってたり。空はあくまでくっきりと青く、風はやさしく、あたたかそうな陽光がたっぷりと大地を照らしている。
こんなに何もかもが美しいのに、若者たちは戦争に行ってしまう。戦場が具体的にどこなのか説明はない。砂漠地帯で、敵がキリスト教徒でない、欧米人ではないことくらいしかわからない。けどたぶんそこがどこであれ、フランドルのように美しくはない。そこには家族も恋人もいない。あるのは死と暴力だけ。
そんなところに、なぜ男たちはわざわざでかけていくのだろう。家にいて、毎日きちんと働いて、愛する人を大切にすること以上に大事な何かが、そんな戦場のどこに存在するのだろう。一体なんのために、なにをしに、言葉も通じない、何の知識もない土地へ凶器をもっておしかけなくてはならないのか。そんなことをして何か得るものがあろうとは到底ぐりには思えない。
戦争って結局そういうことだよね。それだけじゃないよというヒトもいるだろうけど、一般庶民にとってはそういうことだ。
バカバカしいったらありゃしません。
そういう映画でした。
にしても白い画面に白字幕はマジきつかったっす・・・。

渋谷で映画まつり

2007年04月28日 | movie
『バベル』
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観たくてみたくてしょうがなかったので、観れて大満足。
うん、期待通り。おもしろかったです。「おもしろい」ような話ではないけどね。前評判ボロカスだったし(爆)。
確かに一見すると観客に対して不親切に見えるところもないことはないし、テーマも展開もヘビーだ。けどここに描かれているメッセージは誰かがいわなきゃいけないことだし、いうとすればこういう形もひとつの選択肢としてアリだとぐりは思う。
タイトルが象徴するように、人が神の怒りに触れて言語を分かたれ、文化や民族の壁によって隔てられている、その壁の悲哀が物語の軸になってはいる。だが全体を通してみてみると、人と人とがわかりあえないのは、決して人種や国や宗教のせいではないことがわかってくる。
いっていることがわからなくても、肌や目の色が違っていても、人と人は必ずわかりあうことはできる。わかりあえると信じ、心を開いて、互いに共感しあえるように歩み寄れば、それは決して不可能ではない。
逆に、ひとつ屋根の下に住む家族、血を分けた親族であっても、わからないと決めつけてしまえばわからない。わかりたいと念じ、わかろうと努力することが愛であり、人は愛あればこそ生きていける。
エンディングでそのことがハッキリわかる。

それとこの物語のもうひとつのテーマは「銃の暴力」。
たった一挺のライフルから放たれた弾丸1個が、あらゆる人を不幸と混乱に突き落とし、家族を崩壊させ、国際問題にまで発展していく。ある意味ではこの映画の主人公はこのライフルでもあるのだ。
ギジェルモ・アリアガのシナリオはやっぱいいですねー。すばらしー。
キャスティングもよかったです。有名なヒト(ブラピとか)もいいし、無名の人(素人含む)もよかった。坂本龍一の音楽も毎度のことだけどいい。
結構長い映画だし、時制をかなりいじってあって観るのに集中力を要する映画ではある。ただ観るだけの価値はちゃんとあります。少なくとも「観た」だけでなんか達成感みたいなのはあります(笑)。内容も濃いし、深いし。
ぐりはもっかい観たいっす。