落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

サッカーバス

2007年09月01日 | movie
『オフサイド・ガールズ』
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ぐりはイラン映画ってあんまり観ないしとくにサッカーも大して好きではない。だからたぶんセレクトが悪かったんだろう。
眠かった(爆)。
構成がプリミティブすぎるのだ。場面転換とかぜんぜんないし、トーンもずーっと変わらない。いいたいことはわかるけど、しょーじき退屈でした。とくに後半、ミニバスの中の場面は観てるだけでしんどかった。

ほんの少し前までは世界中の女性がここで描かれるようなイスラム社会と同じような環境におかれていた。人類の長い歴史の間ずっと、女性には恋愛や結婚の自由も教育を受ける権利も職業選択の自由も選挙権もなかった。お嫁に行って子を生む以外の人生は女性の歴史にはごく最近まで存在しなかったのだ。
今のわれわれは当然のように学校に通い好きな仕事を選び、好きな相手と結婚し政治家になることも選挙にいくこともできるけど、それは実は「当り前」じゃない。われわれの母親や祖母の世代の人たちが真剣に闘い、努力して勝ち取った権利なのだ。それもこのほんの数十年間に。

そのことを思うと、女としてもっとがんばんなきゃいけないんだなと、改めて思ったり・・・・・はちょこっとしました。ちょこっとね。

バスはゆく

2007年09月01日 | movie
『ショートバス』
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「ショートバス」とはニューヨークのセクシュアル・マイノリティたちが集うナイトクラブの名前。
セックスについての物語なので全編セックスシーンまみれボカシまみれなんだけど(てゆーかホントにいたしてます、彼ら)、ぜんぜんエロティックじゃなかったです。
セックスはひとりではできないけど、基本的には孤独なもの。映画やらTVやらコミックやらゲームやら、フィクションの世界には誰もが目一杯ノレて夢みたいに気持ち良くて必ずイケるセックスしか描かれないけど、現実はそう甘くはない。どんなに深く愛しあっていてもセックスの相性がイマイチなカップルなんかいくらでもいるし、射精した後は虚しくて悲しくなる男や、イケないことで相手に不満をもつどころか罪悪感を感じる女なんかめちゃめちゃ当り前にいっぱいいる。
それなのに、みんなセックスが上手くいかないことや楽しくないことで人間として価値がないみたいにひとりで思いこんで決めつけて、勝手に自分を追いつめてばかりいる。
「ショートバス」はそんな心を解放するための特別な場所。現実にはないかもしれないけど、あるといいね?と誰もが願うような、すべての人のための居場所だ。

タイトルはクラブの名前だけど、舞台がクラブというわけではない。
基本はジェイムズ(ポール・ドーソン)とジェイミー(PJ・デボーイ←この人見覚えあるな?と思ってたらドラマ『QaF』に1話だけ出演してました)というゲイカップルの物語と、恋愛カウンセラーのソフィア(?Xックイン・リー)との、それぞれの“自分探し”がテーマになっている。
登場人物はそれぞれみんな、セックスが思うようにいかないことがさも人生の一大事のように深刻に悩みまくるんだけど、結論からいえば、ぶっちゃけそんなの大したことじゃない。人を愛することができて、愛してくれる人がいるだけでもじゅうぶんに幸せじゃないか。そんなふうに言葉にしてしまったら手垢のついた古くさい一般論みたいだけど、一般論にだってそれなりのスジはある。

てゆーかね、そんなのセックスだけに限らないよ。こうじゃなくちゃいけない!自分は不完全だ!負けたくない!なんて思いこみは結局自分を縛るだけでなんのプラスにもならない。
ひとりぼっちなのはあなたひとりじゃない。人間みんなひとりぼっちだ。So what ?生きてるでしょ!みたいな感じ。
作中にときどきでてくるニューヨークの模型がいい味出してましたです。

ブラック・アンド・ブルー

2007年09月01日 | movie
『ブラック・スネーク・モーン』
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元ブルース・ミュージシャンの農夫ラザルス(サミュエル・L・ジャクソン)はある朝、自宅の前の路上で気を失った金髪の女レイ(クリスティーナ・リッチ)を拾うが、彼女は誰彼構わず寝てしまう悪名高い淫乱だった。信心深いラザルスはレイを改心させようと生活をともにし始める。犬のように鎖でストーブにつないだままで。

設定はかなりブッ飛んでますが、ストーリーそのものはオーソドックスで見た目以上にまともというかストレートな話です。テーマは“癒し”。
酒場のミュージシャン生活で見たくもないものを見過ぎた主人公は郊外の農場での静かな暮らしに安寧を求めるが、もちろん人間それだけで満たされはしない。妻に捨てられてひとりぼっちの彼にとって、レイを介抱することはただの親切ではなくて、自分自身の孤独を忘れるための一種の癒しでもあったのだろう。
少女時代に受けた虐待がもとでセックス中毒になってしまったレイにとっては、ラザルスは彼女の体を弄ばない初めての男性でもあったはずだ。自由はないがそんな彼とのふたりきりの生活は、セックスに支配されない自分自身を取り戻すための、彼女にとっても必要な癒しだった。

ラザルスが厳格なクリスチャンなので、劇中に聖書の言葉がたくさんでてくる。
なかで印象的なのは「天国は食べ放題のバイキングレストランじゃない」という牧師の言葉だ。みんないわれた通りにしていればそんなところへいけると簡単に思っているけど、天国はほんとうは今ここにあって、みんなの中にあるものなのだと彼はいう。
ぐりはクリスチャンではないのでこれらの言葉の中にはもうひとつぴんとこないものもあったけど、この言葉だけはとてもよくわかる。
人は不満があると目の前の現実から逃げたくて、手にしているものを安易に捨てたり変えたりしようとするけど、不満も幸せも夢も幻想も、そもそもはみんな人の心の中にあるものだ。すべての過去と未来は繋がっていて、ひとつひとつを切り離して次のステップにはいけない。

パニック障害やセックス中毒の描写にもうひとつ疑問は残ったけど、俳優の演技にはまったく問題はなかったです。
てゆーかジャスティン・ティンバーレイクって芝居ウマイね。泣きのシーンとか真に迫ってたよ。
ブルース系の音楽もちょークールでしたです。サミュエル兄貴とクリスティーナ・リッチの歌もすごくよかった。