落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

大雪連休

2013年01月16日 | 復興支援レポート
また連休に東北に行ってきたんですが。

今回のミッションは、漁港の岸壁に生えたコケ状の海藻を除去すること。
地盤沈下で冠水するようになり、震災以前は砂と波で洗われていたのが津波で砂がなくなり、人が歩くところにまで海藻が生えるようになってしまった。当然つるつる滑るので危ない。既に転んで怪我をされた人もいるという。
年末にボランティア仲間がこの問題を聞いてきて少し手をつけたのだが、もっと大人数で作業しないと埒があかないとのことで、連休に他の仲間も誘って行ってきた。

波打ち際での作業なので、干潮時にしかできない。
この連休の干潮は午前中。午後になると潮が上がるので、朝早めからお昼までにやると決めた。午後は別の場所の草刈り。
12日の朝から移動して夜到着、翌13日は一日作業して、夜は同行した学生ボランティアを現地で活動する人たちに引きあわせたり、お世話になっているおうちの人とお酒を飲みながらいろいろお話した。
14日も海藻除去作業の続きをする予定だったが、例の爆弾低気圧で海が荒れていたので、早朝から牡蠣剥きのお手伝い。2011年にタネ挟みをした牡蠣が収穫期を迎えたのだが、本来タネの段階で取り除いておくべきムール貝などの付着物をそのままにしておいたので、やたらにたくさんのムール貝がくっついていて剥きにくくなっている。これを外して分別するのをお手伝いした。

が、9時頃になると尋常じゃない勢いで雪が降り出したので早々に作業を切り上げ、東京に向けて出発したところまではよかった。
なんとか高速に乗ったもののさっそく通行止めになってしまい、下りようにも大渋滞でクルマがまったく進まない。休憩もできない。
ようやっと高速を下りても一般道もムチャクチャに混んでいる。進まないというより、車列がビクとも動かないのだ。
いくら混んでたってふだんなら7時間程度の行程である。夜中くらいには着くだろうとたかをくくってましたがすいません、無理でした。なんと翌15日の朝になってもまだ福島県にいました。
その後も高速に乗ったり下ろされたり渋滞に巻き込まれたりで、東京の自宅に帰り着いたのは驚くなかれ15日の夜。ええ仕事休みましたとも。あーーーすいません!
それにしても30時間以上もかかったってなにそれ?お盆でも8時間オーバーだった。通常の大体倍くらいが想定内の遅延のはず。ほぼ5倍近くてどういうことやねん。

今回は作業時間そのものは移動時間より遥かに短かったし、課題もいろいろあったけど、ボランティアらしいことがしっかりできて、収穫も多かった。
印象的だったのは、いつもお世話になっている地元の方に、震災当日の話を初めて聞けたこと。
この方はいつも明るくてとても元気で前向きでバイタリティにあふれていて、まず弱いところは他人に見せない。その彼女が、初めて涙を浮かべて、震災当日に目にしたこと、悔やんでいることを話してくれた。
いっしょにいたボランティア仲間はもらい泣きしてたけど、ぐりは泣けなかった。
共感はするけど、被災された方の前で泣くのに、個人的な抵抗を感じるからだ。

何度もこの地域に通って、地元の方にもお世話になって、どこかでお友だちになれたような気がしているのも事実だけど、ぐりと地元の方々は決してお友だちではない。
友だちという存在に目的はない。目的がある人間関係を友だちと呼ぶことはできない。
被災された地域にぐりは「復興のためになにかしたい」という目的をもって通っている。地元の皆さんと仲良くなることはあっても、皆さんとぐりの関係は友だちとは呼びにくい。その関係に目的があるから。
地元の皆さんはそれぞれ、震災でいろいろなものを失った。たいせつなもの、かけがえのないもの、なつかしいもの、いとしいもの。それは二度と戻ることがない。
その悲しさ、寂しさ、怒り、せつなさを想像することはできても、ほんとうに理解することはぐりにはできない。いつかできるかもしれないと思ってしまうことの傲慢さがこわい。
地域の方々が背負った絶望の深さを思えば思うほど、皆さんの気持ちに共感すればするほど、ぐりは泣くことができなくなる。泣くことが間違っているような気がして、被災された方の前では涙を流せなくなる。

もしかしたら、いつか、ぐりも地域の皆さんを素直に友人と呼んだり、心のままにいっしょに泣いたり笑ったりする日がくるのかもしれない。
でも今は、そう思うことにすら畏れを感じる。
この距離感が正解なのかどうかはわからない。その疑問には答えがほしいとは思う。


これがこの冬収穫期を迎えた牡蠣。大粒でぷりぷりです。
この週末には都内近郊で試食できるイベントも開催。お近くの方は是非遊びに来て下さい。詳細はこちら

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