落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

Strange Fruits

2009年06月17日 | diary
年2億人超の子どもが性的被害に=児童数百万人が性産業に従事―ユニセフ

昨日、アメリカ国務省の人身取引に関する年次報告書が発表になりましたが(日本はここの170ページに記載)。
まあこの報告書の信憑性そのものはおいといて。
全然ニュースになってないですね。なんで?つねづね不思議なんですけど、みなさんほんとーに、関心ないのかな?どーでもいーのかなー?どしてー?
同じ性産業被害者でもこれが子どもとなるとニュースになりやすくなるのも日本の不思議。たとえば児童ポルノ法の改正は何度も議論されて毎年報道にもとりあげられてる。確かに児童ポルノ法もけっこうだけど、子どもも含めて数十万人という数の人間が売り買いされるのが当り前とゆーこの国の現実、もっとマスコミでも取り上げるべきだと思うんだけど。

ついでにこれも貼っとこ。
HIV:感染者、発症患者ともに過去最多を更新 08年


会津若松市にて。

劉燁(リウ・イエ)ついに結婚するみたいですねー(ニュース)。
そーか彼も31歳かあ。『藍宇』でひと目惚れしたのももう5年前。光陰矢の如し。
しかし最近は1~2年に1本程度のペースで出演作が公開されてるけど、どれも主演ではなかったりビミョーな娯楽映画だったりで、『藍宇』や『パープル・バタフライ』がお気にのぐりは消化不良でやんす。天才演技派なんだからもっとふさわしい作品に出てほしいなり。歌手デビューとかさぁ(以下省略)。
一応『コネクテッド』も楽しみではあるんですけどもね。

終わりなき悪夢の歌

2009年06月13日 | movie
『セックス・トラフィック』
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ボスニアで治安維持活動に従事するカナダ人のカルム(ルーク・カービー)は、恋仲になった娼婦アーニャ(アレキサンドラ・ファソラ)を助けようとして解雇され帰国する。離ればなれになってもアーニャを諦められず、人身取引の現場を撮影した映像を証拠に勤務先の民間軍事企業カーンウェル社に交渉を求めるのだが、彼女は不幸な事故で亡くなった後だった。
2005年にイギリス・アカデミー賞TV部門で8部門を制覇した他、世界各国で数々の賞に輝いた話題のTV映画。

前編後編各90分の全180分。まあ長い。
でも長いだけのことはある。今現在、世界中で銃器密売に次ぐ規模にまで拡大した人身取引の複雑さをあますところなく、過不足なく、実にしっかりとまとめあげてある。これ1本を観れば誰にでも、この問題がいかに根深く、解決困難な要素をどれほど多く抱えているかがたちどころにわかる。
まず主人公のひとりエレナ(アナマリア・マリンカ)は妹ヴァラ(マリア・ポピスタス)がボーイフレンド・レキシー(アンドレ・プリシカル)に誘われてモルドバからロンドンへ出稼ぎに出るのが心配でついていき、まんまとセルビアに売りとばされてしまう。ハンサムな若者が結婚をエサに田舎の純朴な少女を騙して売るのは世界各地で行われているリクルートの常套手段のひとつである。今や現実の“人買い”は悪人の顔などしていない。爽やかな花婿候補だったり、隣人や友人や教師、僧侶など、およそそのような犯罪に関わりなどなさそうな人物がリクルーターとなって被害者を“供給”しているケースは多い。
また、作中に登場するカーンウェル社は各国政府からの依頼で治安維持活動を請負う企業だが、人身取引の加害者になるのは民間会社だけではない。ODAや国連関連団体、軍隊など公的な組織であっても、家族と離れ異国で活動する職員を抱えれば、それがすなわち売買春の温床となるリスクはどこにでもつきまとうといっても過言ではない。
運良く被害者を救済することができたとしても加害者を告発するのはなかなか難しい実情や、被害者が加害者側にまわってしまう人身取引産業のからくり、救済する側の人間も完全無欠ではないなどといった面もきっちりと描きこまれている。

物語はとにかく徹底してリアルで、フィクションの、しかも民放のTV映画でよくもここまでと感心してしまうくらい、まったくの妥協も手抜きもなく人身取引の現状をこれでもかと画面に突きつけ続ける。劇中のエピソードの多くは、製作過程での綿密なリサーチによって発覚した事実に基づいているという。
観ていてしんどくないといえば嘘になるが、ここまでやられるとむしろ天晴れとも思える。ほんとに凄いです。こんな番組ががっちりつくられてちゃんと放送されちゃうイギリスのTV界って奥が深いとゆーか、どんだけ度量が大きいの?とそちらに興味がわく。だってこんなの日本じゃ絶対に絶対に無理だと思うから。もしやったとしても、やれ発展途上国をバカにしてるとか、やれ海外で世のため人のために尽くそうとしている人々を誹謗するのかとか、そーゆークレームでボロカスにこきおろされるのがオチなんじゃないかねえ(現に去年もそーゆーことありましたね)。それくらい大胆です。

観る前はもっとマイナーな感じの作品を想像してたんだけど、実際にはばっちりとお金のかかった完成度の高い大作になってたのも驚き。出演者もなかなかメジャーどころが集まってます。エレナ役のアナマリア・マリンカは一昨年カンヌでパルムドールを穫った『4ヶ月、3週と2日』での主演が記憶に新しい。彼女を助けようとするジャーナリスト・ダニエル役のジョン・シムは『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』『ヒューマン・トラフィック』『ひかりのまち』にも出ている。カーンウェル社重役を演じたレン・キャリオーは『父親たちの星条旗』で観た顔だし、同じくカーンウェル社の経営者トム役のクリス・ポッターはドラマ『Queer as Folk』のシーズン1にレギュラー出演していたはず。人権活動家役のバーバラ・イヴ・ハリスも『プリズン・ブレイク』や『ER』『ザ・ホワイトハウス』シリーズなど日本でもお馴染みのTVドラマに数多く出演している。他にも見覚えのある俳優が何人も出ていた。

日本でも2年前にDVDが発売されて誰にでも観られるようになった作品だが、今月27日には都内で無料上映会も催されることになっている。少しでも関心をもった人、時間の都合があう人には是非とも参加をお勧めしたい。
詳細はこちらまで。

関連レビュー:
『ロルナの祈り』
『この自由な世界で』
『題名のない子守唄』
『イースタン・プロミス』
『13歳の夏に僕は生まれた』

とらばーゆ1週間

2009年06月09日 | diary
新しい職場にもだんだん慣れて来ましたがー。

今度の職場は今までと違ってちゃんと定時があるのですが。今までのところはフレックスとゆーか、「大体何時までに来ればよろしい」みたいな感じで、遅い人になると午後にならないと来なかったりってこともあったんだけど、今回のところは少数の例外を除けば全員が定時に来て、朝礼があって、それぞれその日の予定を申告するとゆーシステムになっている。夕方は夕礼があってやったことを報告。その他に毎日手書きで日報を書いて1週間ごとに提出。
もしかするとこーゆーのは世間では当り前かもしんないけど、映像関係とゆーかマスコミ系では珍しいんではなかろーか?少なくともぐりの経験ではそーです。定時出社なんて10ン年ぶりですわよ。
ただもともと朝は強い方だし、朝夕の会議や日報もとくにメンドーとは思わないですね。今のところは。誰が何やってるかみんなにわかって、なんかスッキリしていいと思う。

しかしこの会社、会議やら打合せがやたらに多い。気がする。今日も月例会議があったけど、ぐりなんか毎日朝から晩までしょっちゅう誰かしらに呼び出されて打合せやってる。仕事やってるより喋ってる時間のが長い。まあそういう職種に転職したからなんだけど、今までが逆に、ひたすらもくもくと作業、みたいな職種だったから落ち着かない。
それにしても毎日1件ずつ案件が増えていくとはこはいかに。こんなんでホントに仕事まわるんか?っちゅーくらいてんこ盛り山積み状態ですけど、これも常に一分一秒を争ってた業界に長くいた後遺症ですわね。よく話を聞いてみたら、そこまで切迫した案件はほとんどない(例外はある)。なんとなくどーにかなるっしょ?って雰囲気です。なるといーですね(他人事)。

それから、今までは大抵職場は家から20分圏内だったので、通勤ラッシュとゆーものにはあんまし縁がなかったんだけど、今回は小一時間近くかかるところになったので、やはり超ヒサビサに通勤電車に乗って通勤してます。
けどいちばん長く乗る路線は始発駅で乗換えなのでだいたい座れる。帰りも混む手前の駅なのでやっぱ座れる。混む路線は女性専用車両に乗っている。とゆーワケで、今のところ通勤もらくちんです。早く帰れるので帰りにショッピングなんかもできるのが嬉しー(店が開いてる時間に退社できる会社に勤めたことがなかった)。
職場環境は激変したけど、そんなこんなで相変わらずマイペースに好き勝手やってます。こんな平和、いったいいつまで続くやら。


奈良町にて。

拍手とゆーものがあったので一瞬つけてみましたが、よく考えたらあんまし意味ないかも・・・と思い、速攻で外してしまいました。混乱しててごめんちゃい。

流血の祭典

2009年06月07日 | movie
『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』

ある富豪からフィリピンで行方不明になったひとり息子シタオ(木村拓哉)の捜索を依頼された元刑事クライン(ジョシュ・ハートネット)。ミンダナオ島でシタオは殺害されたという目撃証言を耳にするが、香港で生きているらしいとの情報も得て、香港警察のメン・ジー(余文樂ショーン・ユー)を訪ねていく。

どーも賛否両論のよーですが。ぐりはかなりおもしろかったです。ハイ。
好き嫌いはかなり分かれる映画だとは思いますけどね。SM趣味的傾向がまったくない人、痛みの快楽を絶対に受け入れられない人はちょっと受けつけないかもしれない。ちなみにぐりは暴力表現は好きじゃないけど、「二枚目がモンゼツする映像」は大好物とゆーキチクなんで(爆)、たーいへん楽しゅうございました。イヤもうマジでー。
シタオは「他人の痛みを自身に移し換える」という特殊能力をもったキャラクターなので、トーゼン悶絶シーン満載でございます。画面に出て来るたんびに血みどろで七転八倒してます。
シタオだけじゃなくてクラインの悶絶シーンも多い。警察を辞める原因となった連続殺人事件の犯人ハスフォード(イライアス・コティーズ)にいたぶられるシーンなんか、超エロです。すいません、めっちゃワクワクしちゃいました。

あとコレ、サスペンスの形式をとってるけどサスペンス好きな人にもたぶん厳しいと思う。ストーリー展開に理論的な裏づけがほとんどないから。
たとえば、物語のキーとなるシタオは突然アジアに旅立ってミンダナオ島で孤児院を開設し、そこで地元住民の反感を買って殺害される。ところが遺棄された洞窟で息をふき返し、例の特殊能力を身につけて、なぜか香港で人々を助けてまわる。この流れに、サスペンス映画に必要とされる裏づけがほとんどない。シタオ自身ロクに喋らないし。
でも映画全体をみれば、そういう理屈の上での裏づけはあんまり重要じゃない気がしてくる。人が「痛み」に溺れ取り憑かれつつ畏れるという根源的な感覚は、あくまでも本能的なものであって、単純な理屈では片づかないからだ。
人間の脳は激しい苦痛に見舞われるとエンドルフィンという一種の麻薬物質を分泌して、意識を苦痛から解放させるという。ランナーズハイと呼ばれる現象や、性行為でのオルガズムもこの物質が引き起こすといわれている。
そうした生理的・心理的な「痛み」を軸に展開する内省的な世界を、人間誰もが抱える「善」と「悪」と「迷い」をそれぞれに象徴した3人のキャラクターによって語らせた映画としてみれば、これはきちんとまとまってるし、ちゃんと楽しめます。

音楽がレディオヘッドなんだけどほとんどの曲がエライ古くて、観ててなんだかレディオヘッドのPVみたくなっちゃってるとこがあったのはイマイチ興醒めではあったかな?グスターボ・サンタオラヤのスコアはよかったと思うんですがー。
ド変態芸術家役のイライアス・コティーズは相変わらずええ感じ。実はこの方ぐり結構好きです。シブくかつエロなハゲ。サイコーじゃないすか。
何考えてんのか意味不明な美女リリを演じた監督の奥さんトラン・ヌー・イェン・ケーは相変わらず美しい。ミステリアスで色っぽくって。李炳憲(イ・ビョンホン)ともキムタクとも密着し放題で羨ましいですね。ははははは。
余文樂の役はもともと呉彦祖(ダニエル・ウー)がやる予定だったんだよね。確か。怪我で降板したんじゃなかったでしたっけ?それを思うとやっぱ余文樂じゃ若干色気負けはしてるかも(笑)。
李燦森(サム・リー)がまたアブナイ役でちょろりと出て来るんだけど、この人顔がおもしろいから(笑)こーゆー役はホントにうってつけですねえ。
しかしなんだかんだいっていちばんおいしいのはキムタク。今後これが世界で公開されたらどーゆー反響があるのか、楽しみですなー。

ところでぐりはこれを六本木ヒルズで観たんだけど、観終わって帰ろうとしたら玉置浩二・石原真理子夫妻にばったり出くわしてビックリ。玉置浩二めちゃめちゃフツーのおっさんでした。オーラ0。石原真理子は異様に顔がちっこいからスグわかったけど。手をきゅっとつないで仲良さそうにしておられました。『ターミネーター4』の先行オールナイトでも観に来られたのかなー。

青森の変な人

2009年06月07日 | movie
『ウルトラミラクルラブストーリー』

青森県、海沿いの農村に住む陽人(松山ケンイチ)は25歳。亡くなった祖父がテープに録音したノウハウに従って無農薬農法で野菜を育てて売り歩くある日、幼稚園に新しくやってきた保育士の町子(麻生久美子)にひと目惚れ。猛アタックを開始するのだが・・・。

観終わって劇場のトイレにいったら、他の観客が「ミラクルすぎる」と感想をもらしておられたのが聞こえたのですがー。
まあぐりもそう思う。ぶっちゃけ、全然観なくてよかったかも(爆)。
たぶんこの監督自体はいい作家だと思うんだけど、なんか無理矢理マツケンのためのアイドル映画をつくろうとしてうまくまとまんなかった・・・みたいな感じ。ほのぼのラブファンタジーが撮りたかったのか、生命の神秘が撮りたかったのか、農村ブラックコメディが撮りたかったのか、そのどれもちゃんと消化しきれてないとゆーか。

ただ青森出身のマツケンのなりきりぶりは確かにものすごくて、全編津軽弁の台詞もちょーディープっす。他の俳優の津軽弁がインチキくさすぎて、そのギャップが笑える。いや、俳優としてはうまいはずなんだけど(藤田弓子なんか絶妙だと思う)、当り前だけどマツケンのネイティブ津軽弁には負ける。
しかしシナリオ全体がこの津軽弁にふりまわされてる感もアリアリ。あとあまりにリアルな方言にこだわり過ぎたのか、まったく何をいってるのかわからないパートもあって、耳が疲れました。

しかしあの役にわざわざARATAを使うっておもしろいよね。そこは笑った。エンドロールで(爆)。
それと、これ観ると人がなぜこんなに映画に熱狂するのかが妙にわかったような気分にはなる。だって登場人物がヘンすぎるから。映画を口実にこんなにおかしいことやれるなんて、おもしろいじゃん。クセになるよね。うん。