2020年1月24日、BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会(神田安積委員長。放送内容にウソはないか調べたり、番組の質を上げるにはどうしたらいいかを話し合う)が、関西テレビのバラエティ番組「胸いっぱいサミット!」の2019年4月6日と5月18日の2回の収録放送で、出演者の作家が、日韓関係に関する議論のなかで、韓国人の気質を「手首切るブスみたいなもの」などと語った事象について、放送倫理違反と認定する意見(問題の重大さに応じて「見解」や、より重い「勧告」という形で放送局に伝える)書を公表した。意見書では「人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない事」などを定めた日本民間放送連盟(民放連)の放送基準に違反するとした。
2回の放送が収録放送であった事を考えると、番組の製作スタッフや放送責任者の放送基準に対する理解に問題があると言って良い。作家の発言内容が重大なハラスメント・ヘイトスピーチ・ヘイトクライムであるという事を放送後も認識できていないようで、その責任を感じての謝罪の言葉も見られない。このまま謝罪もせずに済ませるつもりなのだろうか。また、関西テレビは再発防止に向けて、真剣に実質のある意識改革に取り組まねばならないのは当然の事である。
またメディアがこのような事象をニュースに取り上げる場合に求めたい事は、この事件の元凶である差別発言者の作家を批判し謝罪させ意識変革させるための対応をすべきではないかという事である。差別は人権侵害であり犯罪であるという認識は今日常識であり、その立場に立って、作家の名前を国民に公表すべきではないかという事である。このような差別を根絶しようとする厳しい姿勢対応をしなければ、ニュースに取り上げた事によってさらに差別を拡大再生産してしまうのではないだろうか。
この作家のようにハラスメント、ヘイトスピーチやヘイトクライムを行う人間は、韓国人の実相を知らない人間である。それはまた、日本人の実相をも知らない人間であり、実相を知ろうとしない人間である。韓国人とも日本人とも深く広く関わる事をせず、実相を理解していないにもかかわらず、知ったかぶりをしてただ貶す事だけを目的に物事を述べているだけである。それもマスメディアを利用して(マスメディアはその機会を与え)故意に言いたい放題にウソを振りまいて(マスメディアは振りまかせて)いるのである。これが犯罪でなくて何であろうか。作家と番組制作スタッフや放送責任者は共犯である。テレビ番組(ラジオもだが)や放送局はハラスメントや、ヘイトスピーチ・ヘイトクライムを行ってはならないし、行う事を許してはいけない。韓国人に対してだけでなく、日本人を含むすべての人々に対して。憲法を尊重する主権者国民は常にチェックを怠ってはいけない!
2020年の新年早々、川崎市の多文化交流施設「市ふれあい館」へ脅迫年賀状が届いた。賀状には「謹賀新年 在日韓国朝鮮人をこの世から抹殺しよう。生き残りがいたら、残酷に殺していこう」と書かれていた。同館は1988年、民族差別の解消を目的として在日コリアン集住地区桜本に開設された施設である。福田紀彦市長は23日、「差別に基づく脅迫だ。人権条例の趣旨に反する行為だ。全く許されるものではない」との見解を表明し、市として県警に被害届を提出した。
(2020年6月15日投稿)