正木ひろしが、1937年4月に創刊した個人雑誌が『近きより』である。アジア太平洋戦争下にあって、神聖天皇主権大日本帝国政府が強調する「全体」に対して「個」「個人」の人権にこだわり、「私人」の立場から政府の「欺瞞」を問い続けた。創刊から90年近くを経た今日の主権者国民にとっても教訓となる内容である。以下に抜粋して紹介しよう。
「日本が神国だというのは、日本の一人一人が神の子であるという自覚を基として初めて理解し得る。人民を扱う事神に対する如く、人民同士もまた神が神に対する如き敬虔な気持ちがあって初めて神の国なのである。」
「国民が笑いもせず、怒りもせず、沈黙している状態は恐るべき状態である。国民が遠慮しているのだ。遠慮は自国を自国と感じない心理から生ずるのだ。自分達と違う人種に支配されているように錯覚しているのだ。」
「小の虫を見殺しにする事に平気な国民である。自分達が小の虫である事も忘れて」
(2023年10月25日投稿)