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原子爆弾投下を政府やメディアは国民にどう伝えたか?

2024-10-15 10:57:40 | 核兵器

 「核兵器」に反対や禁止を求める声や行動は、日本でも近年これまで以上に活気を帯び、見聞きする機会が増加してきた。しかし、今日の自公政権メディアは、神聖天皇主権大日本帝国政府や当時のメディアが米国政府による広島や長崎への「原子爆弾投下」を国民に対しどのように報道したかについては報道していない。この事を知った上で今日の自公政権メディアに対応する事も核兵器廃絶運動には極めて重要な姿勢だと考える。そこで、「核兵器廃止禁止運動」の厚みを増し強化発展させるために、以下に投下当時の大日本帝国政府とメディア両者の報道内容について紹介したい。

8月6日広島市へ投下後

○7日東京朝日「広島を焼爆」の見出しで「6日7時50分頃2機は広島市に侵入、焼夷弾をもって同市付近を攻撃、このため同市付近に若干の損害を蒙った模様である」

○7日大阪朝日「広島、6日7時50分ごろB292機は四国東南端より北進、香川県西部を経て広島市に侵入、焼夷弾、爆弾をもって同市附近を攻撃の後反転、8時30分ごろ同一経路を土佐湾南方に脱去した、このため広島市附近に若干の損害を蒙った模様である、敵米はわが中小都市、重要工場などの爆撃は夜間を選び、専ら自軍の損害をさける隠密行動をとってゐたが昼間、偵察をこととしてゐた敵がわが方が油断したと思ったか、白昼僅か2機をもって爆弾、焼夷弾を混投したことは今後警戒を要する」

○8日東京朝日トップ記事「広島へ敵新型爆弾 B29少数機で来襲攻撃 相当の被害、詳細は目下調査中」の4段見出しで 「大本営発表」(昭和20年8月7日15時30分)「一、昨8月6日広島市は敵B29少数機の攻撃により相当の被害を生じたり 二、敵は右攻撃に新型爆弾を使用せるものの如きも詳細目下調査中なり」

 「落下傘つき 空中で破裂 人道を無視する惨虐な新爆弾」解説

「その威力に関しては目下調査中であるが、軽視を許されぬものがある……敵がこの非人道なる行為を敢てする裏には戦争遂行途上の焦燥を見逃すわけにはいかない、かくのごとき非人道なる残忍性を敢てした敵は最早再び正義人道を口にするを得ない筈である……今次の敵攻撃に見ても少数機の来襲といえどもこれを過度に侮ることは危険である……敵は新型爆弾使用開始とともに各種の誇大なる宣伝を行い、既にトルーマンのごときも新型爆弾使用に関する声明を発してゐるが、これに迷うことなく各自はそれぞれの強い敵愾心をもって防空対策を強化せねばならぬ」

 社会面記事見出し「嗜虐性爆弾に耐え抜け」

○8、9両日防空総本部防御方法、心得」発表

「一、新型爆弾に対して待機壕は極めて有効であるからこれを信用して出来るだけ頑丈に整備し利用する事

二、軍服程度の衣類を着用してゐれば火傷の心配はない、防空頭巾および手袋を着用してをれば手や足を完全に火傷から保護することが出来る……」

広島市への原爆投下は、3機の気象偵察機と3機の爆撃攻撃機との計6機により行われた。『エノラ・ゲイ─ドキュメント・原爆投下』によれば、このうち広島上空へ到達したのは、「エノラ・ゲイ」「グレート・アーティスト」「91号機」の爆撃攻撃機3機だった。先頭の「エノラ・ゲイ」が原爆投下、後続の「グレート・アーティスト」が落下傘をつけた爆風測定機を投下、「91号機」は写真撮影を担当した。広島の東方から侵入した3機のうち、「エノラ・ゲイ」は投下後、右方向へ155度の急旋回をし、後続2機は左方向へ旋回した。

8月9日長崎市へ投下

○10日朝日西部本社「長崎市に新型爆弾 大型2機侵入・被害僅少」の4段見出し、西部軍管区司令部発表

(昭和20年8月9日14時45分)「一、8月9日午前11時頃敵大型2機は長崎市に侵入し、新型爆弾らしきものを使用せり 二、詳細目下調査中なるも被害は比較的僅少なる見込み」

 「1機でも待機を 皮膚の露出は大禁物 西部軍管区司令官談」

「去る6日広島市に新型爆弾を投下した敵は9日再び長崎市に新型爆弾を投下したがその新型爆弾の威力は侮るべからざるものがあるとはいえ詳細に検討すればその措置宜しきを得れば恐れるに足らず、西部軍管区司令部では主として長崎市の現状調査の結果敵の今回広島、長崎両市に使用した新型爆弾はその威力強大なるも処置よろしきを得ればこれが防衛は完全に可能である、軍および総監府などの現地調査の結果同爆弾の都市に及ぼす影響は“爆風”と“熱波”のこの2種類に限定出来るようである、爆風は近距離において木造物などを打倒す力はあるが防空壕の掩蓋を潰したり堅牢建物を倒したり地上にゐる人の身体を破壊したり煙突を倒したり墓石を倒したりするような威力も作用もない、熱波は近距離において障子のような燃えやすい物体を発火させ人を火傷させるが、市街が押し倒されて瞬間大火災になるようなことはなく、現地の体験者も最初はところどころに火が出るくらゐで消火すれば消せる程度であるという風に語ってゐる、この熱波の影響を受けるのは直接熱の来る方向に暴露した場合に限られるのである、爆弾落下の閃光を目撃しないもので火傷したものは一人もないのが事実であり、また帽子や衣服を纏ってゐたものは火傷してゐない、なおこの熱波について注意したいことは爆弾が炸裂する場合強い光線を放つが、熱波がその場所に到着するのは光線の到着よりも一寸遅いということだ、閃光を見て急ぎ物陰に隠れ火傷せずに済んだ例も少なくない

 以上が特殊爆弾により惹起される作用なのであるが、これが対策は結局簡単である。一、応急対策(イ)待避壕、防空壕を整備せよ、無蓋壕は有蓋壕にすること、その強度は一寸丈夫な待避壕位で差し支えない、個人用蛸壺に掩蓋をつけたものは一番安全であると現地の体験者もいってゐる (ロ)やむを得ず無蓋壕にゐるものは小さな深目な壕を選び布団毛布などをかぶれば効果極めて大である (ハ)少数大型機の来襲にあたっては特に注意を払い油断なく待避することが肝要である、落下傘附爆弾を高々度から投下するのを見た時は躊躇することなく待避することが絶対必要である (ニ)一般に皮膚を露出しないように注意すること、なお着物類は厚目のものが有利である 二、根本対策 以上述べた応急対策以外に最も確実な方法として都市の疎散洞窟化とがある、この問題については都市外に移住するものの戦力化というような積極的方面のことも関連せしめて目下関係当局において具体案を取急ぎ立案中である」

 「壕には必ず掩蓋 シャツ一枚では水腫 赤塚中部軍参謀談」

「敵米が6日広島市に投下したいわゆる新型爆弾熱線を主としたもので我ら民衆の防空態勢としては従来からの防空戦訓に徹しさえすれば必ずしも驚くに足らないものである、一億総穴居がさけばれ速やかに全日本人が地下転移さえすれば絶対大丈夫と前提して戦禍の広島を視察ののち8日帰阪した中部軍参謀赤塚中佐は左のごとく語った、広島の被害がやや大きかったのは敵の高性能爆弾を最初に受けたことと警報解除直後であったことが挙げられる、高性能といってもその焼夷力爆風が今までの爆弾よりも強力というに過ぎない性能で、全然我らの想像外のものではなく研究範囲内の所産である、今までのものは破壊力と爆風が大きかったが、今度の爆弾は空中で炸裂するだけに爆風を上から浴びる点が新しい、この熱線威力発揮は相当広範囲にわたるが遮蔽さえすれば助かってゐる、民防空としては掩蓋のある壕にさえ入ってをれば例外なく助かってゐる 相手の爆弾が熱線であるだけに防空頭巾は長ければ長いほどよく手袋を着用してゐるのもよい、身体の露出部は糜爛状態になりシャツ一枚くらゐではその下に水腫ができるから衣服の厚着が肝要だ、何度も繰返すごとく従来の戦訓を徹底履行すればよいので、警報が出たら直ちに防空服装になることが必要だ、爆風は強力で普通家屋は棟が二つに割れて倒壊してゐる、掩蓋がある壕や電車などは被弾地域と目される辺りでも壊れていないから地下転移の際家屋の梁を強化しておけばよい、もちろん被弾時は直立してゐるよりも伏せてゐる方がよい、敵が落下傘をつけてこの爆弾を投下したとの説もあるが、市心の中心を狙って精密照準をしてゐる点から見て私は落下傘はつけてゐなかったと思う、家屋倒壊で火事を惹起したが熱線のため直接火事発生と見るほどの焼夷力はないようだ、したがって火の用心さえすれば火事は起らぬと思う、熱線は光より一瞬遅れて来るので光を浴びてすぐ伏せて助かった例もある」

○12日東京朝日特派員ルポ

「記者らが考える「戦訓」は一機でも馬鹿にせぬこと、必ず防空壕に待避すること、壕の補強、外出にも防空常備薬(主として赤チン三角巾など)を携行すること」

(2024年7月4日投稿)

 

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