OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

カーティス・フラーの素敵なメロディ

2009-01-10 12:27:46 | Jazz

Images Of Curtis Fuller (Savoy)

なんともトホホなジャケットデザインにこのアルバムタイトルじゃ、カーティ・フラーのイメージなんて、こんなもんか……!? というファンの嘆き節が聞こえてきますね……。

しかし中身は極上のハードバップです! これは断言しますよ。

ただしセッションデータが、これまたあやふやで、一応、原盤裏ジャケットの解説によれば、メンバーはカーティス・フラー(tb) 以下、リー・モーガン(tp)、ユセフ・ラティーフ(ts,fl)、マッコイ・タイナー(p)、ミルト・ヒントン(b)、ロイ・ヘインズ(ds) という新旧入り乱れの豪華版ということですが……。実際に聴いてみると、特にリズム隊については疑問符を打ち消せませんし、トランペッターにしても曲によってはリー・モーガン以外の者が参加しているようです。

このあたりは長年、私の心の中に蟠っていた問題です。しかし現代はネットという強力な道具がありますからねぇ~♪ いろいろと検索してみたら、正解と思われるデータがありましたので、演目紹介と共に書いておきます。

A-1 Accident (1960年6月7日録音)
 まず、この6月7日のドラマーはロイ・ヘインズではなく、ボビー・ドナルドソンというのが、今日の認定されたデータです。
 肝心の演奏は爽快なテーマメロディと3管ハーモニーが素敵なカーティス・フラーのオリジナルで、まずはアップテンポでブッ飛ばしていく作者のアドリブが絶好調です。続くユセフ・ラティーフのテナーサックスも悪い癖の中近東フレーズを抑えつつ、きわめて正統派ですから、感度は良好でしょう。
 そしてリー・モーガンが絶句するほどに強烈ですよっ! この全力疾走の潔さと暴発するエネルギーには、必ずや圧倒されるはずです。なにしろこの時期のリー・モーガンはジャズメッセンジャーズではバリバリの看板スタアであり、名演・名盤を連発していましたからねぇ~♪ この勢いは間違いなく本物です。
 気になるリズム隊は短いながらもスピード感満点のアドリブを披露するマッコイ・タイナー、ベテランらしからぬ熱血というミルト・ヒントンも好ましく、ポピー・ドナルドソンのドラミングも立派に重責を果たしています。

A-2 Darryl's Minor (1960年6月7日録音)
 ユセフ・ラティーフがフルートでリードする哀愁のテーマメロディが、まずは琴線に触れまくり♪♪~♪ ミティアム・テンポの設定も実にジャストミートで、作曲はもちろんカーティス・フラーとくれば、名演は完全なる「お約束」でしょう。実際、アドリブ先発のトロンボーンは、あのハスキーな音色とゆったりファンキーの極みつき! ジンワリと心に染み入ってきて、涙がボロボロこぼれますよ。
 さらにユセフ・ラティーフが、これまた泣きメロばかりをフルートを奏でれば、リー・モーガンはツッコミ鋭いトランペットの音色が逆に泣けてくるというフレーズを連発してくれます。
 バンドアンサンブルもベニー・ゴルソン直伝という感じですし、あぁ、これは名曲! 隠れ名曲にして、名演でしょうねぇ~♪

A-3 Be Back Ta-Reckla (1960年6月7日録音)
 これまたユセフ・ラティーフのフルートがテーマメロディをリードするバンドアンサンブルが、まず最高です。サイケおやじ的には、日活ニューアクションのサントラ音源という感じに聞こえるところも大好きですよ。
 そしてアドリブパートでもユセフ・ラティーフのフルートが大活躍! ウナリ声を交えたフレーズ展開にラテンビートを交えたリズム隊とのコンビネーションも素晴らしく、個人的には苦手の中近東フレーズがイヤミになっていません。
 しかしリー・モーガンが前2曲に比べると些か調子が出ていない感じながら、まあ、ここまで吹いてくれれば合格点でしょうね。続くカーティス・フラーは何時もの雰囲気で悠然としたトロンボーンを聞かせてくれますし、こんな素敵メロディを書いてくれたことに感謝する他はありません。

B-1 Judyful (1960年6月7日録音)
 ちょっと重苦しいバンドアンサンブルはマッコイ・タイナー以下のリズム隊がリードしていますが、メインのテーマはマイルス・デイビスの「So What」をジャズメッセンジャーズの「Moanin'」で味付けした感じが、いやはやなんとも……。
 しかしアドリブパートに入るとカーティス・フラーが十八番という、春風の中で吹いているようなノンビリファンキーが実に心地良く、またユセフ・ラティーフのダーティなテナーサックの響きさえも許せる雰囲気になるんですねぇ~♪
 このあたりはリズム隊のミディアムテンポで快適なグルーヴにノセられている所為かもしれません。実際、リー・モーガンの思わせぶりが強いアドリブの隙間を埋めていくようなリズム隊の存在感は流石だと思いますし、マッコイ・タイナーのアドリブを聴いてると、続けてジョン・コルトレーンが登場しそうな錯覚に陥りますよ。ドラムスがジミー・コブみたいになっているのも、ご愛敬です。

B-2 New Date (1960年6月6日録音)
 さて、これが疑問の多いデータのひとつで、リー・モーガンが抜け、ウィルバー・ハーディン(tp) が登場! さらにジミー・ギャリソン(b) とクリフォード・ジャービス(ds) が交代参加したと言われる演奏です。
 そして曲はカーティス・フラーのオリジナルですから、3管ハーモニーを活かした疑似ジャズテットという爽やか哀愁系のメロディが胸キュンですが、なんとなくA面ド頭の「Accident」に雰囲気が酷似しています。
 ということは、やっぱりカーティス・フラーが得意中の展開なんですねぇ~。演奏全体は些か荒っぽい仕上がりなんですが、それゆえの豪快なノリは顕在で、特にマッコイ・タイナーが快演ですよっ♪
 気になるトランペットはウィルバー・ハーディンと言われれば納得するしかありませんが、あまり個性的とはいえず、不調のリー・モーガンに聞こえないこともありません。

ということで、A面はノー文句の大快演! B面は些か苦笑いという仕上がりですが、カーティス・フラーならではの味わいは濃厚に楽しめアルバムです。

そこにはベニー・ゴルソン譲りの、と言うよりも、おそらくは共同開発したと思いたい3管ハーモニーの快感があって、さらに素敵なメロディのオリジナル曲が最高なんですねぇ~~♪ もちろん全盛期だったリー・モーガンの真骨頂も、特に「Accident」では顕著に楽しめますし、いろいろと不明な点も多いリズム隊にしても、その健実なサポートには好感が持てます。

となると、このジャケットは、もう少しなんとかならんかったのか……!?

なんていう贅沢を禁じ得ませんね。