OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジミー・ヒースの三並び

2009-01-12 11:36:35 | Jazz

Triple Threat / Jimmy Heath (Riverside)

ジミー・ヒースは悲運の実力派というか、頑張っているんだけれども、何故か人気も評価もイマイチなんじゃないでしょうか……?

人脈からしても、パーシー・ヒースとアルバート・ヒースの真ん中に位置する三兄弟として、ヒース・ブラザースなんていうバンドをやっていた時期もありましたし、マイルス・デイビスやジョン・コルトレーンとの友達関係も有名です。

また作曲も上手く、ジミー・ヒースが書いたモダンジャズ本流の名作メロディはどっさり残されたています。

という人でありながら、リーダー盤の入手困難度は高く、特にリバーサイドに吹き込まれた諸作のアナログ盤は中古市場の隠れ人気商品でしょう。もちろん再発状況も決して良いとは言えません。

さて、本日ご紹介のアルバムは、リバーサイド盤としては4枚目のリーダー作で、気が弱いサイケおやじとしては死んだ気でゲッとした1枚なんですが、その理由はご推察願いたいところ……。

録音は1962年1月、メンバーはジミー・ヒース(ts)、フレディ・ハバード(tp)、ジュリアス・ワトキンス(frh)、シダー・ウォルトン(p)、パーシー・ヒース(b)、アルバート・ヒース(ds) という3管セクステットですが、曲によってはワンホーンの演奏も含まれています。

A-1 Gemini (1962年1月4日録音)
 ワルツテンポのモード曲ながら、ジュリアス・ワトキンスのフレンチホルンがリードするテーマメロディには独特のホノボノ感がありますし、リズム隊からのビートには、疑似ジャズロックの香も漂うという味わい深い演奏になっています。
 アドリブパートは充実のフレディ・ハバード、安定感と革新性のバランスが秀逸なジミー・ヒース、弱気の虫が疼くようなジュリアス・ワトキンスと続きますが、要所に施された上手いアレンジが全体をきっちり纏め、さらにシダー・ウォルトンのピアノが彩を添えるという展開がシブイところでしょう。
 この曲は確か、キャノンボール・アダレイも演じていましたから、聴き比べもオツなもんかと思います。

A-2 Bluh' Slim (1962年1月4日録音)
 一転してアルバート・ヒースのドラミングも冴え渡る痛快なハードバップ! アップテンポでも重量感を失わないここでのグルーヴは、パーシー・ヒースのペースが貢献大かもしれません。まさに兄弟の絆ですね。
 そしてアドリブパートではフレディ・ハバードの爆発的な突進力が圧巻! ブリブリと吹きまくってシャープなフレーズを乱れ打ちしていくこの勢いは最高ですねぇ~♪ シダー・ウォルトンも健闘していますが、この時期の2人はちょうどジャズメッセンジャーズの新メンバーに抜擢される直前か直後ということで、そのハッスルぶりも微笑ましいところです。
 肝心のジミー・ヒースは「可も無し、不可も無し」が正直なところですが……。

A-3 Goodbye (1962年1月4日録音)
 しかしここではジミー・ヒースがテナーサックス奏者としての実力を存分に聞かせてくれます。
 曲はベニー・グッドマン楽団で有名な哀切のスローメロディということで、柔らかいホーンのハーモニーと硬質なテナーサックスのアドリブが上手く融合していると思います。ジミー・ヒースのスタイルは、プレスティッジ期のジョン・コルトレーンに一脈通じるところがサイケおやじの好みでもありますし、終盤に登場するフレディ・ハバードのトランペットは豊かな音量と若気の至りのようなフレーズ展開で、これも憎めません。

B-1 Dew And Mud (1962年1月4日録音)
 B面冒頭もビシッとキマッたジャズのビートが心地良いハードバップの快演で、露骨なゴスペルメロディがグイノリのモダンジャズへと転換していく流れが、実にシブイですねぇ~♪
 アドリブパートでは先発のジミー・ヒースが妥協しない姿勢を示せば、続くジュリアス・ワトキンスがモゴモゴとスラスラの二律背反みたいなフレンチホルンで意地を聴かせますが、キワドイ仕掛けを潜り抜けて爽快にブッ飛ばすフレディ・ハバードが圧巻! シダー・ウォルトンの溌剌としたピアノも良いですねぇ~♪ まさに当時の勢いが感じられるのでした。 

B-2 Make Someone Happy (1962年1月17日録音)
 ジミー・ヒースを主役にしたワンホーン演奏で、お馴染みのスタンダードをハードに解釈していく勢い、特にリズム隊の強引な感じが良い方向に作用していると思います。
 実際、それに煽られたのか、ジミー・ヒースのテナーサックスは豪気に鳴りまくっていますよ。もちろん強気な歌心も魅力です。
 それはシダー・ウォルトンのハードスイングへと受け継がれ、熱いリズム隊の存在感共々に強い印象となっています。短い演奏ですが、小細工が無い分だけ、これも「あり」でしょうね。

B-3 The More I See You (1962年1月17日録音)
 これも前曲と同じ趣向で、メロディ優先のスタンダードをグイノリのハードバップに染め上げていくジミー・ヒースのテナーサックス、ビシバシにハッスルしたリズム隊の活躍が、まさにカッコ良いモダンジャズの典型だと思います。
 ただし、ちょいと真面目すぎる感じも……。

B-4 Prospecting
 躍動的なリズム隊がリードするテーマ部分では、ホーンが入って尚更にアンサンブルも快調! それはアドリブパートの勢いへと見事に繋がる美しき流れが楽しめます。
 あぁ、このあたりがジミー・ヒースの得意技なんでしょうねぇ~♪ 似たような事をやっている当時のジャズメッセンジャーズと比較すると、フレディ・ハバードやシダー・ウォルトンのアドリブなんか、ほとんどバンドの区別がつかないほどなんですが、ドラムスとベースのツッコミとか抑制されたスピード感が絶妙な兄弟の絆でしょうか。
 こういう、ある種の「軽さ」は、ジミー・ヒースの特徴でもあり、限界なのかもしれませんが、私は相当に好きなのでした。

ということで、参加メンバーも魅力的ですし、演奏の充実度も高いハードバップの秀作だと思います。

アルバムタイトルどおり、3管編成でヒース三兄弟の揃い踏み!

先日の訃報も記憶に新しいフレディ・ハバードも上昇期の勢いが鮮やかですし、フレンチホルン入りの変則編成も、実は極めて正統派でしょう。冴えたオリジナル曲に有名スタンダードという演目構成も素敵な隠れ人気盤だと思います。