■Gloria c/w Here Comes The Night / Them (Decca / キングレコード)
この世の真実は諸行無常であればこそ、頑固に貫いている人に魅力を感じるサイケおやじには、例えばベルファストのカウボーイことヴァン・モリソンも、そのひとりです。
もちろん邂逅したのは1970年代に入ってからですが、本日ご紹介のシングル盤はヴァン・モリソンがソロ歌手としての存在を固める以前に所属していたゼムというブリティッシュビートグループのヒット曲をカップリングした再発物で、つまりは完全に後追いで楽しんだ1枚♪♪~♪
そして当然ながらサイケおやじを狂喜乱舞させるのは、ヴァン・モリソンの変わらない姿勢です。
例のアクの強い声質による粘っこくて真っ黒な節回しが、ゼムというアイルランドのハコバンがイギリス本土に進出し、正式にレコードデビューとなった直後から、既に堪能出来るんですねぇ~~♪
しかもゼムというバンドはメンバーの出入りが激しく、つまりは纏まりの悪さが目立っていたようですが、それでもヴァン・モリソンのボーカルと熱いオルガン、さらにはシンプル&ハードなギターリフ主体のサウンド作りがあればこそ、その相性の良さが魅力の大きな要因だったと思います。
例えば「Gloria」はゼムというよりも、今となってはシャドウズ・オブ・ナイトのヒット曲にしてパンクロックの定番にもなっているようですが、やはりオリジナルバージョンのストーンズっぽさと如何にもヴァン・モリソンらしい歪んだフィーリングは不滅でしょうねぇ~~♪ もちろん黒人音楽の白人的な解釈が極北まで行ってしまった成果だと思います。
また「Here Comes The Night」も尚更に粘っこい白人R&Bに仕上げられていますが、
そこはかとなく滲み出るストーンズっぽさは、ここでも健在!
つまり、この2曲がヒットしていた1965年前後は、新しいロックのひとつの形態として、黒人R&Bが積極的に脱色されていたという感が強く、そこに独自の色合いを付ける事によって個性が打ち出されていたんじゃないでしょうか?
ゼム=ヴァン・モリソンにとっては、それがアイルランド色だったという独断と偏見はサイケおやじの妄想かもしれませんが、そう思いたいですねぇ。
ということで、本日も自分が貫けない気分を否定したくて、これを聴きました。
機会があれば、皆様にもお楽しみいただければ幸いでございます。